国民生活審議会消費者政策部会第9回自主行動基準検討委員会会議事録

平成14年7月8日

国民生活局消費者企画課


議事次第

平成14年6月7日(金)13:00~15:00

内閣府本府庁舎 3階特別会議室

1.開会

2.中間報告へのパブリックコメント募集の結果について

3.関係機関からのヒアリング(公正取引委員会事務局,経済産業省)

4.閉会


委 員 長松 本 恒 雄    一橋大学大学院法学研究科教授
委   員池 田 耕 一    松下電器産業株式会社法務本部企業倫理室長
稲 岡  稔    株式会社イトーヨーカ堂常務取締役総務本部長
川 本  敏    国民生活センター理事
澤 藤 統一郎    弁護士
高    巌    麗澤大学国際経済学部教授
滝 川 敏 明    関西大学法学部教授
田 中 宏 司    立教大学大学院経済学研究科教授
ミッシェル タン    帝塚山大学法政策学部助教授
鍋 嶋 詢 三    社団法人消費者関連専門家会議顧問
南 条 俊 二    読売新聞論説副委員長
原   早 苗    埼玉大学経済学部非常勤講師
坂 東 俊 矢    京都学園大学法学部教授
宮 部 義 一    経済団体連合会経済法規委員会消費者法部会長
山 本  豊    上智大学法学部教授
山 本 隆 司    東京大学大学院法学政治学研究科助教授
吉 岡 初 子    主婦連合会事務局長

以上17名


出席者

( 審議会 )
      松本委員長,池田委員,川本委員,高委員,滝川委員,タン委員,鍋島委員,原委員,山本(豊)委員,吉岡委員

( 事務局 )
      亀井大臣政務官,永谷国民生活局長,大石国民生活局審議官,渡邊国民生活局審議官,堀田消費者企画課長,幸田消費者調整課長,永松国際室長 ほか


〔 松本委員長 〕 それでは、ただいまから国民生活審議会消費者政策部会第9回自主行動基準検討委員会を開催いたします。6月に入って暑くなりました中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 

 本日は、部会の中間報告に対してのパブリックコメントの結果についてのご報告と公正取引委員会及び経済産業省からのヒアリングを行いたいと思います。
    まず、中間報告に対してのパブリックコメントの結果について、事務局からご報告いただきたいと思います。

〔 堀田消費者企画課長 〕 パブリックコメントの前に資料の確認をさせていただきます。

 資料1から資料3までございまして、資料1がパブリックコメントの結果でございます。
  それから、資料2が本日、公正取引委員会の課長がお見えになっておりますけれども、公正取引委員会の関係資料、それから、資料3が経済産業省の方から出されております資料でございます。
  それから、別途ご参考のための資料といたしまして、幾つか用意させてもらっておりますけれども、まず経済活性化戦略、これは6月3日の経済財政諮問会議で配られたものでございます。後で内容をご紹介したいと思います。
  それから、電気通信分野における消費者支援策に関する研究会の報告書の概要もお配りさせてもらっております。
  それから自主行動基準の報告書の印刷物も配布させてもらっております。

 まず前回、委員会を開催していただいた後、4月22日に消費者政策部会を開催いたしまして、委員会でおまとめいただいたものが基本的に了承されて、消費者政策部会の中間報告として公表されております。
    1点だけ、この白表紙のものをご覧いただきたいのですけれども、「おわりに」というところが31ページ目にございます。31ページに「おわりに」というのが付け加わっておりまして、この中で、この自主行動基準に対して積極的に普及啓発活動を行う必要があるということとともに、「さらに」という段落でございますけれども、『本指針について広く一般や関係機関の意見を聴取するとともに、政府は消費者保護基本法の見直しを含めて、21世紀型の新たな消費者政策を構築すべき時期にきていることを認識し、「Ⅳ.実効性確保・策定促進の方策」で指摘されている事項の中の公益通報者保護制度の早期実現等も視野に入れて、検討作業にできるだけ早く着手すべきである』といった事柄が付け加えられております。これが消費者政策部会の関係でございます。

 それから、総務省の方が電気通信分野におけます消費者支援策というものをやっておりましたけれども、その報告書がまとまりまして、その中で自主行動基準が取り上げられているということでご紹介させていただきたいと思います。
    この概要紙の5ページ目でございますけれども、(4) の消費者対応ルールの確立の推進という項目が入っておりまして、その中で①の電気通信事業者による消費者対応ルールの策定の推進ということで、本委員会でおまとめいただきました自主行動基準の指針も踏まえて、今後、電気通信事業者におけますルールづくりに役立てていくといったような報告になっております。

 それからもう一つ、経済財政諮問会議の資料でございます。経済活性化戦略のまだ案でございますけれども、近々閣議決定されることになろうかと思います。その中にいろんな戦略、6つの戦略ということで、人間力戦略、技術力戦略、経営力戦略等6つがございますけれども、その中で経営力戦略という中の一番最後のページですけれども、幾つかのそれぞれのアクションが書かれておりますけれども、一番下の「・」のところでですけれども、「企業や業界が消費者への対応等にかかる自主行動基準を策定し、遵守していくよう、内閣府は、関係各省と協力し、自主行動基準の指針の策定、第三者の評価組織の育成、企業、業界及び消費者への普及・啓発活動等を平成14年度から推進する」といったものが織り込まれております。

 以上が前回の委員会からの主な動きでございます。
    それでは、本題に戻りまして、パブリックコメントの方のご紹介に移らせていただきたいと思います。

 資料1をご覧いただきたいと思います。
   今回、パブリックコメントは4月26日から5月27日まで1か月間意見の募集を行いました。意見の募集を行うに際しましては、各地方自治体、消費者団体・業界団体594 団体、それから民間企業四千数社に対しまして協力の依頼を行っております。実際にパブリックコメントを提出いただいたのは全体で29件ということで、そこに載せてあります各企業、団体等からご意見を賜ったということです。一部個人の方もいらっしゃいます。全体、非常にたくさんございますので、一部だけちょっとご紹介させていただきたいと思います。

 1ページお開きいただきまして2ページ目をご覧いただきたいと思います。全体に関するコメントということで、ここのところは整理してありますけれども、上から3つ目の「・」のところで、「「消費者視点に立脚した事業者の行動指針」として、当報告書は企業側から見て、大いに参考になる点が多い」という意見がございます。

 それから、下から2つ目の「・」のところで、「事業者の自主行動基準への消費者からの提示が網羅されていると見ました。これらの指針に基づき起こされるであろう各事業者の自主的な行為を消費者が大いなる関心をもって監視していくことが求められる」ということが消費者団体の方からのコメントでございます。

 次は、「中間報告の内容は、当社を含め21世紀に向けた企業の新しい姿の手がかりとなるものである」といったご意見でございます。
    それからちょっと飛ばしていただきまして、5ページ目をお開きいただきたいと思います。一番上の「・」のところですけれども、「自主行動基準の策定及び運用体制の整備は、事業者が消費者の信頼を獲得する手段の1つとして位置付けることができるが、本来、事業者が競争上のメリット、社会的責任を考慮しつつ、自主的に対応すべきものである」といったご意見がございます。

 それから、5ページの一番下の「・」ですけれども、「仮に業法による規制に加えて、事業者による自主行動基準の策定・運用が求められるのであれば、事業者が自主行動基準を策定するインセンティブとはならない。自主行動基準が法律を補完するものとなることも含めて、新たな消費者保護のためのルールづくり、全体としての消費者保護のためのルールづくりについて今後検討されることを要望したい」という点がございます。

 7ページ目をお開きいただきたいと思いますけれども、上から2つ目の「・」、ちょっと長いところでございますけれども、「ここに想定されているのは、合理的な消費者と社会的な倫理を自覚した事業者、そして両者の信頼関係が成する市場であり、理念としては理解し得るものであり、妥当する場もあるとしても、その策定を事業者の自主的取組みに委ねるというのであれば、現実の消費者被害の防止や紛争解決への方策としては過大な評価や位置付けをすることはできない」といったご意見でございます。

 8ページ目をお開きいただきたいと思います。ここは「自主行動基準の考え方」についてというパートに対するコメントでございます。上から3つ目をご覧いただきたいと思いますけれども、「事業者は情報の開示により、事業内容の透明化を図ることにより、経営の誠実さや倫理観へとつながり、結果として積極的な消費者保護となるというコンプライアンス経営のあり方に関しては、全く同感です。問題は、非公開、未上場の大手、中小企業で、情報の開示が少なく、かつ事業内容が不透明であることが多い」といったコメントでございます。

 少し飛ばしていただきまして、10ページをお開きいただければと思います。10ページの一番上のコメントですけれども、3行目から申しますと、「行動規範が全社の旗頭としての存在になっていることから、消費者向けの要素を入れると極めてバランスの悪いものになってしまう」というような、全体の構成の問題かと思います。

 それから、一番下のところでは、「消費者の関心は商品、サービスの内容、価格等にある。それを生産・提供するプロセス等を決定する自主行動基準への関心は二義的なものと考えられる」といったご意見も出ております。

 11ページに移りますけれども、上から3つ目の「・」のところで、製品安全の関係ですけれども、「製品安全問題や消費者不信を招く行動を発生させた事業者は、被害救済に加え、徹底した原因究明と再発防止策の検討・実施が要求され、この要求に応えられなかった事業者は、場合によっては市場から淘汰されるなどのペナルティが課せられる。製品安全問題は結果責任でよく、敢えて新たな枠組みを導入する必要はない」と考えるというご意見です。

 次に13ページ、「自主行動基準策定・運用のための留意点」のところでございます。「事業活動への寄与度が最も大きいのは経営トップの意識であり、これがすべてであるといっても過言ではない」といったようなご指摘がございます。

 それから14ページでは、独禁法との関係が出ておりますけれども、一番上のところで、「独禁法との関係について公正取引委員会と十分調整し、どこまで自主行動基準に含めることが可能か、また実効性確保の程度はどこまでが可能か明確にしておくべきである」といったご意見でございます。

 15ページからが、第4部の「実効性確保・策定促進の方策」のところでございます。2つ目の「・」をご覧いただきたいと思いますけれども、上から5行目ぐらいのところから、「消費者側の教育・啓発の促進、「連邦量刑ガイドライン」的考え方の導入、社会的責任投資促進のための施策など、事業者の取組みのインセンティブを高めるための周辺環境整備に関する検討を直ちにお願いしたい」という問題。

 飛ばしまして、17ページでございますが、下から2つ目、個人の方のご意見ですけれども、「事業者が自ら策定した基準に責任を持つべきであり、もしそれに違反することがあれば、法律違反に順ずる処置がなされるよう検討する必要がある」という、自主ルールでありますけれども、違反になるような場合は、法律違反と同等の措置をとるべきであるということです。

 18ページ、上から3つ目の「・」でございます。内部告発、公益情報通報の関係ですが、「内部告発を保護するという意味で、消費者保護基本法の改正をするということ、まことに同慶に耐えない。社会正義が社内正義になるような法改正をして正義が通る世の中にすることは大賛成」ということです。

 一番下の「・」のところでは、逆に、「公益通報者保護制度の必要性は強く感じますが、事業者内部の問題は自己浄化が基本であり、やみくもに通報者保護を認めると、個人的感情の絡みから問題がある」ということでございます。

 19ページ、「連邦量刑ガイドライン」の関係のところですが、「・」としては1つ目の「・」で、4行目ぐらいからのところですが、「監督法規における行政処分についても「連邦量刑ガイドライン」的考え方を導入することを検討していただきたい」といったご意見でございます。

 最後の21ページお開きいただきたいと思います。これは途中からでございますけれども、一番上の行に「消費者・研究者・実務家等の協力を得て、あるべき消費者法制と消費者行政の理念に関して共同してその理念を論議し、早急に消費者保護基本法の見直しの具体的な作業に取りかかるべきである」といった弁護士の方のご意見です。

 それから一番最後のページには、この自主行動基準に関しまして事務局の方でこれまでいろいろ説明会をやってまいった段階で出された意見でございます。内容は省略させていただきます。
    以上、駆け足で恐縮ですが、説明を終ります。

〔 松本委員長 〕 ありがとうございました。ただいまのパブリックコメントの概要についての報告につきまして、ご意見とかご質問ございましたらどうぞ。
   はい、鍋嶋委員どうぞ。

〔 鍋嶋委員 〕 これは594 団体、4,286社で最終的に29なんですか。ほかにはきてないということですか。

〔 堀田消費者企画課長 〕 はい。ちょっと申しおくれましたけれども、このパブリックコメントにつきましては、今後この委員会での議論の中でできるところは反映させていただきたいというふうに思っております。
 さらに一応、内閣府のホームページにこのパブリックコメント結果を載せて公表したいというふうに考えております。

〔 松本委員長 〕 特にコメントございませんようでしたら、次の議題に移りたいと思います。
    本日は関係行政機関からのヒアリングを行う予定となっておりまして、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部消費者取引課の寺川課長及び経済産業省産業技術環境局標準課の辻課長にお越しいただいております。
    まず、公正取引委員会の寺川課長よりご説明をお願いいたします。

〔 寺川課長 〕(公正取引委員会事務総局経済取引局取引部消費者取引課) 今紹介いただきました、公正取引委員会取引部の消費者取引課長の寺川でございます。
    本日この場にお呼びいただきまして、私ども公正取引委員会の業務関係、それから今回の自主基準に関しましての私どもの公取を代表しての意見というわけにはいきませんけれども、私どもの立場からの意見を述べる機会をいただきましたことを大変感謝いたします。

 まず私の方から、この自主行動基準に関連することで私どもの行政に関係する話についてご紹介させていただきます。実は資料の方はお配りしておりますが、これはあくまでも基本的な独禁法の概要ですとか、それから景品表示法の概要を説明しているものですので、改めてここの場で詳しくご説明する中身でもないかと思いますので、今回、自主行動基準に関連しまして、私どもの所管しております独占禁止法、それから景品表示法に関連する事項について簡単にご紹介させていただいた上で、この自主行動基準に関して1点だけちょっと私どもの意見をお話しさせていただきたいと思います。

 まず、私ども公正取引委員会の方で運用している法律は、1つは、根幹にわたる部分につきましては独占禁止法という法律があります。
  この独占禁止法では、私的独占の禁止、それから公正取引の確保に関する法律ということで、この公正取引の確保ということに関しましては、単に事業者間の取引という問題ではなくて、消費者と事業者の間の取引の問題というのも従来から私どもの視野に入っているものになっております。

 ただ、私どもの運用を常々ご覧になっている方から見ればわかると思いますが、独占禁止法の運用の中でいいますと、対消費者取引におきまして、この法律を具体的に適用しているという例は最近ではほとんどございません。それは公正取引委員会全体の運用の方針ということにかかわってくるものでございますけれども、どちらかというと独占禁止法というよりは、もう一つこの独占禁止法から派生的につくりました特別法としての景品表示法、これは独占禁止法の中で禁止している不公正な取引方法の中の類型の中で、不当に顧客を誘引する行為というのがございますが、その中で過大な景品の提供ですとか、または射幸心をあおるような不当な景品の提供を禁止すること、それから誇大広告などの不当な表示を禁止するということを通じて、不当な顧客誘引というものを防止するための法律が景品表示法という法律としてございますけれども、そこを公正取引委員会の行う競争政策全体の中での消費者政策に係る部分として今まで主に運用してきております。

 ただ、そうしますと、どうしても対消費者の関係でいいますと景品の規制、それから表示の規制というところに限定されてきたという問題があるかと思います。
  今、私ども公正取引委員会の方では、委員長の松本先生にもご参画いただいていますけれども、消費者取引問題研究会というものを開催しておりまして、従来の表示規制、景品規制に限定されていた消費者政策部分について公正取引委員会としても、もう少しというか、さらに大幅に対応を拡大できないだろうかということで、この景品表示法という法律の枠組みをもう一度見直すということを通じて、対消費者取引について競争政策との関係ということも考えながら、どこまで対消費者向けの公正な取引の確保という意味で対応できるかということで検討を続けているところでございます。
    そこの部分はもう少し私どもの考え方が固まってきた段階でまた別の機会があればご紹介させていただきたいと思いますが、自主行動基準と関係する部分で、今、公正取引委員会の方でかかわっている部分としては2つあるかと思っております。恐らく、この検討委員会の場でもご紹介されたことがあると思いますが、独禁法に関してみれば、事業者がこの独禁法に違反しないように、これをまた遵守していくようにというための、我々の方ではコンプライアンスプログラムと言っているものの推進ということをかなり前から行っております。中身としては独禁法の基本的事項と、事業者ごとにそれを守るためにどういう具体的な対応をとったらいいかということを、事業者ごとにマニュアルをつくっていただくということを進めてきているわけですけれども、私どもとは別のセクションですけれども、そのための相談というのも随時受けております。

このコンプライアンスプログラムの性格に関していいますと、大体は事業者個々がつくっていこうと、そういうものに対してこちらが個別に応じているという場合が多いということです。
  例えば、ここの自主行動基準では、それの実効性確保のために事業者団体全体の取組ということもいろいろ言われていますが、そういう例があるのかどうかということをいろいろと担当の方に聞いてみたんですが、独禁法の話ですけれども、もし事業者団体がこのコンプライアンスプログラムについて取り組む場合には、どちらかといえば個々の事業者、傘下の会員向けのマニュアル作成の指針となるような形で検討するという場合がほとんどで、団体として一つの基準をつくって、それを遵守させるというような形でルールをつくっていこうという例はほとんどないのではないかということです。
  これは恐らく独禁法の遵守のコンプライアンスプログラムの性格からくるもので、あえてその団体で規制して守らせなければいけないというような性格のものという、そういう事項が余り多くないということになるかと思います。

当然のことなんですが、実は事業者団体そのものが独禁法違反にかかわる例というのはいろいろ多いので、事業者団体自身のためのコンプライアンスというのをつくるという例は当然ございます。ただ、それぞれについて、傘下の事業者に守らせるためのルールをつくるという例は、これは多分、コンプライアンスの性格からくるものだと思いますけれども、それほど例としては聞いたことがないというふうに聞いています。

そういう意味では自主行動基準の話と非常に関係が深いのは、この報告書でも取り上げられていますが、景品表示法に基づく公正競争規約の方がより関係が深いかと思います。この辺は会員の皆様方もよくご存知だと思いますのでちょっと余計なところかもしれませんが、私の方で用意した資料2のところでいいますと、8ページ目に公正競争規約制度について紹介しております。この公正競争規約というのは、景品について、または表示について、両方についてですが、この景品表示法という法律を遵守するということを目的として、事業者または事業者団体が自主的に設定するルールというものになっています。

この設定ルールにつきましては、4つの要件というのを持っています。1つは①に書いてある要件ですが、これは景品表示法の趣旨といいますか、景品表示法の目的に沿った内容であるということというのがまず第一です。それから②、③、④というのは、どちらかといえばこれは独禁法の観点から問題にしているところですが、一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないということ、それから内部的な話ですけれども、不当に差別的でないということ、それから、この規約に参加する、または脱退するということを不当に制限しないということという条件を設けております。

公正競争規約の場合には、表示のルールということになりますので、先ほどご紹介した独禁法のコンプライアンスプログラムと違いまして、表示について言えば、ある一定の業種の中で統一したルールをつくるということが、対外的に見ても、または事業者の方から見ても守りやすいという意味から言えば、そういう意味で独禁法のコンプライアンスと違いまして、特に表示に関していえば統一的なルール、景品も同じですけれども、一律のルールをつくるということが強く求められるものになっています。

その関係もあって、遵守のためのこの規約の中には、例えば強制するという形かどうかということでいいますと、もともとルールの中に不当に差別的でない、それから加入・脱退について不当に制限しないという規定がありますので、完全に強制する形にはなっていませんが、このルールに反した場合にはそれを審査して警告する。警告に従わない場合には違約金をとる、または除名するというようなことを規定の中に入れているというものが多くあります。これはそういう形を通じて参加している事業者は遵守するということを促さなければいけないという問題意識があるからです。その辺が恐らく今後導入していきたいと思われている自主行動基準というものを団体でつくっていく場合には、同じようなものが必要だというふうに考えられる部分が出てくるのではないかと思います。

ただ、ある程度事業者を拘束しようとするルールをつくられる場合には、ここで紹介したいと思うのですが、公正競争規約の場合も、その設定過程におきましては、最初に申請案を出された場合に、それに対してこちらの方で事前の検討会、連絡会というのを公開で行います。
  その上で公聴会を開催する、意見をお聞きした上で認定作業を行うと、それに対して、さらにその官報告示というのを行います。この官報告示を行うというのは非常に形式的に思われるかもしれませんが、こういうことを通じて、実はこの規約に問題があるという場合にはそれを争う余地を残しているというものになっています。これだけの公開と、それから、この制度について異議を唱えられるような仕組みをつくった上で、この規約の遵守ということも、守らせるというような内容の規約というのをつくることが可能だというようにしております。

規約の一覧を次に紹介しておりますが、こういう表示とか、景品などについてはこういう規約制度を設けているわけですが、私どもの中で、今、消費者取引問題研究会の検討している過程の中では、景品表示法という法律が表示と景品という2つの問題に集約されているわけですけれども、さらに広く公正な取引のための企業の行動というものについても、法律の枠組みの中に取り入れていくということができれば、事業者が対応すべき対消費者取引における行動の内容についても、この規約に盛り込んでいくということが可能になるのではないかと考えています。

これは裏を返せば現行の公正競争規約制度の中で言えば、それを実現するのはなかなか難しいのではないかというふうに考えているわけですけれども、法律の枠組みを広げていくことを通じて、将来的にはその規約の中でも表示の問題、景品の問題というだけではなくて、企業の対消費者取引の対応、または行動についての指針、基準となるべきものを規約に盛り込んでいくということを考えていかなければいけないのではないかというふうに思っております。
  そのことが、今回出されております中間報告書でもご指摘いただいている事項にある程度答えられる対応になり得るのではないかと思っています。まだこの辺については今後の検討課題ということになっています。

最後に、独禁法と今回報告書で取り上げています自主行動基準との関係について、私どもの考え方と若干異なる部分があるのではないかと思いますが、そこのところにちょっと触れさせていただきたいのですが、この指針の28ページだと思いますが、27ページから「自主行動基準の実効性を担保する枠組み」ということで、幾つかの話がご紹介されていますが、b)の法令とのリンクのところで、特に後段という話になるかと思いますが、自主行動基準を公表しているにもかかわらず、基準に逸脱した行為を行い、消費者保護に比して不当に公正な競争を損なっている場合には、「不公正な取引方法」の一類型とみなして法令違反とする考え方を我が国でも明確に取ることが望ましいということが触れられています。
  実効確保手段として法令上で何らかの手当をすべきだという考え方について、これについて私どもが直接異議を唱えるという考えはございません。ただ、ここでは、そこに念頭に置かれているのが独禁法でそれができるのではないかということを強く考えておられるように思われるんですけれども、先ほどちょっと公正競争規約の話をしましたが、公正競争規約の場合でも、その規約に反したから直ちに景表法に反するかというと、そういう枠組みにはなっていません。規約に反する行為の中で、やはり改めて景表法に反するかどうか見た上で、反するものについては、違反するとして取り上げていくということになります。そういう意味でいいますと、その自主行動基準に反する行為というものが、その行為そのものが結果的には独禁法の不公正な取引方法に該当するということであれば、当然それは、当たり前と言えば当たり前の話ですが、法違反として措置が採られるということになりますが、公表している自主行動基準に、企業がそれに沿った行動を行っていないということだけをもって直ちに独禁法に反するものだというふうにとらえるというところはなかなか無理があるのではないかなというふうに思っております。

やはり基本的な事業者が対消費者取引で守るべきものというものは、独禁法でも規制できる部分というのはあると思いますけれども、それとあわせて、そのための行政処分なり何なりの法的枠組みというのはつくられた上で、さらに、それを補完する意味で自主行動基準というものがある程度強制力を持つ形でつくられていくことというのは必要だと思いますが、このつくった基準、つまり、事業者自らつくった基準に反したということだけをもって、すぐ法違反というふうにこれはとらえようとしているというふうに理解していいのかどうかというのはあります。
  そういうものについて直ちに法令違反とする考え方を独禁法でとれるかというと、これは私どもの考え方ではそういうふうに解釈するのは無理だと思いますし、また、そういう法律をつくるのがいいかどうかというのは、なかなかそこは議論がある部分なのではないかというふうに考えています。そこは事業者の事業活動を拘束、ある面では法律で規制するという限りは、その行動そのものに不当性がある、または取引上からいっても不当性があるということが認定できるということが必要なのではないかなというふうに考えております。

諸外国ではこういう類型があるというふうにお聞きいたしましたが、なかなかそれを我が国の法律に照らした場合に、すぐに対応できる問題なのかどうかということについては、恐縮ですが、若干の疑問を持っております。
    ちょっと長くなりましが、私からの説明は以上のとおりでございます。

〔 松本委員長 〕 ありがとうございました。それではただいまの寺川課長からのお話につきまして、あるいはお話の中で触れられなかった点についても含めていただいて結構ですから、委員の方からご質問、ご意見を承りたい。原委員から。

〔 原委員 〕 事前にご質問は出させていただいていたんですが、今のお話をお聞きして、そのお話の中から2点ほど質問させていただきたいんですが、1つは、公正競争規約が100 ぐらいございますけれども、いつも私たちが言っていた実効性確保のところが問題ということをずっと言っておりまして、規約はできるけれども、本当に実効性が上がっているかどうかというのは、例えば、食肉の銘柄牛の表示やなんかでも、かなり前から問題点は指摘していて、規約はあっても、実効性が上がっていないということをずっと言い続けてきたわけです。
  そういう意味では、今回、自主行動基準を策定しても、同じように実効性確保の点では、同じ苦労があるというふうに思っていて、そういったご苦労と、それをどういうふうにしたら確実なものにできるか、実効性を上げていくことができるかということを、これだけたくさんの規約を抱えていらっしゃるので、何かアドバイスというのでしょうか、サジェスチョンになるものがあれば1つということ。
   それから2つ目は、今おっしゃられた28ページの法令とのリンクの部分ですけれども、法令等のリンクに、公正取引委員会との関連しか挙げられていないから、それだけ重荷を背負わされてもというふうなお感じがあるのかもしれませんけれども、ここの書き方は、消費者保護に比して、不当に公正な競争を損なっている場合という、こういう冠がついている場合で、私はこの場合は、当然、公正取引委員会の出番だろうというふうに思います。

 1つの事例を挙げると、今ネット証券が盛んですけれども、インターネットで株とか投信とかの取引をしているんですが、ここにコールセンターという存在があるんですが、コールセンターの位置付けが非常に不明確なものですから、ホームページ上では、実際には勧誘は行いませんというふうになっているんですが、ここに電話をすると、実態としては勧誘を行っているところもあるという状況で、一種の不当表示というのでしょうか、不当な表示みたいな形になっていて、そう書いてあって、それをしていないところもあるし、そう書いていて、勧誘をしているところもあるというような状況で、私としては、公正な競争になっているかどうかというあたりでは疑問に思ったりしていて、今たまたま思い立ったのがそのことだったので、その話をいたしましたけれども、恐らく不当に公正な競争を損なっている場合というのは、また様々なケースが考えられると思っていて、私としては、公正取引委員会の出番というものは、ここでぜひつくっておいていただきたいというふうに考えます。
    以上の2点です。

〔 寺川課長 〕 まず最初の実効性のところですが、今ちょっとご指摘いただいたように、正直言って、まず私どもも相当苦労している、苦労しているというか、なかなか実効性を確保できていないという面はあります。
  先ほどちょっとご紹介しましたように、この規約の規定上では、違約金を課すですとか、場合によっては除名するというような制裁的な措置というのも決められております。ただ、業界で守っている中で、すべての協議会がそこまで強く個々の事業者を指導できるか、できないかという問題がある。協議会の中にはそこをきちんと運用しているというところもあります。

それからもう一つは、そうは言っても、監視体制というものを事業者の方で自主的に持てるかどうかという問題が特に表示の場合は、食肉のように監視しようと思えば、相当な人員と検査自体の中身が非常に難しい場合もありますので、それが必要になってくる。それだけの金銭的な負担もした上で、また人員を導入した上で、そういうことが事業者団体の中でできるかどうかという問題があって、これも正直言って、組織体制ができ上がっていれば、ある程度できますけれども、そうじゃなければ、ほとんど監視ができないというところもあります。なるべくできるように、こちらとしては助言したり、またはそういう要請を行ってきたということはありますが、公正取引委員会は、そのための補助金を出せるという状況ではありませんので、そういうところは、事業者団体についていえば、お願いベースになってしまうというところがあります。

 それからもう一つは、加入・脱退を不当に制限していないという規約全体の枠組みがありますので、業種によっては非常に組織率が低いというのもあります。そうなると、中だけは守ったとしても、業界全体として表示ルールが守られているということにはならない。だから、そういう面については、広報活動も含めて私どもも支援しながら、その業界全体として守られるルールにするようにということをしていかなければいけないわけですけれども、競争政策との関係でいえば、こういうものは強制して業界全体、一律で守らなければいけないというようなルールづくりができるかというと、そこはどうしても限界があるというところから、取組みの中では苦労しているということがございます。

 そういう意味では、そういう欠点を今回つくられる自主行動基準の中では克服できないかということは当然課題となると思いますけれども、そこはどうしても事業者の事業活動の自由との間でどう考えるかという問題になってくるかと思います。

 それから、先ほどのところでいいますと、私の方はどちらかといえば、自主行動基準に逸脱すれば直ちにという言い方をしたので、それは極端に言いすぎたのではないかと思います。当然そういう企業行動の中で対消費者取引でも、不公正な取引なり、または不当に公正な競争を損なうという意味で、こちらが独禁法違反と判断できるものについて本来やるべきだと思います。ただ、先ほどちょっとご紹介しましたように、取組みとしては、独禁法の枠組みでやっていくというよりは、別の法律で枠組みをつくっていこうというのを今内部では検討しているところです。当然、対消費者取引での不公正取引という問題で、こちらが問題にすべき事項についてはやっていくべきだと思っております。ここでちょっと申し上げたのは、事業者自らつくった基準に反しているというだけでできるかどうかという問題があるかと思います。

 ただ、事業者自身が自分はこういうふうにやっているということを公の場で公表している。その公表している内容に著しく反する内容をしているということがあった場合にどうかということでいえば、それ全体をとらえて不当表示として問題にするということができる場合もあるのではないかとは思っております。それは個別のケースで見てみないと何とも言えない話ですけれども、積極的に事業者が強調しているとすれば、それが実情と違っていれば、不当表示の問題として取り上げられる場合も当然出てくるだろうとは思っております。

〔 池田委員 〕 今の法令とのリンクに関するところでありますけれども、自主行動基準を公表しているにもかかわらず、基準に逸脱した行為を行った場合は、法令違反とするという考え方については私は全く反対であります。
  アメリカで私どもの行動基準を策定しなかった経過をここでご報告したことを、今思い出しているわけでありますけれども、まさに法令を超える理念を持って取り組もうと、それを社会に公表していこうと、志をもってやろうとしたわけでありますけれども、現地アメリカの弁護士等々から反対されたわけです。そういう理念、志を公表するということはすばらしいことだけれども、まさに訴訟社会のアメリカにおいて、それが、例えば結果として実現できなかった場合に、株価が下がる、損害賠償請求が起こる。こういうふうなことでもって、別の見方もあったわけでありますけれども、アメリカにおいて、私どもの行動基準を策定し、公表することを見合わせたわけであります。まさに理想をもって法令を超えるものを目指そうとする企業が逆に言えば、結果として、それが実行できなかったという場合に、それをもって直ちに法令違反とするということは、まさに法治国家としての基本から外れることではないかなと、率直に言うとそのように考えるわけであります。むしろ法令とのリンクということで言えば、かなり以前に申し上げたかもわかりませんが、法令は最低限のルールでありますから、それをさらに上回るようなコンプライアンスといいますか、法令の基本の趣旨を実現していこうという取組みをするというところに、むしろ法令をリンクさせるべきであって、その理念を実行しようとしたところに対して、結果責任ではなくて、その行動基準に違反したということをもって法令違反で問うというのは、まさにコプライアンス経営を進めるという目的から言えば逆効果になるのではないか、こんなふうに考えます。
    以上です。

〔 滝川委員 〕 4点申し上げます。まず公正取引委員会の役割がますます高まっています。独占禁止法の市場競争の基本ルールですので、事業者が団体を組んでやる行為については、公取の監視が必要です。
  きょう、課長に説明していただきましたけれども、公取の監視をしっかりやっていただきたい。ただ、そうすると、例えば、この自主行動基準についても、どういうふうに監視するかという問題になりますので、1つ考えられるのは、すべての自主行動基準を公取に届け出ろということがあり得るんですけれども、それをやりますと、行政が介入しすぎるし、公取も人員がとられ過ぎますので、ガイドラインというやり方で、事業者が共同してやる行為はどういう場合に違反なのか、これを事業者がわかりやすく説明する必要があると思います。
  公取は既に事業者団体ガイドラインがありますが、事業者団体の定義はかなり狭いですね。狭い意味での事業者団体だけではなくて、今回の自主行動基準のような事業者が共同して、特に競争者が協調して行う行為をどう独禁法で規制するのか、このガイドラインをつくっていただくといいと思います。その中で事業者が協調することは競争制限とは限らないので、いいこともかなりありますので、そういう見方を取り入れていただきたいということです。

 3番目、公正競争規約に今回の自主行動基準のようなことを入れろというアイディアがあるんですけれども、これには慎重になった方がいいと思います。今の課長のご説明でも、現在の公正競争規約は景表関係に限られていますので、独禁法全体にこういう事業者の団体でルールをつくるというのを取り入れますと、法律の規制がかえって緩まる。公取が直接やるべきことを事業者に任すということになりますので、慎重にやっていただきたい。

 最後に、法令とのリンクの点ですが、これは寺川課長のおっしゃったことは理由のあることなので、基準に逸脱すれば、直ちに違反にするという考え方は確かにおかしい。ただ、この問題はここの会合でもかなり議論しまして、不当に公正な競争を損なっている場合ということで先ほどご発言がありましたように、これがありますので、こういう縛りがありますので、この縛りを前提にして、やはり公取が乗り出すべき場合にはやってほしいということです。ただその前提として、事業者団体が余り細かいところまで、事業者の自由に任せるべきような活動まで細部にやるのはよくない。これは先ほど説明のパブリックコメントのところでも、経団連からの意見として、ベンチャーや海外事業者の参入障壁となる。これは十分あり得ますので、特にベンチャー、海外事業者への透明性ということを考えて慎重にやらなければいけない。
    以上です。

〔 寺川課長 〕 今の意見に関連して補足的に申し上げますと、事前に来ていた質問事項の中で、こういう自主行動基準についてどこまで強制を持たせるということが独禁法上認められるだろうということについて聞かれていたんですけれども、なかなかそこは答えづらいんですね。
  私どもいろんな事業者団体、事業者から独禁法に関する相談を受けているときに、それぞれの中身について当・不当を判断した上で回答しているんですが、ほとんどの場合については、事業者団体の何らかの形で基準なりそういうものをつくろうとするときに、会員を拘束することがない限り、こういうルールをつくるのは構いませんと答えているケースが多いんです。そこを外れて回答するというのは、特に相談に対する回答という意味では多分しづらいということでそうしているんですけれども、
  ただ、内容によっては、競争制限的とは言えないというふうに判断されるものもあると思います。ですから、消費者取引の面で見て、こういうのは当然必要だと。例えば、どこかの法律にもともと反する行為なので、これは全員で守らなければ違約金を課すというような規定をつくったとしても、もともと法律遵守ということであれば、恐らく独禁法上もあんまり問題にしないということはあると思います。会員を拘束しても構わないということについて回答するというのは我々も難しいので、そこはどうしても個別にご相談いただいた上で、我々も検討する話かなというふうに思っています。
  確かにガイドラインをつくって一般的に示した方がいいということは言えるのだろうとは思うんですが、なかなかそういうのをつくれるのかどうかというのは、ちょっと簡単にはお答えできる話ではないのかなと思っております。

〔 吉岡委員 〕 独禁法をどう解釈するかという、そういう問題はまだ微妙なところが残っていると思っております。その解釈についてもう少し精査する必要があるかなと思うんですけれども、特に景表法絡みで公正競争規約を考えました場合は、公正競争規約は、言ってみれば一種の表示カルテルだと思います。それを例外的に、これは多分利用者である消費者の保護ということを考えてつくっている。だから、独禁法上も許されるという解釈ができると思うんですけれども、ただ、内容を見ましたときに、確かに組織率が低いし、参加・脱退自由という中で考えるからそうなるのかもしれませんけれども、消費者から見た場合には十分とは言えないような内容のものがあります。ただ、その内容であっても、実効性が確保されれば、それなりに消費者にとっても利益になるんですけれども、そこのところも不安な面がたくさんあります。

 確保されない場合にどうするのかということになりますと、例えば古い話で言えば、ジュース裁判でもそうですけれども、不服の申立てをするという方法があります。少し変わっているかもしれませんけれども、当時の景表法上の解釈で言えば、事業者間の取引がうまくいっていれば、それを利用する消費者は反射的な利益を得る。そういう存在であるから、訴える権利はないというのが最高裁まで含めての結論でした。そのことから考えると、公正競争規約の実効性を上げるためにどうしたらいいのか、これは真剣に考えなければいけない問題だと思いますし、独禁法の解釈にしても、裁判所を含めてかなり幅があります。そういうことから言うと、もう少し独禁法上の解釈も含めて柔軟に考える必要があるのではないかと思います。

 そういう中で、消費者保護がどこまで確保できるか、そういうことを考えましたときに、別の方法も当然出てくるわけです。そこで考えられるのが、規制ではなく、事業者自らが行動基準をつくって、よい方向を自分たちのものとして示していただくという、それが今回の自主行動基準と思っておりますけれども、そうであるとすれば、やはり消費者利益を確保する、そういう観点からいって、どこまで実効性を上げられるか、そういうことを考えなければいけない時期にきていると思います。一方で、規制がどんどん緩和されてきておりまして、それについては自己責任ということが消費者に課せられております。そこからいいましても、やはり法規制というのではないですけれども、それに近いものを業界自らでおつくりいただく、そういうことが非常に重要ですし、だから、これは独禁法違反だという、そこへ短絡的に持っていくことは消費利益の観点からいって問題があるのではないか。そのように私は考えております。

〔 高委員 〕 質問というよりも、先ほど池田委員がご指摘いただいたことと関連して、またこの委員会の出発点の問題にもなってくると思うんですけれども、実は5月の初旬だったと思うんです。カルフォルニアの最高裁でナイキに対して、ナイキが自分たちの海外の労働者は十分な賃金をもらっている。
  しかも、海外の労働環境というのは、現地の安全基準を満たしていて全く問題がないというような、こういう発言をしたんですけれども、それに対して訴訟が起こりまして、ここの言い方でいえば、不公正な取引方法というのでしょうか、実際そこまでできていないにもかかわらず、そういう取組みをやっていると、そういう発言をしたために、最高裁の最終的な結論は、それは正当な訴えとして受理したんですね。そのときの根拠としたものが、これは消費者向けにその情報を発したということです。実は今その例を挙げたのは、コード・オブ・コンダクトというのをつくるときの私の理解だったんですけれども、何でこういったものをつくっていこうかというのは、誠実かつ公正な経営を根づかせる、それを通して国民、あるいは消費者の利益に資するという、ここが出発点だったのではないかと思うんです。

 コード・オブ・コンダクトをつくって、これを公表しろと、しかも消費者向けに公表しろといいますと、確かに法的な環境はアメリカとは違うかもしれませんけれども、もしコードの中に理想的な文言を入れてそれを実際にやっていない場合には、そういった問題が必ず将来的に出てくるだろうと思われるんです。そうすると、企業としては、自分たちのリスクをヘッジするために、つまり、不公正な取引としないために何をするかというと、できることしか自主行動基準には記載しないという行動をとることになると思うんです。そうすると、誠実かつ公正な経営、こういったものを根づかせていこうという出発点から離れてしまうことになる。ですから、コード・オブ・コンダクトを社内のコンプライアンスの意識を高めていくために作るという振り出しの議論に戻すべきではないかと思うんです。そういったことももう一度、頂いたコメントを見ながら議論し直す必要があるんじゃないか。また、実際これを出しても、企業としては今言いましたように、競争的に優位に立てるという保証もないですし、またできもしないようなことを書いた場合にはリスクを自分自身でつくり出してしまう、こういった問題がずっとついて回るというところも、これから議論していかなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。

〔 山本(豊)委員 〕 自主行動基準は法令ルールの上乗せ、横出しをねらっている側面と、抽象的な法令ルールの具体化をねらっている側面とあると思います。後者の側面について、消費者契約法というものが最近できたわけですが、その実効性の確保について、公取当局の現在の法の運用の観点から、何か関心、問題意識を持っておられるか、あるいは将来的な制度の変更というようなことで、例えば、諸外国の公取当局は、不当約款を業界団体が推奨約款として提示するというようなときに、そこを一定の法令の観点からチェックするという役割を果たしているところがあったり、あるいは団体訴権とも絡みますが、公取当局が不当約款の差止めの権限を持っている。
  そういうところもあり、私、独禁法は専門ではないではないんですが、独禁法専門の先生の中には、そういう役割も将来的には考えるべきだというご意見もあるように伺っております。せっかくの機会ですので、現在の問題意識、それから先ほどご紹介がありました研究会で何か幅広く検討されているということですが、そこで何かそのような議論がされているかどうか、そのあたりをご紹介いただければと思います。

〔 寺川課長 〕 今ご指摘いただきましたような話としては、先ほどもちょっと触れましたけれども、消費者取引問題研究会ではいろいろ検討しているところです。その場合に、私どもよく意識しているのは、確かに今施行されています消費者契約法の中で幾つかの行為類型が消費者保護のための対応として位置付けられています。そういう中で、同じような問題が行政的な対応として、公正取引委員会で問題にできないだろうかということに関していろいろ見ております。そういう中で、先ほどちょっと申し上げましたように、表示の問題というだけではなくて、例えば、今の不当表示というのは消費者に誤認されるおそれのある表示というところで規制しているわけですけれども、表示ということではなくて、行為全体というものをとらえて問題にできないだろうかということ。それから、そういう誤認というところについても、今の景表法は若干狭いのですけれども、もっとそれを広くとらえていくことができないだろうかということを通じて、今の消費者契約法で誤認を惹起させるような形での問題というものに対して、民事上対応できるような問題について、行政上も私どもの方で対応できるような可能性がないかということなどは検討しております。

 それからもう一つは、約款規制という話なんですが、今までにない規制というのを新たにつくっていこうというのが今の時代うまくいくかどうかという問題があるのかとは思いますし、それからもう一つは、差止めというところにつきましても、独禁法分野と直接結びつかない部分があるとすれば、行政ができる枠組みが現在の日本の法律の枠組みの中にあるかどうかという問題もありますので、ストレートには見ることができないんですが、独禁法の中にも、事業者間の地位の違いということを利用した不当な行為というものは規制できるような規定があります。それに沿って、今、具体的な告示では、優越的地位の濫用というのは、事業間の関係でそういうものを規制する規定がありますけれども、そういう考え方を対消費者取引の方にも持ち込んで、特定のケースということをいろいろ想定しなきゃいけないと思いますけれども、消費者と事業者との間の取引関係ということに根ざしたいろんな問題について対応できないかということも含めて、検討課題としてはいろいろ考えているところです。具体的に今こういう方向にというところまで至っておりませんので、そういうことがまとまってきた段階で、また機会があればお話しさせていただきたいと思っています。

〔 松本委員長 〕 本日、宮部委員はご欠席なんですが、経団連の方から独禁法との関係で質問が3点出されております。パブリックコメントの最初のまとめの14ページのちょうど真ん中辺に、以下の点について独禁法上の考え方を明確にしてほしいということで、第1として、取引事業者の自主行動基準の策定状況を考慮して取引関係を構築する、しないということが不当な取引拒絶に当たるのかどうか。それから第2として、事業者団体が、その事業者団体で定めた自主行動基準に違反した事業者に対して除名とか、社名公表を行うことが不当に公正な競争を損なうことに当たるのかどうか。それから、第3に先ほど滝川委員も指摘されましたが、この指針に沿った自主行動基準の策定や運用をするということがベンチャーや海外事業者の参入障壁になる場合があるのだけれども、これについて法律上の競争制限行為に当たるのかどうか。3点質問が出ておりますので、これについて、お答え願いたいと思います。

〔 寺川課長 〕 まず第1点についていいますと、もともと不当な取引拒絶というのは、「不当な」という枕詞がありますように、取引をするかしないかというのは、もともと事業者間での自由な意思によって決まる話だと思いますので、取引拒絶そのものを独禁法でも禁止しておりません。そういう意味でいいますと、最初のところというのは、信頼のある事業者との間での取引関係を構築するという観点から、その取引先を決めていくということであれば、そう基本的に問題になるということはないだろうと思います。
  ただ、不当な取引拒絶の類型の中でいうと、市場の中で非常に大きな地位を占めている事業者、つまり、そこの事業者と取引できなかったら、ほとんどそこで商売できないというようなケースに当たるような相手方の事業者があるとすれば、そこの事業者については、取引関係を切る、切らないについてはかなり慎重な対応が求められるという考え方を従来からも出しています。

 そういう意味からいうと、基準は確かにこういう基準にはなっているんですが、いたずらに取引拒絶というのはできるかどうかというのが問題になり得る場合も、これは理屈の上でというふうに考えていただいた方がいいかと思いますけれども、あり得るかもしれないと思います。ただ、基本的には取引をどうするかというのは、事業者の自由がありますで、逆に言うと独禁法上の不当性が認められなければいいという考え方になるかと思います。

 それから2番目のところですが、どういう形で不当な事業者に対する拘束になるかということは個別に判断せざるを得ないと思います。団体からの除名というものが、その団体に入っていることが事業活動を行う上で非常に重要であれば、除名ということが非常に大きな拘束になると思います。ですから、それはケース・バイ・ケースで考えざるを得ませんが、拘束性が強いとすれば、どこまでが義務付けられるかという問題点は、慎重に考えていただく必要があるのではないかと思います。公正競争規約についても、何でもかんでもルールをつくっていいというわけではなくて、そこまである面で拘束性があるということを前提にした上で、どこまで表示についても自主的に規制していいかどうかというのは、こちらも十分見た上で認定をしておりますので、そこは慎重に考えていただく必要があるんじゃないかと思います。

 3番目は、私どもから言うと、具体的にどういうのを思い浮かべて、こういう質問をされているのかがちょっと理解しづらいので、なかなか答えづらいところがあるんですが、もともと行動基準というのは、ベンチャーと海外事業者に対して参入障壁になるような基準にはならないはずなのではないのかなと思っているんですが、そういう障壁になるということであれば、そこまで規制するのがいいのかどうかということはお考えいただく必要があるのではないだろうかと思います。具体的にこういうケースだったらどうなのかというのがあれば、もう少しお答えしやすいかとは思うんですけれども。

〔 タン委員 〕 全部理解できていない部分がありますが、いろいろお話を聞いていると、とにかくこれは慎重にやらないといけないとか、これはできないかもしれないとかというご発言が多い気がしまして、私、ひとつ公取の課長にお聞きしたいんですが、公取の方でどれだけ海外の事情をフォローしているかお聞きしたいんです。というのは、どうみても日本は非常に遅れているし、先進国の中で、私の目から見れば、悪質商法の天国だと思っていますので、これはできないとか、日本の法制度だとこれは難しいとかという、それはあるかもしれないんだけれども、先進国の方でそれぞれの国内の法律問題を、あるいは法律制度の不備を改善しているので、ぜひ海外のこの動きをフォローしていただきたいと思っています。そういう勉強をなさっていると思いますが、もしかして、もうちょっと勉強した方がいいかもしれないという率直な意見です。

 それから、ひとつ質問ですけれども、公正競争規約の拡充について、いろいろご発言がありましたが、事業者とか、行政とかという言葉はよく出てきましたけれども、新しい公正競争規約の制度における消費者の役割、あるいは消費者の参加についてどう考えていらっしゃるのかについてお聞きしたいんですが、以上です。

〔 寺川課長 〕 最初に質問を受けた点で、ちょっと慎重な発言が多かったというふうに受け取られたと思いますけれども、1つは、行政の対応として、公正取引委員会の対応として対消費者取引について余りにも後向きではないかと言われる点は、ある面でおっしゃるとおりではないかと自覚しております。そういう意味で、ある面で私どもも変わっていかなければいけないということで今検討しているところです。検討しているだけではなくて、できる限り具体的な問題に積極的に取り組みたいということで取り組みつつあるつもりです。景表法違反についても、ここのところは積極的に問題にしているものも出てきております。中には悪徳商法と非常に関係が深い部分についても調べて問題にしようとしてきております。ただ、これまでの取組みから言えば、行政として不十分だった点はおっしゃるとおりあると思います。

 ただもう一つ慎重なところで申し上げますと、今までずっと申し上げているのは、事業者団体の自主基準の位置付けの面の話で、今、ほかの委員の方々からもお話がありましたけれども、前向きに守っていくためのルールをつくろうとすれば、それの拘束性をどうしても行政が行おうとするというと、そこはどうしても矛盾が出てきてしまうという問題はあるのではないかと思います。そういう点は諸外国でも、団体がつくるルールについて拘束性を持たせるためにいろいろ規制をしているというものがあるかというと、どちらかというと、拘束性を持たせ過ぎることについてチェックするという方が強いのではないかなというのが私どもの基本認識です。個別の事例についていえば、いろいろ違いがあると思いますけれども。

 それと、公正競争規約の点なんですが、私ども公正競争規約を認定する際には、先ほども申し上げましたが、まず前段階で消費者団体の方々からもいろいろご意見を伺うという機会を設けております。それから申請があれば、その上で公聴会を開催して、そこでも消費者団体の方々、または一般の消費者の方々からの意見の公募を行いまして、意見を述べていただいて、その中で最終的に規約の中でなるべくそれを入れていただくような働きかけというのもしておりますし、それをいろいろ参考にした上で私どもも認定するということはしております。ただ、私どもの反省点としては、その後の運用について、ほとんど協議会という事業団体の運用に任せているところがあって、その運用の段階では、消費者または消費者団体が参画していないのではないかということも指摘されております。運用する団体のあり方については、今後見直していかなければいけないということは十分考えております。

〔 松本委員長 〕 ほかにご意見、ご質問ございませんか。鍋嶋委員どうぞ。

〔 鍋嶋委員 〕 ちょっとお伺いしたい。私は全然素人であれなんですけれども、何回も出ていますけれども、事業者団体がこういう自主行動基準みたいなものをつくることを、ひな形をつくることは構わない。ただ、それにサンクションなり、あるいは罰則をつけることはだめだと、公取の考え方としては、単純に言うとそういうことですか。

〔 寺川課長 〕 自主基準をつくるということの、恐らく対消費者取引の側面での自主行動基準をつくるということ自体が、その中身が直接独禁法に触れるというのは、反競争的な内容が含まれるということは余りないだろうという前提のもとでいえば、基準をつくること自体は問題がないということは言える。ただ、中身を少しずつ、表示の場合でも、反競争的な表示というものも、先ほど表示カルテルという言い方がありましたけれども、表示を統一しようという場合もそういうことがあり得ますので、そういう観点からも我々はチェックした上で問題がなければ認めるというふうにしております。
  ただ、その上で、そういう面で競争上問題がないとしても、個々の事業者を拘束するというところについて言えば、私どもは慎重な見方をしているという、それは絶対に拘束することにつながれば問題になるという見方をしています。ただ、それがすべてについて拘束すればだめだと言っているというわけではありませんので、そこは個別に見ていった方がいいかというふうに思っています。

〔 松本委員長 〕 ほかにございませんか。

〔 吉岡委員 〕 確かに優越的な地位の濫用とかそういうことになりますと、これは独禁法上問題がある。当然のことだと思うんですけれども、中間報告で言っている自主行動基準の場合に、公正競争規約とイコールという考え方ではないと思っております。それで、確かに公正競争規約の場合には組織率が低いという問題もあるわけですけれども、それでは、消費者利益のためにどう考えるのかといったときには、景表法自体を活用するという道はあるわけですし、そういうことでいえば、もうちょっと幅のある考え方を自主行動基準のところに入れてあると思っているんですね。そういう考え方からいうと、自主行動基準で罰則規定をいろいろ付けることが問題だ。それが組織しているところからいうと、優越的地位の濫用につながるというようなおそれがあればいけないという意味なのでしょうか、それとも、それは関係ないということなのでしょうか。

〔 寺川課長 〕 まず独禁法の適用からいいますと、皆さん、独占禁止法の法令をお持ちじゃないかと思うんですが、第8条というところで、事業者団体の行為についていろいろ規制しているんですが、その規定の中で、競争を制限するということにつながらなくても、個々の事業者を拘束するというものについても、やはり違反行為に当たるという考え方があります。そういう意味からいえば、参画している事業者を拘束すること、それ自体は独禁法上、問題になり得るという考え方が基本にあることから、それの例外として認め得るものについては慎重に考えることになってくるということなんです。

〔 松本委員長 〕 今の関係で私から1点質問します。公正競争規約は、外枠としての景表法の個別業界に即した具体化であって、あくまで外枠としての法律が存在するのだから、公正競争規約に違反するしないとは別に、外枠である景表法の適用が十分可能という次元の話であって、他方、自主行動基準の方は、法令の具体化という要素もありますが、上乗せ・横出しのように、いわば外枠のない部分についても、自主的なルールをつくっていただこうという趣旨であると整理すると、公正競争規約に関する議論をそのまま自主行動基準に持ってこれないのではないかというのが吉岡委員のご質問との関係で少し浮かんできたんですが、公正競争規約についての理解は、私の言ったように法律の具体化というように限定して考えてよろしいのでしょうか。それとも、上乗せ・横出し的な要素も相当入っているのでしょうか。

〔 寺川課長 〕 上乗せ・横だし的な要素はかなり入っています。規約そのものは、景表法を遵守するための枠組みとしてつくられているわけですけれども、大体規約の中では事業者が守るべき事項として不当な表示という項目と、そのほかにもう一つ、必要表示事項というのを決める。
  必要表示事項というのは、どちらかというと表示の義務付けになります。その中にはどちらかといえば、景表法ではないんですけれども、例えば食品関係でいえば、今、JAS法ですとか、工業製品だったら品質保持法などありますので、それらの法律の中で規制されている中身をそのまま規約に取り入れているという場合もありますが、それ以外にそれぞれの団体で決められた自主的な表示義務というのも入っています。
  そういう意味では、特に表示義務の側面についていえば、それに従っていないから、直ちに景表法違反になるかというと、それはならないということになると思います。そのあたりは、規約を遵守しきれるかどうかというときには常々問題になる部分ですけれども、また逆にいうと、そういうものがあるからこそ、規約というものの独自性が出てくるということにはなっています。

〔 松本委員長 〕 ありがとうございました。ほかにございませんようでしたら、今後とも公正取引委員会にはご協力をお願いいたしたいと思います。
   次に、経済産業省の辻課長よりご説明願います

〔 辻課長(経済産業省技術環境局標準課) 〕 経済産業省標準課長の辻でございます。よろしくお願いいたします。
    今日お配りをしております資料ですけれども、まず、全体的にISOの仕組みというのを皆さんに知っていただいて、それから中の説明に入りたいと思います。3ページ目の図に基づいて、どのように国際規格がつくられていくのかを簡単にご紹介をしたいと思います。

まず、上の図はISOの組織図です。ISOで例えば企業の社会責任とか、企業の行動規範といったことについて今、議論をしておりますのは、左側の下にあります消費者政策委員会(COPOLCO)であり、ここは理事会に対して政策提言を行います。これはどういう提言かというと、例えば企業の社会責任という国際規格が必要ではないか、そのために国際規格をつくることを理事会に対して提言をするという機能でございます。
  このCOPOLCOは自ら規格をつくるという権限は持っておりません。理事会はその提言を受けますと、それを国際規格にするかどうかという判断を行います。国際規格にすることで理事会の承認を得ますと、今度はその下にあります技術管理評議会(TMB)に指示をして、どういう規格をつくるのか、実際に国際規格にするか、それとももう少しコンセンサスレベルが低い規格にするのかを決めます。それから実際に規格をつくる際には、どこの委員会でそれを担当するのかを検討させます。その結果を受けて下にあります専門委員会(TC)、このTCレベルで200 弱ございますけれども、、その下にあります(SC)、それからワーキンググループ、こういったところの担当が決まって、そこで作業が始まるということになっております。
    その下の図は規格作成プロセスを示しています。実際に国際規格をつくる際には非常に時間がかかります。実際に新しい規格をつくろうという提案があって、それが認められてから実際に規格になるまで大体2年から3年という期間を要しております。

まず初めに、STAGE1でございますけれども、実際に新しい国際規格をつくろうということがTMBで提案をされます。例えば、企業の社会責任について規格をつくろうということになった場合に、各国一つのスタンダードボディが決められておりまして、そのスタンダードボディが投票を行います。それから、スタンダードボディによりまして、実際にそこに参画をして進めたいと思っているところ、それから、ただ単にその状況を見ているだけでいいという国もありますし、うちは全く関与しないという国もあります。それはそれぞれの規格によって決まっております。そういったところでPメンバー、これは実際に私どもが参画をするというように表明をしてある国のスタンダードボディですけれども、そこの過半数が新しい国際規格をつくろうというところに賛成をするのが一つの条件、それからもう一つの条件が、実際にその国際規格をつくる際に、実際にそこに参画をして規格づくりに努力をしますというように表明をする国が5か国以上、これが2つ目の条件です。この2つの条件が満たされたときに初めてこの作業がスタートするということになっております。

それから、STAGE2では各国から自分は参画すると表明した5か国以上の国の人たちが集まります。これは各国スタンダードボディでエキスパートというのを指定しまして、そのエキスパートが集まって具体的な規格づくりの作業を行うということであります。実際に3回から4回ワーキンググループが開かれます。これはISO、IECがヨーロッパ中心でスタートしているという歴史がございますので、かなりの回数がヨーロッパで開かれますけれども、そういったところに実際に参画をして作業をします。その3回、4回の会合の結果、最終的なコミッティードラフト(CD)というものができてまいります。このコミッティードラフトができますと、それをその上の(TC)専門委員会、または、その分科委員会(SC)で諮りまして、最終的にTCまたはSCのPメンバーの3分の2の賛成が得られた場合に初めてドラフト・オブ・インターナショナル・スタンダード(DIS)というものになります。このDISというものができ上がりますと、それを今度はすべてのメンバー国、ISOですと約140 国以上ございますけれども、このすべての国のスタンダードボディに対して投票を行います。これは非常に時間がかかるものですから5か月ぐらいの期間をとって投票を行っております。その結果、Pメンバーの賛成が、つまり、実際に参画をしている人たちの3分の2以上の賛成があった場合というのが1つの条件、それから2つ目の条件が、これは単にPメンバーだけに限らず、オブザーブをしているだけのメンバーも含めてですけれども、反対が4分の1以下であること、これが条件。この2つの条件が満たされたときに、この規格がファイナルなドラフトになるというものです。

 ファイナルなドラフトにするには、実際にDIS投票をしますと、それぞれ反対意見などもたくさん出てまいります。反対意見のときには、自分は単に反対だという述べ方ではなくて、どういう技術的な問題があるという理由をきちんと表明した上で反対投票をするということになっておりますので、その反対投票の理由などを盛り込んで、さらにファイナルドラフトというものをつくることになっております。
  ファイナルドラフトをつくって、それからFDIS投票、2か月の投票を行いまして、そこで結果が先ほどと同じようにPメンバーの3分の2以上の賛成、それからOメンバーを含めた反対が4分の1以下という条件が整いますと、初めて国際規格になるというプロセスをたどります。ですから、この期間が大体2年から3年という非常に長い期間を要しているわけでございます。今日、ご説明するのはその上の図にあります消費者政策委員会(COPOLCO)から理事会に提案をされた2つの案件について簡単にご紹介をしたいと思います。

次のページは、市場ベース行動規範のための規格ということで、いわゆるコード・オブ・コンダクトと言われている企業の行動規範の規格でございます。これはCOPOLCOの下に設置されているグローバル・マーケット・ワーキンググループが報告書を作ってCOPOLCOの総会に提出したものです。このドラフトは最終的には2000年6月に開催されましたCOPOLCO総会で了解を得られたものであります。
  この内容としては単一規格または新規活動分野が基準となると書いているのは、英文を直訳していますので日本語がおかしいのですけれども、これの専用の国際規格をつくってほしいということをここで述べております。

それから、その次のページの上から3行目のところで、この規格は現行の国家レベルの公正取引規格や規制を補完するためのものであるということで、決してこれ単独ですべてが片づくというものを望んでいるわけではないということが書いてあります。

それから、下から6行目のところでは、この規格は従来型の国内市場規則では対応できない(あるいは不十分な)グローバル市場で安心して活動できることを望んでいる企業や消費者に、客観的なベンチマークを提供するものとなるということで、いわゆる国際規格としての意味合いということをここで述べております。

それから、次のページの一番上の行では国際的に合意された単一の基準ラインが設定できれば、さまざまな企業に公平な競争の場が提供されるようになる。これは一つの企業でさまざまな国の顧客にサービスを提供する、電子商取引に特に当てはまるという書き方で、いわゆる個別の国だけの対象ということだけではなくて、国際規格をつくることによって、こういった同じレベルで各国ごとにこういう基準がつくられるということを想定しているものであります。

同じようなことが下から4行目に書いてあります。規範の開発・実施に関して国際的に合意された一連の基準を提供することは、所在地にかかわりなくどの企業にも、明瞭かつ確実な指針を提供することになる。そして最後に、消費者の利益が守られるという安心感が高まるということで、このような国際規格をつくってほしいという提言になっております。

この行動規範が既に2年を経過しているわけですけれども、今どういう状況にあるか、その状況を簡単に説明します。
    「 企業の行動規範等に関するISOでの現状について」という資料は、2000年の6月のCOPOLCO総会で決議をされまして、それから理事会に回りました。、理事会で実際に議論したのは2001年4月末で1年弱がここで経っているということであります。ISO理事会では、これを国際規格(IS)にすることを決議してTMBに回しました。

それから、その次のTMBは2001年6月に開催されております。TMBはどのような規格をつくるのか、その中身について議論を行いますし、またどこの技術委員会(TC)でつくらせるのか、といったかなり実質的な議論がここで行われます。その結果、COPOLCOから出たペーパーは余りにも範囲が広すぎるということ、それと関係すると考えられるISO9000をつくっておりますTC176でつくらせるにしても、ここの業務範囲を超えているという理由で、少し範囲を絞りなさいという指示を再度COPOLCOに出しております。

加えてワークショップ国際合意、これはインターナショナル・ワークショップ・アグリーメント(IWA)という、国際規格の中では一番軽微な規格でですが、このような規格の方がいいのではないかという提案をここで行っております。

COPOLCOでの作業でございますけれども、再度COPOLCOのグローバル市場ワーキンググループに戻しまして、ここで作業を行って再度またTMBに返すという作業を行いました。これは昨年10月末にジュネーブで行われた会議で、この作業をしていることになっているのですが、現実的にはほとんどスコープは絞られませんでした。それを再度TMBに戻したんですけれども、今年の4月に行われましたTMBでは、最終的に結論が出ないので全メンバーの投票にしようということが決まっております。現状、投票の仕方についてTMBの事務局とで幾つかの意見交換を行っている最中で、まだ結論が出ておりませんので少なくとも秋まではこれは全く動かないだろうと考えております。

それから「企業の社会的責任」の規格ですが、「ISO CSR諮問報告書(抜粋)」と書いてある資料が後ろから3枚目にございます。これもCOPOLCOの中のグローバル・マーケット・ワーキンググループでの作業ですけれども、今年の3月にカナダでこのグローバル・マーケット・ワーキンググループが開催されて、ここでこの報告書づくりを行っております。日本からはきょうご出席されております高先生にもこのグループの作業に入っていただいて、この作業を行っております。当然きょうお持ちしている抜粋はそこでの作業の後、各国スタンダードボディに意見を求めてそれを修文しておりますので、これはまさにグローバル・マーケット・ワーキンググループの責任で提出されるということで、高先生には大きな貢献をしていただいたわけですけれども、これについての責任は、高先生はお持ちになっていないということだと思います。

この資料最終的な勧告のところだけを抜粋しています。このレポートのポイントは、勧告のiではCSRをISO9000、ISO14000と同じようなマネジメントシステムにするということを勧告したいということになっております。

また、ISO CR(CSRと同義語)マネジメントシステム文書は、ISO国際規格の形にすべきであると主張しております。これはどういうことかといいますと、先ほど国際規格の中にはいろんなレベルがあるということを述べましたけれども、その中で一番高いレベルでの国際規格にしてほしいということをここで述べております。それから、これまでありましたISO14000、それから9000もそうですけれども、そういったマネジメントシステムの次の世代のマネジメントシステムに位置付けるんだということをここで述べております。

しかしながら、ISO規格よりもISOマネジメント・システム・ガイドラインの方がかなり早くISOプロセスを通して策定できるというのであれば、そのマネジメント・ガイドラインでも構わないという書き方をしております。とにかく早くつくってほしいということがここで述べております。この理由としては、先ほど来申し上げましたように、実際に国際規格をつくる際には2年から3年、マネジメントシステムをつくる際にはもう少し時間がかかると思います。そういった長い期間を要するよりは、軽微なものでいいから早くつくってほしいということをこのグループで述べているということであります。

それからには、ISO9000や14000のマネジメントシステムとともに、ISOCRマネジメントシステムを自主宣言または第三者認証に基づいた運用ができるようにすべきであるということであります。つまり、それを自分が実施しているということを世の中に公表するために、自分で宣言することもできるし、または、例えば自分の会社はそれほど信用力がないと考えた場合にはそれ以外の第三者、これは認証機関が幾つかありますけれども、こういったところに頼んで認証してもらうこともできるという書き方になっています。

それから、効果的なCRアプローチには、他の利害関係者や手段と連動させたマネジメントシステムが必要とされるという書き方になっています。この内容は推測ですけれども、幾つかISO9000、それから14000という既にあるマネジメントシステム、それからリスクマネジメントというマネジメントシステムがありますけれども、こういったものとうまく連動させながら、企業がその中で自分はどれを選ぶのかということができるような、そういう新しい仕組みを考えています。

最後のパラグラフでは、国連とか経済協力開発機構、国際労働機関、そういったところとの連携をしながら作業ができるような「ISO CR戦略諮問グループ」というものを設置してほしいという提言になっています。

このCSRの、現在のISOの中での状況は、来週6月10日から始まりますCOPOLCO総会、これはトリニダード・トバゴで開催されますけれども、ここでこの報告書を審議するということになっております。その後どうなるのかということは、今までのいろんな作業状況、それから各国からのいろんな意見のやりとりを見ておりますと、来週のCOPOLCO総会でこれが承認されて、理事会に提言されるということになろうかと考えております。

国際規格の場合には内容ではなく手続きの説明ばかりなんですけれども、実際にCOPOLCOでの作業というのはこういった政策提言をするということで、実際どのような規格をつくるのかといった中身については、これはその後TCでの作業が始まってから各国のエキスパートが集まって議論をするということになっておりまして、現在のところどういう中身になるんだと聞かれても、答えられるのは今のレポートにある程度ということです。
    大変雑駁でございますけれども、一応説明をさせていただきました。

〔 松本委員長 〕 ありがとうございました。ただいまのご説明につきまして、どうぞご意見、ご質問ございましたらお出しください。

〔 川本委員 〕 先ほども発言していないので、何かコメントしなければと思っていたんですけれども、自主的な宣言、または第三者認証に基づいた適合ができるようにすべきだというふうに10ページに書いてあるわけですけれども、池田委員が先ほどアメリカでは、自主行動基準をつくったとしても、いいのをつくったとしても、それを公表すると、いろんなことがあったときに不都合があるし、アメリカでは実際はなかなか公表できにくいというようなお話があったわけです。それからまた、先ほどタン委員からは日本はいわば悪徳企業の天国だというようなお話もあったわけですね。それから、これを見ると、自主的な宣言をしてもいいんですよ、あるいは第三者認証でもいいんですよと。
  自主的に宣言をできる企業はした方がいいんじゃないかというニュアンスが多分あるのではないかと思っていたんですけれども、そういうのを総合するとどうも明確なイメージがわきにくいところがあるんですけれども、1つは欧州型とアメリカ型ではかなり違うのかなという感じがちょっとしていまして、イギリスですと、ホイッスルブローイングでも、そういうのを認めるというか、ある意味では奨励する法律もできている。
  自主行動基準をエンカレッジしていくときに、世界の状況がどうも余りよく理解できていない面があって、もう少し実情をクリアーにする必要があると思います。特にアメリカの状況がどうなっているのか、例えばエンロンの事件みたいなことが起こるわけですね。コーポレートガバナンスがある意味では最も進んでいるというふうに理解されているアメリカでも、ある意味ではとんでもないことをやっているのが起こる。そういうのは自主行動基準で、あるいは企業の倫理コードできちっとそういうことが書かれていないのか、それを発表しているかしていないかは別として、そういうのが守るようになっていないのかという疑問があるわけです。そうした中、こういう国際的なアプローチで、COPOLCOの方は、こういうものができた場合に、個々の企業に対してどこまで強制力があるのかというのが1つの質問点なんです。また、自己適合を宣言するケースと第三者認証のケースの割合や違いについては、どうなっているのでしょうか。

 それからあともう一つは、先ほど申し上げたアメリカとか、ヨーロッパとか、それから悪質企業の天国だというようなお話を結びつけて、何かもう少し整合的に説明していただける方がいたら大変参考になるなと思います。

〔 辻課長 〕 まず初めの方のご質問、強制力があるかどうかということですけれども、すべての規格というのは、これは任意規格というふうに呼んでおりまして、企業がそれを採択するかしないか判断することができるということになっております。ですから、例えば、日本のJISもそうなんですけれども、JISを採択するかしないかというのは企業の自由です。
  例えば、自転車でいいますと、自転車でJIS規格というのがあるんですけれども、それを採択して売っている自転車もありますし、採択しないで売っている自転車もある。それは企業の任意ですということになっております。そういったことからして、同じようにCSRの規格ができたとしても、それを自分の会社は採択をする、または採択をしないというのが企業の判断にかかってくるということであります。

 それから、自己適合宣言をする場合と、第三者認証という場合なんですけれども、これは現在のISO14000も同じような仕組みになってございまして、どちらでもできる、それは企業が選択をしていいという仕組みになっております。ただ、日本で皆さんよくISO14000をとったというふうに出てきますけれども、ほとんどの場合は第三者認証でとっております。つまり、自己適合宣言では、やはり不十分であるということを取ろうとするところが考えて第三者の認証を受け、それで自分のところはISO14000をとったと主張されておりますので、実際に企業の社会責任の規格ができた場合には、特に日本の企業は、こういうものをとるという点では真面目に活動しますので、かなり第三者認証でこういった認証を受けるのではないかと私は予想しております。

 それから2番目の質問は、私も十分に答えられないのですけれども、こういう規格、例えば第三者認証を受けていながら、実際にいろんな事件が起こってしまったという場合には、その企業はどうなるのか。それに対する罰則は国際規格にはありません。ですから、いわゆる社会から受けるいろんな罰則、またはそれに適用される法律で受ける罰則、そういったものがその企業にかかってくるということになります。

〔 原委員 〕 1つが質問で1つが意見なんですが、今のISOの動きは、製品規格から、マネジメントシステムの規格づくりに入ってきていて、ISO14000とか、9000という流れがあって、今回もこういうグローバル市場の消費者保護ということが俎上に上がってきているわけですが、今、世界的に見ても、こういうふうにして自主的な基準をつくって、そしてそれを外部評価をする。そしてPDCAで回していくというやり方がいろいろなところでとられていて、結構ブームになっているような気がするんですが、例えばISO14000の現場を見ると、ここで掲げられる環境目的とか、目標は自主的に定めていいものですから、どうも3年、5年を経って見ると、すごく私としては低いレベルに落ち着いてしまっている。
  最初は本当に先駆けて頑張ってやろうという感じだったのですが、徐々に紙、ゴミ、電気みたいところに分野が限定されて、それも去年に比べて1%とかそういったレベルで、自主的にやろうとしているんだから、どういうレベルでいいでしょうという話になると思うんですけれども、どう見たって範囲も、レベルもどんどん低くなっていって、よくPDCAで回って継続的改善になっていますよというふうにシステムとしては言われるんですけれども、実質はそうなっていない。
 

 だから、私としてはすごく限界があるようなことを思っていまして、今回のパブリックコメントの中にも、全部自主行動基準みたいなことに任せるのではなくて、やはりきちんとした法律があって、この自主行動基準は補完をするものだ。より継続的に改善していくために補完をするものだという位置付けにしてほしいというご意見もあったかと思うんですけれども、何もかもそれに任せればオーケーということではないというふうに感じています。環境問題はまだ法律があるからいいですけれども、こういったグローバル市場での消費者のための消費者保護の基準だと、ますますそういうところが出てくるように思っていて、ちょっと限界のようなものもお感じになっていらっしゃるかどうかをひとつ質問でお聞きしたいと思います。

 2つ目は先ほど、高先生がご発言になったところでの私の意見というんでしょうか、議論というか、そういうふうに思っているところなんですが、自主行動基準を一体何のために、どういうふうに定めるのかという話で、内部のため、内部規範として定めるという、もともとの当初の出発点をどうするかということがあるんですけれども、内部の規範として内規のような形にすると、それはある程度外からも見えるような形で公表もするというのがあるかと思うんですが、もう一方では、例えば金融商品販売法に基づく勧誘方針だと、これは内部だけの規定ではなくて、外向きにも消費者を勧誘するためにどうするのだということを定めているわけです。
  そうすると、これは外向きの自主行動基準の策定という形になってくると思うんです。そこで、例えばそういったものに違反をしたときに、違反というとおかしいですけれども、それを守っていなかったとき、どうするのかという話になると、アメリカのような状況を考えると、それを盾にとって訴訟をする、訴えを起こすということが考えられるというふうに思うんですけれども、日本でも内規のような形で定められているものはそうでないのかもしれませんけれども、金融商品販売法に基づく勧誘方針で定められているようなものは、やはりそれと大きく食い違っているような場合は、訴訟みたいなこともあるのかなというふうには思っていて、自主行動基準の定め方、内容的なものですね。そこももうちょっと踏み込んで議論をしておかないと、一応定性的な意見というのは、報告の中でも前回きちんと4月の段階で書いていますけれども、もうちょっと踏み込んだ内容の議論というのも併せてやっておく必要があるのではないかというふうに感じております。
   以上です。

〔 辻課長 〕 初めの質問で、こういうPDCAで回しているマネジメントシステムについて限界だというご意見ですけれども、規格というのは基本的には任意だということもあるものですから、志が低い企業が幾らPDCAを一生懸命入れても、それは高くならない。ただ、それを国際規格では、基本的にはそういう志が高いところ、当然それはコストがかかっているわけですから、そういうコストに見合うだけの利益が自分のところに返るようにということでこのPDCAを回すわけですので、そういったことはどちらかというと、善意にかなりとらえているということではないかと思います。

 そういった点で、これだけですべてが済むということではないのですけれども、世界中全体を見回してみますと、ある程度のきちっとした法体系がそろっている国もありますし、まだまだそうではない国もありますし、いろんな国があるわけです。そういったところ全体が、ある程度のレベルでこの規格を採択できるような、そういうレベルをつくろうというのが国際規格の1つの目的でもありますので、そういった点からすると、すべて全部これでもちろん万能ということではないんですけれども、こういったいろんなマネジメントシステムがあることによって、少しずつ段階を上に上がっていくという認識でとらえております。

〔 滝川委員 〕 第1点は原委員と共通するんですけれども、基本的にISOがどんどん環境だけじゃなくて、コーポレート・リスポンシビリティ、あるいはコーポレート・ガバナンスのようなところまで踏み込むべきなのかという疑問が出てくるわけです。これは私企業が競争で独自に独創性を発揮すべきところを、国際標準をつくってしまうと、進歩をとどめてしまう。こういう規格のマイナス点があります、これを考えないといけない。ISOは特にヨーロッパ主導ですから日本は不利になりやすい。任意規格なのでいいということなんですけれども、例えば製品の規格の場合だったら、DVDとかCDの例でわかるように、世界標準が決まってしまうとそれ以外売れない。だから、日本の洗濯機が売れないとか問題が出てきましたね。この場合はそういう問題は生じないのかということです。

 それともう一つは、WTOの中でISOのような国際標準に各国は従うべきだというような規定があるわけです。だから、WTOを通じてISOが強制力を発揮するかもしれない。そうすると、その点でもしISOでコーポレート・リスポンシビリティの規格をつくりますと、これと違う今、私たちがこちらでやっています自主行動基準、これがISOの基準と違うということは十分あり得るので、その場合、日本の基準はISOの基準に合わないので問題になるということがあり得る。特に非関税障壁の関係で先ほど経団連の意見が出ていたように、国際的な基準に比べて非常にきつい基準を日本がつくっていると非関税障壁だと、こういう問題は出てくるんじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。

〔 辻課長 〕 今いいましたのは、WTO/TBT協定というのがございまして、お互いに貿易障害になるような技術的な規則をつくるのはやめようということで決まっております。実際に、マネジメントシステムの中でISO9000、14000というのが今TBT 協定の中でどういう位置付けなのかということだと思いますけれども、14000でいいますと、ほとんどの認証を受けているのは日本企業で、ヨーロッパ、アメリカはそれほど数は多くないという現状です。CSRのような規格でのTBT関連の事例は知りませんので断定的なことは言えませんが、国際規格ある中で、自主基準をもう少し高いものを設定したときに何か問題が起こるかといえば、基本的に起こらないと思います。TBT協定の場合には技術的な観点でこれを見ておりますので、特段そういったISOの規格よりも非常に厳しいものができたからといって、このマネジメントシステムの中では、そういった大きな問題が起こらないと思います。

 それからもう一つは、マネジメントシステムというのは、基本的には先ほど原委員が言われましたPDCAのサイクルを回すというのがこのシステムでありまして、この中にどういった項目を入れるのかというのは、これは各国の判断であり、また各企業の判断になってまいります。それをどういうレベルに設定するのか、これもその企業、それぞれの国で決めてもいいですし、それぞれの企業で決めてもいいということになっています。

〔 高委員 〕 既に、辻課長さんの方から説明をいただいたんですけれども、川本委員と原委員にご指摘いただいたことにちょっとお答えしたいんですけれども、自主行動基準を、例えば、私たちはこれを守っていますよということを自己宣言すると、結局、結果を保証していることになっちゃうわけですね。
  実際、それを達成していない場合には、これは不公正な取引になる可能性が十分にあると思うのです。ISOの場合の認証の自己宣言、認証というのは自己宣言ですから、自己宣言の場合、同じようなリスクがあるんじゃないかということですけれども、基本的にある目標を立てて、それを守るための仕組みが効果的に動いていますよということの宣言であって、結果を必ず保証するという自己宣言ではないんです。その意味で不公平な取引にはならないんじゃないかというふうに思います。ただし、一般の消費者はそういうふうには理解しませんね。そこにイクスぺクテーション・ギャップというんでしょうか、認証をとっていれば、きっといい会社だと、それをやっているはずだというふうに思うはずですけれども、多分ISOの人たちは、自分たちを守るために、私たちが見ているのは、パフォーマンスじゃなくて、仕組みを見ているだけですというふうに言って逃れると思います。

 何を言いたいのかといいますと、先ほどの自主行動基準をつくって、これはアメリカで議論になっているのは、これは言論の自由か、それとも不公正な取引かどっちかという議論がずっとあって、もし、こういうことを守っていきますということで、保証するような形で消費者向けに発信されると、企業としては、先ほども言いましたけれども、できるだけ当たりさわりのないものしかつくらない。つまり、銀行さんが用意しているような勧誘方針を作成し決まった柱だけを掲げる。そうすると、最初に我々が考えていた自主行動基準というのは、そんなものではなかったんじゃないかということになると思うんです。もっと高いところを目指していただくための材料を企業につくってもらう。そういう意味では、自主行動基準と同じ言葉を使っていますけれども、やはり、消費者向けのものと、内部の意識を高めていくためのものというのは別のものが要るんじゃないか。確かに、別のコードは、多くの企業が既に作成していますが、その内容に関しても検討していく必要があるのではないかと思います。消費者向けだけの当たりさわりのないものじゃなく、そんなことをちょっと感じております。

〔 松本委員長 〕 いろいろな議論が出まして、考え方も必ずしも一致しているわけではない と思いますが、ほかに辻課長に対して特にご質問したいということはございませんか。

 それでは、どうもありがとうございました。事務局として引き続き経済産業省とも連携してISOの動向のフォローをお願いしたいと思います。
   では、最後に事務局の方から何かご連絡はございますか。

〔 堀田消費者企画課長 〕 日程でございますけれども、次回から前にちょっとお話ししております業種別のヒアリングをやってみたいと思っておりまして、食品関係、あるいはその他無店舗販売、特殊な取引形態のもの、それから、金融関係といった幾つかの業種からのヒアリングを行った上で、最終報告をできるだけ年内、早い時期にまとめたいというふうに考えております。
  具体的には、次回の日程ですけれども、6月28日金曜日でございますけれども、午後2時から行いたいというふうに思っております。  以上です。

〔 亀井大臣政務官 〕 どうも皆さんありがとうございました。きょうも2時間いろいろと勉強させていただきました。
  特に、先ほどちょっと話をしましたけれども、今、小泉内閣は第2の「骨太方針」をつくろうということで、これは経済活性化戦略を柱にしまして、6つの戦略、30のアクションプランという形で今詰めております。今月の20日過ぎに大体決めて、それをもとにして税制についての基本的な考え方を決めていき、来年度の予算の編成もそれに従ってやることになりますので、そういう意味で大きな柱になるのですけれども、経営力戦略の中に、1つこの自主行動基準というものを入れて、経営者のモラルというものを取り返していかなきゃいけないということに取り組んでおるわけであります。
  特に最近食品の安全の問題、表示の問題等、本当にこういうことであっていいのだろうかと、あきれるようなことがたくさんあるわけでありますけれども、本当に残念なことでございますけれども、こういう中で、やはり経営者のそういった姿勢というものを取り戻していくことが、活性化の大きな力になるだろうということで取り組もうとしているわけであります。そういう意味で、自主行動基準を皆様方のお力でどんどんやっていっていただいておりますので、これを何とかアクションプランの1つにということで入れさせてもらったわけでございますけれども、きょう、お話を聞いていますと、いろいろと難しい問題があるんじゃないかと思いますけれども、しかし、そういう難しい問題を乗り越えていかなきゃいけないと思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

〔 松本委員長 〕 それでは、これで本日の検討委員会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。                                     

 以 上