国民生活審議会消費者政策部会自主行動基準検討委員会(第6回)議事録

平成14年3月19日(火)

国民生活局消費者企画課

〔 松本委員長 〕 時間になりましたので、ただいまから国民生活審議会消費者政策部会第6回自主行動基準検討委員会を開催いたします。

 本日は、お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。

 本日は、「消費者に向けた自主行動基準の策定・運用に関する指針」の中間報告のスケルトン(案)につきまして、前回、さまざまなご議論をいただきましたものをもとに「はじめに」の部分を新たに挿入いたしまして、さらに「Ⅰ.総論」、「Ⅱ.自主行動基準」について訂正いたしました部分についてと、前回のスケルトン(案)ではまだ空欄になっておりました「Ⅲ.実効性確保・策定促進の方策」の論点につきましてご議論をいただきたいと思います。

 それでは、早速ですが事務局からご説明をお願いいたします。

〔 堀田消費者企画課長 〕 最初に、本日の資料の確認をさせていただきたいと思います。

 資料1が、前回の資料を修正したものでございます。

 資料2が、新たに付け加えております「Ⅲ.実効性確保・策定促進への方策」の論点という紙でございます。

 参考といたしまして、参考1は、本日ご出席ですが、宮部委員の方から、前回終わった後いただいているコメントでございます。

 参考2は、山本隆司委員からいただいているコメントでございます。

 参考3は、ビル・ディーさんというオーストラリアの方に、前回の委員会後ご講演していただきましたが、その講演会の概要をまとめたものでございます。

 それから、特に番号は付けておりませんが、宮部委員から消費者教育の重要性ということで、商業高校で使われております「商業法規」という教科書、テキストブックでございますが、その中の一部、契約の基礎とか、そういったところを中心に参考までに配布させていただいております。

 それでは次に、資料1の説明に入らせていただきます。

 前回、申し上げましたように「はじめに」を付け加えさせていただいております。

 「はじめに」にどういうことを書くのがいいか、またアドバイスをいただければと思いますが、4つぐらいのポイントに分けて書いてあります。

 最初の「・」には、自主行動基準検討の背景ということで、消費者と事業者の間の関係を、従来、ともすれば対立軸としてとらえられることが多かったわけですが、両者がお互いに信頼関係を築いていける仕組みを我が国でも検討することが必要ではないかということを書いております。

 折りしも、最近、消費者の信頼を損なうように事件が続いておりまして、信頼を再構築する取組みとして重要ではないかということです。

 2つめの「・」は、規制緩和との関係ということで、経済社会の変化のスピードが非常に速い中で、従来型の法規制だけでは十分対応しきれないということと、法規制に必ずしも頼ることができない分野もあります。また、規制緩和を真に国民の豊かさにつなげるには、事業者による情報提供と、その評価に基づく消費者の行動による良い緊張関係が必要ではないかということです。

 こうした中で、事業者が完全に自主的にルールを作る方法もありますが、事業者、消費者、行政の3者がともにあるべきルールを策定するというアプローチは、消費者からより多くの信頼を得られるというメリットを持っているのではないかという点でございます。

 3つめの「・」は、消費者契約法、その他民事ルールとの関係を書こうということでございまして、ミニマム・スタンダードとしての民事ルールが整備されてきている一方で、消費者契約法第3条の「努力義務」でありますとか、あるいは民事ルールを含む市場ルール全般の遵守の確保を図るということが必要であるということで、そのために、法令を補完するルールとして、事業者の消費者に対する行動基準の策定とその遵守体制の確立を促進するのが重要ではないかということです。

 4つめの「・」ですが、最近、海外の動きも活発化しておりまして、英国、オーストラリア、それ以外にもカナダ、ニュージーランドもございますが、海外諸国でも消費者行政分野でこういう自主行動基準策定を促進する動きが広がっております。

 また、国際標準化機構(ISO)のCOPOLCOというところでは、苦情処理あるいは電子商取引といった分野において消費者保護のルール規格化が検討されているということでございます。

 他方で、それよりもさらに広い範疇に入るかと思いますが、社会的責任といったことの議論も広まっている。

 こういう主に4つぐらいのポイントにつきまして、「はじめに」のところで整理してみたいと考えております。また後ほどご意見を賜りたいと思います。

 「Ⅰ.総論」の部分ですが、ここは前回のご議論等も踏まえまして、事務局と起草委員会のメンバーの方々と相談しながら直した部分でございます。

 細かい点は省略させていただきまして、2ページにまいりまして、大きな点としまして(1)の②自主行動基準の対象範囲のところですが、この「対象範囲」はまた後ほどご議論いただきたいと思いますが、「近年、消費者の関心は多様化しているが、本指針における自主行動基準の範囲は一般消費者に最も関係が深い分野として……」というような表現を付け加えさせていただいております。

 ③ですが、これは前回は「「自主行動基準策定のメリット」となっておりましたが、ここは主として「事業者にとってのメリット」という形で整理させていただくという形にしております。全般的にはメリットは「はじめに」のところで書いていきたいと考えております。

 それから、前回は「自主行動基準策定の問題点」という項目がありましたが、事務局の方でも議論の整理が十分なされていなかったということもありまして、また、別のところで書くということで問題点自体は削除させていただいております。

 4ページにまいりまして、中小企業のところでいろいろご意見がありましたが、やはり中小企業も策定をすべきであるというトーンが強くなるような言い方で書いてあります。 (3)ですが、前は(2)の中に入っていたのですが、「事業者団体で自主行動基準または雛型を策定する際の留意点」というものを、滝川委員からコメントがありまして独立させているということで、内容においても「基準策定において公正な手続きを確保すること」という形になっておりまして、懲戒手続きといった表現は落としてあります。

 「Ⅱ.自主行動基準」ですが、ここにつきましては順番を入れ換えさせていただいております。(1)の消費者との関係は同じでございますが、自主行動基準策定の運用体制・手続きといったものを、前は後ろにあったものを(2)として前に持ってきて、順序の入れ換えを行っているということです。

 その上で、5ページに(3)として消費者対応ということで持ってきているということです。消費者対応のところはもう少し簡素化すべきであるというご意見が多かったかと思いますが、重複しているような部分とか、情報提供の内容のところについてかなり詳しく書いてあったのですが、そこを短くしているといった修正を行っております。

 ざっとした説明で恐縮ですが、以上でございます。

 次に資料2に移らせていただきます。

 「Ⅲ.実効性確保・策定促進の方策」ということで整理させていただいております。ただ、書き方が、まだ議論が十分になされているとは思われませんので、検討していただくたたき台ということで、疑問調の文章に整理させていただいております。

 Ⅲ.は全部で⑦まで7つの項目に整理させていただいております。①から順番に説明いたしますが、ここに挙げてあります項目は、これまでの委員会で委員の皆様から出された意見を全体としてまとめたものという性格のものでございます。

 ①は、運営に携わる人材の組織化ということで、企業の中でコンプライアンスを担当している人、あるいはその責任を持っている人たちの間のネットワークというか組織化ということで、米国では倫理担当者協会というものがあるそうですし、オーストラリアの場合におきましてもコンプライアンス専門家協会といったところでさまざまな情報交換がなされていると聞いております。こういった人材の組織化も検討すべきではないかというのが①でございます。

 ②は、第三者の立場から企業の自主行動基準の策定づくりを促進するとか、あるいはそれを評価するといった形のNPO等の発展といったことも重要ではないかということで、NPO的な組織を消費者、事業者、行政が、場合によっては連携して作っていくとか、それを支援していくといったことはどうかといったことでございます。

 2つめの「・」は、企業の中で自主行動基準づくりとか、実効性確保を一生懸命やっている企業に対しまして、優良な企業を表彰するといったことも考えられるのではないかということで、それによってより水準の高い自主行動基準づくりといったものを行っていく必要があるのではないかということです。

 ③は、消費者の側から見て、消費者も企業を適切に評価できるような目を養っていく必要があります。それによって優良な企業の経営が拡大していくということが期待されるのではないかということでございます。そういう意味で、消費者の目を養っていくためにも消費者教育あるいは消費者啓発といったものを、これまで以上に推進するべきではないかということでございます。

 2つめの「・」は、消費者教育を行う場合に、学校の先生が行うことがもちろん必要なのですが、場合によっては外部の専門家が中学校あるいは高等学校に行って、直接生徒に教えるといったことも考えられるのではないかというものでございます。

 ④に内部通報制度ということを書いておりますが、これも何人かの委員からご指摘があったところですが、内部通報者が、通報したことによって不利益を被らないように保護する制度といったものだと思いますが、それを社会的利益と企業の利益とどう考えるのか。日本の企業風土の中でこういったものが果たしてなじむのかどうかという問題もあろうかと思います。それは単に事業者内で行われる制度なのか、あるいは法的な制度を整備することによって政府としてもそういうものをバックアップする必要があるのかないのか、そういった点がございます。

 ⑤は、これも何度も出た議論だと思いますが、アメリカにおける連邦量刑ガイドラインといったものについて、日本では米国とは司法制度が違うので、量刑ガイドラインそのものを導入するというのは必ずしも現実的ではないと思いますが、日本においても行政法の罰則等の軽重を変更するという考え方を導入するか否かについて、是非、ご議論をいただきたいと思っております。

 2ページにまいりまして、⑥は、投資基準の開示義務ということで、民間の投資資金をコンプライアンスをきちっとやっているような企業に誘導する仕組みとして、ファンドマネージャーが企業を選定する場合にどういう選定をやっているかといった点について、情報開示をしていくというような仕組みはどうかということでございます。また後ほど、委員の方から、もし詳しいご説明をいただければありがたいと思います。

 ⑦は、仮に自主行動基準に対する違反がある場合の対応ということで整理しておりますが、裁判外の紛争処理機関、最近、よく出ますADRといったところでの紛争解決の基準になるかどうかとか、あるいは事業者団体に加盟する場合に、こういう自主行動基準等を遵守しているかどうかというのが1つの条件となるような仕組み、そういったものについて検討していく必要があるかどうかということがございます。

 下の方の「・」は、仮に、事業者が自主行動基準を作ってはいるが、非常に表面的で全く実効性も伴っていないような場合は問題になってくると思われます。そういう自主行動基準を著しく逸脱する場合に不公正な取引方法の1つの類型とみなして、例えば独禁法に違反するという考え方を、我が国の競争政策においても採り入れるべきかどうかといった点があろうかと思います。

 Ⅳ.は、また後ほどになってもかまわないと思いますが、「今後の方針」として、今後当委員会でどれを中心に議論を進めていくのかといったようなこととか、あるいは海外の動き、ISO等の国際機関の動きといったものを、今後、この委員会として把握していくかどうかといったことがございます。

 それから、事業者団体等に、今後、こういう自主行動基準の策定を促す場合に、中間報告を策定した後にヒアリング等をこの委員会等において行うべきかどうかについて、また、これは報告書の段階でもご議論をいただければと思っております。

 それから、ちょっと付け加えさせていただきますが、宮部委員の方からいただいておりますコメントの中で定義に関わる部分につきましては、この報告書をまとめるときに用語解説として、報告書に参考として添付していきたいと現在のところ考えております。

 それから、山本隆司委員からは、政府調達において自主行動基準の策定を考慮してはどうかというコメントを、今日、お配りしております参考の中で、ご意見としていただいております。

 それから、池田委員からいくつかコメントをいただきましたが、その中で「第三者の関与の在り方」ということで、日本では個別の企業において第三者を関与させるというのは時期尚早ではないかというご意見を賜っております。

 以上でございます。

〔 松本委員長 〕 ありがとうございました。

 本日は、資料2の部分が主たる議論の対象になるわけですが、それに先駆けて、資料1の書き直しました部分、新たに付け加えました部分につきまして、意見、質疑をいただきたいと思います。

 前回の最後のところで、南条委員からご意見がありました「認識を確認してほしい」という点につきまして、スケルトン(案)のご説明でも明らかになっておりますが、4点ほどお含みしたいと思います。

 1つは、本指針でいう自主行動基準は対消費者向けのものとすること。

 2つめは、自主行動基準の範囲は、消費者の取引及び安全に関わるものとすること。

 3つめは、企業で、既存の自主行動基準や倫理綱領等がある場合は、本指針の趣旨に合致するものであれば、その公表をもって代替するということは当然可能であること。

 4つめは、消費者と第三者の関与は、透明性、信頼性の観点から重要であること。この点につきましては若干ご異論もあるかもしれませんが、事務局及び起草者グループといたしましては、このような4点を基本的な認識としてスケルトンを作成いたしております。 それでは、資料1の部分につきまして、どうぞ、ご意見、ご質問をお出しください。

〔 南条委員 〕 このスケルトンを前にいただいていれば、もう少し考えられたのですが、今、いただいて「読め」と言われても、いろいろ議論があるのではっきり言ってちょっと困ります。

 ただ一つ基本的なことで、先ほどの4点は基本的に了解いたしますが、後半の2つについてはいささか問題があると思うのです。

 私の基本的なスタンスを申し上げますと、宮部委員がお出しになっているスタンスとほとんど近いのですが、自主行動基準という以上、あくまで「自主」なのです。だから、それを行政がお手伝いをするぐらいのところまではいいですが、だいぶスケルトン(案)で弱まっていますが、まだかなりギュウギュウと義務づけて、ふん縛るみたいな感じのニュアンスがあるので、これはあくまで市場原理で、いいもので役に立つと思えば企業は判断して、その企業が使うことによって、企業が消費者に対しても役に立つというものであるべきだと思います。それ以上のことをするのなら自主行動基準ではなくて政令とか法律とかそういうことでやればいいものであるというのが私の基本的なスタンスなのです。

 したがって、資料2の方でも、その視点に立つといくつか申し上げたいことがあるのですが、資料1で申し上げれば、「はじめに」の真ん中あたりに「事業者、消費者、行政が共にあるべきルールを策定する……」とありますが、行政が対等な形で入ってくるというのは、「規制緩和」と出だしに書いてあるのとなじまないと思います。行政はあくまでサポートという意味ならいいですが、対等に入ってきて押しつけるような感じがあったら、これはそもそも自主行動基準と言えなくなるのではないかというのが1点。

 それから、先ほどの4点のうちの3点めですが、企業で、既存の自主行動基準や倫理綱領等がある場合、こっちの指針と合っていればいいだろうとかいうのも、いわゆる無理無理押しつけるという匂いがして、企業の主体性を損なうのではないか。

 したがって、第三者の関与ということについても、今、申し上げたようなところから言って若干の疑問があるということを申し上げておきたいと思います。とりあえずはそこまでです。

〔 松本委員長 〕 それでは、原 委員、宮部委員の順でお願いいたします。

〔 原 委員 〕 「はじめに」というところで何点かですが、今、南条委員からご発言がありました規制緩和との関係のところの文章ですが、「こうした中、事業者がまったく自主的にルールを定める方法もあるが……」で、そして、行政が入ってきているということなのですが、私も、三権分立的に行政が入っているのがいいかどうかというのは1つあると思いますが、その前のところの「事業者がまったく自主的にルールを定める方法もあるが……」というのを否定した形でこの3つが出てきているというのが、やはりちょっと文章的におかしくて、事業者が自主的にルールを定める方法を今回は推奨しているわけなのに、何かそれを否定した形で3者でやるべきだというふうに書かれているところがちょっと誤解が生じやすいような感じがしていますので、もう少し工夫が必要ではないかということが1点です。

 2点めは、一番最初の文章「消費者と事業者の関係を従来の対立軸でとらえるのでなく……」と書いてあるのですが、「対立軸」というとらえ方はけっこう古いような感じがして、90年代に入ってからは対立軸というよりはずうっと情報力、交渉力の格差ということの話でいろいろな議論を進めてきていたので、ちょっとこの言葉もきついといいますか、状況として少し違うのではないかと思います。

 3点めは、規制緩和との関係の中の3行めのところですが、これは2行めからつながっているのですが、「規制緩和を真に国民の豊かさにつなげるには事業者による情報提供と……」と書いてあって、すぐに情報提供の話にきているのですが、その前の段階として、「事業者による適切な行動とその情報提供」ということであって、情報提供だけしていればいいということではないのではないかと思います。

 4点めは、3つめの「・」で「消費者契約法等との関係」と書かれていて、消費者契約法を小見出しで立てるのが妥当かどうか。「等」が入っているからということになるかと思いますが、消費者契約法だけではなくて、PL法もそうですし、金融商品販売法もそうですし、個人情報保護法ですとか、それから、今、製品回収の法律あたりも出ていますので、こういった関連の民事ルールというのがこれからもどんどん出てくると思いますのでもう少し全体的なタイトルにして、消費者契約法は「例えば……」という形で本文の中に入れられた方がいいのではないかと思います。

〔 宮部委員 〕 後でまた申し上げますが、タイトルが「自主行動基準」になっているのです。それで、総論の(1)が「当指針の位置づけ」となっているのですが、これは同じ言葉の方がいいのではないか。「基準」というと少し強いので「指針」で全部通された方がいいのではないかと思います。中を読んでいくと「指針」というのがあちこちに出てくる。タイトルで「基準」と言いながら、読ませるところで「指針」と言ってちょっと楽にさせておいて、やっぱり「基準だよ」という配慮かとも思うのですが、これは一緒にされた方がいい、「指針」で統一していただきたいと思います。

〔 松本委員長 〕 自主行動基準というものと指針との関係について、少しご説明願えますか。同じものなのか全然違うものなのか。

〔 堀田消費者企画課長 〕 基本的にⅡ.に当たるところが自主行動基準になっておりまして、自主行動基準の策定の在り方等全体をまとめた指針というふうにまとめているつもりでございます。

〔 滝川委員 〕 資料1について意見を申し上げます。

 まず、これまで委員からありました意見と私は同じなのですが、タイトルが「自主行動基準」となっており、資料2についてもあるのですが、自主行動基準と名付けているにもかかわらず、政府が業界団体を通じて特定のルールを作ろうというような考え方が入っているような気がするのです。もし、そういう考え方をするのであればタイトル自身から変えなければいけませんし、その場合は特に法治主義、法律による行政ですから、その観点からみて透明性という点から問題が出てきますので、そこに注意しなければいけないと思います。

 個別の細かい点をいくつか申し上げます。まず、2ページの③事業者にとってもメリットの2つめの「・」に「事業者は自主行動基準に基づき、従業員等に明確な教育・研修を行い、周知徹底することが可能」とありますが、これはちょっとイメージがわいてこないのです。これは、例えば雪印のような事件を考えますと、従業員が企業の社会的責任に背く行動を行わないように教育するということではないかと思うのです。ですから、例えば「事業者は自主行動基準に基づき、企業が負う社会的責任に背く行動をとらないよう、社員・従業員を教育し、周知徹底することができる」、こういう文章でどうでしょうか。

 3ページにまいりまして、(2)の②効果的な社内体制の8つめの「・」に罰則規定の整備とありますが、この「罰則」というのは何なのか。これもちょっとイメージがわかない。これは従業員に対する罰則だと思うので、そうならばはっきりそう書いて、そうすると、従業員に対することだったら罰則だけではなくて「賞罰」の方がいいのではないか。褒めるというか報償を与えるということもあるのではないかと思うので、「従業員への賞罰規定」ということになるのではないかと思います。

 4ページにまいりまして、(3)事業者団体で自主行動基準または雛型を策定する際の留意点ですが、2つめの「・」の競争政策に関する事項、これは、これだと意味が不明です。競争政策に係る事項ではなくて事業者間の競争に関係する事項なのです。「事業者間」というのは書かなくてもわかるのであればいいのですが、「競争に関係する事業内容について……」としたらどうでしょうか。

 次の「・」の「同業者内で水準が上がる努力すること」、これも何を言わんとしているのかよくわかりません。これは多分、事業者団体で自主行動基準を作ったために、その水準が最低基準となるようなことがないようにしろということでしょう。そうすると、「サービス水準に関する同業者間の競争を確保すること」ということでどうでしょうか。結局「競争を確保する」というのがポイントですので、それが趣旨です。

〔 堀田消費者企画課長 〕 滝川委員にお伺いしたいのですが、最後の「サービス水準について」というのがよくわからなかったのですが。

〔 滝川委員 〕 「サービス水準に関する業者間の競争を確保すること」ということなのですが、結局、これはサービスに関する競争で、「サービス」と言ったのは、ここでも項目を絞れということで、例えば製品の価格とか質とか、そういうことはここに含めないでしょう。そうすると具体的にはサービスではないのですか。「サービス」が狭過ぎるとすれば別の言い方を考えなければいけませんが、あまり広げ過ぎると、自動車にしろ家電にしろ、製品の質とか価格とかそんなことまでやるとやり過ぎになると思いましたので。

〔 松本委員長 〕 「サービス」という言い方をした場合は、意味が多義的でして、モノかサービスかという意味でサービスという言葉を使う場合と、モノを売るに当たっての説明の部分などのサービス、滝川委員がおっしゃっているのはむしろそちらの感じがするのですが、商品の内容を説明するときに、どのような情報を提供するかとかという情報提供内容について業界でレベルを上げるようにしようという、こういうようなイメージなのですが。

〔 滝川委員 〕 そのとおりです。文章を考えていただければいい。例えば、「取引条件の水準に関する競争」とか……、今、とりあえず案文を申し上げるとそういうことになります。

〔 原 委員 〕 2ページですが、前回の南条委員の発言を受けて、②自主行動基準の対象範囲ですが、一応取引と安全に限定と書いてあるのですが、「限定」という言葉が強くて、あまりにも範囲を広げ過ぎると焦点が絞りにくいということがあって、例示をするのはいいのですが2つ心配しておりまして、後半の方で「環境配慮」とか「個人情報保護」の話とかが入っています。そうすると、個人情報は取引が入りますが、これは必ずしも「取引」とか「安全」とかだけにかかわらないのでどうかということと、もう1点は、こういうふうに限定をしても自主行動基準を策定するときにすごく困ってしまうのは、例えば勧誘方針のところできちんとしたものを書こうとすると、必ず労働条件とかノルマのような話と関わってきて、非常にきついノルマなんかがかかっていると、どうしても「不当な勧誘」に走ってしまうみたいなところがあって、あまり対象範囲を限定した書き方にしてしまうと、本当はそこからもっと踏み込んで自主行動基準の中に入れなければいけない部分というのが見えないのではないかと思いまして、この「限定」という言葉をもう少し膨らみがあるような、テーマによっては労働とかそういうことも入れてこざるを得ないように見えるようにしていただけないかということが1点です。

 2点目は、5ページの下から3行めの(3)消費者対応ですが、ここから多くの項目が並んでいるのですが、実は①の情報開示・提供のところを読むと、広告を中心にすごく書かれています。契約前の情報提供とか、重要事項とかとあるのですが、今、非常に問題になっているのが表示です。今回の雪印食品のこともですが、基本的に私たちは広告とかダイレクトメールより、もっと前にきちんとした表示がなされているということが情報提供の一番大きな柱なので、①情報開示・提供のa)が広告から始まるというのではなくて「表示」という項目を立てられるべきではないかと思います。

〔 池田委員 〕 今、お話のありました2ページの②自主行動基準の対象範囲に関して、限定されている云々ということですが、今のご意見と私は少し違いまして、逆に限定されているが故に明確な打ち出しができるのではないかと思っています。

 どういうことかと言いますと、1つは、論議を原点に戻すようで申し訳ないのですが、自主行動基準についての指針をこういう場で論議するということについて、私自身の中に当初少し違和感がありました。その後、むしろこの場で論議をしていく中で、まさに、一般消費者に最も関係が深い分野として、事業者と消費者の間の取引及び消費者の安全に関するものに限定した上で、自主行動基準、あるいは、これに関する各種の法令の規定、その法の精神、こういうものを実効あらしめるためのコンプライアンス・プログラムのモデルといいますか、そういうものを提示するということであれば、これは1つの方向性があるのかなと、私個人としては思いが定まってきておりますので、今申し上げたようなことを感じております。

 もう1点は、もし、そのように考えるとすれば、具体的な勧誘行為云々というよりも該当の範囲に関する、企業としてのコンプライアンス・プログラムをどのように作るか。まさに、ここで言う目的、体制、教育云々というところがむしろ基本であって、その上に立って例えばモデルを作る、提示をする。そして、その趣旨に基づく具体的な指針はそれと別個にある。こんな構成ができればいいのかな、と考えております。いいのかなというのは、企業がそういう行動ができるようにむしろ自ら考えるときのよすがになるといいな、そんなふうなことを考えておりますので意見として申し上げます。

〔 松本委員長 〕 他にご意見ございませんか。

 それでは、今日、お出しいただきましたご意見を踏まえまして、今度は文章化したものを次回ないし次々回にご提示して、それに基づいてまたご議論をいただきたいと思います。 それでは資料2の方に移りたいと思います。

 「Ⅲ.実効性確保・策定方針の方策」につきまして、①から⑦まで番号が振ってありますから、この順で逐次ご議論いただきたいと思います。

 過去の委員会の議論の中で関連した問題でご発言いただいております委員の方に、まずコメントをいただきまして、それから質疑を行いたいと思います。

 まず、①の運営に携わる人材の組織化につきまして、池田委員からコメントをいただきたいと思います。

〔 池田委員 〕 企業の中でまさに法令遵守あるいは社会常識との合致、このようなものに取り組んでいる者の実感を申し上げたいと思います。

 それぞれ一生懸命考えているわけでありますが、やはり自らの中、組織の中だけで研究あるいは検討するということでは、視野あるいは具体的なアイディアも限定されます。実際はどうかと言いますと、個々のいろいろなセミナーに出て、いろいろな世の中の動きあるいはノウハウを吸収しながら取り組んでいるわけでありますが、セミナーというのは一面、個別断片的であります。逆に、あえて名前を出しますと、経営倫理実践研究センターという企業の担当者の会合があって、ここでいろいろな研究会をやっているわけですが、まさに個別断片的でない、それぞれのやり方、ノウハウ、あるいはあるべき論と実際論との食い違いの中、どのように壁を乗り越えていくかという有益な方法論を得ております。これが私どもにとって極めて有益かつ重要であるなと実感で感じているわけであります。

 たまたま、そのセンターは、今、会員が40数社でありますが、現在の社会状態から言えば、これは 100社、 200社、あるいは 1000社を超えても全くおかしくないような社会的な意味があるのではないかと常々考えております。

こういう中でまさに法令遵守あるいはコンプライアンスの担当者のネットワークが極めて役立つと実感で感じておりますし、さらにこれが拡大していく、これはべつに経営倫理実践研究センターに限定する必要はないわけですが、そのようなネットワークが社会的に拡大していくことは、企業の中で志を持った人間が他に学びながら自らも考え、そして行動するという意味では非常に有益ではないかと思っています。企業の中だけでやっておりますと「井の中の蛙」、まさに「企業の常識は社会の非常識」ということにもなりかねないということであります。

 ただし、こういうことを是非、推進してまいりたいと個人的には思っておりますが、注意点が2つあります。1つは営利の道に走らないといいますか、時としてセミナーあるいは資格商法的なところに走ってしまうと目的と反対のことになってしまうのではないかという懸念があります。まさに営利の道を走らないというのが1点であります。

 2つ目は自主自立。あくまで民間企業の担当者の自発的な活動体であることが大切だと考えています。企業における担当者の実感と思いということでご報告させていただきます。

〔 松本委員長 〕 それでは、ご意見、ご質問をお願いいたします。

 特にご異論等はございませんか。

 それでは、また何かございましたら後ほど併せてご発言していただくといたしまして、②の評価組織の育成と表彰につきまして、高 委員と坂東委員からコメントをいただきたいと思います。

〔 高 委員 〕 私は坂東委員からかと思っていたのですが(笑)。

 ちょっと大きな枠組みでお話ししてしまうかもしれませんが、要はこれだけの基準を作って、1つの雛型にしてそれぞれの企業さんに「こういった基準を作って公表していきませんか」、あるいは「体制を作りませんか」ということを求めるわけですから、そういった企業さんが社会の中で高く評価されて、競争力を持てるようにしてあげなければいけないと思うのです。まじめにやったところがどんどん負けていくということになれば、結局私たちが意図したところとは全然合致していかないと思うのです。

 それでは、どういう形にしていくと、簡単に言えば正直者がバカをみないですむかということですが、3つアプローチがあると思います。

 1つは、司法の側から、ある意味で支援してあげる。司法のチェックにちょっと仕組みを考えてみる。

 それから、行政。これは後で連邦量刑ガイドラインの話が出てくると思いますが、行政の側の仕組み。

 それから、市場。これが多分私どもの議論の中で一番大きな柱になるのではないかと思うのですが、市場の中に日常的な取組み、コンプライアンスの取組み、こういったものを評価する仕組みを作ってあげなければいけない。そのときに出てくるのは、SRIは後で出るのでしょうが、ここでNPO等の話が出てきたのは、要は自主行動基準を作って公表しなさい。例えばここに出てきたようなものを参考にしてということになった場合、それを公表したところで一般の消費者は情報が多過ぎて評価のしようがないと思うのです。やはり情報を1回圧縮してあげる。それから、消費者に一目で簡単にわかるようなものが必要になってくる。そのときに注目されるのがNPOとかNGOで、こういった評価機関が出てくることでマーケットによるまじめにやろうとしている会社さんの応援、こういった機能が動き始めるのではないかと思っております。

 そういう意味で、ここのNPO、NGOの支援、あるいはこういったものが育ってくるような環境づくりをやるべきではないかと思います。

〔 坂東委員 〕 高 委員のお話で尽きていると思いますが、若干追加しますと、市場の登場者というのは企業、行政、消費者という3者がいるわけです。企業あるいは事業者の方々にしても、いざ、自主行動基準を策定していく上では、先ほど池田委員からお話があったようにさまざまな情報交流をして切磋琢磨し、その中から具体的な像を作っていかなければいけないという課題があります。

 消費者の方も、そこから出てくる情報を一定評価しなければいけないわけですが、例えば個人でそれを本当に適切に評価できるかというと、私、自分自身を考えても、言うほど時間もないしなかなか難しいという現実があります。とすると、適切な評価をしていくためにはおのずと消費者の方も、あるいは事業者の方々も、個々の事業者、個々の消費者だけではない何らかの対応が必要になってくるはずだと思います。その仕組みが、取り分け消費者に関して言えばNPOということになるのだと思います。

 自主行動基準を具体的に運用し、それが効果を持っていくためには、やはりそういう組織が機能していくということが大変重要な課題になってくるのではないか。例えば、消費生活センターなどもその1つとして大きな役割を担うでしょうが、それに限ったことではなくて、幅広くNPOを支援して作っていくという努力が求められているのだと思います。

〔 南条委員 〕 考え方自体はいいと思うのですが、前にも申し上げましたが、既に似たことを、私も入ってやっているのです。それは経済産業大臣表彰という形で、消費者優良企業を毎年、応募が多いときには30社ぐらいありますが20社ぐらいあって、それはメーカーからサービスからいろいろなものが全部網羅していて、対象として中小企業も入っているのですが、それは消費者も学識経験者とか私も入っているのですが、そこでまさにほとんど同じことをやっているのです。チェックポイントをいくつか選定して、はっきり言えば消費者に対してきちっとした対応の体制をとっているかということで、トップの意思がどういうふうに下まで反映されているかとか、どういう組織ができているかとか、責任体制がトップを通じてあるかとか、窓口がどういうふうに作られていて、その実績はどうかとか、すごく細かいチェックをするのです。安全管理がどのように行われていてどういうルールが社内的に定められていて行っているかとか、工場とかそういうものを持っている場合には環境という意味で、ISOとかそういうものもチェックしますが、そういうことをどこまでやっているかとか、もうそこまでやっているわけです。

そこの中で、当然、社内ルールとしてどういうものがきちんとできているかとかということをやって、その上で、何社かに振り落とした上で現場に行ってちゃんと現場を見て、そこの責任者である社長とか副社長という人と面接をして、それで決めていくということを既にやっているわけです。

その結果として、表彰を得たら、それを自由に、自分のところは表彰を得たということを使えるということでやっているわけですが、かなり長年になるので、確かに若干マンネリになっている部分もあるので、それは見直す必要がある部分はあるのですが、既にそういうものがあるわけで、そうすると、こういうものを別にまた、はっきり言えばここの役所で作ると、何となく、はっきり言えばいやらしいのです。

 ですから、今もう既にあるものが十分でないならば、もう少し改めていくとかいろいろなことを考えてやらないと、何となくそういうレベルに落ちてしまう危険がある。もちろん、評価をすることはすごく大事ですが、先ほど申し上げたように、強制みたいになるとか何とか言ったら、これは自主行動基準でなくなってしまうので、そういうことも十分に考えなければいけない。

 ですから、2点あるのは、既にそういう、かなり類似のものが機能しているので、そういうものを一応頭に入れて、考える場合には考えないと、全くそういう存在を無視した上でやってしまうとおかしくなってしまうというのが1つ。

 それから、それと絡んだものとして、消費生活モニターというものが相当人数いて、その人たちは資格があって、経済産業省の資格としてきちっとした公的な資格があって、そこできちっとした教育が行われ、団体としてその人々の間での交流も行われている。ですから、わりあい大きな会社の場合には必ずそういう資格を取った人が、多い場合には数十人もいて、そういうセクションなりに配置されて活動を既にしているわけです。ですからそういうものもあるということも一応頭に入れて議論していかないと、全く何もないというところで作るというのとちょっと違うのだよということを一応申し上げておきたいと思います。

〔 原 委員 〕 南条委員が話されたのは、先ほど、高 委員が司法のチェックと行政のチェックと市場のチェックとおっしゃった中の、行政のチェックに当たるところだと思うのですが、市場の力のチェックということで、私自身が金融オンブズネットというグループで、金融関係の金融方針の調査をしております。それから、数年かけて、有料老人ホームについてもチェックというようなこともやっていて、民間が情報を集めるところから始める第三者評価というのは非常に大変な作業です。ですから、簡単に第三者評価が出てきて、これが充実していけば市場からのチェックも入るだろうというふうに一文で書かれるほどにはとても単純ではなくて、何が大変かと言うと、例えば勧誘方針の調査をして「こういう結果が出ました」と。その結果を相手の事業体にお教えしても全然怖くも何ともないのです。相手方の事業者の反応は「法律違反になっていますか」、法律違反にはなっていないのです。もう一つは「報道に出ますか」ということで、報道に出なければ何も怖くない。法律違反でなければ、報道に出なければ何も怖くないというのが、私たちがやった第三者評価に対する評価です。

 ですから、せっかくやった評価を市場からのチェックにするためには、報道に乗せて社会的に広げていくということになるのですが、報道に乗せる努力はもちろんやるのですが、報道に乗ると、今度は自分たちの評価の信頼性を問われるという状況になってくる。

 ですから、問われてきちんとした評価をするということのための努力というのはものすごいものがありまして、自分たちはボランティアでやっているのですが、時間とか労力とかをかなり割いて何か月かかけてやるわけです。そういうものが一足飛びに日本の中でどれほど出てくるのだろうというのと、それは③の消費者教育というところも関わってくるのですが、そういうものが出たときに、それを選択のために生かすというには消費者の層がとても薄いということです。

 ②と③はリンクさせた形で考えないといけないし、特に②の、行政のチェックの方では経産省の表彰の制度とかいろいろありますが、市場のチェックのところは、一重にも二重にもいろいろな工夫を入れ込まないとなかなか機能するのは難しいと感じております。意見という感じですが。

〔 坂東委員 〕 原 委員のご努力はよく知っております。実は私も消費者関連のNPOを関西でやっております。そこでやはり勧誘方針の調査をやってまして、おそらく短期間のうちに関西版の報告書が出せると思います。

 ご指摘の点は全くそのとおりでありまして、大変な苦労があるわけですが、まず第1点は、「・」が2つあって、これが並んでおりますから、取り分け行政による評価が強調されているという誤解を生じるかもしれませんが、要するにさまざまな形の評価がある方がいいだろうというのが1つ私の考え方です。その意味では原 委員の考え方と全く同じであります。その上でもう一つ言うと、これは鶏が先か卵が先かになってしまうのですが、基本的にはこういう評価をやっていくことは、さまざまな課題がありながらやっていくということが全体としての人を育てることになるし、あるいは客観性を高めることになるのではないかとも思うのです。

 もちろん、それの保障の仕組みまでをこの議論の中でできるかどうかと言われますと、なかなか難しい問題が多々あります。しかし、流れとしてはそのような形でやっていかなければ、自主行動基準というものが具体化しないだろうという趣旨だとご理解いただけるととてもうれしいです。

〔 南条委員 〕 原 委員のお話ですが、消費者優良企業のシステムは必ずしも行政ではないのです。外郭団体をわざわざ置いて行政が介入しないような形になっていて、我々だけで実際に判断して決めているのです。それに対して、行政が優良企業に選ばれた会社に便宜を図るということも一切していないのですが、今言われたように全く最初から何もなしで立ち上げるとああいうふうにはならないから、そこでああいう手を考えて、もともとは役所としてのそれなりの考えがあったかもしれませんが、今はそうなっていないので誤解のないように付け加えておきます。

〔 松本委員長 〕 第三者評価のやり方としてISOの14000や9000のように、企業の申請に基づいて、いわば企業の協力の下に第三者評価をやるやり方と、金融機関の勧誘方針のように市民団体の方が一方的に、協力を得ないでやるやり方と両極に分かれると思うので、その辺、どのようなのが一番望ましいのかということも議論する必要があるのではないかと思います。

〔 原 委員 〕 ISOの14000の方も関わってやっていますので、感じなのですが、確かに14000は出かけて行って相手方に資料も出させて現場も見させて、そして教育が行われているかどうかも全部チェックしています。そういう意味では内部に入り込んでチェックしていると言えると思いますが、あと、例えば私どもがやっている勧誘方針の調査というのは、協力をしていないということではなくて、実際には出されている勧誘方針のチェックだけしかしていない。だから、限定されたところでしかチェックをしていないのでそれに基づいて実態がどうかというところを本当は見たいのですが、そこまでのチェックには入れていない状況です。ですから、局面が違うという感じはしています。

 もしも、金融機関の勧誘方針が本当に、あそこに書かれているとおりにやられているのかどうかということは、やはり中に入ってチェックをしないといけないと思うのですが、ちょっとそこまでの力量はとにかく今のようなグループではなくて、またそれは全然別途に考えるべき仕組みなのだろうとは思います。

ただ、やはり実態とどうかというところは、とても難しいです。実効性確保がなければ何の意味もないのですが、実効性確保が上がっているかどうかというのは実態を見ないとわからない。その実態がどこまでわかるかというのはとても難しい問題です。

〔 稲岡委員 〕 お伺いしたいのですが、「育成すべきではないか」と書いてあるのですが、誰が考えても育成すべきだと思うのです。それでは、誰が育成するのかと考えた場合に、国が育成しちゃったらもうNPOではなくなるわけです。NPOがNPOとしてやっていくというのは実は大変な労力とお金とマンパワーがいるわけですが、それをどうやって調達するのですか。

〔 堀田消費者企画課長 〕 非常に難しい問題だと思いますが、政府の方として何かそういう活動を支援する仕組みみたいなもの、それはこの委員会の趣旨とだいぶ違うかもしれないのですが、そういうのもあるかもしれませんし、まさにノウハウをどう、原 委員たちの努力のように、ある程度蓄積していきながら徐々に支援を拡大していくという方向もあるのではないかと思います。

〔 南条委員 〕 あまりここに3者対等で行政がぞろぞろ出てくるというのは、私は基本的にあまり好かんのです。行政は後ろにいるべきで、こうやると、また予算を取るとか人を取るとかそういうばかな話にすぐ行政はなるから(笑)、一般的にいままでそうだったわけですから、とりあえずは「消費者、事業者連携して育成すべきではないか」というぐらいにしておいた方がいい。最初から行政があると、ここだけが一生懸命動きだすという危険がある。そうすると、後の方もみんなそういう感じに出てきちゃうと、また元に戻って自主行動基準ではなくなってしまうと思います。

〔 坂東委員 〕 なかなか難しい問題なのですが、どうも私たちの国というのは金は出すけど口は出さないというのはなかなか難しいのかなと思っております。しかし、イギリスの消費者団体の流れを見ていましても、例えばコンシューマー・アソシエーションというのはもともとは政府の予算から補助をうけていました。今は完全に独立した消費者団体ですが、あそこの評価機関というのはイギリスで商品を選択する際の大変大きな基準になっております。例えばそういう方法をとるのかとらないのか、とってもいいのかどうかというあたりは、私は考慮の価値があると正直言って思っております。それが1点です。

 第2点はマンパワーの件ですが、消費生活センターでずっと相談員の業務をなさってきた方が、年齢が高くなったとかさまざまな理由で退職をなさることがあります。そこで蓄積されたノウハウというのは大変な能力で、それを社会的に発揮する場所が必ずしも十分にありません。発揮したいと思っておられます。その方々のことも含めていろいろな制度設計を考えていけば、私は、消費者団体のNPOというのは十分可能性のある選択肢だと思っております。

〔 山本(豊)委員 〕 いままでの話の流れと若干違うかもしれませんが、マーケットで評価するという場合、それが消費者に見えていなければいけない。その場合に、先ほどから出ております金融商品販売法の枠組みは、作ることとそれを公表することは義務づけているわけです。それでも原 委員とかは非常に苦労されている。

 その中で、今回の指針の自主の中身ですが、自主の内容については、ああしなさい、こうしなさいということは指図しない。その先に、作ることも全く自由で公表することも全く自由なのかというあたりが、本当は論点のような気がするわけです。

 それと、これを公表する、あるいは作成することによってどういう効果が発生するのかガイドラインとか連邦量刑ガイドラインとかその他いろいろな問題があります。その絡みで議論される点があるのではないか。

 先ほど、山本隆司委員の方から出された政府調達の関係でも、政府調達で優遇するのであれば、それはこういう中身、あるいはこういう作りでなければいけないという、そういう連動するところがあると思いますので、その辺も本来議論される価値があるかなという感じがいたしております。

〔 松本委員長 〕 それでは次に③消費者教育・啓発の推進の方に移りたいと思います。 この点につきまして宮部委員からコメントをいただきたいのですが、宮部委員は途中で退席されますので、これ以降の点につきましても、特にご意見がございましたら、この場でご一緒にどうぞ。

〔 宮部委員 〕 消費者教育というのが非常に難しいことはよくわかります。しかし、「あまりにも今何にもやっていない」と思うのです。そう言うと、他の委員の方々から怒られるかもしれませんが。3月28日に内閣府が、消費者教育に関するシンポジウムを開かれるということで、私も一日出席させていただこうと思っています。

 話が逸れますが、先ほど雪印さんのお話があったわけですが、あれは例外中の例外です。個人の生活を見ていても泥棒をする人もいて、それを取り上げて「全部の日本人が泥棒だ」と言うのはおかしいのであって、「1つ何かあったら全部がそうだ」という基本思想でものを考えてはいけない。これは、事業者においても、一人のクレーマーのケースを取り上げて全ての消費者に対して警戒感をもつことも無きにしも非ずなので、消費者・事業者どちらの側にもそういう面があるのではないかと思うわけです。

 話を戻しますと、「消費者教育をどういうふうにするか」というのは非常に難しい問題です。私は、ある程度高齢の方はあきらめますが、少なくとも中学・高校からは一生懸命教えていただきたいと思うのです。今後展開される「ゆとりの時間」については、あれが本当に日本人の教育にとっていいものかどうか、私は疑問があるのですが、たとえば、「ゆとりの時間」の中で何か、「社会生活というものはこういう最低限のルールが必要なんだ」というような消費者教育をしていただければ、それが消費者が勉強を始めるきっかけになるのかなと思うのです。これは国や学校からの消費者教育で早急に社会全体が良くなるというような話ではなくて、それをきっかけにして皆さんでそれぞれ継続的な自己啓発をやっていくという話です。ですから、私は、今家庭において妻に対して消費者教育をしたり、また逆に妻が私を教育したりしております。

 あとは、退席させていただきますので先の話についてまでまとめて申し上げますが、量刑ガイドライン的なものの考え方につきましては、こういうものをこの報告書に入れていくと、指針というより、基準がますます法律に近づいていくのではないかという気がします。やはり今回は、後で1,2年たってからいろいろ勉強して、必要だったら量刑ガイドライン的なものの考え方を入れればいい話で、最初からこういうものを入れていくと、受け入れ側である事業者としても身構えてしまうのではないかという感じを持っております。

 それから、⑥の投資基準の開示義務についてですが、「消費者に対してこういうことをやっていますよ」ということについては、事業者の皆さんは、ほうっておいても言うと思います。それから、一方で機関投資家の、例えば投資基準を作っているような方とお話しをしていただきたいと思うのですが、彼らの尺度からすれば、「『投資先の消費者対応の水準が高いか低いか』というのは、投資基準のほんの1項目に過ぎないだろう」と思います。むしろ、成長力があるのか、利益率が高いのか、いい研究をしているのか、経営者がどうなのかということが、機関投資家からすれば中心的な話ではないかと思います。機関投資家が「消費者に対してこういうガイドラインを作って、こんなに一生懸命やっていますよ」ということを評価して投資しているのかどうかというのは、ちょっとお話をどこかの機関投資家の査定の方としていただいたら、すぐおわかりになるのではないかと思うのです。

 そんなようなことで、「このⅢ.に書かれていることは、まだ今から言わない方がいいのではないか」というふうに、個人的な見解ですが、思っております。

〔 松本委員長 〕 どなたかご意見ございませんか。

〔 鍋嶋委員 〕 消費者教育の話で、私、いつも感じているのですが、私どもも、企業の相談員の人間の代表としていろいろなところに行ってしゃべる。それが学校であったり一般消費者であったり、消費者団体だったりするわけですが、いずれにしても、企業がやっていることを、これは企業も悪いのですが、消費者の方もそうだと思うのですが、お互いによく知らないです。結局、1時間、2時間よく話すと、例えば環境についても話すとこんなに企業はやっているのかということをやっとわかってくれる。やはりその実態を教育・啓発していく努力をしていかなければならない。特に一般の消費者の方にわかっていただくというのはなかなか大変です。その資料をどうやって出すか、その材料をどうやって持って行ってもらうかということが、今、一番大変なところなのです。

 企業ではいろいろな資料、材料を作っていますが、それを見てもらう。はっきり言えば消費者センターに持って行って置いておいても、消費者センターに来る方はもうわかっている人が多い。ですから、そういう方ではない一般の方にどうやって指し示すかということが一番大切なことだと思うのですが、この行動基準についても同様のことが言えるのではないか。ここに「事業者を消費者が選ぶ際の判断材料」と書いてありますが、これをどうやってわかっていただくかというところが大変な努力が必要ではないかと思います。

 2番目に、「消費者の期待する経営姿勢」と書いてありますが、このやり方についてもこれが役に立つことはわかりますが、それを周知徹底する方法をどうすればいいかなということが疑問になってくる。

 それから、さらに、ここには学校教育のことが書いてありますが、先ほど、宮部委員がおっしゃいましたが、学校教育で社会科から消費者教育がなくなって家庭科にいくのか、ゆとりの時間にいくのか、ゆとりの時間になると、学校の先生がこれは何をやっていいかよくわからないというのが現実問題のようで、どうしようかという話まできている。

 そこのところで、例えば学校教育の中で何をすればいいか。そういう材料を例えば企業が出せるのか出せないのか。今、学校の先生が「出してもいいよ」と言っても、教育委員会で「だめだ」とか、PTAで「だめだ」とか、いろいろな問題が出てくるわけです。実際に講師派遣をしようとしても、担当の先生がよくても途中でだめになるという実態も現実にはあるわけで、そういうことも含めて考えていかなければならない。

 ちょっと自主行動基準と話が別になったかもしれませんが、ここの学校教育のところで自主行動基準ということを一緒にしていいのかどうか、ちょっと私は疑問には思います。〔 原 委員 〕 今日、吉岡委員が欠席なので、消費者側ということで意見を述べさせていただきますが、企業の消費者教育というところに限定してなのですが、消費者教育支援センターが確か平成11年度だったと思いますが、東京都からの委託調査で企業の消費者教育ということを調べられたことがあります。それは 800社ぐらいを対象に調べていらっしゃるのですが、回答を寄越されたところは25%ぐらいしかないということで、企業の中でも非常に熱心に取り組まれている企業と、そうでないところの格差が非常にあるのだろうということです。

それから、熱心におやりになっていらっしゃる 200~ 250社ぐらいですが、一生懸命おやりになっていても、今、鍋嶋委員の方からご発言があったように、やはり消費者に見えにくい状況があって、確かに消費者センターなどに行きますとリーフレットなんかたくさん置いてありますが、ほとんどの消費者のところには届いていない。ほとんどの消費者にとっては情報入手というのはテレビとか新聞という媒体になっていますので、そういうところのルートに乗っていないためになかなか見えにくいという2つめの問題があるのではないかと思います。

 日本で消費者教育というと企業の消費者教育で、昭和30年代から企業の消費者教育、一番最初はそこから始まっていますから、行政よりも先に企業は始めています。始まってから40年ぐらいたっているのに、すごく細々としているのはなぜなのだろうかということをもう少し考えてみないと、ここの自主行動基準の中でも生かせないのではないかと思います。

  2つ感じていることがあるのですが、1つめは、消費者教育というのは一体何なのかというのを、やはりもう少し考え直してみる必要があるのかなと。

 2つめは、それではその中で企業がやる消費者教育というのは何かということです。  これまで東京都の委託調査に出されていらっしゃる、ご自分たちが「これが消費者教育」ということで出されているいろいろなものを見ると、私としては、情報提供にすぎないように見えるのです。企業がどこまで消費者教育をやれるかというのは、例えば鍋嶋委員からお話がありましたように、講師を派遣しようかと言っても、どこかで断られてしまう。学校に入ろうとすると断られてしまうということで、おそらく、企業がやる消費者教育というのは、消費者教育のための情報提供みたいなところで、担い手はまた違うのではないかという感じがして、企業がやる消費者教育とは何なのかということをもう少し詰めてみないと、ここの中でもうまく入ってこないのかなという感想を持っております。

〔 南条委員 〕 ここでも、よく読むと、「行政等が積極的に」と書いてあるのですがこれは具体的にどういうことをどこの行政がやるというイメージで書かれたのですか。

〔 堀田消費者企画課長 〕 当然、教育そのものは文部科学省なのですが、学校の先生を支援する、副読本とかビデオとか、そういった学校の先生が使いやすい材料を提供するのは内閣府の国民生活局の方でもやっておりますし、先ほど原 委員がご紹介になりました消費者教育支援センターといったところを通じていろいろなものを配布している現状です。

〔 南条委員 〕 というと、これは学校教育のことなのですか。上の方はそうではなくてもっと広く行政が関与してやろうということではないのですか。

〔 堀田消費者企画課長 〕 広く消費者教育一般、啓発といいますと国民生活センターとかそういったところも、消費者への情報提供ということでやっております。

〔 南条委員 〕 ここに書いてあるのは、それをもっとちゃんとやろうということですか。そうすると、必ずしもそちらの役所が所轄しているものではなくて、他の役所でもいっぱい同じようなものを持っているから、そういうものを連携してやるというのなら了解しますが、これもまた何となく、こうやってお墨付をもらったからって、これで予算を新しく取ってなんていう話で、そこばかりにいってしまうと、あまり意味がないのではないかと思います。

 もう一つは、今、原 委員が言われたこととちょっと関連するのですが、私が入っている優良企業をチェックするというところで、チェックポイントの1つとして「消費者教育をちゃんとやっているか」というのがあるのですが、いつも矛盾を感じるのは、やはり企業がやると半分は宣伝みたいなもので、結果としてですが自分のところの売上げを伸ばすものにつながってしまうので、そこいらは二律背反みたいなものがあって、あまり客観的に正確にやると自己否定みたいになる場合もあったりするので、企業には一定程度の限界があると思うのです。ですから、そういう問題もあるので、それを超えるのはどういうものかなという、あるいは企業が分担する部分というのはおのずと限られてくるかもしれないしとか、そういう感じのところがあります。

 もう一つは、学校教育のことですが、私、別のところでベンチャーの国民運動というのに入らせていただいているのですが、それでヒアリングをすると、学校で非常に起業家教育、小学校とか中学校で地域のお店などに行って、それも父兄なのですが、いろいろ話を聞いたり、一日そういうのをやったりとかあるのです。そういうものというのは逆に言うと消費者教育につながってくる部分もあるので、そういう総合的な視点で、必ずしもここからここまでが消費者教育で、ここからここまでが起業家教育ではないはずなので、もともと企業というのは消費者とちゃんと一体になって子どものときから育てるという意味では、そういうところとも連携してやる余地があると思うのです。だから、限定して考えない方がかえっていいかもしれない。

〔 松本委員長 〕 ありがとうございました。

 それでは、次に④の内部通報制度の考え方に議論を進めたいと思います。

 吉岡委員がご発言の予定だったようなのですが、本日は欠席されておりますので、どなたかコメントありますか。

〔 南条委員 〕 ④以下は、先ほどもおっしゃった方がいらっしゃったかもしれませんが、私はあまり、いわゆる指針で入れるべきものではないのではないかと思うのです。

 これは、はっきり言って自主行動基準と分野が違うのではないか。内部通報というのはもっと幅広い他の問題に関する、企業の行動そのものとか、犯罪行為も含めた、私は法律はよくわからないのですが、刑法の範疇の問題だと思うし、量刑ガイドラインとか、投資に便利だよというのも、何かこういうものを表に出すというのもよくわからないし、違反したらこうしなければいけないというのを、最初からこういうのをズブズブ入れておくと全くみんなやる気がなくなってしまう。こういう怖いみたいな、これじゃまるっきり押しつけで自主とはほど遠いのではないかということになってしまうので、結果として実際に運用していってなかなか進まないとかいろいろな問題が出てきたときには、問題意識として取っておく必要があると思いますが、せいぜい①、②、③ぐらいのところ、これは先ほどいろいろ申し上げた、私自身はちょっとあれかもしれないと思いますが、でも③ぐらいまでのところならば、いわゆる環境づくりという意味では入れてもいいかもしれないですが、④以下全部まとめて、はっきり言って反対です。

〔 稲岡委員 〕 私は、「内部通報者が通報したことによって不利益を被らないように保護する制度」、これは社会的に保護する必要があると考えています。これからどんどん市民社会になってまいりますと、こういう市民が増えてまいります。そのときに、その市民が不利益を被らないように保護してあげる必要は、社会全体の利益として必要であると考えております。

 そして、「社会的利益と企業の利益をどのようにとらえるか」と書いてありますが、よく考えてみますと、法令によって企業の利益が損なわれることはないのです。私は、自分の会社で実際にやってみました経験から、利益が損なわれることはございませんで、そんなことよりも、ご覧になっているかどうか、インターネットのウェブサイトで特定の企業の特定の部署の従業員が、特定の人の名前を挙げて誹謗中傷したのがどんどん載っておりまして、誰でもアクセスできるわけですから、企業にとっても不利益というのは、情報化社会にいくらでもあるわけです。それよりむしろそういうものを社内で制度化しておいた方が、多分、企業にとってはそういうものが拡散しないで、少なくとも内部に上がってくる。内部に上がってくれば、それによって適正手続きで処理、紛争解決していける。全く問題のない組織というのは多分ないと思いますから、少なくともそれを指摘した人、市民に対して、不利益をこうむらないような措置を、社会全体として考えておくということは消費者政策のための自主行動基準という文脈に限ってでもあると考えております。

〔 池田委員 〕 同じことになりますが、2つあります。第一は、まさに社会全体として内部通報が重要な役割を果たすことに今やなってきたということです。公益のために内部から通報するということは、逆にそれによって不利益を被らない、まさにそれを打ち出す時期にきた、それが社会のためになる、という時代になってきたと考えています。こういう大きなことと同時に、さらに、企業内で企業倫理に取組んでいる立場から申し上げますと、内部通報は極めて重要です。それはべつに中間管理職が怠慢であるとかそういうことではなくて、まさにピラミッド型から、今、フラット型の組織運営に概ねの企業は変えようとしている中で個々人の自発性、あるいはよりいい職場や会社を求めるという気持ちを企業組織としてくみ取るということは、企業経営の立場からいっても極めて大事になってきているというのが実感です。

 もう一つは、率直に言いましていくつかこういうものによって、会社としてつかんでなかった課題を事前に芽のうちに把握して解決したという実績も、私どもで何件かあります。そういった点では極めて有益な内容ではないかと考えております。

〔 南条委員 〕 お2人のおっしゃっていることは、私もそのとおりだと思うのですが消費者に向けた自主行動基準の中に入るものかなという感じなのです。そこの部分はあるよと言われても、企業の中における不正とかいろいろなことというのは、もっと根本的で幅広いものではないか。対消費者で矮小化されるものではないので、もっとはっきり言えば商法とか、法務省のそういう部会できっちりそういうものを組み込むようなことにするべきだし、ここで入れるというのは、これを一般の人が新聞記事なんかで読んだら「ううん?」という感じになるような気がするということです。

〔 澤藤委員 〕 私は①から⑦までの実効性確保の方策を見ていて、インパクトがあるのは④ぐらいかなという印象です。

 今、一般の方がこれを読んだら「ううん?」と言うでしょうか。むしろ「ウーン、なるほど。それならこういうものを作る値打ちがある」と。そういう意味での世論にアピールする条項というとこのぐらいになるのではないか。企業のいろいろな問題行動に接して、どうして組織ぐるみでああいうことになってしまうのか、ああいうところに行き着くまでに何とかならなかったのかということは、今、世人みんなの思いです。こういうときに「わが社はそうではない、何か問題があれば誰かが明らかにする、むしろそれを歓迎する。少なくともそれに対してサンクションを与えるというようなことはしない」という、そういう自主的な行動規範を企業が発表すれば、それは今大変歓迎を受けることになろうと思うのです。

 そういう意味で、①、②、③などは、企業ではない他のところが何かをやるということです。⑤もしかり、⑥、⑦はよくわかりませんが④だけは少なくとも「わが社はこういうふうにしています」ということを堂々と発表することができる。極めて簡明で実効性の高い、インパクトがある条項で、このぐらいは是非実現していただきたいと思います。

〔 原 委員 〕 ここは吉岡委員が発言なさる予定だったのが、今日、欠席なので、おそらく吉岡委員も発言をしたかったという部分だということを、今、澤藤委員からおっしゃっていただいたように思うのですが、消費者グループ、消費者団体の中で、今、内部告発の話は課題として大きなものとして大変盛り上がっております。ここにきてこの問題が特に大きくクローズアップされたというわけではなくて、1960年代に、ラルフ・ネーダーがアメリカで消費者運動を始めたときに、日本にもいらっしゃって、「Whistleblower」(笛を吹く人)の必要性を説かれたのです。企業の中にあって笛を吹く人という意味なのですが、やはりそういう人たちの存在がこの30年、40年の消費者運動の中でも……。

 なぜ消費者運動がこれだけやれるかというと、やはり内部からの情報と、専門家の協力というところがとても大きいものがありまして、これまでは、内部からの情報というと、やはりその方にご迷惑がかかるからみたいなことでなかなか表には出せないという感じでしたが、やはり基本的には公の利益のために発言していらっしゃるわけですから、きちんとした仕組みといいますか、が必要ではないかと感じております。

  こういう言葉で出ているために、非常にどぎつい感じになってしまうのですが、例えばイギリスなどでは、老人ホームですとか介護施設や何かで働いている人たちが、「ここの介護の仕方では人権問題だ」というようなことを言うように動いたりしていますので、「内部告発」というと、とても怖いことのようなイメージになるところが、ちょっとまだ日本の社会の成熟度とも関係しているのかなとも思いますが、そういうふうに公の利益のために発言する人を保護するのだという形で出されることには、私は非常に意義があると感じております。

〔 松本委員長 〕 内部告発の「告発」という言葉が非常に厳しいニュアンスなので、「内部通報」という柔らかな表現に変えておりますし、他にも訳し方はいくつかあるようで、一番適切な訳にできればと思います。

 それでは、続きまして⑤「連邦量刑ガイドライン」的な考え方の導入の是非につきまして、滝川委員と田中委員からコメントをいただきたいと思います。

〔 滝川委員 〕 まず1つひっかかるのは、行政法に限っているのはどういうことかという感じがします。というのは、行政法だけではなくて刑法の問題が当然入ってくるはずなので、初めから行政法に限定することはないと思うのです。

 例えば、今の雪印のような問題を考えても、あれは刑事罰が適用可能かということを当然考えなければいけない。そして、刑事罰の方が効果的なのです。

 アメリカの連邦量刑ガイドラインというのは刑事罰ガイドラインなのです。ただ、日本とアメリカでは刑事罰の役割が違いますので、日本では刑事罰だけに限定するわけにはいかないと思うのですが、初めから刑事罰を除くというのはあり得ない。

 それと、これを当委員会において検討を進めるかどうかという点ですが、連邦量刑ガイドライン的考え方の問題というのは、消費者行政の枠をかなり超えると思うのです。消費者行政はもちろん含まれます、コンプライアンスというところでもちろん含まれるのですが、量刑ガイドラインの目的は、悪性の強いものについては大きな罰則を与えて、たまたま罪を犯したのだが情状酌量の余地があるのは罪を軽くする。これはもともと刑法の原則なので、アメリカだけではなく日本でもそうなっています。これをガイドラインという形で基準を決めて、公表すると、抑止力が高まるということなのです。

 例えば雪印のようなことを考えても、あれは累犯ですから、悪性が強い。だから重い罰則が与えられるということがガイドラインに書いてあると、「じゃあやめようかな、こんなことをやっちゃいけないな」とわかるわけです。

 そういうことまで含めると、コンプライアンスは一部の問題なので、これはもっと幅広く検討しなければいけない。行政罰のあり方についても考える必要がでてくると思うのです。いくら悪質なものについても、例えば 500万円の罰金を行政罰により払わせるだけだったらガイドライン以前の問題ですので、そういう問題まで含めて考えなければいけない。コンプライアンスだけに関して、本委員会がコンプライアンスを採用しているような企業については、罰金額を軽減するように提言するということはありうると思いますが、刑事罰のやり方全体をこの委員会で検討するのは広いと思います。

〔  田中委員 〕 「Ⅲ.実効性確保」という項目で、いままで各委員からさまざまな意見がありましたが、非常に難しい問題なので、7つ並べた中では、5番目の量刑ガイドラインはむしろ(参考)として、こういう考え方もあるという程度であって、これを当委員会として真っ正面から取り上げるのは、やはり難しいのではないかと思われます。

 ですから、コンプライアンスとか、コンプライアンス・プログラムというようなものはもともとは厳格なもので、ある程度の要件がそろっていて、それが組織内に定着して初めて企業行動がいいとみなされるわけです。

 ところが、当委員会で議論したものはそこまで厳格にやろうというのではなくて、むしろ企業が自主的に判断して自主行動基準を作っていただくために、「こういうような指針を参考にしてやってくださいよ」というのが原点ですから、そういう意味の(参考)の中に入れるべきものではないかと思います。

 せっかく機会をいただきましたので発言させていただきますが、Ⅱ.に、事業主自身の自主行動基準基準を作って、その事業主としてどのような枠組みで運用するかというのが書いてあります。Ⅲ.は、事業主を含めて、外からあるいは社会的にどういうように制度的に支援していくかというところが述べられているわけです。ですから、各委員の議論を踏まえてこれは修正されることになりますが、全部で7つありますがもう少し集約して、いままでの議論ですと、①、②、③は、皆さん「大体いいだろう」というご意見の流れかと思いますが、④は「イエス」「ノー」があるかと思います。⑤あたりは主要なものから(参考)という形で落とすとか、まだこれから議論があるのかもしれませんが、⑦の自主行動基準違反への対応で、外部から見て違反をどうするかという問題があると思うのですが、もともと事業主が持っている自主行動基準は、自主行動基準そのものの中に罰則規定を持つというのは常識なのです。事業主として自分が自分の構成員に対して違反の場合には罰則規定を適用するというのはむしろ当然のことで、これは、外から違反をどうするかというだけのことで、事業主そのものとは違ってくると思いますので、⑦は各委員のご意見によってどうするかということを考えればいいのではないかと思います。

〔 松本委員長 〕 それでは、この点につきましてご意見をお願いいたします。

〔 高 委員 〕 Ⅲ.の性格は、私もなかなか見えないのですが、「これから議論する課題としてこういうものがありますよ」という提示なのかなと最初に理解しましたので、もし、これから議論していきましょうという意味で残すのならガイドライン云々という議論も残していいのかなと思います。

 ただ、これはおっしゃるように、この委員会で議論する枠を超えているのかなとも思います。ただ、「このガイドラインは刑事罰のガイドラインであって、ここで議論するのはおかしい」ということですが、基本的にアメリカでこれができたということは裁判官にかなりの裁量があって、その裁量に一貫性を持たせるためにガイドラインができたわけです。 日本の場合は、刑事罰に関して裁判官にそんなに裁量がない。若干酌量ということはあるかもしれませんが、アメリカほどではないのです。同じように裁量を持って企業側に対して影響力を行使できるものは何かといいますと、やはり行政罰だと思うのです。

 そういう意味で、私が考えたのは、中央省庁行政罰ガイドラインみたいなものができるのではないか。もちろん、ここでやる必要はないでしょうが、どこかで議論しなければいけない。経産省とか厚労省で話ししていても「それは導入したい」と。

 なぜかといいますと、基本的に行政は事後チェックの能力が今ほとんどないと言っていいと思うのです。「雪印の問題は例外中の例外だ」と言われますが、私はそう思っておりません。あれはむしろ氷山の一角だと。なぜ、ああいう状態になるかというと、企業が悪いというのもあるでしょうが、行政側がチェックする力を持っていないからどうにでもできてしまうわけです。

 ですから、今、やらなければいけないことは、行政側のチェック能力の向上です。これはもちろんここでの議論の範囲を超えているかもしれませんが、どこかで議論してもらいたいと思っているのですが、1つは、それぞれの業界の人たち、50歳ぐらいの方々をもう一度検査官として採用する。これはもちろん「行政がまた予算を獲得するための手段ではないか」と言われるかもしれませんが、規制緩和というのは事後チェック能力を行政がつけていかなければいけないのです。ですから、規制緩和をするということは政府が小さくなるということではないのです。アメリカを見ればわかると思いますが、検査の能力を高めていかなければいけない。その意味で事後チェックはコストがかかるものなのです。リストラの1つの対策になるかもしれませんが、そういう人たちに検査官として入ってもらって、それぞれの業界で何が行われているかということがわかるようにする。

 これは企業の方々にとっては大変なプレッシャーになるかもしれませんが、この緊張感が安全な社会を作る一歩になるのではないかと思うのです。

 もう一つは、行政罰に裁量を設けるようなガイドラインを作ることです。これは、企業側の協力をもらいながら、例えば問題があったときにすぐ報告してもらう。報告してくれたらそれほど厳しい罰は与えませんよというような形でやらない限り、会社の内部で行われているいろいろなことは、行政はなかなかわからない。

 しかも、そういう仕組みを設けることで、企業も合理的な行動がとれるようになる、予測可能性が高まりますから。ここでこういうことをやれば厳しい罰は受けないと。ところがそういうきちんとしたガイドラインができていないために、例えば金融庁ですが、これも前に話したと思いますが、プロセスを評価すると言っていながら、結局、今、検査官がやっているのは結果のチェックです。例えば、まじめに「実はうちで空売りがありました」と報告しますと、「なんだ、そんなことをやっていたのか」ということで業務停止何週間というふうになるわけです。そうすると、彼らは、「結局、言わない方がいいな」となっていくわけです。「言わない方がいい」ということは、また従来の「結果だけ見て罰しますよ」というパターンであって、企業の主体的な「きちんとコンプライアンスに努めます」という取組みを促さないのです。

 そういう意味で、ガイドラインをきちんと作って、これを公にするということは大切だと思います。

 もう一つ、ある方は「内閣府は監督官庁でなくて、特定の業種を指導するわけではないので関係ない」と言われるのですが、結局、業種を直接監督していないところ、そこが作る方が合理的だと思っているのです。というのは、ガイドラインというのはただの箱です。ですから、行政罰のレベルを1、2、3、4、5と決めておいて、それに対して有罪点数いくらかけるというのを数式化していくだけです。具体的な行政罰はそれぞれの監督官庁が決めればいいことで、この箱の部分についてはある意味でいろいろな業界とかかわりのないところが作る方がいいという意味で、ここが将来検討していただければありがたいと思っています。

〔 稲岡委員 〕 確かに自主行動基準の枠組みからははみ出ている大きな問題ですが、規範とか制度とかいうのは、やはりある政策目的を実現するための制度、道具だと思います。そうしますと、それが政策目的を実行しやすいような仕組み、工夫が必要だと思います。それはやはりインセンティブといいますか、そういう、片方で勇気づけ、片方で抑止するという仕掛けが必要だろうと思います。そして、こういう仕掛けがありますと、企業人にとっては大変有効な動機づけになります。

 学者先生とか、消費者側の方たち、行政の方たちというのは「こうあるべきである」というふうにお考えでしょうが、企業の第一線で汗をかいている人間は、まず、どうやってそういう仕組みを作っていこうかということに頭を悩ますわけです。そういう場合に、こういうコンプライアンスについての仕組みがある、そして、コンプライアンスについて「これこれこういう努力をしていると、それなりに、もし万が一のときにもこうだよ」というのがあれば大きな励みになります。したがいまして、せっかくいい問題が提起されましたので、確かにこの委員会の枠組みをはみ出すとは思いますが、この委員会からコンプライアンス上の大きな問題として是非指摘していただきたいと思います。最後の報告書に残しておいていただいて、「これは国家のレベルで考えるべきことではないか」というふうに問題提起しておいていただきたいと思っております。

〔 松本委員長 〕 論点が残すところあと2つになりましたが、⑥の投資基準の開示義務の是非につきましては、高 委員のご専門ですので、どうぞ。

〔 高 委員 〕 ⑥の話をする前に、その上のところに連邦量刑ガイドラインの※のところがありますが、その2行めに「最大80分の1まで罰金が軽減される」とありますが、大したことではないのですが、正確に言いますと「基準を1とすると罰金額が最大4倍になって、最低は20分の1になる」ということです。ですから、その差が1対80になるという意味です。

 ⑥ですが、これも何度もお話ししていて「もう、けっこうだ」と言われるのではないかと思いますが、我々はここで自主行動基準とか、それを担保するための取組みを促していこうという意味では、「こういった投資運動を使って一生懸命やろうとしている企業さんを応援する枠組みを用意したらどうでしょうか」ということを申し上げたいだけです。  ここでも紹介させていただきましたが、基本的に我々が、国が、あるいは政府がどういう社会を作っていくのかということをイメージして、その方向に行くような法律の条文を作ってあげれば、SRIというのはかなり有効な手段ではないでしょうかということを言いたいわけです。

 具体的な例を前に挙げたかと思いますが、イギリスの場合には、例えば年金基金を運用する場合、社会的、環境的、倫理的要素を考慮に入れている場合には、そのポリシーを公表してくださいと。

 オーストラリアの場合には労働基準、その他、社会的、倫理的、環境的な要素を考慮している場合には云々という内容になっているわけですが、今回、こういう自主行動基準ということを推進して、こういう取組みをやるところを応援するということであるならば、例えば関係法令は何になるか、私はまだ予想がつきませんが、「自主行動基準あるいはコンプライアンス体制への取組み、その他、社会的、環境的、倫理的な取組み、これを年金基金や投資信託が投資先認定に関して評価している場合には、そのポリシーを公表してください」といった政府としての法的な枠組みを作るというのは、かなり賛同を得られるのではないか。

 先ほど、「いや、そんなことをやったって大したことないよ」という指摘がありましたが、確かにこれでもって一ぺんに世の中が変わるとは思っていません。ただ、前もここで紹介しましたように、イギリスは2000年の7月に改正法を施行したわけですが、それ以前年金基金、特に職域年金基金等は、一切そういった社会的な要素を考慮していませんでした。ところが、これが施行されたことで50%以上の年金基金が考慮を始めた。

 最近のアナリストに対する調査では、40数パーセントのアナリストがそういうことを考えるようになったということです。

 もう一つ言わければいけないのは、こういったSRIの手法をもって企業の取組みが完全に保障されるかというと、そういうことはありません。例えばアンケートに答えるときに、当然「うちは、こういう取組みをしています、基準があります」というふうに大体答えると思います。ただ、SRIが目指しているのは次の段階でして、インゲージメントなのです。つまり、我々はこういう方針に従って企業を選んでいる。選んだ企業が例えば不祥事等を働くと、例えばファンドを運用している会社は、その会社に対して意見を言う。つまり、相互持合いからものを言う株主を作っていくわけです。意見を言うことで「ここのところをこういうふうに改善していただけませんか」と。改善してくれればいいのですが改善しなければファンドから外すということもあります。SRIに求めるのはそのプロセスをすべて情報開示するということです。ですから、年金を運用するとか、投信を作るというのは、単に投資先を見つけてそこに投資するということだけではなくて、ガバナンスの構造にまで影響を与えていく、こういう可能性を持った法案だということをここで説明しておきます。

〔 原 委員 〕 私も大変おもしろいやり方だと思っておりまして、例えばエコファンドがありますが、あれは一般の投資者に売られていますが、今、おっしゃられたように年金基金がどういう運用をするかとか、401kが導入されて、これもどういったところで運用するかという意味で社会的責任投資というのは、消費者としてもとても大きな関心があります。

 環境環境ということで1つのグループがありますが、それも含めた形での社会的責任投資というところには、自分の投資先、投信の商品がどう組まれていて、どういう利益を上げるかという話とは別に、今、おっしゃられたように、そこを使って自分たちの意見を反映していこうというところまで視野に入れてきているので、私としては、項目としては是非挙げておいていただきたいと思います。

 ただ、その書き方ですが、知っている人は知っていますが、知らない人は何のことを書いているのかという感じになると思いますので、まず、コンプライアンスとか、自主基準とかという全体のところでも、世の中に出したときにどういう受け止め方をされるかというところは、まだはっきり定まらないところがあって、最後に「実効性」が入っていることは「何の意味か」というのが見えないので、今、高 委員がおっしゃられたようなことをもう少し付けて、「社会的責任投資ということを考えるのだ」ということが入ってここの文章が書かれないと、何のこと?という感じになると思います。その点のご配慮をお願いしたいと思います。

〔 南条委員 〕 先ほどからのくり返しなのですが、④も⑤も⑥も⑦も全部に共通しているのですが、また元に戻りますが、あくまで企業が結局は自分のプラスになると思って導入していくというところで、私は線を切るべきだと思うのです。そうすると、全部これは法的な強制力を持たすとか。⑥についても、考え方は全く賛成ですが、最後に、「義務化する」とかそういうのが入ってくると、結局、自主行動基準ではないのではないか。こうやってギチギチ強制的にやらせるものを作っていくのではないかということが1点。

 それから、国民生活審議会レベルで、「将来、こういうふうに考えていく必要がある」とか、あるいは「義務化とか法令的なものに対してこういう主張があった」という提案はいいのですが、ここまでギチギチ書くと話がずれてきてしまうと思います。

 何を考えているかというと、あまり最初からがんじがらめにすると、逆にワーッと反対を浴びて、結局、全く役に立たないということになりかねないという視点から申し上げているわけですが、その手前までの表現は、もう少しわかりやすくすれば、そういう視点もあるよということは大事なことであるし、例えばトヨタがハイブリットだとか省エネとかお年寄りの車を作っていますよというのを宣伝材料に使ったりしているので、それも幅広く言えばこういうものの一環なので、そういうのが役に立つような環境を作っていく。投資銀行とか証券会社にもそういうもののポイントをもう少し高くするようにという働きかけをするというのはいいと思うのですが、法的に全部あれして「義務化」とか「強制力」とか「罰則」とか「法整備が必要なのか」というところは、全部に共通しているのですがはっきり言って外れてしまうのではないか。少なくとも私が了解している自主行動基準というものから外れていくのではないかと思います。

〔 田中委員 〕 ちょっと細かい話で恐縮ですが、⑥のファンドマネージャーですが、単純に読むと大変問題なのは、ファンドマネージャーといいましても、自分が証券会社とか信託銀行でファンドマネージャーとし行動するときには、受託者として行動する場合と自分がポジションを持ってやる場合で違うわけです。受託者として行動する場合には、投資先を決めたことであっても委託者の依頼でやっているわけですから、委託者の承諾がなければ情報は開示できないわけです。

 自分が自分の会社としてポジションを持ってやっているのであれば、それは自分の会社の判断で開示できるわけです。

 ですから、最後の「情報開示を義務化する」といっても状況によって違いますので、したがって、ファンドマネージャーと単純に考えられない。どういうファンドマネージャーかということもある程度整理しないと、ここの文章は当たらないわけです。例えば、ここに書いてある「投資先を決める」という行為も実は投資計画を作るときの問題なのです。実際運用するかどうかというのは瞬時の判断ですから、また変わってくる。ともかく投資先を選ぶときにどういう計画を作っているか、それが情報開示できるかどうかという形になります。自分の会社であれば当然開示できますが、委託を受けている受託者としては開示はできないはずなのです。ですから、もしもこれを取り上げるのであれば、その辺も考慮した上で修正していただければと思います。

〔 高 委員 〕 大したことではないのですが、ちょっと誤解されているのではないかと思いますのは、後半部分のところは大ざっぱに言いますと、個別の事業会社さんにこういうことをやってくださいという内容ではないということです。前半までの自主行動基準を作るとか、あるいはコンプライアンス体制を作る、こういった企業を応援するような仕組みを社会の中に埋め込みませんか、その方向としてこういう7つのものが考えられるのではないでしょうかというので提案したものであって、情報なりを開示せよというような一般事業会社にそれを求めているのではないということを確認させていただきます。

〔 稲岡委員 〕 その場合は、文字どおり企業の社会的責任全般を対象としていますから、ファンドによってどういう責任に注目しているかというファンドは多数あるわけです。

 まだ皆さんがあまりお気づきになっていらっしゃらないかと思いますが、SRIの資本市場といいますのは、世界で数兆ドル、数百兆円の規模にのぼっております。そして、今日本の株も盛んにSRIのファンドで買われております。そのインパクトは大変大きいものがあります。しかも、日本でも確定拠出型年金の導入によってどんどん出ております。今朝の日経の朝刊にも載っておりますように新しい動きがどんどん出ております。

 ここに書いてあります「義務化する」というのは、もし、そのファンドに社会的側面があるならば、そのことを開示してくださいよということだけでありますから、量刑ガイドラインを策定するよりもはるかに簡単なわけであります。

 したがいまして、現に動いていること、インパクトが大きいこと、施策に移すことが簡単なことということで、是非、これは当委員会の結論としてポジティブに書いていただきたいと考えております。

〔 松本委員長 〕 最後でありますが、⑦の自主行動基準違反への対応につきまして、坂東委員からコメントをお願いいたします。

〔 坂東委員 〕 私も、既に同じことをずっと話してきました。また、先ほど山本(豊)委員から、この自主行動基準というものを公表するかどうかという話と、違反があった場合にどういうふうに考えるかというのが1つの論点ではないかというご指摘が既にありました。それへの1つの考え方がこの部分だろうと思います。

 これも前回と同じですが、いわゆる法的アプローチと全くの自主ルールアプローチという2つがあるとすれば、今回、我々が議論しているのは、いわばその中間ではないか。つまり、公表された事業者の自主的な選択に基づいて作成された自主ルールアプローチを今議論しているわけだろうと思います。

 そうすると、その枠組みの中には、今回出している中身を見ていただいてもわかるように、全くの宣言的な部分、場合によってはそれが当事者の合理的な意思解釈を通してひょっとしたら契約の合意事項にまでなっていくのではないだろうかという部分など、もちろんさまざまな要素がありうるわけです。ですから、それを全体として1本にまとめて「こういう効力ですよ」という形で提示するのはもちろん簡単ではない。簡単ではないけれども、公表されているという意味を考えたら、「強制力」という言葉がいいかどうかはともかくとして、少なくともそこでの規定が一定の紛争解決に資する形になるということが1つの考え方としてあるのではないか。それを表現したのがこの文章ではないかなと私は理解しております。

 と申しますのも、その前提条件としては、既にいままでも議論してきたように、この自主行動基準が消費生活センターとの協力の関係も含めて考えられるべきであるということがあります。また、他の基準との関係でいきますと、ISOの議論、JIS規格の議論の中でも、事業者団体による苦情解決というものが議論されております。それとの、いわば整合性みたいなものもとりつつ検討されていくのではないかと思います。

 2つめの「・」ですが、これも競争政策の問題で議論するのが適切であるかというご議論もあろうかと思います。ただ、競争法制の枠組みの中での1つの考え方として、このような手段もとりうるのではないだろうかと考えるわけです。

〔 滝川委員 〕 第1の「・」の「ADRの紛争解決の基準とすることで強制力を高める」という意味がよく理解できません。というのは、ADR自身、そもそも裁判によらないで当事者同士で和解するという制度なので、これは本来強制力ということはおかしいです。

 次に「事業者団体への加盟の条件」、これは山本隆司委員の文書でのご意見と基本的に同じです。これをやりますと第1に強制が強過ぎるということです。それから業界カルテルになるおそれがありますので、これは賛成しません。

 第2の「・」ですが、これは競争政策というあいまいな言葉ではなくて、競争法の解釈です。そうすると、これに該当する競争法の解釈は既に存在します。何かといいますと、景品表示法と独占禁止法、不公正取引の中の不当顧客誘引、あるいは他にもありますが、既にそういう法律ができています。これは公取が解釈して、適用しています。実際に自主行動基準を大々的に公表したにもかかわらず、それに従ってないとすると、独禁法違反になる可能性が強い。ただそれは具体的状況に即して公取が判断することですので、本委員会で「これが法令違反である」というのは、言うべきことではない。

〔 川本委員 〕 今のADRのところは、私もちょっとよくわからなかったのですが、個々の企業の自主行動基準とすれば、ADR機関がむしろ判断するときの、個々の案件 によって違いますが、1つの参考にはなるかもしれませんが、規範にはならないと思います。ここは主として個々の企業を対象としているとすると、ちょっと表現が不十分でわかりにくいと思いました。

 むしろ話がちょっと前の方にとんで恐縮ですが、全般的にⅢ.についてはどこまで書くのかという議論もあったのですが、特にWhistleblowerの話なんかを、実際に企業に携わっている池田委員、稲岡委員のお話を聞いていてなるほどと思ったのですが、やはりそういう実効性をある程度目に見えた形で考えていくものが、少なくともこの委員会の報告書に何らかの形でしっかり書いておくというのは、その次にまたいろいろな議論にもつながっていくでしょうし、大変重要ではないかと思っています。

 ④ですが、内部通報者を「内部問題提起者」とかもう少し適切な言葉を考える必要があると思います。公務員でも公務員法が変わって内部の通報みたいなものは、奨励はしていないかもしれませんが、けっこうなこととして不利な扱いにしないことになったと思います。社会的にもだんだんそうなってきていると思います。もちろん妙なことを言えばその人の品位が落ちるわけで相手にされないわけですから、やはり社会的な使命を持ったこと、社会的な利益になることを言って、それが評価されるわけですから、現にそういうことというのは非常に多いわけです。組織が大きくなればなるほど、組織の中でちゃんとそういう問題提起した人がいて、それに基づき改善されればいいのですが、時間もかかったり、なかなか受け入れられないといった場合、最後の手段というか1つの方法としてそういうことも現にありうるわけだし、国際的にもそういうことになってきているわけですから、前向きに考えていいのではないかと思います。

 ちょっと話がとびますが、事業者・消費者・行政が並列されていることに異論が出ていましたが、「行政」というのはいろいろな意味で問題を抱えているから、どうしてもネガティブにとらえがちなのですが、本来は、いわば「公の利益」を追求するのが公であり、公務員であり行政であるはずなのですが、その辺が混乱しています。また最近では公というのは公務員、行政だけではなくてNPOも含め、そういう社会的な関心をもって行う活動まで広がってきているわけですが、残念ながら、今非常に不幸な事態なのだと思いますが「行政=悪」、「行政が広がりすぎていて非常に問題がある」という感じにとらわれすぎているのですが、例えばアメリカでエンロンの事件が起こって、例えばスティグリッツという有名な経済学者がある評論に書いていましたが、市場主義の中であまりにも他の要素が捨てられていて、いわば、なんでも市場主義で片づくように考えているが、ある種のバランス感覚というか、そういうものを多くの人は持って市場を扱っていかなければいけないということを書いていましたが、全くそのとおりで、市場主義はもちろんけっこうなのですが、その中でそれをどうよくワークさせるかということが大切で、この委員会もある意味ではそういう目的でやっていると思うのですが、何かアプリオリに行政なり何なりが悪というのではなくて、「バランス」という言葉がいいかどうかわかりませんが、もう少し広く見て、もちろん企業は自主行動基準を作るわけですが、企業が主体なのですが、それをサポートしたりワークさせるために環境を整えるのは非常に重要だし、そういうことがなければ「お任せしますよ」ということになってしまって、それではなかなかうまくいかないのではないかという感想を持っています。

〔 松本委員長 〕 あとお2人の委員がご発言さっていないので、山本隆司委員とタン委員にご発言いただいて、最後に南条委員にご発言いただきます。

〔 山本(隆)委員 〕 遅れてまいりましたので、議論の全体を把握していないところがありますが、先ほどの行政罰の問題は、確かにここだけで検討するのは難しいという気がします。ただ、ここで「行政法の罰則等」と言われているのが何かということも少しわからないのですが、つまり、課徴金のような話、それから行政刑罰の問題、秩序罰の問題があって、おそらく行政刑罰のことが想定されているのかと思いますが、行政刑罰に関しては基本的には刑法と同じ解釈をとるというのが現在の普通の考え方ですので、そういうところから言いましても、特に行政刑罰に踏み込むとなりますとかなり検討しないといけないと思います。

 もう一つ、行政刑罰に関してですが、これは分野によっても違いますが、一般的に言いますと行政刑罰というのは実はあまり機能していないと言われておりますので、行政刑罰のところを動かして実効性を高めるということには限界があるのかなという感じもいたします。

 あと、私が前回までに考えて書いた書面は、こういう形で出ることを全く想定しないで、Eメールで書いたものですから、ちょっと文章になっていないところがありますが、今日議論を聞いた感じも、やはりこの間書いたことに重なっております。

〔 タン委員 〕 今日は発言の数より咳の数の方が多いのですが、大体先週で言い尽くしましたが、1点だけ⑦について、ADRというのは「ADR」と言わずに「IDR」、「EDR」というのですが、その2段階の苦情処理制度が推進されています。まず、社内の、internal dispute resolutionと、外部の、external dispute resolutionのシステムを中心にしているのです。

 私の考え方は、⑦なしのcode of conductに意義があるのかどうか非常に疑問に思います。 これがないといけないと思います。これがない方がいいとおっしゃるなら、私は、俗な言い方ですが「じゃあ、好きにして」と言います。

 本来、code of conductの1つの大きな目的は、消費者の苦情をまず防ぐこと、防止することです。どうしても苦情が出た場合は、当然、企業がそういう苦情に対応すべきです。ですから、当然⑦はあるべきだと思います。

 もう1点、ちょっと誤解を招くところがありますが、1ページにアメリカのEOAとオーストラリアのACPA、専門家協会の話が出ていますが、この文章はちょっと不正確かもしれません。「オーストラリアコンプライアンス専門家協会等のように、自主行動基準の策定・運営に携わる責任者等」という部分ですが、オーストラリアはご存じのように業界団体を中心に自主行動基準をやっているのですが、策定の段階でACPAの方が関わっているかどうか、ちょっとわからないのですが、私の理解では、オーストラリアは自主規制というよりもco-regulation、共同規制を中心にする国ですから、ただ、言葉はどうでもいいという向こうの考え方ですが、策定するのはもちろん業界団体が中心ですが、当然のことで行政からの意見を聞くなり、参加してもらうなり、消費者あるいは他の第三者の参加が普通のやり方です。ですから、ちょっと文章が……。

 そして、日本の場合、企業の方が行政のかかわりについて非常に抵抗があるような気がして、オーストラリアの場合は「SOCAP」という、society of consumer affairs  professionalsという組織があるのですが、10月の大会に行ってきましたが、行政の方と企業の方が非常に仲良く付き合っているので、日本でも何とかそういうことができないかしら。

〔 南条委員 〕 従来の延長の主張ですが、⑦はやはり全部なくした方がいいと思うのです。今、おっしゃった裁判外紛争処理でのあれというのは、もっと別の場所に入れればはまりがいいので、「強制力を高めるため」と先ほどおっしゃった方がいらっしゃったようですが、これをそのための手段みたいにするのはおかしいし、事業団体の加盟の条件というのは強制そのものになってしまうので、これもおかしい。

それから、法令違反が云々というような部分もやはり……、他の法律でいろいろなものでやるべきで、ここに書いたら、これに違反したら全部違反で取り締まるなっていう話になってくると、じゃあ、基準なんか出さないでいいという話になってしまうので、これもおかしいと思うのです。

  いろいろなご意見はあると思いますが、Ⅲ.で一定の方向を出すような書き方をするとすれば、①から③はこれの修文である程度いけるかもしれませんが、④以降は「こういう意見もある」ということで列挙するというところにとどめる。そして⑦はなくすという感じでするとはまりがいいと思います。

〔 松本委員長 〕 非常に多様な意見をお出しいただきまして、ありがとうございました。時間を超過して申し訳ございません。

 一通りさまざまな意見をお出しいただきましたので、それを踏まえまして、また事務局と起草者グループの間で意見調整をしながら文章化をいたしまして、次回、文章の形でまたご議論いただきたいと思います。

  当初、次回は3月1日に予定しておりましたのですが、文章をきちんと書くということ、事前に委員にお配りして十分読んでいただくという時間的ゆとりを考えますと、3月1日だと少し難しいということで、その次の予定に入っておりました3月29日(金)に次回の委員会を開きまして、その後、4月4日(木)が(予備)となっておりましたのを本委員会に変えまして、この2回ぐらいで一応の結論を出せればと考えております。

 それでは、最後に事務局から連絡をお願いいたします。

〔 堀田消費者企画課長 〕 次回ですが、今、松本委員長からご紹介がありましたように3月29日(金)の午後2時からを予定しております。場所は追ってご連絡させていただきます。

〔 松本委員長 〕 それでは、本日は時間を20分も超過いたしまして、誠に申し訳ありませんでしたが、熱心なご議論をいただきましてありがとうございました。

 これをもちまして閉会といたします。

                                                             

 以 上