国民生活審議会消費者政策部会自主行動基準検討委員会(第5回)議事録

平成14年2月28日(木)

国民生活局消費者企画課

〔 松本委員長 〕 時間になりましたので、ただいまから国民生活審議会消費者政策部会第5回自主行動基準検討委員会を開催いたします。

 本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 まず初めに、内閣府大臣政務官、国民生活局ともに人事異動がございましたので、お2人をご紹介したいと思います。

 亀井内閣府大臣政務官です。

〔 亀井内閣府大臣政務官 〕 ただいまご紹介いただきました、この度、内閣府の大臣政務官を拝命しました参議院議員の亀井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 委員の皆様方には、過去4回にわたっていろいろと真剣なご討議を行っていただきましてありがとうございました。

 これから本当の山場に入るわけでございますが、どうぞよろしくお願いいたします。特に、規制緩和、規制緩和ということで、それぞれの規制を取り払うという形の中で、今、世の中がノールールの時代になった。そういう状況でございますので、消費者はもちろん企業そのものが自ら律していかなければならない大事な時期であると思います。

 今回の雪印の事件などはその最たるものでございまして、本当にあきれてものが言えない状況でございますが、やはりそれぞれがそれぞれの立場で行動すべき規範というものを考えていかなければいけない。そうでなければ日本の明日はないと私は思っているわけでございまして、そういう意味では非常に大事な仕事でございますので、皆様方におかれましてはどうぞよろしくお願いしたいと思います。

 私も一生懸命勉強させてもらいたいと思いますので、ご指導のほどお願い申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

〔 松本委員長 〕 ありがとうございました。

 続きまして、永谷国民生活局長です。

〔 永谷国民生活局長 〕 1月8日付で国民生活局長を拝命いたしました永谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 以前、NPO法が施行になったときとか、消費者契約法が成立した時点だったと思いますが、担当審議官として国民生活局に在籍しておりました。

 前任の池田同様一生懸命頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。〔 松本委員長 〕 ありがとうございました。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 本日は、これまで4回の検討をもとに、私と高 委員、田中委員、坂東委員と事務局で相談しながら、「消費者に向けた自主行動基準の策定・運用に関する指針」についての中間報告スケルトン(案)を作成いたしました。それについて事務局よりご説明いただいた後、ご意見を伺ったり質疑を行いたいと思います。

 それでは、まず事務局からご説明をお願いいたします。

〔 堀田国民生活局消費者企画課長 〕 お手元に、資料として、タイトルが「消費者に向けた自主行動基準の策定・運用に関する指針」という紙がお配りしてあると思います。それをもとにご説明させていただきます。これは、先週末に送らせていただきました紙と少し変わっておりますので、今日、お配りしてある方をご覧いただきたいと思います。

 最初に、今後まとめたいと思っております中間報告のスケルトンの構成でございますが、今回、お出ししておりますのは、「Ⅰ.総論」の部分と、4ページからのルールに当たります「Ⅱ.自主行動基準」といったことでまとめさせていただいておりまして、8ページの一番最後に書いてあります「Ⅲ.実効性確保・策定促進の方策」、「Ⅳ.今後の課題」といった、本委員会で議論が十分に尽くされなかったような点につきましては、今後の課題といったことでまとめたいと思っております。一応、この4つのパートからなるものにしたいと考えております。

 それから、本来は、「はじめに」あるいは「イントロ」という序文がこの前にきて、指針の意味、特に規制緩和の中でどうしてこういうものが必要なのかといったこと等について書くわけですが、最初に、もう少し意味づけをしっかりしたいと考えております。

 それでは「Ⅰ.総論」の部分からご説明させていただきます。

 最初に(1)当指針の位置づけということで①当指針の意味を書いております。当指針は「事業者が消費者に向けた自主行動基準を策定または運用する場合、望ましい在り方を明示したもの」と考えております。

 目的といたしましては「消費者の事業者への信頼の増進及び望ましい取引慣行を促進することを目的とする。」ということで、特に「消費者保護関連法下での義務を遵守するとともに、法を上回る価値ある社会的利益をもたらすものでなければならない。」ということで考えております。

 「Ⅱ.自主行動基準」については、「業種によっては関係が薄い項目がありうることからどの項目をどのように明示するかは各事業者の判断」に任せる部分も多いのではないかと考えます。

 この指針自体は、当然のことですが「法整備、経済社会環境の変化等を踏まえ、時間の経過とともに弾力的な見直しが必要」ではないかと思います。

 ②は後ほどご確認いただきたいと思いますが、この自主行動基準の対象の範囲ですが「事業者と消費者の間の取引及び消費者の安全に関連するもの」、直接取引関係にない場合であっても、当然、製品の安全というのは非常に重要かと考えます。こういう範囲に絞っていいかどうか、また後ほどご議論いただきたいと思っております。

 ③では、自主行動基準策定のメリットということで、いくつかのメリットを挙げております。「企業経営の透明化を図り、対外的にも明確な説明が可能」、「アカウンタビリティが高まる」というようなこと。

 「他事業者からの差別化を図り、競争上の優位性を確保し得る手段」、競争の中でよりいいものができ上がってくるということだと思います。「特に消費者の事業者または製品への愛着心・忠誠心を高める」のではないかということです。

 「積極的に消費者の声を吸収し、企業経営に利用、反映することも可能」。

 「消費者と事業者の間の紛争解決の基準として利用することも可能。その結果、トラブルの減少、取引の安定性をもたらすことも可能」。

 「重大な苦情についても迅速で一貫性のある対応が可能。特に緊急事態へ的確な対応が可能」になる。

 次に、これは、高 先生がよくおっしゃっておられますが「海外年金基金を中心に担保する手段となり、投資を呼び込む効果」、機関投資家がその企業を判断する1つの基準になって、資金をその企業に呼び込む効果もあるのではないかということです。

「善管注意義務を具体的に担保する手段となり、結果的に株主代表訴訟等のリスクを軽減する効果」というものもあるのではないかと指摘されております。

 「明確な自主行動基準を作成し、遵守することは過度な規制導入を回避、また、実効性が高ければ既存の規制の緩和を行う根拠となる」ということだと思います。

 2ページにまいりまして、④は優良自主基準に求められる要件ということで、具体性ということで「抽象的な記述ではなく具体的な内容を示すこと」、明確性ということで「できるだけ平易かつ明快で理解されやすい内容になっていること」、透明性ということで、「消費者に公開され、目に触れやすい」といったような条件、信頼性ということで「実効性を確保し、信頼を高めるものであること」、こういった4つぐらいの要件があるのではないかと考えます。

 ⑤で法令との関係を書いておりますが、法律を守ることは当然基本ですが、法令が抽象的な場合、契約法などでも抽象的なところがございますが、それを「具体化・明確化」、さらに「法令の適用の自主拡大、法令の上乗せを含む」といったような事柄が含まれてくるのではないかということです。

 ⑥ですが、これまでいろいろな規格が別途作られておりまして、ISOの規格、JISの規格、公正競争規約、企業が現在作っておられます社訓、倫理綱領、こういったものとの関係を整理する必要があると思います。

 ⑦自主行動基準策定の問題でございますが、仮に不十分な自主行動基準が作られますとそれが形骸化してしまう可能性がありますので、自主行動基準だけではなくて実効性の確保とか、あるいはそれをモニタリングするといったことが当然必要になってまいります。 それから、本来、規制を導入することが必要な分野に対してそれが遅れてしまう懸念もございます。その意味で行政の一定の関与も必要かと思われます。

 (2)は、自主行動基準を策定・運用するための留意点ということで、①ではデュープロセスと申しますか必要なステップを書いております。

 第1ステップといたしまして、事業者にとってのリスクの把握。どういうことが起きる可能性があるかといったものをまず把握しておくということ。

 第2ステップといたしまして、主要な利害関係者との協力関係の確立ということで、当然、こういったところに消費者も入ってくる可能性がございます。

 第3ステップといたしまして、行動基準の草案を作成する。

 第4ステップといたしまして、それを成文化して会社の中で正式決議する。

 第5ステップといたしまして、それを公表して積極的にPRする。

 第6ステップといたしまして、それを実行・運用していく。

 第7ステップといたしまして、さらに実際の運用の過程で問題が生じた場合には見直しといったことが必要になってくるかと思います。

 3ページにまいりまして、②ですが、こういう適切なプロセスを経たものということでそれを担保するための効果的な社内体制を書いております。やはり経営トップのしっかりしたコミットメントが前提になるかと思います。それに基づきまして責任者が決められるあるいは実行部署がはっきりしているといったようなことがございます。その他教育・研修プログラムとか監査といった事柄。

 それから、以前、内部告発制度といった話がございましたが、従業員から報告とか照会が受けられるようなホットラインといったものも大切かと思われます。あるいは罰則の問題とか緊急の対応策といったものの確立。

 最後に、消費者の満足度の調査・分析などもやはりデュープロセスの中で必要かと思われます。

 ③は、企業以外の周りのそれぞれの利害関係者の役割ということでまとめてありますが、事業者団体が率先して加盟の企業を引っ張っていくといったような場合に、その自主行動基準の水準の引上げとか実効性を上げていくといったことが、事業者団体の在り方としては期待されている。

 消費者も非常に重要だと思われます。やはり消費者が事業者の評価をきちっとやるといったことが、こういう自主行動基準がきちっと動くための必要なところだと思います。

 行政は、こういう自主行動基準の策定を促進したり、必要に応じて助言とか法的な枠組みの検討といったこともあるかと思われます。

 ④は、これは主として大企業を想定して考えておりますが、後ほどまたご議論いただきたいと思っている点は、中小事業者に対してどの程度のものを期待するかということです。中小事業者につきましてはⅡ.における項目の中で、関連の深い項目というのはある程度限定されるということで、限定されたそれらについては明示する努力をきちっとやってほしい。さらには、中小企業関係の団体あるいは第三者機関といったようなものによって作られた自主行動基準を活用するといった選択肢もあるのではないかと思います。

 それから、最近、インターネット取引といったものが増えておりますし、無店舗というのも多くあります。そういった場合、相手が誰なのかというのがはっきりしないわけですから、そういったところには特にこういう自主行動基準をしっかり明示することが必要なのではないかと考えます。

 ⑤は、仮に事業者団体が自主行動基準そのもの、あるいはそのひな型を策定する場合の留意点ということで整理しております。それぞれの事業者団体の加盟会員に対しては、ある程度強制力を持っている必要があるのではないか。他方で、やはり競争制限的であってもならないというところがございます。事業者団体は同業者内の水準が上がるような努力といったこととか、苦情処理センター、消費生活センターといったところとの協力関係。透明性を上げるための報告書の策定といったものも各団体にやってほしい努力ではないかと考えます。

 Ⅱ.は、ルールの部分に当たるということで、ここにつきましては、基本的に事業者が策定して、それができるだけ消費者にわかりやすい形で公表されていることが望ましいものを列挙してあります。

 2つに分かれておりまして(1)が消費者に対する対応、(2)は自主行動基準の運用体制・手続きということで、(1)の部分の中で消費者に対して示されることが望ましいものを書いてございます。

 (1)の消費者対応のところでは、①で消費者との関係ということで、全体と以下の項目との関連になってくるかと思いますが、最初にa)で自主行動基準策定の目的が示されているということで、いろいろなステークホルダーがある中で消費者というものがどういう位置づけになりうるのかといったことが最初に書かれる必要があるのではないかと思います。

 b)に、緊急事態時に優先されるべき価値といったものが書いてあります。

 c)として、いろいろな取引事業者がいるかと思います。川上、川下それぞれ調達業者とか納品業者と取引関係を持っているわけで、そういう事業者の法令遵守をどう考慮するかといった点がございます。

 d)として、最近よく問題になっております個人情報保護、顧客情報の保護といったことで、現在、法律自体は国会に出されておりますが、そういったものとの整合性をとりながらどのような保護方針をとっていくのかといった指針が必要かと考えられます。

 ②以下は、契約に至るまでの時間的経過の中で分類しておりますが、最初が広告、次が情報開示という順番になっております。

 広告につきましては、a)として、広告主の責任の明確化、b)として、不利益事実といった広告で書くべき内容がございます。c)として、不適切な広告ということで、最近よく健康食品とかダイエット食品とかでやや誇大な広告といったものがございますし、広告で表示しないといった問題もあるかと思います。d)として、比較広告を使う場合の問題点もあるかと思います。

 ③は情報開示・提供ということで、a)として、契約を結ぶ前に消費者に対して重要な事項について情報提供するといったこと。その場合の方法として書面とか口頭とかがございます。消費者契約法の第3条でも事業者に求められる努力義務として、消費者に対してわかりやすく説明することが求められているということがあります。

 5ページにまいりまして、b)として、書面を交付する場合とか書面を保存する場合の方針。c)として、事業者のデメリット情報。消費者にとっても不利益な情報についてどう扱うのかといった基本的な方針がございます。d)として、消費者契約法の中で「重要事項」という言葉が出てまいりますが、重要事項のそれぞれについてどこまで消費者に説明することが適当なのか。それぞれ商品・サービスの内容から始まりましてアフターサービス、決済関係等の情報について企業としてどこまで事前に説明するのかといったことを書いてほしいところでございます。

 ④が、勧誘の方針ということで、事業者が消費者に対して勧誘するといった場合、a)として、不適切な勧誘類型ということで子ども、若年、高齢者。金融商品販売法等ではこういったところの勧誘の在り方が問題にされているところでございます。勧誘時間の問題といったものもあります。

6ページにまいりまして、⑤契約をどういうふうに履行するのかということで約款、契約条項といったところが関連してまいりますが、a)として、約款の中にそもそもどういった形で書くのかといった留意事項の問題とか策定の方針といったところから始まりまして、解釈について、例えばもめたときとかそういった場合に「作成者不利原則」といったものを採用するのかどうかといったようなところがあります。

 d)のところですが、仮に事業者団体が自主行動基準を作るような場合に限られるかと思いますが、契約法の第10条の一般的に消費者に不利な条項といったものを明示するのかどうかといったところがございます。

 ⑥は、製品等の安全につきまして企業の品質管理の在り方とか、欠陥情報、仮にリコールをする場合の基準、あるいは回収の告知する方法、消費者にどういった形で知らせるのかといったようなことがございます。

 ⑦は、環境関連になっておりますが、消費者に対しても消費の在り方として環境負荷の少ない消費をしていくということから、環境負荷の少ない製品といったような形とか、あるいはリサイクルが可能なのかどうかといったものに関する情報といったものがございます。

 ⑧は、もし、業種によって特に必要なものがあればという形で、後ほどまた付け加えることがあるかもしれません。

 7ページにまいりまして、⑨は、仮に消費者からの相談とか苦情があった場合の対応の在り方としまして、a)として、消費者窓口の設置あるいは手続き。b)として、苦情等の情報の利用の方法。c)として、公表の方針。d)として、紛争が起きた場合の斡旋、調停、仲裁の手続きといったような事柄があるかと思われます。

 以上が消費者対応の部分でございまして、(2)以下は、先ほどのコンプライアンスとも絡んでくるところでございます。運用の体制・手続きの問題でございます。消費者に対して示されることが望ましいものとしまして、a)として、担当部署が設置されているかどうか。b)として、対象者の範囲。大きな企業の場合には関連企業がございますが、そういった関連企業を含むのかどうかといったことがございます。

 ②は、従業員に対する教育・研修をどうしているか。

 ③は、内部監査、あるいは外部監査も含めましてモニタリングの方法。

 ④は、見直しの方針。

といったような事柄がございます。

 最後の8ページでございますが、⑤は、消費者がどのように関与しているのか、あるいはしていないのかといったような事柄と、⑥ルールに違反した場合の対処方法といった6つのアイテムにつきまして(2)の中に入れさせていただいております。

 簡単でございますが、以上が枠組みの説明でございます。

〔 松本委員長 〕 ありがとうございました。

 論点が非常に多岐にわたっておりますので、大きく2つに分けまして、まずⅠ.総論の部分についてご議論いただいた後で、Ⅱ.の具体的に盛り込む事項についてご議論いただきたいと思います。

 それでは、まず総論の部分からどうぞ。

〔 南条委員 〕 松本委員長はじめ非常に一生懸命お詰めになったということに敬意を表したいのでありますが、ちょっと受けた感じを申し上げますと、最初からそう思っているのですが、自主行動基準というものを一体どう使うかというスタンスがいまだによくわかないのですが、自主行動基準という以上は企業が自主的に、これをひな型にしてやるというところにポイントが置かれているのではないかと思います。

 もう一つは、私は経済産業省の消費者優良企業選定会というのにもう数年入っているのですが、そこで企業の面接をしてチェックしているのは、まさにこういうものがちゃんと備わっているかどうかをチェックしていて、まずこういうものが備わっていなければアウトなのです。ということは逆に言えば、一定程度の企業は相当程度こういうものを備えている。したがって、「こういうものをひな型として、こういうものを作った方がいいよ、作りなさいよ」というのは、むしろ中堅企業だと思うのです。ところが、どうもちょっとそこいらが違っているのが1つです。

 それから、整理がうまくできていないのですが、消費者契約法もありPL法もあり、訪販法を改良したもう少し広範囲な法律があり、業法があり、独禁法の不当表示等、そういうものがありというものをどう咀嚼して、それをもとにして、そこにいかなる不明確な部分をどうやってかみ合わせてここにもっていくかというつながりがちょっと見えない。したがって、もうそういう法律で決まっているものがまたダブって出てきているような部分も感じるし、そういったところの整理がマクロとミクロが混在している部分もあるし、もう少し、これからまさにそういう議論だと思うのですが、整理をしていかないとならないのではないかというのが印象なのです。

 もう少し申し上げると、個別の総論の方でいきますと、表現でちょっと気になるところは、①は比較的きちんと整理されているのですが、③の部分の自主行動基準のメリットですが、例えば2行めの「差別化を図り」という言葉があるのですが、こういうのはニュアンスとしてあまり良くない。しかも「差別化」というと、みんなが一生懸命この基準を導入すれば同じものを持つわけで差別化にならないわけだし、むしろ、あまり差別化を強調するよりは、全体のレベルが上がるということをメリットとして強調すべきであって、こういうことになると、じゃあ、他の企業はやらないことを前提としているみたいな表現になる。

 その次の、これはちょっと言葉があれなのかもしれませんが、次の行で「消費者の事業者または製品への愛着心・忠誠心を高める」とあるのですが、「忠誠心」を消費者が事業者に対して持つという、なんか言葉としてはいかがかなという感じがあります。

 その次の行で、「消費者の声を吸収し、企業経営に利用」というと、なんかダシに使うような印象があって、これも言葉としてあまり好きではありません。せめて「活用」ということではないかと思います。

 1ページの最後の2行ですが、「自主行動基準を作ると過度の規制を回避したり、規制緩和を行う根拠ともなる」とあるのですが、2ページの⑦に、少なくとも私が読んだ限りは「アレッ」と思ったのですが、「本来、規制を導入することが必要な分野へ規制を導入することが遅れる懸念からある程度の行政の関与が必要」というと、パッと見たときに何か矛盾しているのではないかなと思うわけです。「自主行動基準を策定すれば規制がいらなくなるよ」と言っておいて、こっち側では「自主行動基準がうまくいかないと規制しなければいけないところの規制が遅れてしまう」というので、これはちょっとよくわからない。

 しかも、私のスタンスから言えば、自主行動基準というのはあくまで企業が主体的に策定するべきものだと思うし、できるだけそういう環境を作っていくというのが市場経済を動かしていく意味で大事だと思うので、自主行動基準と言いつつモニタリングをやったり行政が関与したりというのは、あまりこういうものをギラギラ出すのは、そもそも自主行動基準というものをみんな採用してくれよと訴える場合に、逆なのではないかなという感じがいたします。

 3ページの④の中小企業ですが、先ほど申し上げたとおり、私はむしろ中小企業、あるいは中堅企業等々が主体的に、ただ、自分ではこういうものを策定する能力がないとすれは、ひな型を示して、そのうちから自分に合うようなものを作っていくという、そういう自主的な行動を促すのが、特にこの意味があると少なくとも私は考えます。

 したがって、前にいただいたペーパーで「アレッ」と思ったのですが、その表現は相当改善されていることは認めますが、もう少し、中小企業というものはこれを積極的に使うような感じの表現がほしいと思います。

 最後に⑤ですが、同様の趣旨で「加盟会員には強制力を持つべき(懲戒手続き等)」、こういうのは僕はすごく抵抗があるのです。主体的に持つということを助けるというのは必要だし、その結果としてメリットの方にあるような、自分の企業が消費者に好かれて、業績が上がるというふうなことが市場原理的に現れてくるというものであって、こうやってギリギリ押さえ込むようなことはあまり賛成はいたしません。既にいろいろな形の法律がPL法も含めてあるわけで、もし、著しく消費者を毀損するような行動があれば、そこで罰せられるわけですから、私はあまりこういうことは、自主行動基準とうたいながら事業者団体に強制力を持たせて懲戒までというような表現は賛成いたしかねます。

〔 宮部委員 〕 今、南条委員の方からいろいろお話がございましたが、私は、今の堀田課長からのご説明を聴いていて、まず主語が一度も出てこないことに違和感を覚えました。

 日本語は非常におもしろい言葉で、主語がなくても「何となくわかれ」という格好で文章を書くことができます。今回のこの文章はその典型ではないかと思います。

 例えば表題にしても、「消費者に向けた自主行動基準の策定」とありますが、誰が誰に言っているのですか。もし、堀田課長が言っておられるのなら、「私、堀田課長は、事業者に『消費者に向けた自主行動基準の策定』をしなさいと言います」と書かなければいけないのですが、そうした表現は全然ない。これで何となく通じるような感じはしますが、実は誰が誰に言っているのか全くわからない。

 そういう意味で、このスケルトン案を読みますと、全部そうなっていると言わざるを得ないと思います。

 もし、内閣府国民生活局の消費者行政の担当の方々が、企業におっしゃるのなら、「私たちはこう思います。あなた方、こうしなさい」というふうに全部を書き換えてみたら、このスケルトン案は非常におもしろい文章になります。そう読みますと、これは規制です。今、流行らない規制になる。

 我々事業者の団体としては、最近の食品関係の企業のような不祥事を起こすようなところは確かにありますが、これはもっての他の話で、これをみんな右に同じであると言われると困ってしまいます。そういうことを抜きにしますと、やはりお役所に規制されて「こういうふうにしなさい、ああいうふうにしなさい」とはあまり言われたくはありません。

 このスケルトン案を見ると一見そうは書いてないように見えますが、実際には書いてあるのです。全部、「こうした方がいいよ」、「こういうことが望ましい」と書いてある。企業が、「じゃあ、このスケルトン案の内容に従って経営を行って、何か問題が起こったときに、お役所は本当に責任をとってくれるの」と言うと、「望ましい」というような表現で逃げているわけです。

 もし、本当に何かお役所がものをおっしゃるのなら、「消費者企画課長の堀田はこう思う」と一人称で書いてほしい。そうすると、もっともっと議論がきっちりしたものになると思うのです。こういう形で何となくものを申して、何となく最後まで自らの規制や指導が引き起こしたことに対する責任はとらないということが横行しております。

 私も海外出張やら、個人的にも海外に遊びに行ったりしておりますが、日本の国民ぐらい海外で恥ずかしいことをしている国民はいません。みんな行政が国民に対して手取り足取りやっているからです。例えば、日本では、どこの駅でも電車が入ってくると「黄色い線より後ろにお下がりください」と必ず言います。そうしたことを鉄道会社が言わないで、もし誰かが電車にぶつかったら、それは行政の責任になると思っているからです。世界各国でこんなことはありません。

 例えば海外でバスに乗って遊びに行くとすれば、インフォメーションは「3時間は止まりませんよ」、この一言です。「おしっこに行きなさい」と誰も言わない。日本の旅行者だけがそこで「言ってくれれば、あたし、行ったのに」という。「3時間は止まりませんよって言ったでしょう」なんて言うと、「『おしっこに行け』とは言ってくれなかった」と言い返す、この恥ずかしさ。本当にわが国の国民は自己責任がなくなりつつあります。これは国家全体で国民に対して余計なおせっかいをやっているからです。

 私は、やるのなら徹底的に「してはいけない」と書いてほしい。それを言わないで何となく「する方が望ましい」、「こうすることがみんなのためになる」、ああだこうだ…と書いております。今回の文章に主語が1つもない。これは改めていただきたい。

 一度堀田課長自らが主語になって書き直してみてください。すごくわかりやすくなる。どこがおせっかいでどこがいいところか如実にわかるようになると思います。

〔 松本委員長 〕 主語のことが出てきましたから、どういう趣旨か簡単にご説明ください。

〔 堀田国民生活局消費者企画課長 〕 スケルトンということで、やや簡潔に書き過ぎたところがございまして、主語がないというご指摘はごもっともだと思います。しかるべく主語を明確にした上で書き直したいと思います。

〔 松本委員長 〕 それでは、吉岡委員、原 委員の順序でお願いいたします。

〔 吉岡委員 〕 書きぶりについては、まだこれからきちっとしたものになるのだろうと思っておりますが、そこで申し上げたいのは、「はじめに」をこれから書くということでしたが、「はじめに」のところで「なぜ自主行動基準が必要なのか」、「他法令との関連」ここにも書かれておりますが、その辺をもう少し、国民生活審議会ですから、消費者契約法に少し焦点を当てて「なぜ必要なのか」ということを書いていただきたいと思います。

 企業の社会的責任の問題で、自主行動基準を作ることによって、今「黄色い線の外側に……」ということをおっしゃいましたが、これは責任は消費者だけではなくて企業にもあるわけです。それも含めて考えなければいけないと思いますのは、名前を申し上げても新聞沙汰になっているのでいいかと思いますが、乳業系の食品会社が犯罪行為をしていた。同じ親会社の方が一昨年あれだけ事故を起こしている。それでいろいろなことをやっていらっしゃるはずなのです。HACCPもとっておありになった。にもかかわらずああいう問題が起きる。これは企業が社会的責任をどれだけ感じていらっしゃるのか非常に疑問なところです。

 そういう意味で、どんなに立派な自主行動基準ができたとしても、企業のそれに対する姿勢がきちっとされないとだめだという問題があります。これは、もう、少し古い話になりますが、消費者保護基本法ができた後、事業者の中で消費者部門をずいぶんお作りになりました。企業によっては社長直結、あるいはホットライン、そういうことを言っていらっしゃいました。そういうことを言っていながら実は事故を起こしている。それも道徳的な問題も含めてです。

 そういうことを考えると、いくらペーパーを作って立派なものを作っても、それを実施できるような社内体制が組まれていないといけない。その辺が絵に描いた餅にならないためにはどうしたらいいのか、ここを少し深めてお考えいただきたいと思います。

 やはりトップの意識がどうかということはもちろんありますが、トップの意識だけではなく企業全体としてどう取り組むのか、企業全体の意識をどうするのか、そのためには教育をどうするのか、そういうことを含めながらお考えいただきたいと思います。

 同じ基準を自主的に作るということは規制よりも厳しいものだと思っております。その厳しいものを自ら作って、それが守られなかったら何なのだということで、消費者の不信を強めるだけのことになってしまいますので、その辺をお考えいただきたいと思います。 それから、当然、国際的な視野を持った基準でなければいけないと思います。現実の問題としては、商品・サービスを国際的に国境をまたいで買う、あるいは契約をするということが多くなっています。それから、IT時代ですから、国境を越えることも簡単です。そういうことも踏まえながら自主行動基準はどうあるべきなのか、IT革命専門性も考えていかなければいけないのではないか。大ざっぱですが、ちょっと意見を申し上げました。〔 原 委員 〕 講座とか講演が重なりまして、前回まで欠席続きで申し訳ありませんでした。

 このスケルトンを送っていただいて、ざっと読ませていただいての印象が2つあります。あと、中身について指摘をしたいと思います。

 全体を読んでの2点の印象ですが、先ほど南条委員の方から、こういったものは大手の企業であれば大体作っているということなのですが、作っていることの抽象性が問題で、ここで求められているのは明確性と実効性だと思っています。そこはもうはっきり「明確性」と「実効性」ということで、今、なぜ自主行動基準が必要なのかということで打ち出せると考えます。

 2点ですが、消費者ということのとらえ方ですが、ステークホルダーとしては従業員、株主、消費者、地域、広い意味での環境というところがあると思うのですが、この中で企業の社会的責任というと、すべてにかかわらなければいけませんが、ここで取り上げる消費者は、限定的なところでの消費者というとらえ方をするのだということと、消費者という概念も非常に変わってきているといいますか、時代とともに変わってきていて、当初、消費者保護基本法ができた頃は、反射的利益を受ける消費者という存在だったと思うのですが、前回、吉岡委員から話をしていただいておりますが、消費者の権利に根ざした形でそれに企業が対応する形での企業対応というのが出てくると思うのですが、今、もう一歩進んで、消費者は市場を通して社会をコントロールしたいという存在にまでなってきているわけで、それが例えばグリーンコンシューマーですとか、人権を配慮した形での企業から商品を買おうというふうにすごく広がってきているわけです。どういうところの消費者をとらえて、ここの消費者対応の自主行動基準を策定するのかを明確にしないと、この範囲をどこまで広げたらいいのかというところ、どこに焦点を当てたらいいのかというのがなかなか見えてこないのではないかという感じがしています。

 ですから、関連する法令もどこまで入れれば、それをカバーしたことになるのかという点では、まず、消費者の概念のところをきちんと整理して、ここで取り上げる消費者とは何かということが必要かと思います。

 2つめの印象ですが、先ほど、「これは新たな規制にはならないのか」、「『望ましい』という言葉でくくってあるが、そういうふうにはならないのか」というご意見が出されましたが、やはり見る限り構造がとても硬いです。これをもっと柔らかい構造にして、今は平面的に取りかかりのところだけの文章でしか作成されていませんが、これを実際に動かしていくときには、こういうふうに策定していますよということを情報開示して、それをチェックして、そしてまた次のステップアップをしていくというP>D>C>Aという、今「環境管理・監査」と言われている手法ですが、そうやって自主的に継続的改善が図られていくような、そういうシステムになっているということがとても大事で、それがまだこの中からは読み取れないということです。そのあたりが明確になってくれば新たな規制という感じではとられないのではないかという感想を持ちました。

 中身ですが、先ほど南条委員がおっしゃった1ページの③の「メリット」ですが、やはりちょっといくつか訂正すべきで、南条委員がおっしゃられた2番目の「・」のところは私もそのとおりだと思いますし、一番最後の「・」のところも、次のページともちょっと齟齬をきたしていると思いましたし、その前の上の「株主代表訴訟」のことも、事業者側からみると株主代表訴訟のリスク軽減なのかもしれませんが、消費者からみるとこういう言葉ではなくて「株主にも企業の安定性を示せる」というような表現になるのではないかと思います。

 2ページの⑥は、そういう意味で整理されればもっとたくさんの法律との関係が出てくるということと、(2)の自主行動基準策定・運用のための留意点のところで、すぐに手順に入っていますが、手順に入る前にやはり「トップに直結した形で定められること」というような要件が入ってくるべきではないかと思います。

 3ページの④の中小事業者のところは、南条委員がおっしゃったように私も前もっていただいた分では感じておりました。

 ⑤ですが、新しくいただいたものでは少し修文にはなっていましたが、「強制力を持つべき」と「競争制限的にならない」という二律背反的な文章が入っていて、これは、実際、事業者団体でこれを策定してしまうと公正取引委員会との関連が非常に引っかかってくるのではないかと思って、もう少しいい表現といいますか、あるのではないかと思っています。

 それから「懲戒」という言葉も大変厳しくて、金融の方のトラブルの、今、モデル案を作っているのですが、それは「報告義務と勧告」という形でここのところを整理しているので、そういったところぐらいがちょっと柔らかい形になるのではないかと思っております。

 長くなりましたが、以上のような点を感じております。

〔 松本委員長 〕 鍋嶋委員、滝川委員という順番でお願いいたします。

〔 鍋嶋委員 〕 まず全体ですが、これがB to Cに特化しているのか、あるいは一般的なコンプライアンスというか概念だけなのかというところが混在している気がします。

 もう一つは、企業の自主行動基準ということですが、それが上位概念にあって、その後で社内の規定とかルールとかマニュアルとかそういうものが位置づけられるものですからそういうものだと考えておりますので、総論のところが上位概念の部分でしょう。

 そうすると、細かい規定ルール、マニュアルはそれこそ各企業あるいは団体が作るべきものであって、そこまで指定する必要はないのではないかという気がいたします。

 1ページの文章の①でちょっと気になるのは、5行目の「法を上回る価値ある……なければならない。」というところは、指針であるのに「なければならない」ということはないだろう。「……が求められるであろう」とかそういう言葉にすべきであろう。その辺の言葉が非常にバラバラであるということです。

 これは南条委員からもありましたが、③の「忠誠心」というのはちょっと何とも言えないだろう。

 下から5行目の「海外年金基金……」の「投資を呼び込む効果」ということですが、「投資を呼び込む」ということまでははっきり言うと言い過ぎで、IR効果を促進するとかそういう話であろう。

 「株主代表訴訟等のリスクを軽減する」ということに関しても、ここまで言い切ることはないでしょう。「株主に対する責任範囲」というような、その辺を示す参考になるだろうというような感じの言葉の方がいいと思います。

 2ページの⑥ですが、これは堀田課長のところで「社訓、倫理綱領などを整理する」ということですが、これはべつにあってもいいわけで、その上位概念にこういう行動基準があるということをはっきりすれば良いことではないかと思います。

 3ページの③に行政のことが書いてあるのですが、国民生活センターの情報が役に立つ情報になっているわけですから、情報開示ももっと広くやってもらいたい。

 ④の中小企業における云々については、「中小企業については基本的にⅡ.における項目のうち」と書いてありますが、やはりⅠ.が、総論の方がはっきりわかってもらわないとだめなので、なぜここにⅡ.だけ書いてあるのかよくわからないと思います。

 ⑤の「懲戒手続き」、これはいらないだろう。

 以上です。

〔 滝川委員 〕 3ページの⑤についてですが、これは南条委員と原 委員が既に指摘されたことですが、それにつけ加えて申し上げます。

 まず、事業者団体で行われる場合は、それ以外、普通の状態である個別の事業者による基準作成と質が全く違いますので、それをどうしたらいいかということです。ここはこだわりませんが例えば⑤を(3)ということにするとはっきりします。事業者団体でやる場合は普通の場合と違った性格が生じるということです。

 もう一つ、事業者団体と言うと定義が問題になってくるので、いろいろな法律で定めている事業者団体に限らず、業界で協調している場合に問題が生じますので、「事業者団体その他の業界協調」というふうに書いたらいいと思います。そうして問題点は、基本的には事業者団体でやりますと競争制限が出てくる、これには注意しなければいけない。

 それをどうしたらいいかという具体的な提案ですが、一番最初は、基準設立の手続きについて公正な手続きが確保されていること。ちょっと言葉が重なったので言い直すと「基準設立について公正な手続きが確保されている」ということです。公正手続きいわばデュープロセスということになりますが、「新規参入者を排除するとか、あるいは一部の有力企業だけに有利な基準を作るとか、そういうことがないようにするための手続きが団体の中で確保されていること」ということです。これを最初に書くのがいいと思います。

 そして、ここで書いています策定主体は「その業界で影響力を有する必要がある」、これは、影響力を有する必要があるということをこちらではっきり言うのかというのはかなり抵抗があります。これは微妙なところなので……。

〔 松本委員長 〕 そこの部分は変わっております。

〔 滝川委員 〕 そうですね、これは変わったということで。

 そうすると、次の「加盟会員に強制力を持つべき」もいらない。結局、最初に言いました基準設立について公正な手続きが確保されていること、これに含むと考えればよいと思います。

 次に「競争制限的にならない」、これはちょっとぶっきらぼうなので、もう少し詳しく書きますと、例えば「サービス内容等、競争に関係する事項について業界基準を設ける場合には公正取引委員会に相談すること」、もう少し詳しく言いますと、公正取引委員会はこういうことに対応するために事前相談手続きを設けていまして、柔軟に相談に応じるようになっていますので、それを利用するということです。以上です。

〔 川本委員 〕 もうだいぶ意見が出ているので、新たな点はあまりないのですが、先ほど、「自主行動基準を策定して、それを行っていくということは規制よりもある意味では厳しいことだ」という発言がありましたが、そういうことでとらえないと、基準を作ってもきれい事の作文で終わってしまうのではあまり意味がないわけです。

 また、今後議論するのでしょうが、実効性を確保することが、自主行動基準の中にもそういうことは組み込まれているということが重要だと思います。

 それから、こうやって整理してみると、やはりいろいろな項目になってものすごく大部なものになってしまうなという感じがあって、そのエッセンスを企業なり何なりが作って発表する場合、やはり重要な点をわかりやすく、消費者等に関係の深いところをピックアップして上手に作成・広報等をしないと、金融商品の目論見書みたいになってしまってなかなか読まない、読まないだけではなくて消費者も企業の中の従業員も結局使えないというのでは困るなという印象を持ちました。

 それから、中小企業の議論がありましたが、一部の上場企業の中でも第1回目のときに出た調査等では、自主行動基準を作っているのは必ずしも多くないようですし、もちろん、中小・中堅企業に、詳しえれば詳しいほど良いというわけではないですが作って実行してもらうということが大切であり、同時に、やはり大企業でも、いろいろあるでしょうが必ずしも十分でないところも見受けられると思いますので、あまり中小企業、大企業というふうに二分化して考えることもないのかなと思います。

 もう1点は、鍋嶋委員から国民生活センターの情報公開の話がありましたが、いろいろ工夫してやってきているつもりでありまして、弁護士会とかいろいろ公的な機関からの法律に基づく要請等に対してはお答えしているわけですが、個別企業に事業者名も含めて相談、苦情等の内容をお伝えするというのは現時点ではなかなか難しいと思っておりますが、特殊法人の情報公開法もできて、まだ施行の期日は決まっていないようですが、いずれにしても早晩発効するわけですが、それらの状況をも考えながらできるだけ積極的に情報を提供していければと思っております。企業の方も企業秘密ということがいわれるわけですが、アカウンタビリティが問われている中において従来の発想だけにとらわれないで、企業も裏を返せば生産者であると同時に消費者で消費活動もやっているわけですから、そういう意味で我々も含めてですが、情報の的確な公表、提供というのは心がけていかなければいけないことだと思います。

〔 池田委員 〕 3点申し上げます。

 まず1点は1ページ目であります。②自主行動基準の対象が、事業者と消費者の間の取引及び消費者の安全に関連するものに限定されたということにつきましては、結論としては、現在の日本社会の状況を考えれば、これは結果として明快になったのかなと考えております。

 経営活動は非常に重要なステークホルダーである消費者が大きなウエイトを占めるのは事実でありますが、経営活動というのはその他も含めた全般の活動であります。しかし、そこまで広げていきますと、これは明確性、実効性という点では課題であるなと。そういう観点に立って、この点に焦点を当てられたことに賛成いたします。

 2ページにまいりまして、2つありますが、1つは⑦の自主行動基準策定の問題点であります。ここには「不十分な自主行動基準ばかりが作成される」、あるいは「形骸化される可能性がある云々」と。先ほどから、委員の中にも「行動基準を作って結果が伴わないでは、何のための行動基準か」というご意見も散見されたように思いますが、企業倫理、コンプライアンスという活動を実際にやっている経験から申し上げますと、まず、やはりこういう行動基準あるいは文章化した規定、こういう目標を持って、それにさらに実効性を上げるべく具体的なP>D>C>Aのサイクルを回していくということが大事なことであります。実効性が伴わない事例が散見されるからといって行動基準そのものの価値は減ずるものでは全くない。まず、こういうことであります。したがって、「不十分な行動基準ばかりが作成される」というのは、逆に言いますと、これの問題点というよりも実効性をさらに重要視していくべきである、というふうに理解すべきだろう。これが2つ目であります。

 3つ目は、同じく2ページの(2)の①効果的な自主行動基準策定の手順でありますがここでまず第1に事業者にとってのリスクの把握ということが出ております。言葉尻をとらえるわけではありませんが、リスクへの対応のみをもって企業は行動基準を策定するのか。そういう要素は大きい、あるいは半分あるのは事実でありますが、もう半分は、企業は自らの企業活動としてどういう行動を目指すのか、どういう状態を社会に作り上げていくのか、こういうところが基本にある企業がおそらくは社会的に生存を許されて成長してきた歴史が過去でありましたし、これからもさらにそうなっていくだろうと思います。

 とすれば、ここは単に「リスクの把握」、いわば危険性とも理解されることだけではなく、むしろもっと「何を目指すのか」というところと同時に「リスクの把握」と併記していただいた方がいいのではないかと思います。

 もう一つは、第2ステップで「主要な利害関係者と協力関係の確立(ワーキング・グループの設置も含む)」とありますが、これは非常に率直に言いまして、今の日本社会では時期尚早かなと。まさに社会の成熟度によってステークホルダーとの協力関係が変わってくるというのが事実であろうかと思います。「いい、悪い」とか「成熟した、していない」ということでは全くなくて、やはり消費者、私も消費者でありますし、企業も消費者であるわけでありますが、どういう社会を作り上げていくのかというところを、消費者自らの大きな判断要素の1つとしていく。やがて来る時代のときにはこういうことがあってもいいかと思いますが、現段階においてはこの第2ステップの主要な利害関係者と協力関係の確立(ワーキング・グループの設置も含む)というのは少し時期尚早、これはまさに任意に任すべき状態ではないか。率直に申し上げますが以上であります。

〔 松本委員長 〕 それでは、Ⅱ.の部分につきましても、併せてご意見をお出しください。

〔 稲岡委員 〕 この(案)では、(1)に消費者対応がきてまして、(2)に自主行動基準策定・運用のための留意点となっております。

 事前にお送りいただきました(案)では、(2)のところがコンプライアンス体制と書かれておりまして今回は書き直されておりますが、言わんとするところは同じようなことだろうと思っております。

 私は、(1)と(2)が順序が逆であると考えております。なぜなら、ここで言います体制手続きといいますか、コンプライアンス体制全体を構築した上で、その具体的な発現として消費者対応の在り方が出てくるというものではなかろうかと考えます。

 そして、コンプライアンス体制の構築ということを企業の側から考えますと、消費者を含めたすべてのステークホルダー、すなわち株主、従業員、取引先、地域社会といった存在がやはり書かれるべきだと考えております。

 当然ながら、消費者だけが孤立した存在であるわけではありませんで、企業にとってステークホルダーはお互いに密接に関連し不可分なステークホルダーだと考えます。

 当部会が消費者政策部会であるから消費者にだけ書いたということであるなら、それは妥当ではなかろうと考えます。人権とか雇用とか公正取引というのは対消費者の観点からも極めて重要なことであります。これらも明確に書かれるべきだと思います。

 企業行動の上で消費者の人権への配慮は大変重いものがありますし、また、従業員との関係は消費者の利害に密接に関連してまいります。

 消費者対応についても非常に細かく書かれておりますが、基準を作る企業の側から考えますと、企業が包括的な行動指針、code of conductを作る場合を考えますと、その中に当然重要なステークホルダーとして顧客、消費者、お客様というのが必ず入ってくるわけであります。その他に従業員、株主、地域というのが入ってくるわけであります。分野としては人権とか、雇用とかコーポレート・ガバナンスとかが入ってくるわけであります。多分、こういうものは一般的であると思いますので、もし、この(案)にあるようなものを作りますと、一般的な包括的なcode of conductと消費者向け自主行動基準とが、多分一部重複してくる、あるいは包括的行動指針とこの基準とで書き方の疎密の差が出てくる。 あと、顧客について書いた場合に株主が出てこない、これについてこういうものを書きますということになると、それでは株主に対しては書かなくてもいいのか、従業員に対してもう既にできているとか、そういうことが出てまいります。

 したがいまして、例えば消費者対応に書かれているようなことは留意する項目として挙げられればいいのではないか。あとは、それこそ企業が自主的に判断することではないのかなと考えるわけであります。

〔 南条委員 〕 これもまだ細かく言う段階ではないと思いますので細かくは言いませんが、印象ですが、同じことのくり返しになってしまうのですが、先ほど鍋嶋委員がおっしゃっており、今のご発言にも関係するわけですが、はっきり消費者に向けた自主行動基準となっていて、最初から確認しておりますがB to Cであるということであるわけですから、それを広げてしまって一般の企業のあれになってしまうと今の議論が全く根底から崩れてしまうので、それはやめにした方がいいと思います。

 ですから、どの道いろいろなところで重複するわけですから、これはもう対消費者ということで、「消費者契約法及び関連の諸法をさらに具体的に効果的に運用するために主体的に行動する基準」ということでいいと思うのです。

 あくまでもひな型を示すべきだと思うのです。これはひな型にしてはあまりにも微にいり細にいり過ぎてしまって先ほども出ましたが身動きができなくなってしまっている感じがあります。

 それから、非常に懸念するのは「広告など」といってすごく細かく書いてあるのですが、あまりギリギリ「こういう基準を作る」とやってしまうと、ひょっとしたら表現の自由とぶつかってしまう危険があるのではないか。こういうものは、どの道、独禁法の不当表示とか、個別の業法とか、旧訪販法で新しく、あの法律の名前は何でしたか、ああいうものも含めていろいろな形で網がかかっているわけで、違反すれば自然にそこに引っかかるわけですから、当然、それは企業として自主的にそういうものはしなければいけないわけですが、あまりこうやってやるとちょっと身動きができなくなる。ですから、あくまでひな型を示して「これをもとに作るとよい」ということではないかと思います。

 もう2点ありますが、その1点は、特に5ページあたりは、もろに業法で定めていたりとか、訪販法で定めていたりとか、いろいろなところで定めているもののくり返しになってしまうのではないかと思います。したがって、もし、やるとすれば「こうこう、こういう法律が関係してくる」と。その定めをさらに、そこで不明確な部分があるとすればそういうものを自主行動基準で入れていくとより責任が果たせるという話で書いていくべきであって、これは法律によってはもろにダブっているものとか、6ページなんかはPL法ともろにダフっている気がしないでもないです。

 7ページの「窓口をちゃんとしなさいよ」とか、「部署をちゃんとしなさいよ」とか、「トップと直結しておきなさいよ」という、ひな型として「そういうものを表にちゃんと示しなさい」というのは意味があると思いますが、製品安全とか契約条項とか、勧誘方針、広告、情報開示というと、もろにいろいろなところであるものをさらに同じレベルで書いてあるような感じがしますので、もしやるならば、「そういう法令をさらに一歩前進させるために」ということで、「ここはどこでどう絡まっていて、さらにそこの部分をこうやって自分で作るとよろしい」という形にしていくことが必要ではないか、これも印象ですが、以上です。

〔 松本委員長 〕 原 委員、鍋嶋委員、山本(豊)委員という順番でお願いいたします。

〔 原 委員 〕 4ページからの自主行動基準の方ですが、ページを追ってお話をしたいと思います。

 ②の広告と③の情報開示・提供の部分ですが、ここは、ホームページなどを見ると広告と情報提供の境目がなくなっていて、私の感じとしても②と③のa)とc)は一緒にした形で情報提供という形で括られた方がいいのではないかという印象を持ちました。公正取引委員会と広告で抵触とかという話が出ましたが、情報提供1つでそこで括ってしまった方がいいと思います。

 5ページのd)の重要事項の具体的内容は南条委員がおっしゃったとおりで、私もこれは例示であるという形でシンプルなものにとどめておいた方がいいと考えています。

 6ページの⑦ですが、環境が唐突にここに入ってきて「環境にやさしい製品」とだけ入っているのですが、実際に環境配慮を考えると、環境に配慮した製品ということと環境に配慮した作られ方をしているという工程と両方問題にしているわけなので、ここは製品だけに特化するのではなくて、項目としてもしも入れるのであれば「環境への配慮」ということで、サイトとか工程とか製品とか両方包含するような表現にしておいていただいた方がいいと思います。

 ⑥に製品安全が入って、⑦に環境が入ると、項目としてちょっと落ちているのではないかと気になるのが「情報管理」の問題です。これが項目として⑧で情報管理が入るのではないかと考えます。というのは、1ページで自主行動基準の対象が「取引」と「安全」という部分に限定されると、取引の部分での個人情報を含めていろいろな情報管理ということが大変大きなポイントだと思いますので、項目として立てられるべきではないかと思います。

 7ページから8ページにかけて、自主行動基準の言葉が、「コンプライアンス」から違った表現「自主行動基準策定・運用の体制手続き」というふうになっていますが、特に②の教育・研修がすごく大きなポイントだと思っていまして、2年前に各企業のこういった教育・研修、特に消費者教育というようなものがどう行われているかということを実際に調べさせていただいたのですが、とてもお寒い状況というかやられていないということで、実際には、新入社員として入ってきたとき、管理職に上がるとき、やっているところでこの2つです。やっていないところはもちろんあるわけで、そういう意味では、この②の教育・研修というのは2行どころではなくて、私はもっとボリュームを持たせるべきだと考えています。

 それで、全体なのですが、ここも(1)の具体的な項目がすごくボリュームがあって、(2)の自主行動基準策定・運用のところがボリュームが少ないのです。ページ数にしても(1)は3ページ半あって、こちらは半ページしかないのです。私としては両方同じぐらいのボリュームがあるべきだという感じがして、やはり、どうやって運用をしていくのかというところがすごく大きい。特にこういう自主行動基準の場合は大きなボリュームを持つべきだと考えていますので、ここはもっと中身を検討して膨らませていっていただけたらと思っております。

〔 松本委員長 〕 原 委員にお尋ねします。情報管理を強調されましたが、4ページの①のd)に顧客情報の保護というのがありますので、これを独立させてもっとボリュームを大きくしろという趣旨ですか。

〔 原 委員 〕 ただ、ここは消費者との関係での整理になっています。②から具体的な項目が並んでいます。落ち着きどころでいいと思いますが、それが落ちるのは困るということです。

〔 鍋嶋委員 〕 4ページ以降は、先ほど言いましたようにミクロすぎるということです。

 もう一つは、先ほど稲岡委員がおっしゃいましたが、7ページ以降の(2)の方が先にきて、その後、消費者対応というものがくる順番ではないかと思います。

 というのは、消費者対応は要は事例ですので、「こういうこともあるよ」という形でもっと簡単に書いていった方がいいと思います。

 細かいところで気がついたのは広告のところでa)の後半ですが、広告と記事やニュースという区別、これは広告ではなくメディアの問題ですので、ここに入れるのは違うものではないかということです。

 不適切な広告、これは何も書いてありませんが、その下には逆に「誹謗・中傷云々」、ここが結局「不適切なもの」になるので、これは比較広告とはまた違う話ではないかと考えます。

 先ほど原 委員がおっしゃいましたが「環境にやさしい云々」、いわゆるやさしい商品だけではなくて企業としてやっていることを言うとすれば、工場の中で環境に悪いものを何も出さないというものを含めて考えるならば、ここでただ単に「環境について」とかいう話にはならない。「環境」ということばがここに入ってくること自体がいいのかということも少し考えていかなければならないのではないかと思います。

〔 山本(豊)委員 〕 総論的な部分と、細かいお話をさせていただきたいと思います。 最初に、「新たな規制ではないか」というご指摘がありましたが、確かに中身によってはそういう色彩も生じるわけですが、私なりの理解を述べさせていただきたいと思います。 これは法令との関係ということとも関係するのですが、国が法律でルールを定めるというアプローチと自主ルール、従来型の自主ルールといってもいろいろあると思いますが、全く自主的なお任せというアプローチ、それの中間といいますか第3のオプションとしてモニタリングの在り方とか、あるいはステークホルダーの関与の在り方、こういうものをどう考えるかによって違ってくるのですが、その辺も加味した第3のオプションを何とか見い出せないかという作業に今携わっているのかなと。

 そのこと自体は、Ⅰ(1)③のところにもありますように様々なメリットをもつ訳で、国の法律をいろいろ次から次へと策定していく、そういう時代でもないので、そういうことも考えられるべきであろう。要は中身であり、先ほどステークホルダー、消費者などを入れたワーキング・グループの設置、これを望ましいと言うのか義務づけるのか、そういうのは時期尚早であるというご指摘がありましたが、その辺が非常に意見の分かれるところで、課題になっていくだろうと思います。

 それから、モニタリングの主体、行政の関与が必要であるという部分についてもご意見がありましたが、そういうことが非常に重要な論点でありまして、それを今後詰めていくことが必要ではないかと思います。

 細かい点ですが、5ページの上から3行目のところで、電子媒体の場合の書面の保存期間とありますが、「書面」といのうはちょっと不自然だと思いますので、「電子データ」と直していただきたいと思います。

 それから、6ページのところに「作成者不利原則の採用の有無等を含む」とありますが趣旨はわかるのですが、一応、「明確、平易な内容にする」という消費者契約3条の努力義務規定がありまして、それをどのように扱うかについての留意点ということがあるわけです。

 それに加えてさらに個社あるいは業界団体として、不明確な条項を使った場合に作成者不利原則を採用するかどうかというのは、ちょっとイメージとしてはわきにくいところがあると思います。個別の約款等で「当社は作成者不利原則を採用いたします」とうたっているという例もあまり見受けられませんので、その点は解釈について争いが生じたときに7ページの相談・苦情処理の⑨のc)あるいはd)のところで、約款の解釈について争いが生じたときにどのように相談・苦情を処理するか、そういう問題として扱った方がわかりやすいかなという感じがいたします。

〔 宮部委員 〕 先ほど堀田課長を非常に悪者にして申し訳なかったのですが、終始申し上げたいのは、要するに「今回の中間報告スケルトン案は誰が誰に向かってものを言っているのか」という顔が見えないということです。今日の皆さんのお話を聴いていても、消費者を中心にしたものの考え方、私のような事業者を中心にした考え方、一見客観的であるべき学者先生のお話、というようなことがあるわけです。

 堀田課長としては、今回の検討は、非常に網羅的に全体を考えなければならないことを、ピカソの目のようにあっち向いたりこっち向いたりしながら全部集めてくださった。これはこれで立派なたたき台を作っていただいたと思うのですが、先ほど、どなたかがおっしゃったように、消費者を中心とした考え方で、企業にこういうことだけはしっかりやってよというひな型をそれぞれ作りたい、事業者に作らせたいと言うことなのでしょう。

でしたら、消費者の方も消費者団体と称せられる方々で、企業に向かって「こういうふうにしてよ」とひな型を具体的に書いてみる。事業者としても、経団連その他ありますので、事業者の立場から考えた行動基準を書いてみる。学究の途におられる先生方には、「客観的に見てこれぐらいのものが要求されるのですよ」というものを書いていただく。

 みんな観点が違うものですから、それぞれで本音で、妥協しないで、一度自分達の考える行動基準を書いてみて、それを突き合わせてから「どうするか」ということを考えた方が話が早いのではないかと思うのです。

 そうでないと、堀田課長ご苦心の作のように、ピカソの四面体ぐらいのいろいろなところにご配慮になった案文ができてしまう。こんなような気がしてしようがないのですが、いかがでしょうか。

〔 澤藤委員 〕 これは新しい規制だという発言が出て、かなりびっくりしています。そういうことをやっていたのかな。むしろ規制ではないということの前提での議論をしていたのだと思うのですが、それでは、一体こういうものを作ることにどういう意味があるのかということに行き着くと思うのです。それがいわばエンフォースメントにかかっている。実際、本当に有効なものが作れるかどうかという問題と、有効なものだと言えばそれは規制だと排斥されるという2つの問題が出てしまっているので、「おやおや」という感じになるわけです。

ペーパーを用意された堀田課長に1つ質問させていただきたいのは、もし、仮に、消費者契約法をもっと実効あらしめるための、しかも新しい法律を作るという手法ではない、企業が自主的に消費者のためにいいものを作るのだという、いわば競争政策で誘導をするのだということになりますと本来は、約款をいいものを作れというふうに言うのが、誰が考えても一番直截な方法になろうかと思います。

 つまり、消費者と事業者との間の明確な民事ルールで、法的な効果を持つ約款を作るように誘導する、できるだけいい約款を、個別企業でもあるいは業界でもそういう形で競争させる。こうはならないだろうか。

 挙げられた項目を見ますと、この中には約款にふさわしいものもあるわけです。もちろん、約款にはあまりふさわしくないので自主行動基準という形で公表することがふさわしいという項目もありますが、約款にふさわしいものについて、これをこういうふうに誘導するという政策があるのでしょうか。それとも、それも含めて、まずとりあえずは自主行動基準で、そしてその中から約款にふさわしいものは約款に取り込むという形が望ましいという、そういう基本的なお考えをお持ちなのでしょうか。

〔 堀田国民生活局消費者企画課長 〕 少し消費者契約法の議論に戻ってしまいますが、契約法の議論をしたときに、これは民事ルールである、あらゆる取引を含む例外のない包括的なルールとして消費者契約法を作ろうという形で契約法ができたわけで、できた法律の内容自体はあらゆる業界に共通してあてはまるミニマムなルールであるということで、どうしても最低限の水準、最低限という言い方はよくないかもしれませんが、ミニマムなスタンダードとして契約法が作られて、最終的な部会の報告の中では契約法より実効性あらしめるために消費者、事業者が集まったこういう検討委員会の場で、企業の自主的なルール作りについて検討してはどうかという部会の最終的な報告書が出ておりまして、その延長線上にこれがある。

 PLに関しましては、PL法というのは事業者の故意過失について提言するということだけで、特に製品安全の情報の面でPL法とは直接関係はないかと思うのですが、安全についての情報提供というのが非常に重要であるということで、主として契約と安全を中心にこれは書かれているということになります。

 約款につきましては、個別の約款で消費者に不当な条項がもしあれば、消費者契約法の見直しの中で現在8つのリストがありますが、そういったものが将来的には追加するなりあるいは不必要かもしれませんが、そういったものが検討されていくべきではないかと思うのです。ここでは直接約款の内容の問題については取り上げていない。

〔 澤藤委員 〕 つまり、約款に採り入れられれば、これは民事的な法的効果があること間違いないわけです。そうではなくて、自主行動基準ということになりますと、法的な効果はないという前提で、今、議論をしていることになるのでしょうか。

 つまり、企業の道義的な責任というレベルに訴える形での論議が行われているというふうに理解してよろしいのでしょうか。

〔 堀田国民生活局消費者企画課長 〕 ここでは約款策定の手続きとか、あるいは消費者がどの程度関与しうるかとか、そういったところに焦点が当たっていると思います。約款の内容そのものでは必ずしもないのではないかと思います。

〔  田中委員  〕 私ども委員長から指名されまして、この原案の一部を作成するのに携わったものとして予想どおり激しい各方面からのご意見をいただきました。

 伺っていますと、いくつかこちらの説明不足もありまして、誤解と理解不足の部分もあるのではないかと思います。

 といいますのは、これは1ページに書いてありますように、あくまでも事業者が主語なのです。事業者が消費者に向けてどうするかというのがメインテーマなのです。「主語がない」というのはおっしゃるとおりで、その辺は不明確ですが、事業者に「こういうふうにしてほしい」という指針を示すというのがまず第1の原点かと私どもは思っておりました。

 2番目は、ご意見の最後の方に、南条委員からもありましたように、ひな型、モデルを示すべきではないかというご意見もあるのですが、これはモデルを示すのではなくて、一応出した原案は指針を示すのだ、だからいろいろな問題が入っていて、各委員のご意見を承って取捨選択して整理してゆこうというような考えがありますので、たたき台ですからなるべくたくさん出したのです。ご批判があるということを当然承知でたくさん出しているということです。

 それから、自主行動基準の理解なのですが、自主行動基準は法律ではありませんで、企業が自主的に作って自主的に実行するというのが原点です。それは当然関係法令にあっても重複するのは当然なのです。法律を見ろと言ってもなかなか見ないから、項目によってはそれを盛り込むというのは、自主行動基準の策定の原則なのです。

 それから、ご意見の中に自主行動基準の中身はたくさんあるが、いわゆるコンプライアンス体制的な実行のところが少ないのではないかと、これももっともなご意見なのですが、実は行動基準というものを議論したときには、実行のところはまた別立てなのです。自主行動基準というのはあくまでもガイドラインの成文化であって、それを担保するためにどういうふうに実行体制を作るかというのはまた次のテーマなのです。

 したがって、ここでは(参考)として、こういうような実行体制が望ましいのではないかという一応のたたき台を出した。私はここをそう思ってやりました。

 したがって、各委員からご意見がありましたように、これは絶対規制ではない。私ども経営実践センターで44社やっていますが、大企業でこういうのをきちっと持ってるところもありますが、実態は大半は持っておりません。なおかつ、これは実際にモデルのいろいろなものがないと、指針的なものがないと、作ろうとするときに非常に不便なものですから、ある程度の項目があるとそれを参考に企業は非常にやりやすいというのが、私どもの実体験なのです。

ですから、これもある程度幅広い項目を挙げてみて、各委員の意見を伺って、その意見をまた踏まえて修正していくというような考えで、私はメンバーの一人として携わっております。

 したがって、当然、約款とか法律そのものではないけれども、企業が自主的にこれをやったことによって、企業が全社一丸となって、いわゆるグレーゾーン的なものがなくなって非常に明示的なガイドラインが指示されるというのがこの狙いかと思うのです。端的に言うとあまりグレーゾーンで「よきに計らえ」ではなくて、この企業はこういうふうに行動するのだ、消費者に対してこうだというのがある程度すっきりするというようなのがポイントかと思うのです。

 ですから、確かに、企業から見たモデルと、消費者から見たモデル、中立モデルとあるかもしれませんが、これは企業に「こういうふうに作ってはどうですか」というたたき台というふうに理解した方がよろしいのではないかと思います。

〔 高 委員 〕 今、田中委員が、私の言いたいことをほとんど説明してくださったのですが、要はいろいろな人の意見を聴きながら、それをここに整理していった結果、主語が一体誰なのかというのがわかりにくくなったり、一体誰に言っているのかが見えにくくなっているのはそのとおりだなと思っております。

 それで、次のステップとして確認しておきたいのは、一体、どういう視点からまとめていくのかというところで、皆さんの合意が得られればかなり整理されていくと思うのです。 私が今考えているのは、一委員としての理解なのですが、こんな視点で整理していっていいのではないかと思っているところを4つぐらいお話しさせていただきます。

 1番目は、こういったものを作る目的、何のためにこれを作るのか。それぞれ皆さん方イメージはあるのでしょうけれども、あくまでも公正かつ安全な取引社会といいますか契約社会といったものを作っていくために、この指針を用意するのだと。

 2番目は、何か悪いことをやれば民事ルールに従って、それなりの損失をこうむるとか行政罰を受けるとか、刑事罰があるからそれでいいのではないかという議論もありますが、おそらくここで議論しているのはちょっとアプローチが違って、情報開示を促すことでマーケットに評価させるというニュアンスがあるのではないかと思うのです。民事ルールで裁判所で争えばいいではないかといっても、なかなか日本人は訴訟を起こさない。そうではなくてむしろマーケットで日頃の取組みを評価してあげるような仕組みを作る1つのステップになるのではないか。

 3番目は、ですから、情報開示、「私たちはこういう基準を掲げています」、「私たちはこういう基準に従って、それが実行されるような仕組みをこういうふうに作っています」というふうに情報開示をするわけですが、その作り方は全くそれぞれの企業さんで自由であっていいと思うのです。これは創意工夫をこらして作ってもらえばいい。

それを作るときに何にもないところからは作れないということで、ここに掲げたような枠組みを紹介させてもらった。それを使おうと使うまいとそれはまさに自由である。

 そして、作るのは自由なのですが、結局、情報開示と併せてそれを競争力に変えるということを前提として、我々が考えなければいけないのが消費者がそれを評価できるような枠組みとしなければいけないということです。消費者一人一人ができない場合には、おそらく評価機関等が出てきて格付け等を行うような、こういった流れまで想定していかなければならないのではないか。

 もう1回言いますと、1番目は公正かつ安全な社会を作っていくための1つのきっかけにする。

 2番目は、それぞれの企業さんの取組みを情報開示させる。情報開示させるときには、中身については全く企業さんの自由とする。

 3番目は、それをマーケットで評価してあげる。

 4番目は、これはちょっと概念の整理なのですが、「自主行動基準」という言葉を使ったり、既にこういう基準をお持ちの企業さんは「倫理規定」といったり、「コンプライアンス・マニュアル」と言ったり、いろいろな名前があると思うのです。

  この「自主行動基準」という言葉と、いわゆる一般に言われている「倫理綱領」とか「倫理規定」、「行動基準」、これを1回ちょっと整理して規定しておきたいと思っております。

 行動基準が原案の中で言おうとしているのは、消費者に対して、あるいは消費者問題に関して企業としてこういう方針でいきますといった内容だと思うのです。それを1つ明確にしておくということ。

 それから、先ほど行動基準の中身については全く自由だと申し上げました。ですから、企業さんの中には「我々はあえて別に自主行動基準を作らなくても、既にある『倫理綱領』とか『コンプライアンス・マニュアル』を公表する」、これでもいいと判断するなら、それでもいいと思うのです。

 もう一つ、もう1セットと言ったらいいでしょうか、内部体制ですが、これも2つの意味があると思うのです。自主行動基準、つまり消費者に対して「こういうことを守っていきます」ということを明確にするわけですが、それを担保するための仕組み。これを言うときには、おそらく従来の「コンプライアンス体制」という言葉ではなくて、例えば仮に「自主行動基準遵守体制」、そういう言葉でもいいのかなと。

 コンプライアンス体制というのは消費者だけではなくて他のいろいろなステークホルダーを取り込んだ上で、会社としてこういう取組みをやっていくということですから。

 ちょっとゴチャゴチャして申し訳ないのですが、既にコンプライアンス体制があって、自主行動基準を作らなくても倫理綱領等で代用できるというところであるならば、あえて自主行動基準を遵守していくための体制を作る必要もないのではないか。

 要は、いろいろな概念が錯綜していますので、それを1回整理させていただいて、次回皆さん方で議論していただきたいと思います。

 もう1点、もう一度確認したいところは、それぞれの内容について体制を作る場合も、それぞれの企業さんの裁量にお任せするということでどうなのかなと思っています。

〔 松本委員長 〕 池田委員、稲岡委員、それから、まだ発言されていない坂東委員、タン委員にも発言をお願いいたします(笑)。

〔 池田委員 〕 これから整理をした方がいいという高 委員のご提言の参考になるかと思うようなことを申し上げたいと思います。

 4ページ以降の具体的な各論の中のかなりの部分は、いわゆる大企業といわれているところは社内ルール、例えば「規定」という名称を使っているところが多いと思いますが、社内ルールを策定しているところがかなりの程度あります。ただし、策定されていない要素、分野もこの中にかなり見られるのも事実であります。

 しかし、社内規定が策定されているのをさらに重複する形で行動基準として、しかもそれは限定された消費者との取引、あるいは安全に関する限定された各論としても新たに作る必要があるかというと、ちょっと微妙な部分があると思います。反面、漏れているところがおそらく各社とも、ここに提示された中でもあるのは事実だろうと思われます。実態としてはこれが1つあります。

 それから、いわゆる中小企業という会社で言えば、おそらくここまでの社内規定、社内ルールがないところがむしろ多いだろう。そういうところにこういうものを作るとすれば、選択可能ということであってもなかなか大変な要素もあるのではないかと思います。

 もし、これをそのまま作るとすれば、大企業、中小企業ともに、ここで書かれてあるものは極めて意味があると思いますが、実際に活用するにはあまりにも重すぎる、あるいは全部集めると大部すぎで実際の情報公開ということでも字が小さすぎてなかなか内容が見れない、ということにもなりかねません。

 そういう課題も出てきそうな気もしますので、ここで提案は、これは1つの取組み方でしかないのですが、共通的なモデルとして出す自主行動基準についてシンプルにする。シンプルにするけれども重要な部分については具体的な表現にする。こういうものが1つ。 それから、先ほども意見が出たと思いますが、実効性を確保するという意味では、公表するということと、監査といいますかモニタリングといいますか、これは社内監査も含めてですが、そういうことを、自主行動基準を煩雑な内容にしないための有効なスキルとして、手法としてさらに盛り込んではどうかと思っております。

 なお、重ねて申し上げますと、例えば広告とか、情報開示とか、個人情報保護とかかなりの部分は、大会社は具体的な規定で策定済みだと思いますが、そうでないところ、そうでない分野も多々あるのも事実でありますから、基本的なモデルと、参考になる細かい具体的な材料の部分といいますか、細かい材料、基準、例、それは採用しても採用しなくてもいいという部分とを併せて提示するといいますか、こういう2部構成も1つの案としてあるのかなと思います。

 これから概念を整理される中の具体的な材料の1つとしてご提案申し上げます。

〔 稲岡委員 〕 今、田中委員、高 委員のお話を聴いて非常によくわかりました。整理されたわけですが、高 委員が非常に重要なことをおっしゃってまして、情報開示を促す、マーケットで評価する、消費者が評価できる枠組みを作る、ここが1つのポイントだと思います。

 したがいまして、企業がそういうものを作る、あるいは作っているときにはそれを言ってください、開示しなさいと。開示したところは、政府の利害関係者の役割の行政というところに1つ書いていただきたいのですが、今、年金基金、401K等がどんどん広がっていっている中で、そういうものを基準として年金の運用をしているところは、それを公表してくださいといったようなガイドラインを行政が作るといったようなことで、大いに支援されると思うのです。そういうことを是非書いていただきたい。

 それから、人権とか公正取引とか環境問題も、「環境にやさしい」という言い方はもうすでに古い言い方でして、原 委員がおっしゃいましたような環境に配慮する、環境への負荷を低減する、より排除するといった言い方の方がいいかと思います。そういうことを提案したいと思います。

〔 坂東委員 〕 今日は、堀田課長をはじめ事務局の陰に隠れていればいいかなと思っていたのですがそうもいきそうにありませんので。

 既に田中委員、高 委員の方から詳細なご報告があって、基本的な考え方の枠組みは私も全く一緒です。

 ただ、1つ付け加えますと、山本委員の方からお話がありましたように、従来のアプローチというのは法令アプローチと自主ルールアプローチという大きな分かれ方があって、法令アプローチというのは消費者がその法律に基づいて一定のアクションを起こそうと思えば起こしやすい。しかし、自主ルールアプローチと呼ばれているものは、消費者の方からはなかなか見えにくいというのが一番の大きな問題だったと思います。

 先ほど、池田委員からも「公表」という話がありました。あくまで自主的に作られるコードが公表されることによって、それが持っている社会的な意味が変化してくるだろうということを私はすごく期待しているわけです。

 例えば、先ほど澤藤委員からお話があったように、この議論は消費者契約法のいわば民事ルールの具体化という意味も持っております。その意味では、このコードの中の一定の規定が事実上の紛争解決規範として機能するであろうということは期待されて当然です。ただ、それが果たして裁判を通してなのか、それとも市場の評価なのか、あるいはADRなのかという点までを考慮していくと、さまざまな仕組みと考え方があるのではないかと思っております。

 もう1点は、先ほど山本委員からお話があったかどうかと思いますが、もう一つの論点は、現実的にさまざまな困難があるでしょうが、こういったコードの策定、あるいはモニタリングに消費者がどうかかわっていけるかという点がとても重要であります。そのことが実は法令と自主ルールのまさしく中間であるという意味でもあると私は理解しております。

 したがって、そういう制度的な枠組みを背景として整備しながら自主的に規定をすることで取引の公正、あるいは消費者契約法の具体化が図られていくのではないかと考えております。

 もっとも、本日、さまざまなヒントをいただきましたので、それを含めて再度考えてみたいと思っております。

〔 タン委員 〕 まず、短期間でこんなすばらしい案ができ上がるとは思わなかったので、本当に感心しています。英語で「brain storming」といいますが、皆さんが集まってアイディアを出し合って一種の嵐のように一生懸命やるという意味の言葉なのですが、どんなにbrain stormingをやったか想像しにくい。しかも、今日また嵐が待っているということをわかっていながら、それぞれにこんな立派な案を作り上げられて本当に感心しています。

 いくつか一般的なコメントを先に述べさせていただきますが、言葉の問題だと思いますが、「規制」という日本語の言葉と、英語の「regulation」という言葉がありますが、言葉の違いの問題はあるかもしれませんが、私のように一番外部の人からみれば、code of conductは一種の規制なのです。だけど英語では「self-regulation」という言葉を使います。要するに法律であってもcode of conductであっても、その中身は全部ルールです。ただ、誰が中心になってそのルールを作るかという、その違いです。

 「self-regulation」の場合は、結局、企業が中心になって自分たちでルールを決めて、そのルールを自分たちで決めた方法で守るという方法です。ですから、オーストラリア人の目から見れば、このcode of conductは間違いなく規制です。しかし、それは    「self-regulation」という規制方法なのです。

 さらにオーストラリアの場合は「co-regulation」という、さらに「self-regulation」の中に2種類あって、今度は企業だけがルールを作るのか、それとも企業プラスいろいろな関係者が、例えば行政とか消費者団体の代表とか、あるいはその他の方と一緒になってルールを作成して、code of conductを作成して、それを実施するという二通りのパターンがあって、オーストラリアは現在、「co-regulation」の道の方を歩んでいます。それが1つのコメントです。

 次に、内容的には、この指針は非常に細かいです。それについていろいろ批判がありました。1つの提案としては、例えばいくつかの事項の中で一番基幹的な事項を決めて、指針の中に、その基幹的な事項について、政府の方針としては私たちはこう思います、企業に対してはこうしてほしいという、そういう文章を入れたらどうかと思います。

 例えばオーストラリアの場合は、このぐらい重要な文章ですと、公表するときに必ず大臣が出て公表します。そのとき、記者だけではなくていろいろな関係者を集めて、私は実際一度行ったことがあるのですが、大きな部屋でいろいろな人が集まって、管轄の大臣が実際このものを持ってスピーチをします。そういう形で公表します。

 オーストラリアの場合は、前に資料をお配りしましたが、code of conductのガイドラインを持っています。誰が作ったかというと州の大臣と連邦、管轄権を持っている大臣、もちろん、大臣たちが作ったわけではなくて、こういう検討委員会で原案ができて、最終的に大臣が公表します。

 ですから私は、本当は日本の政府としてはどう考えているかということを国民に示すべきだと思います。そのためにすべての事項についてでなくても、一番基本的な事項についてどう考えているのか。その中で、こうやってほしいというよりも目標を設定すればいいのです。目標を設定して、目標をどう達成すればいいのかということなのですが、それぞれの企業の創造に任せたらいいと思います。つまり競争させるわけです。競争の結果、全体がレベルアップして、欧米では「ベストプラクティス」ということになっている。

 それでは、他の具体的内容をどうすればいいのかというと、これは私立大学に勤めている私はよくわかります。学生のサービスとしては、学校に入ってくるときに、まず4コースを想定します。地方公務員になりたい人とか、企業に入りたい人とかいくつか想定するのです。それぞれについては、「じゃあ、こういう科目を取った方がいいよ」といういくつかのモデルコースを推薦します。

 ですから、基幹的事項以外にもモデルコースをいくつか想定して、つまり、いくつかの業種を想定して、それぞれについてモデルコースのような指針を作ったらどうかなと思います。

 あとは、1ページの総論の(1)当指針の位置づけのところですが、①の当指針の意味のところに非常に気になるところがあります。3つめの「・」の「Ⅱ.の基準については業種によっては関係の薄い項目がありうることから、どの項目をどのように明示するかは各事業者が判断」、モデルコースのようなやり方でやればある程度その問題はなくなると思うのですが、おそらくはそもそもcode of conductについての指針を作ろうと考えたときに、いくつかの問題の多い業界を念頭に置いて考えたと思います。おそらくはオーストラリアと共通点があると思います。

 オーストラリアの場合は問題の多い業界の場合は各事業者に任せることはとてもできないから、結局、業界団体の形でcode of conductを実施しているのです。おそらくは日本もそうだと思います。ですから、任せることができる業界とそうでない業界があるはずなので、それぞれについてはどうするかということをこれから考えないといけない。ちなみにオーストラリアの場合は強制的なcode of conductの制度もあります。今のところは1つだけフランチャイズの業界はその対象になっています。

 次に、もっと細かいコメントを述べさせていただきますが、2ページの(2)自主行動基準策定・運用のための留意点のところですが、第3ステップは行動基準の草案作成、第4ステップのところですが、ここに外部の意見を聞くという記述があるのですが、私の考え方では、まず第3ステップの方で「外部の意見を聞くべき」ということを入れてほしいということです。

 3ページの③主な利害関係者の役割のところですが、3つめの「・」に規制という記述がありますが、この行政とは誰ですかと確認したいのです。日本の場合は、ご存じのとおり18以上ありますので、具体的に誰が何をやるか、事務局としては内閣府を考えているのか、どういうような考えをもっているのかちょっとお聞きしたいと思います。

 ⑤ですが、よく滝川委員からいろいろご指摘いただきますが、とにかくオーストラリアの場合はこういうやり方でうまくいっている。ただ1つ条件があります。確かにサンクション、特に除名のようなサンクションが含まれる行動基準の場合は競争制限的な効果があるかもしれません。オーストラリアの場合は、法律の中に条文を入れて、そういうような一種の協定、まず、オーストラリアの公取に当たる組織の許可を得てからということなのです。ですから、「特定」というのですね、許可がないと法律に引っかかる可能性があります。だから、このままだと、ちょっと日本の独禁法にひっかかる可能性は確かにあると思います。これと同時に公取に圧力をかけて独禁法の改正とともにこういうのをやるのが一番無難だと思います。

 4ページの②広告のところのc)不適切な広告、その下にd)として比較広告がありますが、比較広告についてわりと長い文章が書かれていますが、しかしc)はちょっとさびしいですね。

 私も、日本の広告をずいぶん研究してきたつもりなのですが、日本は本当にまぎらわしい広告の天国だとよく言います。どちらかと言うとまだ日本では比較広告はそんなに問題にならないのです。ですから、やり方としてはc)のところ、「不適切な広告」というのをやめて「広告の方法」という見出しを使って、その後、例をいくつか挙げたらどうですか。例えば、日本の場合は一番問題のある広告の種類はおそらく二重価格広告だと思います。ですから、二重価格広告をするのだったらどういうことに注意すればいいのか。確かに公取の方でガイドラインがあるのですが、べつに法律と重なっても全然問題ないと思います。

 実はオーストラリアの場合には、direct marketingのcode of conductですが、direct marketingのcode of conductのルールは、オーストラリアの取引慣行法の消費者保護規定をそっくり盗んでそのまま使っているのです。全く一緒です。だから、法令と重なっても全然問題ないと思います。

 あとは、7ページの⑨の相談・苦情処理ですが、オーストラリアのcode of conductのガイドラインの中に必ず内部の苦情処理制度と外部の苦情処理制度の2つが必要だということを明記しているのです。この⑨の内容を見てみると、そうではなくてすべて選択ですだから、その辺をどうするかということ。内部だけでやったら消費者にとって必ず満足できるような解決を得られるかどうかはちょっと疑問です。だから、その次の段階で外部の斡旋・調停・仲裁の制度を考えたらいいと思います。

 言いだしたらキリがないから、このぐらいにしておきます。

〔 松本委員長 〕 どうもありがとうございました。

 すべての委員の方から一応ご意見をいただきまして、ちょうど時間もまいりましたので

〔 南条委員 〕 一言だけ。

 先ほど原 委員もおっしゃったのですが、要するになぜ基準が必要なのか、策定をどうやって進めていくのかということについて、今の議論の中はずいぶん分かれているので、まずそこを何とかしないと、このままいくとバラバラなままになってしまうので、次回、それをきちんとしてもらいたいと思います。

〔 松本委員長 〕 まだご意見がおありの方もたくさんおられると思いますので、今週末までに書面でご意見を事務局の方にお出しいただきたいと思います。それと本日のご意見を参考にいたしまして、内容を事務局で再検討させていただきます。

 次回は、本日の議論を踏まえて、再検討をしたものとともに、現在まだ何も書かれておりません「Ⅲ.実効性確保・策定促進の方策」と「Ⅳ.今後の課題」について項目を提示したいと思っております。

 それでは、事務局から次回の日程についてご説明をお願いいたします。

〔 堀田国民生活局消費者企画課長 〕 次回は2月19日(火)午後2時からの予定にしております。場所は本日と同じ4号館4階の第4特別会議室でございます。

 別途、ご連絡しているかと思いますが、2月6日にオーストラリアからビル・ディーさんをお迎えしまして、ここでフォーラムを開きたいと思っておりますので、是非、ご参加いただければと思います。

〔 松本委員長 〕 本日は、長時間にわたりまして、誠に熱心なご討議をいただきましてありがとうございました。

 これをもちまして終了させていただきます。

                                                                      

 以 上