国民生活審議会消費者政策部会自主行動基準検討委員会(第4回)議事録

平成14年1月21日(月)

国民生活局消費者企画課

〔 松本委員長 〕 ただいまから、国民生活審議会消費者政策部会第4回自主行動基準検討委員会を開催いたします。

 本日も、お忙しい中、また、年末にもかかわらずお集まりくださいまして、ありがとうございます。

 前回の委員会にてご案内いたしましたとおり、本日は、まず「自主行動基準の必要性・意義と問題点」ということで、経済団体連合会の経済法規委員会 消費者法部会長を務めておられます宮部委員に「事業者から見た自主行動基準のあり方」についてご報告をいただきます。

 引き続きまして、社団法人全国警備業協会 消費者契約に関する特別委員会委員長の武内さんをお招きしておりますので、武内さんから警備業界での取組みについてご報告をいただくことになっております。

 さらに、主婦連合会事務局長の吉岡委員より「消費者から見た自主行動基準のあり方」についてご報告をいただきます。

 時間の配分でありますが、まず、宮部委員、武内さんあわせまして30分程度お話を願いまして、吉岡委員から20分程度ご報告を願いたいと思います。

 お3人のお話に対します意見、質疑は、その後、合わせて行いたいと思います。

 それでは、まず宮部委員からご報告をお願いいたします。

〔 宮部委員 〕 私は経団連で経済法規委員会の消費者法部会長を務めております。

 本日は、消費者と事業者の信頼関係の構築につきまして、経団連の取組みや、平素、私が考えていることを中心にご説明申し上げます。

 まず、消費者対応についての企業の基本的な考え方でございますが、心ある企業は生き残りを賭けて業種・業態に合わせて工夫をこらし、お客様の満足度を高めることに不断の努力を続けております。特に、情報化が一層進展する現在、消費者対応の悪い企業は糾弾され、市場からの退場を余儀なくされるものと考えております。

 それでは、本年4月に施行されました消費者契約法への経団連の取組みについてご紹介申し上げます。

 経団連では、国民生活審議会消費者政策部会における消費者契約法の検討に対応するため、1998年2月に「消費者法部会」を立ち上げました。

 消費者契約法は、業種・業態ごとに適用される業法とは異なり包括的民事ルールであるため、予測可能性が低くなるとの懸念があり、産業界では「従来の安定的な取引が阻害されるのではないか」などの不安が指摘されていました。

 こうした中、消費者法部会における検討を受け、経団連では「規制緩和の時代には消費者契約について消費者と事業者の双方に自己責任を求める包括的ルールが必要である」との結論に至り、1998年12月の意見書で法律の適用される類型の明確化を図ることを条件に立法化に賛成するとの見解を示しました。

 経団連では新法の施行を機に、事業者の契約のあり方を点検することを約束しており、かねてより説明会の開催や資料配布を通じて、法律の施行に当たっての会員の自主的な対応の奨励に努めてきました。

その集大成として、施行直前の3月30日にセミナーを開催し、内閣府より池田国民生活局長、堀田消費者企画課長をお招きして法律のポイントについてご説明いただきました。また、セコムの武内法務部長、富士通の篠原法務部長、第一生命の渡辺調査部長、東京大学法学部の山下教授をパネラーに迎え、企業の新法導入に際しての準備状況や課題等について討議していただきました。

 経団連会員の各企業、各団体における消費者契約法施行への取組み状況につきましては、お手元の資料にアンケート結果をまとめたものがございますので、かいつまんでご説明申し上げます。

 消費者と直接取引を行う企業は、平素から当然のこととして消費者からの信頼獲得に努めておりますが、消費者契約法の施行にあたっても、ほとんどの企業や事業者団体が、施行がスムーズに行われるよう社員への周知、ガイドラインの策定、契約書の文言のチェックなど、それぞれに措置を講じております。また、この機会をとらえて「消費者の信頼を勝ち取る」営業戦略として活用し、消費者への情報提供をより積極的に行ったり、契約書やパンフレットをよりわかりやすく改めたりしたところもあります。

 なお、事業者団体における具体的取組みにつきましては、後程、セコムの武内部長よりご紹介いただきます。

 続きまして、経団連における企業行動憲章の策定の経緯、フォローアップについてご紹介いたします。

 第1次オイルショックのときに企業に対する厳しい批判が巻き起こりましたが、経団連では、このまま放置すれば自由経済体制の危機にもつながりかねないということで、1974年に企業の「社会性部会」を設けました。1976年には、「企業倫理に関する中間報告」を公表しております。このように古くから企業行動の問題に取り組んできております。

 1991年には、事業活動の海外展開を背景に、国際的に通用する企業行動を確立することが必要であると認識し、法令遵守と自己責任原則の徹底を求める「経団連企業行動憲章」をとりまとめ、発表いたしております。

 しかし、憲章発表後も企業不祥事が続いたことや、世界のボーダレス化等により企業活動をめぐる内外の情勢が大きく変化したことにより、1996年に企業行動委員会を設置して企業行動憲章を見直しております。

 見直しに当たって、まず1991年の企業行動憲章がどの程度浸透しているかを調査いたしました。1996年9月に経団連会員企業約 1,000社に対するアンケートを行いましたところ、「企業行動憲章を読んだことがある」という回答は全体のほぼ半数の54%、また「社内で企業行動憲章の周知に努めている、または、過去に努めた」という回答は全体の45%と半数以下にとどまっておりました。このため、憲章の策定にあたって、一層の周知徹底を図ることにいたしました。

 憲章の改訂にあたっては、3度にわたる経団連の会長、副会長会議での審議を含め、実務レベルから経営トップまで数多くの議論を行い、1996年12月に経団連企業行動憲章として対外的に公表いたしました。

 新憲章の特徴として4点挙げることができます。第1は、序文で述べておりますように憲章を経団連会員の「申し合わせ事項」とし、それを「内外に宣言する」ことによって拘束力を高めました。経団連会員の約束事項ということで、通常の提言よりもずっと重みがあるものであります。

 第2は、新憲章が広く会員企業の中に浸透していくことを狙って、本文をシンプルにし各ステイクホルダーズとの関係や、経営トップの役割を十箇条にまとめております。また、何々すべきではないとする「べからず集」ではなく、21世紀を展望した前向きな内容とするように努めました。

 第3は、憲章をシンプルなものとした代わりに、各社で憲章の内容を具体的に実行する際の参考となるマニュアル的内容の「実行の手引き」を作成いたしました。これは本日お配りしておりませんがこのようなものでございます。

 第4は、企業行動憲章に反するような事態が起きた際の対応について、本文第10条で、経営トップ自らが問題解決にあたるとともに、自らも含めた厳正な処分を行うことを求めております。また、経団連としても、従来は、規定はあったものの実際に使うための体制がなかった、定款12条の除名規定を実際に運用できるように運用規定を設け、憲章に違反する事態が起きた際は、会長が必要に応じて「定款12条委員会」を設け、経団連の役職の退任や会員資格の一定期間の停止などの対応策を決めることとしております。

 企業行動憲章発表後は、広く周知徹底させ、実効あるものとするためにさまざまな活動を行ってきております。まず憲章を経団連全会員企業代表者宛に送付いたしました。併せて各社において役員会や社内報を通じて新憲章を広く周知していただくこと、新憲章を踏まえて自社の企業行動規範を新たに作成するか、既存のものを見直していただくように要請いたしました。

 1997年2月には、「企業行動憲章フォーラム」を開催して、企業行動憲章改訂の背景や内容を説明し周知を図るとともに、会員企業によるパネル討議で実行にあたっての議論を深めていただきました。そして、同フォーラムの議事録を作成し、出席できなかった企業に配布しております。

 加えて、経団連の機関誌である月刊「Keidanren」の1997年2月号で「新しい企業行動の指針」特集号を組むとともに、3月号からは、毎号、経団連企業行動憲章の掲載と各社の企業行動指針の事例紹介を行っております。こちらも資料としてお配りしておりますので、後程ご覧ください。ただ、一社一様ですので、簡単過ぎるのではないかというご批判もあるかと思いますが先日、稲岡委員の方からご報告がありましたとおり、この背景には、相当詳細なものがくっついているというふうにご理解いただきたいと思います。

 また、経団連の会合等で通常使用する青い封筒の裏に憲章の10の行動原則を刷り込むなどして、会員企業に対する周知を今でも行っております。

 次に、この自主行動基準検討委員会で予定されている、企業の自主行動基準のモデル策定についての意見を申し上げます。

  前回の第3回委員会でイトーヨーカ堂の稲岡委員、松下電器の池田委員、それに消費者関連専門家会議の理事長の鍋嶋委員からご紹介のありましたように、企業の行動指針はマネジメントの一環として企業の視点から書かれたものであり、消費者対応に限ったものではありません。

 国がモデルを作成し、その採用を実質的に強制するとすれば、それは時代遅れのパターナリズムとでもいうべきもので、市場の評価を見ながら「民でやれることは民で」やるという構造改革や規制改革の趣旨に反するものではないかと思われます。

 また、国が策定する場合、結局、一般的、抽象的なものにならざるを得ず、また、心ない企業から見れば、「この程度の消費者対応で十分なのか」ということにもなりかねずそうすればかえって消費者にとっても不利益になりかねません。

 企業が行動指針を策定し、公開するということは、企業の自主判断に任せるべきであり国がモデルを作成し採用を強制するようなことを想定しているとすれば、強く反対したいと思います。

 むしろ企業が市場での評価を得るために、自主的な採用を進めているISOなどの国際的な規格づくりに消費者の視点を取り入れることや、企業の自主的な取組みを消費者が評価する機能を強化することを考える方が有益だと思います。その評価をもとに投資を行うSRIなどの動きもあることは前回までの委員会でご紹介のあったとおりであります。消費者と事業者の信頼関係の構築のためには、こうしたSRIのような企業評価を活用する方向が選択肢の1つになるのではないかと考えます。

 現在、ISOでは、①事業者による苦情処理、②企業の行動規範、③産業界支援の紛争処理、④電子商取引における消費者保護、⑤企業の社会的責任の検討が行われていると聞いております。

また、こうした規格化につきましては、国内でも日本工業標準調査会により、①電子商取引における消費者保護、②企業の行動規範、③業界主体の裁判外紛争処理について、JIS規格化を検討していると伺っております。

 SRIにつきましては、第2回の自主行動基準検討委員会で、高 委員からご紹介があったように、米国SRIの資産残高は1999年で2兆 1,600億ドルと専門家管理の資産総額の13%にも上っております。また、日本でも同様のSRIが始まっていることから、こうした動きについて企業としては今後尊重していくべきであると感じております。

 ISO、SRIのどちらかに肩入れするようなことは私どもは今考えておらず、慎重に検討しなければなりませんが、SRIの背後にある企業評価をもっと活用すべきというようなご意見が我々の部会の会員企業からも寄せられております。

 こうしたISOやSRIの動きを踏まえれば、今次の国生審消費者政策部会のテーマである「消費者と事業者の信頼関係の再構築」のためには、市場が正しい評価を下し、企業を選別できるような環境づくりが必要であると考えます。そのために、国や消費者団体は消費者教育を督励し、事業者はディスクロージャーを充実していくことが必要になります。

 既に、事業者においてはブランド価値、すなわち消費者の信頼獲得のために、①企業の行動指針、②消費者契約の約款や勧誘方針、③会社全体のディスクロージャー資料、④社会貢献に着目した「コミュニティー・リレーションズ・レポート」、例えばソニーでおやりになっているようなもの。また⑤として環境報告書、環境適合製品リストとそのデータ集などの公表を通じたディスクロージャーの充実に向けた取組みが一層進展していることを付け加えておきます。

 最後に、前回の委員会でも申し上げましたが、この機会に現在の消費者行政のあり方について一言申し上げたいと思います。

 現在、この委員会の他に公正取引委員会には消費者取引委員会、経済産業省には消費者取引研究会が立ち上げられておりまして、それぞれ広告や表示の規制、紛争処理のあり方など、消費者政策のあり方について幅広く議論を行っております。加えて、個別の業界には各監督官庁における規制や指導も行われております。さらに、この委員会の検討事項の1つである企業の行動規範については、先ほども申し上げましたが、経済産業省の審議会である日本工業調査会でもJIS規格化に向けて動きがあると聞いております。

 こうした個別の省庁でバラバラに実施されている消費者政策は、事業者にとって、関係省庁の実施する政策にすべて対応しなければならない負担をかけるだけでなく、行政としても無駄なコストであり、消費者にとっても窓口がわかりにくく不親切であります。

 この委員会で検討すべきことではないかもしれませんが、今後の消費者行政の方向性の明確化と、各省庁でバラバラに行っている消費者行政の一本化の検討を再度強くお願いしたいと思います。

 また、契約法の時代には、業法による消費者対応に関する規制も本来的に撤廃していくことが望ましいと思っております。このような要望も幾つか私の部会の会社から承っております。

 それから、消費者契約法の成立前から課題となっている消費者教育の推進についても、是非、強力に推進していただきたいと思います。例えば、東京経済大学の島田先生が提唱されておられる、高等学校では商業高校だけで実施されている「商業法規」といった民商法の基礎程度の内容につきまして、すべての高校で教えることとするといったようなことについても、もっと検討してはいかがかと考えております。

 せっかくの機会でございますので、消費者団体の皆様にも一言申し上げたいと思います高齢化の進展やITの急速な進展、普及などにより商品やサービスは非常に複雑、多様化が進んでおります。また、我々業者としては、技術開発とその応用ということで消費者に還元していかなければいけないというようなことで、今、各社凌ぎを削っているところでございます。こうした時代の消費者団体には、問題が発生したときにだけ企業批判やお上への陳情を行うというようなことではなく、消費者の視点から自発的に企業のあり方、求める商品・サービスについて評価を行ったり、広く社会に情報の発信を行ったりすることが期待されているように思います。

 市民の一人一人がみんな家に戻れば、一消費者でございます。消費者団体は市民全体の大きな期待を背負っているわけですので、是非、こうした期待に応えていただけるようお願いしたいと思います。

 少々、時間が長くなりましたが、ありがとうございました。

〔 松本委員長 〕 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして武内さんからご報告をお願いいたします。

〔 武内氏 〕 お手元のレジュメに従いましてご説明申し上げます。

 わが業界におきましてはガイドラインを作りましたが、消費者契約法の理解不足な点とか、内容について不十分な点があるかと思いますが、今日はせっかくの機会ですので説明させていただきます。

 1.業界の現状 売上げ規模が2兆数千億円で、警備業者は 9,900社あります。警備員が42万 2,000人。ちなみに警察官の数は多分30万人ぐらいだと思いますので、現実には警備員の方が多うございます。

 事業者の規模は、5人以下が34.6%という業界でして、トップ数社と、中規模の業者、あとほとんどが小規模の業界でございます。

 警備員数とか警備業者は年々増加しております。ただし、昨年度につきましてははじめて売上げが減少いたしました。これはデフレの傾向だと思っております。

 警備業協会に対する加入率は、機械警備業者につきましてはほぼ 100%でございますこのため、我々がガイドラインを作った場合については実効性は確保できるとも考えております。

 業法は警備業法で、昭和47年制定。私法規定はありません。

 団体には社団法人全国警備業協会が1つありまして、各都道府県に同じく社団法人、例えば東京都警備業協会、これが全国警備業協会の会員になっております。我々警備業者は各都道府県の警備業協会に参加するという関係になっております。

 2.ホームセキュリティー契約 我々業界では消費者契約法に関係しますのはホームセキュリティーが圧倒的ですので、以下、ホームセキュリティーにのっとって説明させていただきます。

 契約期間はおしなべて5年間です。サービスの内容が「安全」という無形のサービスでございまして、ご家庭の鍵を預かりますので、ともかく「お客様との信頼関係が第一」という業界でございます。

 最初の登場が昭和56年でございまして、それ以来、どの業者も普通取引約款を使用しております。

 3.取組み 平成10年4月に全警協内に消費者契約に関する特別委員会を設置しまして私が委員会の委員長を拝命して現在に至っております。これは第16次の国民生活審議会でわが業界につきましてヒアリングの機会がありましたので、急遽設置したものでございます。メンバーは7社、これは大中小の業者を入れております。オブザーバーが監督官庁の警察庁、それから非常勤に「市民派」といわれている弁護士さんを入れております。消費者団体の方は一切関与はありません。

 ただ、会員の警備業者にアンケートを取りまして、過去の消費者問題を吸い上げております。

この特別委員会を設置した背景には、ホームセキュリティー契約の増加があります。増加といいましても、現時点では全国でおそらく30万件ぐらいしかないと思っております。

 このとき考えましたのが、いままで「警備の安心」につきましてはだいぶ業界で議論をしてきたのですが、「契約の安心」につきましては全く議論してきませんでしたので、いい機会ですので、契約の勧誘から契約の内容までしっかり議論して、しっかりしたガイドラインを作るべきではないかということで始まったわけです。

 目的につきましては2つありまして、1つはガイドラインを作って公表して、消費者の安心感、信頼感を得て、そこから業界の発展につなげよう。いわば戦略的な発想でございます。社会に安全を提供するのが我々の業界の使命ですので、このことによってその使命の達成の一助になると判断したわけです。

 もう一つにつきましては、消費者契約法の制定が話題に上っておりましたので、制定されたとき、せっかく事業者が取得した契約が取り消されたり、ある条項が無効になったりというのは大変なことであるということがありまして、契約の安定化を図るために解釈を明確化しようという目的でございます。

 方向ですが、設立したのが平成10年4月でして、その後いろいろ議論をしてきまして、平成11年7月に以下の内容が決定したわけです。第1は、消費者契約法が仮に成立しなくても、わが業界はガイドラインを作成しようというのが1点です。

 それから、行為規範とする。「何々すべし」、「何々をしてはいけない」、こういう方にしようと。それから、早い段階で、違反者に対してはペナルティーは織り込まないことにしました。これは2つ理由がありまして、1つはペナルティーを織り込んだ場合については中小の事業者はとてもついてこられないということです。

 もう1つは、後で申し上げますが、我々のガイドラインにつきましては、例えば「契約期間は5年を超えてはいけない」といった内容も入っておりますので、独禁法の問題を心配しました。

 それから、基本的な考え方は第16次の国民生活審議会の中間報告に述べられております「事業者と消費者のあるべき関係」を念頭におきました。具体的には、重要事項についての説明義務を取り入れました。また不当条項につきましても、中間報告にありますとおり「信義則に反して消費者に不当に不利益……」、と定義しました。

 成立しましたのが平成12年9月28日、これは理事会決定でございます。ガイドラインと解説書、Q&A集。今日、お手元にお配りしました内容でございます。

 それから、今年(平成13年)の3月26日に「IT書面一括法」についてガイドラインに追加しております。

 4.公表 これにつきましては、たまたま出版の話がありまして、「新警備保障契約の基礎知識」を今年の5月に出版させていただきまして、この中に織り込んでおります。

 それから、たまたま国民生活センターの方で、「サービス情報データブック」でホームセキュリティーを取り上げたいということでしたので、この中に参考資料として、ガイドラインを入れさせていただいております。

 それから、機会がありまして「ジュリスト」に発表させていただきましたので、そこにもガイドラインにつきまして全部は入っていませんが概要を入れさせていただいています。 それから、ESPの中でも少し触れさせていただいております。

 次のページにまいりまして、5.周知徹底 まず、全国警備業協会が制定しまして、それを各都道府県の警備業協会に採用させて、各都道府県の警備業協会が会員業者に対して指導するという方式をとっております。

 それから、説明会を実施しまして、また、ここには書いてありませんが我々の業界誌で「セキュリティータイム」という雑誌がありますので、そこに発表し、それから、「警備保障新聞」という新聞もありますので、そこでまた発表いたしております。

 実行につきましては、具体的には社員教育、販売マニュアルの見直し、苦情窓口の設置強化、約款の修正などがありますが、この実行とコンプライアンス体制につきましては各会員に一任でございます。自主的に行いなさいということになっております。

 6.内容 まず第1が解釈の明確化です。これは事業者、消費者とも安心して契約することができるようにしたものです。事業者はせっかく取った契約がなくなっては困るわけです。消費者にとっても一体何が適用になるんだということがはっきりしないと不安なので、消費者の安心感を得て業容の発展をするために、消費者契約法でははっきりしない部分につきまして明確にしております。

 適用範囲、重要事項、それから一般条項でございます。ちなみに、適用範囲につきましては、ホームセキュリティーは機械警備ですので、例えば職住併用の建物の場合は、センサーの数が半分以上とか、警備エリアが半分以上というものにつきましては、全部消費者契約法とするという位置づけでございます。

 第2番目が上積み これは、警備業者と消費者間の信頼関係がなければ契約はもちろん取れないし、維持できませんので、上積みを体力の許す限り考えました。

 第1が不適切な広告の禁止。個別具体的な勧誘に入る前の段階につきましてもルール化いたしました。

 第2が法3条の義務化。法では努力規定でございますが、これを義務化いたしました。重要事項について書面を交付して原則として口頭説明。「原則として」というのは、「相手方の協力を得られない」、「説明はいらない」というときはよろしいということにしております。重要事項につきましては、書面にしまして、原則として約款とは別に交付しなさいとしました。説明につきましては、消費者の理解能力に合わせて行うということにいたしました。

 第3は重要事項で23項目。これは消費者契約法の趣旨から言いますとだいぶ広くとっております。警備業法にも、私法規定ではありませんが説明義務がありますので、その内容も取り入れております。これは5項目あります。

 それから、平成元年に警察庁の行政指導がありまして、その項目を入れております。

 それから、各社のアンケート。これらを含めて23項目を設定いたしました。

 第4は契約書。契約書は必ず書面で作成しなさいということにしております。

 第5は約款の解釈。これにつきましては作成者不利の原則を守りなさいということにしております。

 第6は不当条項。これにつきましては消費者契約法と違いまして、民商法に受け皿となる任意規定の有無を問わずに設定いたしました。例えば「契約期間は5年を超えてはいけない」というルールでございます。

 それから、不当条項につきましては契約締結時の状況、消費者の属性等は考慮せず、一定の条項についてはそもそも使うことを禁止しております。例としましては契約期間は5年を超えてはいけない。料金の支払いにつきましては、ホームセキュリティーは月額料金が1万円前後ですので、業界では長期前払いという制度が行われておりますが、この前払いは6か月分までを原則としております。

 第7は不適切な勧誘方法の禁止。これは消費者契約法よりもだいぶ広げております。

 第3番目は苦情処理 せっかくガイドラインがあるのに、苦情処理が自前でできないということでは社会的な信頼を失いますので、各会員につきまして窓口の設定を義務づけました。それから、自主的な解決への努力義務。これは「努力義務」にいたしました。

 第4番目は、IT書面一括法についての規定でございます。

 我々の業界につきましては、ガイドラインでインターネットで契約の締結まで認めましたので、その見返りに安全措置、例えばインターネットで成約する場合についてはファイアウォールを設けるとか、そういう安全措置を義務づけました。

 それから、契約期間中はお客様の要請があれば、いつでも書面の交付をするようにということを入れました。

 7.課題 まず、実効性の確保についてです。コンプライアンス体制につきましてはガイドラインには入れておりません。これは中小事業者がだいぶ多うございますので、入れた場合には非常に警戒するだろうということで今のところは入れておりません。

 ペナルティー。違反した場合についての全国警備業協会においての公表、除名、罰金、これもございません。

 ルール違反についての効果規定は置いておりません。すべて行為規範にしております。例えば、ガイドラインに書いてある行為をしてしまった、あるいはいけないことをしてしまったという場合については、「契約の取消しに応じること」といった規定や不当条項を使った場合については「相手方の無効の主張に応じること」といった規定は入れておりません。これは最終的には裁判所の判断に任せようと思っております。

 ただ、指導といたしましては、明らかにルール違反の場合につきましては協会の方で責任をもって指導するということにしております。

 作成過程 先ほど申しましたように、第三者の関与については、市民派の弁護士さんが入っているだけであとはございません。

 協会の苦情処理体制は、昨日、確認しましたところ、全国の都道府県に一応「消費者相談室」というのを設けております。実態につきましては事実調査と取次ぎだけでございます。まだ斡旋までの能力はございません。予算もありませんのでこれは今後の課題と思っております。

 モデル約款 これは作ることをやめました。会員からは作ってくれという要請もありましたが、今回ガイドラインにつきましては業界で作りましたので、モデル約款を作った場合については独禁法の問題もあるだろうということと、市場規模に対しましてホームセキュリティーの契約は30万件ですので、まだまだ発展途上段階にあることから、これは各社の自由に任せた方がよかろうということで、あえて作っておりません。

  反応ですが、先ほど申しましたようにいろいろなところで公表しているのですが、消費者団体、消費者の方からの反応は全くありません。消費者契約法について、だいぶ好き勝手な解釈をしてガイドラインを作りましたので心配していたのですが、今のところ全くありませんで、気抜けしているような状態です。以上です。

〔 松本委員長 〕 どうもありがとうございました。

 続きまして、吉岡委員からお願いいたします。

〔 吉岡委員 〕 私のレジュメは資料3にございます。

 後の方に参考資料が載せてありますので、参考資料と併せてご覧いただきたいと思います。

 今年の4月1日から消費者契約法、金融商品販売法等が施行され、消費者と事業者の間の契約に関わる紛争の解決及び紛争の未然防止の効果が期待されているわけです。

 今、お二方のお話を伺いましても、企業サイドでも積極的に対応していらっしゃるということで大変期待しているところですが、ただ、一方では消費者被害は増加傾向にあり、企業の社会的責任が問われるような問題も今年は多発しております。

 こうした消費者被害の対策として行政規制を強めることも必要ですが、事業者による自主行動基準が作成されることができれば、規制を強めるより効果的な実効性が上げられる可能性があるのではないだろうかと考えております。

 以下 消費者の立場から見た自主行動基準のあり方について意見を述べさせていただきます。

 まず、消費者の権利からみた自主行動基準、日本での評価、評価に当たっての視点、行政への期待、そんな観点を主にしまして、それから、今、消費者団体の反応云々というご発言もありましたので、消費者の役割という5つの視点から申し上げたいと思います。 まず、1.消費者の権利からみた自主行動基準の意義。これは(別紙1)の5ページに書いてありますので、それを参照していただければと思います。一応、レジュメの方にもピックアップして書いてあります。

 国際消費者機構(CI)の提唱する消費者の権利との関係、(別紙1)では、ここに示してありますように消費者の「8つの権利」と「5つの責任」を挙げていますが、特に8つの権利の中でも「安全である権利」、「知らされる権利」、「選ぶ権利」、「補償を受ける権利」、この権利を具現化するものであれば、自主行動基準は評価可能ではないかと思っております。一つ一つについて細かく説明はいたしませんが、②、③、④、⑥ここに書いているとおりでございます。

 次に、2.日本での現状評価について申し上げたいと思います。

 消費者に対する指針はずいぶん作っているというご報告でしたが、まだ十分に多いとは言えないのではないかと思っております。

 それから、具体的内容になると、やはりもう一つという感じを受けております。消費者から企業行動が評価できる水準での具体化された行動基準が示される必要があるのではないか。

 また、公表する方法については、消費者に直接目に触れるものでなければ意味がないのではないだろうかと思います。消費者の側から見た関心事項で申し上げますと、消費者の企業における位置づけ、消費者の権利の明確化です。

 それから、消費者憲章、これは(別紙3)に書かれております3.の①のc)、d)のように消費者に誤解させない、または消費者からの信頼を悪用することのないように、勧誘に当たって望ましくないと考える勧誘方法。それから、子どもや高齢者など消費者の属性に応じて、企業がその対応方法を細かく考える、いわゆる適合性の原則が考えられなければいけないと思います。

 それから、消費者契約法の4条5項に規定されているのですが、具体的中身があいまいであるということから、消費者にとっての重要な事項の具体化、これは武内氏からもかなり前向きに取り組んでいらっしゃるというご報告がありましたが、重要事項の具体化が必要だと思います。

 それから、消費者契約法の10条に基づいた一般条項の具体化も必要だと考えております。

 製品安全の視点から危害情報を公表する基準、媒体を含めた公表方法、苦情処理などの問い合わせ先及び手続き、社内での自主行動基準の実効性の確保等が挙げられるのではないかと思います。

 お配りしましたレジュメでは(別紙2)の項目について挙げてありまして、(別紙3)の方がここのところには書いてありませんが、今、申し上げましたような点をお考えいただきたいと考えております。

 (別紙2)で参考に出しておりますが、やはり、消費者に対しての基準があいまいではない言葉で述べられているということが、消費者の理解を深めるという意味で非常に重要だと思っております。

 社会的・環境的価値の企業理念や企業行動への取組みには、やはり持続可能性の問題、社会的公平といった価値がどの程度まで産業や企業によって促進され、施行されるための考え方や手段に統合されているのかどうかということが重要になってまいります。

 次に、公正な公表方法の採用。透明性、説明責任の問題ですが、これもやはりタイムリーで適切な報告を伴う第三者等の独立した履行状態のモニタリングが必要でありますし、製品や製法に関する情報を消費者に入手可能にするとともに、消費者が効果的に情報をたどることができるように、企業がどれほど透明性を有しているかということが問題になると思います。

 自主基準が十分でない分野で責任ある行動を促進し強制するために、補完的に規制を利用すること。説明責任ですが、やはりこれも先に申しましたようにわかりやすい説明がされるということが重要であります。

 自主基準は、企業や産業の説明責任を改善していくのか、あるいは自主基準は既存の基準と一体的に働くのか、あるいは衝突したり侵害したりするのか、この辺についても十分に検討する必要があるのではないかと思います。

 それから、行動基準を作成するための消費者の関与について、(別紙2)の自主基準の実効性を評価するための基準の中にも書いてありますが、影響を受ける個人や組織を幅広く参加させるための機会や資金を含む適切なステイクホルダーを積極的に参加させることどの程度までステイクホルダーを自主基準の策定に参加させているのか、実行段階ではどうか、モニターや検証の段階ではどうか、効果の評価段階ではどうか、こういった点をしっかりと検証していただきたいと思います。

 前回の会議でも「口笛を吹く人」ということで申し上げましたが、「Whistleblowing」の制度化の問題について、これはもう既にアメリカ等、海外でも制度化されているところもあると聞いておりますが、やはり内部告発、言葉としては非常に聞き苦しい言葉ですが、内部告発があることによって企業の問題が是正される。そういうことがここ1,2年を振り返ってみてもかなりみられております。この点については企業の中で十分に効果があるものとしての検討をしていただきたいと思います。

 内部告発をした方がどうしても冷遇されるという問題がありますので、そうではない、前回のときにも「そうではない」というご意見もいただいたわけですが、やはり企業の中にいる人が一番よくわかる。それを内部告発することによって消費者全体に良い影響が出てくるということは、その告発者は企業にとっても非常に価値のあることをしたという位置づけが必要ではないかと考えております。

 次に4.行政への期待について申し上げます。

 まず、消費者啓発と消費者教育ですが、教育・啓発と言うとちょっと一方的という考え方もあるかと思いますが、やはり消費者が評価する際の評価基準の提示をして、その上での消費者の認識が深まることが必要ではないかと思います。

 それから、企業経営が実効性ある形で実践されることの担保が必要ですし、行政罰において量刑ガイドラインの考え方を導入する、特に独禁法の場合にはそういうことになっておりますが、それも必要ですが、当然、より高いレベルでの実効性ある自主行動基準の推進が必要ではないかと思っております。

 アメリカの量刑ガイドラインのように、コンプライアンス経営を実効性ある形で行っているかどうかで、独禁法の課徴金に差をつける仕組みが、企業に実効性をあらしめる上で重要ではないかと思います。

 それから、公正取引委員会にヒアリングをして積極的に働きかけをするべきではないかこれは最初のときに申し上げたと思いますが、その必要性があるのではないかと思います

 それから、内閣府に、イギリスの公正取引庁などが担っているような自主行動基準の奨励、促進などの役割を果たすことが期待されるのではないかと考えております。

 5.消費者の役割ですが、当然、消費者にも役割があるのだということをお二方もおっしゃったわけですが、(別紙1)ですが、5つの責任については同じペーパーのところに

挙げてあります。消費者の責任の①として、(CI)では批判的意識、商品やサービス

の用途、価格、質に対し、敏感で問題意識をもつ消費者になるという責任があるということを言っております。

 ②自己主張と行動― 自己主張し、公正な取引を得られるように行動する責任を挙げて

おります。この「行動する責任」の中には、いわゆる勇ましい行動ももちろんありますが消費者が買う、買わないという行動も当然あるわけです。これが影響としては一番大きいのではないかと考えております。

 ③社会的関心― 自らの消費生活が他社に与える影響、とりわけ弱者に及ぼす影響

を自覚する責任。これは、差し障りがあるかもしれませんが、例えばたばこを吸うということが、他人の健康にも影響を与えるということも自覚しなければいけないということもありますし、あるいは省エネの問題、あるいは環境影響等もあります。そういうことを消費者として自覚する必要がある。

 ④環境へ自覚― 自らの消費行動が環境に及ぼす影響を理解する責任。

 ⑤連帯― 消費者の利益を擁護し、促進するため、消費者として団結し、連帯する責任

 この5つが(CI)が掲げている「消費者の5つの責任」です。そのことを踏まえて消費者の役割としては、批判的精神と消費者全体の利益を擁護、促進するため、消費者団体が連携するということが必要だと考えております。「連帯の責任を果たす」ということです。

 それから「消費者に顔が向いた企業を応援する」ということです。これは、先ほどどちらかが、「いつも批判ばかりしているのではなく」ということをおっしゃいましたが、最近では、例えばグリーン・コンシューマーのように、「消費者にとっていい商品、環境にいい商品を積極的に買うことによって選んでいきましょう」という活動がかなり浸透してきております。これは今申しました「買う、買わない」、これを私たちは「円の投票者」という言い方をしておりますが、消費者行動によって、消費者に顔を向けている企業は支えていく。逆に顔を向けていない企業のものは買わないということで、3番目にありますように行動基準を示さない企業は評価しないということを消費者として取り組んでいく役割があると考えております。

 ただ、その役割を果たすためには、企業の行動基準そのものを透明でわかりやすく知らせていただくという前提があるのではないかと考えております。

 雑ぱくですが、一応その考え方に基づいて、背景となるような資料1.2.3を添付しておりますので、私の発表はそこまでにさせていただきます。

〔 松本委員長 〕 どうもありがとうございました。

 ただいままでで3人の方からそれぞれ大変興味のあるご報告を承ることができました。これからあと1時間ほどありますので、3人の方に対する質問、あるいはご自分のご意見等を、どの点からでも結構ですからご自由にお出しいただきたいと思います。

〔 澤藤委員 〕 宮部委員にお伺いいたします。

 経団連企業行動憲章は、おそらくいろいろな企業の行動指針などの元締めになるような位置づけだろうと思いますが、このエンフォースメントといいますか実効性確保の手段についてお伺いしたいと思います。何らかのサンクションが予定されているのかどうか、あるいは経団連から何らか問題のある企業に対しては勧告なり指導なりをするというようなことが予定されているのか。

 これまでそういうサンクション発動について申し入れがなされたことがあるのかどうか。そういう申し入れがあった場合に、手続きの規定まで備わっているのかどうか。また、この憲章を守るということについて、どのように各個別企業にモチベーションを付しておられるのか、その辺のところを聞かせてください。

〔 宮部委員 〕 モチベーションを持たせることは経団連として特にいたしておりません。「こういうふうにやってください」「したところは報告してください」ということで、あとは企業の自主性に委ねています。ただし、世間を騒がすような事件が起きた場合に、先ほど12条委員会というのを申し上げましたが、社会的に糾弾されるような事態が起こったときには、発動しております。

〔 澤藤委員 〕 全体に見て抽象度の高い規定になっておりますが、7番あたり端的に言えば総会屋や暴力団等との結びつきを禁止する、こういうものはかなり具体的で明確な問題のように思いますが、こういう違反があった企業に対して何か措置をしているとか、そういうことはございませんか。

〔 宮部委員 〕 あります。

〔 澤藤委員 〕 具体的にはどういうふうにされるのでしょうか。指導して発表するとか、あるいは除名してしまうとか。

〔 宮部委員 〕 そういう事態になっていれば、よく事情を調査しまして、しばらく経団連の会員資格を停止するとか、委員長を出していれば委員長をおやめいただくとか、そういうことはやっております。

〔 澤藤委員 〕 あと1つだけですが、私は、経団連という組織に対してイメージだけはあるのですが、よくわからない。これはやはり一部上場企業はほとんど全部経団連の会員だというふうに考えてよろしいのですか。つまり、経団連から除名されるということは大変な不名誉であり、企業の活動にとって大変なマイナスイメージになるのだというふうに考えてよろしいのでしょうか。

〔 宮部委員 〕 会員は一部上場企業だけでなく、もっと幅が広うございますが、ご指摘の通りです。ただし、拘束力はありません。

 拘束性なし企業行動憲章のようなものを作って遵守をお願いしても実効性が確保できるのかといった問題はあります。しかし、それはどの世界をとっても同じではないかと思うのです。例えば「アンケートにしてもどうして回答率が低いのか」というようなことを経団連内部で言うことがございます。経団連のアンケートに会員企業が回答するかどうかも任意なので回答率が低いこともあるというわけです。

〔 澤藤委員 〕 もう一つだけ。先ほどらい、どなたかも触れられていますが、直接消費者と触れる企業と、直接には消費者には触れない企業とがあります。これの差は天と地ほど大きいのではないか。消費者に顔を向けてない企業は市場から退場を命じられるというふうに言われましたが、実はそうでない。つまり消費者などどうでもいいよと社会的には非常に問題がある行動をとりながら消費者からはバッシングを受けない、そういう企業に対して何かサンクションがありますか。

〔 宮部委員 〕 私の個人的な見解ですが、どの企業も生産活動なり行為を行っているわけです。全部つながった一番先は最後は消費者のはずなのです。消費者から文句を言われるような原材料を納めているようなところは、例えばイトーヨーカ堂さんなら拒否していくはずです。そういうサンクションがあると思うのです。

 それから、先ほど言われたようにいろいろな業態があるわけです。今日、お配りした各社のガイドラインみたいなものをお読みになると会社によってずいぶん違う。これはこういう業態のところだなというのはおわかりになると思います。

 ですから、経団連のような総合経済団体がまとめた企業行動憲章が抽象的にならざるを得ないというのは、やはり参加企業・団体の業態、業種がそれぞれ異なるからです。私の心配として今日申し上げたのは、国が企業の行動基準のようなものを考えるとなれば、経団連にご参加いただいていない中小企業まで含めて考えざるを得ず、経団連の企業行動憲章に比べてもっともっと抽象的にならざるを得なくなってくるのではないかということなのです。

〔 滝川委員 〕 武内委員がご説明されました警備業協会のガイドラインは、比較してみますと、この前の委員会でご報告されたイトーヨーカ堂あるいは松下電器の行動憲章とは明らかに違いますね。これは1つは、事業の内容が「警備」ということで消費者との関係がそもそも商品そのものであると言っていいと思うのです。その点が違います。このようなガイドラインは例えば金融などでも十分ありうると思います。そうしますと、単なる行動憲章ではなくて消費者へのサービス内容を業界が作るということで、これはメリットはあるのですがデメリットも十分考えられるわけです。デメリットは競争制限ですメリットはその業界、業態で考えなければいけないと思うのです。

 この場合、特に中小企業と言われましたので、考えられるメリットとしては、こういうものがないと特に中小の企業は消費者とどういう契約を作っていいかわからないので、かなりいいかげんな契約になってしまって、消費者との混乱が生じるということがあり得ると思うのです。だから、こういうのを作るときには、メリットは生かしつつデメリットはなくしていくということが一番大事です。

 そこで、具体的にはこれは専門機関がちゃんといるわけで、公正取引委員会です。業界で作るときには必ず公正取引委員会に相談するのは非常に大事です。この場合、相談されて問題ない結果になったわけですね。

〔 武内氏 〕 相談いたしました。ただ、我々のガイドラインは、特に不当条項につきましてはかなり制限をかけているわけです。契約期間は5年を超えてはいけないとか。これは全く市場で評価されていいわけですから、我々のところは2年でやる、1年でやるというのは勝手なわけです。そこまで制限しましたので、その代わりサンクションはなしにしたわけです。そこで公正取引委員会とお話をしましてバランスをとったわけです。

〔 滝川委員 〕 そこら辺、公正取引委員会との関係も考えて良く考えられたかもしれない。特に今お話があったようにサービスの下限をこれ以下にしてはいけないと決めるということは比較的問題がないと思うのです。それ以上いいサービスをするのは各業界に任さなければいけない。ただ、具体的状況によりましては、サービスをこれ以下にしてはいけないといったのが実際上張りついちゃう。結局、カルテルの指針になるという場合が実際にあり得るので、ここはやはり公正取引委員会と相談して、メリット、デメリットを公正取引委員会に任せるということだと思います。

 それと、最終的にこれをモデル約款にしなかったというのは私大変賛成です。これは業界でモデル約款をしちゃいますと、まさしく業界カルテル的になりますので、あくまで指針にとどめられたということで、この点はいいと思います。

〔 武内氏 〕 どうもありがとうございます。

〔 田中委員 〕 吉岡委員にお尋ねいたします。

 大変消費者の権利その他を踏まえたきちっとしたご報告で感服いたしました。

 レジュメに沿って言いますと、3ページに「策定や改訂における消費者の関与」というのがありまして、企業行動にとってもこれが非常に重要なポイントかと思うのですが、今のイメージとして、消費者として自主行動基準の策定と改訂において、具体的にどういうような形で関与できるのか、あるいはどういう手法を持って関与するか。いわゆる実際のキャパシティーとか人材とか機関とか、そういうものがイメージとしてありますか。

〔 吉岡委員 〕 当然ですが、自主行動基準は個別の企業がお作りになるということになります。ただ、対象は、宮部委員がおっしゃったように、川上にあっても川下にあっても消費者に最終的には関わる、あるいは製造過程で関わるということがありますから、やはり、消費者が何らかの形で関与していかなければいけないと考えています。

 その関与の仕方ですが、1つは、行動基準を公開していただいて、その公開されたものに対して消費者が意見が言えるという方法もありますし、それから、直接消費者に関わる川下段階の場合には、行動基準を作るときに消費者団体等にご相談いただく、あるいはそこに参加させていただくということも本気でやる気だったらできるはずだと考えております。そこら辺は企業の姿勢の問題ではないかと思います。

 それから、人材の問題。確かに消費者という範疇で言えば、すべての製品・サービスに必ず関わるというのが消費者だと思います。そういうことから言えば、人材は当然豊富にあるということです。法律論をするということであれば、その道の専門家ということになるかもしれませんが、やはり利用者であるという立場からであれば、当然大勢います。

 また、多少専門的な知識を入れながら参画していくことができる人材もかなり大勢いると私は考えております。これは東京に限らずいると考えております。ただ、なかなかそういう場に参加する機会が与えられていないというのが現状ではないかと思っております。

 それから、もう一つは非常に専門的な問題を議論しなければいけないときには、アメリカ等ではあるようですが、消費者団体等が推薦する専門家を入れて消費者とのパイプにするという考え方もあるのではないか。これは個人的な考え方ですがあります。

〔 稲岡委員 〕 お3人のご提言とも非常に明快で、すごく重い提言で、わかりやすく拝聴いたしましたが、宮部委員がおっしゃいました、各企業がマネジメントの一環として企業の自主判断によるべきであって、国がモデルを強制するのは強く反対したいというご意見を、私は強く支持したいと思います。

 宮部委員もおっしゃいましたように、今、ISOの規格化の動きが並行的に進んでおりますし、SRIの動きもあります。こういうものとダブルスタンダードになってもお互いにとって不利益だと思います。

 経団連の企業行動憲章をご覧になっていただきますと、序文が6項目あります。憲章部分が10項目あります。実はこれを起草しますとき、私、憲章部会の中に入っておりまして起草した一人ですが、96年の5月に始めまして、たまたまそのとき私どもの会社の社長が企業行動委員会の共同委員長だったものですから、私も入りまして、発表いたしましたのは12月で、半年かけて作ったわけなのです。

 わずか10項目ではないかということですが、この10項目を作りますのに半年かかった。多分、毎週ですか議論いたしまして、合宿で議論もいたしました。すべての産業から支持されるものを作りますと、結局こういうものになってまいります。

  私、この10年ほど環境問題に関わってまいりましたが、これは私の個人的な感想ですが、環境問題のある事柄について国がガイドラインを作ったことがあります。A4版で数十ページの大変膨大な詳細なガイドラインであったと記憶しておりますが、これが出ましたときに、産業人が強く反発してうまく生かされなかったと私は見ております。

 したがいまして、当委員会で自主行動基準を検討することになると思いますが、検討されるに当たっては固定的な細かいものを作るというよりも、フレキシブルで企業の自主性が生きるものとすべきであると考えております。

〔 池田委員 〕 吉岡委員にお伺いしたいのですが、非常に興味深くお話を聞かせていただきました。

 いろいろな視点、観点があるのですが、社会の構成要素としての消費者と企業、その他組織を考えるときに、1つの考え方として必要最小限の条件づくりについては、例えば法令等でそれを確保する。それを超えるようなより良い状態を作るについては、評価も含めてそれぞれの自主的な動きになっていく、こんなふうに思ってはいるのですが、現在の日本の社会の状況、いわば発展段階と言うとちょっと大げさですが、その成熟度合いはまだら模様であると思うのですが、吉岡委員としては、必要最小限のところは概ね実現ができてきたと考えて、さらに自主的な動きというふうにお考えなのでしょうか。それともまだ必要最小限のところがかなり残っているという問題意識を持っておられるのでしょうか。ちょっと今回の検討とは別のことになるかもしれませんが、基本的な現時点の現状認識を教えていただければありがたいと思います。

〔 吉岡委員 〕 率直に申しまして、必要最小限に至っていない分野もあると考えております。

 それから、必要最小限の基準がありましても、それが実際上守られていないということも非常に多いと思っております。例えば、これも契約ではなく、乳業メーカーの問題ですが、HACCPを守っているという書類は出ていても実際には守られていない。そのために非常に大きな被害が起きてしまった。そういうことが現実に起きております。この場合は、いまだに製品が売れないという状況が続いております。これは、消費者の評価、批判だと思っております。お答えになりましたか。

〔 池田委員 〕 関連してよろしいですか。

〔 松本委員長 〕 どうぞ。

〔 池田委員 〕 そういう問題意識を消費者の皆さん方がお持ちだとすれば、おそらく必要最小限のところについては、もう少し法令的な、これは行政罰による量刑ガイドライン的なことになるのかどうかわかりませんが、このあたりも大きなテーマの1つかなとも考えます。

〔 田中委員 〕 武内委員にお尋ねいたします。

 非常に詳細なガイドラインなのですが、お話にちょっとありましたが、レジュメの2ページの5.周知徹底のところです。すべからくこういうのは実際にどう教育してどう徹底するかが一番重要かと思いますが、今の時点で説明会とか実行のいろいろな部分をやっておられますが、一番最後のところで、コンプライアンス体制は中小が多いので、そこまではあえてガイドラインに入れてないということですが、そうしますと、各都道府県のいわゆる協会が、決まったような研修か何かをやって周知徹底しているでしょうか、それとも教育の段階も全部各社に任せているということなのでしょうか。

 そうしますと、実際にどういうふうに浸透しているかというのは、どういうふうに協会で基準をもって評価なさっておられるのでしょうか。

〔 武内氏 〕 実行と浸透につきましては各社一任でございます。協会につきましては来年の2月にアンケートをして、どのぐらいの実行段階か、販売マニュアルの修正とか、契約の修正とかがすんでいるかを確認して、また一段と指導を講じようということを考えています。なにしろ予算があまりございませんで、今のところはこの段階で様子を見るということでございます。

〔 澤藤委員 〕 武内さんにお伺いしたいのですが、個別企業と業界全体、先ほどのご報告ですと業態や規模がずいぶん違う業者が全体を形づくっているということでしたが、業界全体として何かをしなければならないというモチベーションがあるのかないのか。自分のところは安心ですよ、自分のところはいいサービスをしますよ、消費者にとって自分のところと契約するのが一番いいですよという個別企業の方針というのは当然あり得ると思いますが、それとは別に業界全体で業界のイメージを高めるということが、個別企業にとって本当に重要なモチベーションになっているのかどうか。

その辺について警備保障という業界がどうであるのかということと、他の産業界皆さんも「そうだよ」ということになるのか、それぞれ違うのか、教えていただければと思います。

〔 武内氏 〕 質問の意味がちょっとわからない面があったのですが、我々、このガイドラインにつきましては最低限の基準と思っております。我々の業界は非常に競争が激しいところでして、このガイドラインではわが社は有利に働かないというときには、さらにきついガイドラインを自社で作ればよろしいわけでして、これは徹底しております。その意味では業界団体で作ったものに全部レベルを合わせなければいけないということではございません。まさに競争の最低基準を定めたという認識でございます。

〔 澤藤委員 〕 お伺いしたいのは、競争の最低基準を決めるモチベーションがどこから出てくるかということなのです。つまり、自主行動基準なりガイドラインを作ることが個別企業が作るということの必然性はよくわかりますが、それを業界単位で何か作るということに必然性なり合理性なりがあるのかどうかという問題意識からお伺いしているのです。

〔 武内氏 〕 最初から個別の企業が作るということは毛頭考えませんでした。準備委員会で集まった段階で期せずして決まってしまいました。契約安全について検討したことは全然なかったわけですから、いい機会なので業界をあげてやろうということで、特に反対意見もなくやってしまいましたので非常に即時的でございます。個別企業毎にやるべしということは考えておりませんでした。

〔 高 委員 〕 お三方に関わると思いますが、前回もその前も申し上げさせていただいたのですが、我々が作ろうとしているガイドラインとは一体どういうものなのか。おそらく経団連さんが用意されたものは会員企業さん向けに作られたものだと思うのです。それから、武内さんの方のガイドラインもやはり会員と言ったらいいでしょうか、業界の方向けに作られたものである。

 最後に、吉岡委員の方からの報告で、こういう評価の視点が欲しいということを2ページの最後の方に掲げられましたが、ある意味でこれは消費者に向かってこういう情報を発信してほしいというものだと思うのです。

 そういう意味で、統一のガイドラインがいらないという意見もありましたが、おそらく我々の頭の中にあるイメージが、皆さん、それぞれに違うのではないかと思うのです。

 私の印象ですが、おそらく今、消費者契約法との絡みで欲しいのは、吉岡委員が提案された2ページの一番下のところの柱のようなものではないか。それは膨大なものである必要はないと思うのです。あまり膨大な情報を用意しても、消費者は面倒くさくて読まないそれでは逆に意味がなくなってしまう。ですから、基本的なところを、こういった情報を発信してくれませんかというところで解釈させてもらったらどうかなと思っています。

 それから、2番目ですが、ISO、SRI等が動いているので、あまりこちらから基準等を作る必要もないのではないかと。確かにそうかなとも思うのですが、環境のことも考えていただいたらいいと思うのですが、あれは決してエコファンドだけが引っ張ってきたものではない、ISOだけが引っ張ったものではなくて、政府から「こういうガイドラインはどうでしょうか」という提案があったりして、相互に影響を与えながら徐々に発達してきたものではないか。ですから、そういう意味でISOとSRIに任せてしまえばいいよというのもちょっと無理な解釈ではないかと思うのです。

 もう1点は、SRIそのものが対象とするのがどうしても上場企業になってしまう。 そうすると、もっと下の方の小さな会社さんが問題ではないか。そうすると、そこまでSRIに期待することは難しいなというのが印象です。

 3番目は、先ほど量刑ガイドラインとかこういった形のものはどうかというお話がありましたが、これも賛成でそういうものを考えていきたいのですが、行政の方で考えていただきたい、あるいは政治の方から考えていただきたいなと思うのは、私が先々回発表させていただいたと思いますが、イギリスがSRIを支援するような法律を作った。その内容は年金基金の受託者責任の1つに、運用先を決定する場合に「社会的、環境的、倫理的な要素を入れて決定している場合には、その方針を公表してください」というものなのですが、これはべつに強制するものではなくて、運用主体が自由に決定すればいい。これができたことで実際に年金基金が利用し始めた。生保も自主的なガイドラインを作ってそういう動きを始めた。

 実はここで申し上げたいのは、タン委員がいらっしゃいますが、オーストラリアの例ですが、オーストラリアもそれにならって同じようなものを作ったのですが、実にうまいのです。うまいというのは、要するに自分たちの国をどういう方向にもっていきたいか。ちょうど政治的なやりとりで影響力があったのが労働党だったのでしょう、今、社会的、環境的、倫理的と言いましたが、その一番前のところに「労働基準」を入れて「社会的、環境的、倫理的要素を考慮に入れて運用先あるいは販売、商品を設定している場合にはそれを公表してください」という法律を作ったわけです。

 日本では、我々が今こうやって議論しているわけですが、1つ考えられる方法は、もしコンプライアンスということを市場における競争力に変えてあげようということを考えるならば、これはべつに年金の主体に限る必要はないと思うのですが、今のような条項に手を加えて、例えば一番最初に「法令遵守への取組み」、それから「社会的、環境的、倫理的な取組みといったものを考慮に入れて、投資先、運用先を決定している場合には、その方針を公表してください」というような、こういった法律をちょっと作ってあげるだけでマーケットが動き始めるのではないかという印象を今持っているところです。

〔 稲岡委員 〕 今の高 委員のご指摘、これからどういう基準を作ろうとしているのかということは作業の本質的な部分だと思います。

 後半部分におっしゃいました「社会的責任を考慮に入れて商品を作っていく、あるいは基金を運用している場合には、それを発表してください」という形で法的なドライブをかけてビジネスを元気づけようという仕組みは、是非、この国でも考えるべきだと考えております。

〔 山本(豊)委員 〕 本日も、これまでの委員会でもご指摘がありましたが、今後の作業についての私の要望としては、大枠のガイドラインの中に、1つ「法令遵守への取組み」という項目を入れて、その上で消費者向けに、これも具体の中身にはあまり入れないと思いますが、例えば「消費者契約法の具体化を進めていくべきである」とか、その際の視点のようなものを打ち出せればいいのかなということを感じたということが第1点です。

 それから、ただいまご指摘がありましたように、「comply or explain」ということでコンプライアンスの取組みについての公表義務を何らかの形で課して、社会への発信を進めるような施策が考えられるかどうかという点の検討も是非してみたいと考えております。

 それから、これは前の方でいろいろ言われたことの質問になるのですが、武内さんに関しましては、モデル約款ではないということで、約款のようなものを作るときに消費者団体を入れなかったのはどういう理由によるのかということを質問したいということと、それから、モデル約款ということについて競争との関係でいろいろご指摘がある。その点はサジ加減が非常に難しいと思いますが、逆にそれをあまり言いすぎて、社会的公正を守る最低限の団体での取組みもだめだということになりますと、今、いろいろな団体がそういうことに取り組んでおられて、相当な役割を果たしておられるわけなので、そういう最低限を守っての競争ということは、逆に競争を活性化する意味も非常にあるということをここで指摘させていただきたいと思います。

 本日示されましたガイドラインでも、例えば事業者の方に何か故意重大な過失があったときの責任を免れないという、これは当たり前のことでありまして、これは極端な例ですが、故意重過失責任を免れるか免れないかという問題で競争するなんていうことはそもそも考える必要はないわけです。そういう観点から必要最小限のガイドライン、あるいはモデル約款といいましても世間でモデル約款といわれているものも、それは業界団体で一応のモデルを立てて、それを各個社、個社で実情に合わせて変えて使っているということが多いので、多くのものはガイドラインではないかと思いますが、そういう取組みの正当な評価はしていくべきである、それは競争を活性化することの意味もある。つまり、こういったいろいろな免責条項とか細かな条項をすべて消費者が目配りをして契約書を読んで、その上で買い物の意思決定をするということは難しいわけです。本当に最低限はモデル約款で保たれているということになりますと、その上でどこに目をつけていったらいいかということを消費者も考えることができますので、その考える対象を限定するという意味もあります。その辺を踏まえてこういったものの取組みも正当に評価していくべきではないかと考えております。

 ということで、質問としては武内さんへの1点だけですが、この機会に意見も述べさせていただきました。

〔 松本委員長 〕 それでは、消費者の意見をなぜ聞かなかったという点について、武内さん、お願いいたします。

〔 武内氏 〕 当然、メンバー全員考えたのですが、時間の問題もありましたが、我々の業界につきましても何となく恐怖感というのがありまして(笑)、とんでもない方向に行くのではないかということがありまして、今回につきましては、我々のガイドラインはスタートラインに立ったという認識がありますので、変えるものは変えていくというのは根底にありますし、このことはガイドラインそのものにも書いてあります。差し当たりは業界をまとめることが先だということで割愛させていただいたわけです。

 ただし、過去の苦情等につきましては、会員数百社ぐらいからアンケートをとりましてそれは全部反映しております。

〔 吉岡委員 〕 是非、消費者の声を吸収するようなことをこれからご配慮いただきたいと思います。

 先ほどご質問がありましたが、私、言い足りなかったところがありますので付け加えたいと思います。

 消費者が関与した事例は過去にあるのです。2つほど挙げますが、1つは大きな業界で生命保険です。生命保険の約款は非常に難しくて、ほとんどの消費者は読んでいません。契約をした後で約款が送られて来ても、読まずにそのまましまっておく。支払事由が発生して初めて読んで、それは契約には当てはまらないということを知って大変不満を持つ。不満以上の場合もありますがそういうことがありました。これは生命保険業界と消費者団体が話し合いをしまして、そのときは約款そのものを変えるというところまではいかなかったのですが、消費者に契約時点でわかりやすくしなければいけないということで合意し「ご契約のしおり」というのを別に作っていただいて、それで説明するということを導入しております。

 それから、これは小さい事業者の話ですがクリーニング業界です。クリーニングのクレームも非常に多くて、それもクリーニング屋さんそれぞれが個別の事業者ですから、業界としてなかなかまとまらない。そういう中で非常に事故が多かった。

 これについてもクリーニング業界(組織率はそんなに高いものではありませんでしたが)、話し合いをしまして賠償基準を決めました。この賠償基準は立証責任をクリーニング業者の方にもたせるという内容で合意を得ました。これがその後の苦情処理の中では非常に参考になった。そういう事例もあります。

 実際に消費者も参加したことによって、いい方向性を出したという事例は、今、2つ挙げましたが、あるということを申し上げたいと思います。

 それから、もう一つ、これは事例というよりは文句の方に近いことですが、銀行の勧誘方針を、指針を出すということで実際にやっていらっしゃるのですが、これが実際には店頭に掲げてあってもよほど気をつけてみないと見落としてしまうという掲げ方をしていらっしゃいます。「勧誘方針があるのではないですか」と窓口で請求しても、窓口で対応できない。それで少し上の方にご相談になって「あることはあるけれども、お渡しできるようなものはありません」ということで、しつこく言ったらやっとコピーしてくださったというような実態もあります。

 それから、少しさかのぼりますと、経営の内容がわかるようにディスクロージャー紙を作っているのですが、非常に立派なものでかなりお金もかかっていると思います。そのためだと思うのですが、一般の人たちにはなかなか入手できないという状況がありました。これも消費者団体で取り組みまして、少なくとも店頭に読めるような形で置いておくということに改善がされております。

 そういう意味では、やはり制度を作って、それを実行していても末端の消費者に周知できるようなことがされていないと、せっかく作ったものが役に立たないという状況があるのではないでしょうか。

 そういう意味で、今回、周知ということが非常に重要だと考えております。

〔 川本委員 〕 4つばかり申し上げたい。1つは、経団連の企業行動憲章を作られるときに、何か月もかかっていろいろ作業されたということで、今、改めて見させていただきましたら、消費者という言葉は特に出てこないわけです。「広く社会とのコミュニケーション」とか「政治、行政との健全かつ正常な関係」とかあるのですが、多分、数か月研究されたときには、会員の方々のご意見はもとより、諸外国の経済団体の行動も研究されたと思います。これを作られたのは今から4年ぐらい前ですから、消費者契約法もできていないし、法律的に消費者というのがきちっと出てきたのは消費者契約法からではないかと思いますし、事業者と消費者との交渉力とか情報力の格差がうたわれたわけですが、その後、若干の法律的な整備もあったわけですし、この行動憲章に消費者という視点はもちろん入っているでしょうが、言葉は全く使わなかったというのは何か特別な配慮というか、考え、哲学があるかなというのが、質問の1点です。

 2番目は、今後の進め方にも関係するのですが、山本(豊)委員もおっしゃいましたがモデルというのかガイドラインというのか、それは呼び方の問題になってくるのだと思いますが、ある程度全体的なものと、消費者の視点に即したやや詳しいものというか、2段構えになるのでしょうか。そういうことを考えていくのは非常に有益ではないか。

 それから、いろいろなところで同種の議論をやっているのではないかというのは、前回も前々回もありましたが、私は、前回も申しましたがいろいろなところで審議をやっていてもいいのであってその観点が違う面もありますし、それぞれが知恵を出し合っていけばいいということがありますし、特に国民生活審議会というのは消費者の視点を大事にして横断的にいろいろ見られるわけですから、その特性を大いに発揮して1つの考え方を出していくのは大変有益ではないかと思っております。

 最後に、吉岡委員がメモとご説明に関連して、 Whistleblowing の制度化とか、量刑ガイドラインの考え方みたいなものをもう少し検討、勉強したらどうかというお話もありましたが、自主行動基準の実効性ということを考える場合に、こうした点についても、それぞれの制度化している国で現状がどうなっていて、どういう問題があるのかという点も含めて勉強する価値は大変あるのではないかと思っています。

〔 宮部委員 〕 川本委員がおっしゃったように、これができたときにはまだ消費者契約法の「ショの字」も出ていないわけですが、憲章の序文の方を見ていただきますと、下から2番目のパラグラフに「企業行動のあり方について、消費者・ユーザー、株主、地域社会……」というふうにステイクホルダーズのトップに消費者を持ってきて、経団連の基本的考え方を示しているわけです。

 また、憲章の方の1条で「社会的に有用な財、サービスを安全性に十分配慮して開発、提供する」と書いてあります。「今の時期に『消費者』という言葉がないのはどうなのか」というご意見だと思いますが、第1に、今、社会はどんどん変化していますので、おそらく次に経団連の企業行動憲章を改定するときには、「消費者」という言葉が相当目立つような格好で入ってくるのかなと思っています。第2に、これはこの前の委員会でも申し上げたのですが、消費者、消費者ということをいくら会社の中で言っても、業態によってたいぶ事情は違うのですが、社員教育の中では、「いかにいい製品を作るか」という方が企業の取組みの中心になるわけです。その背景には消費者にいいものを差し上げようという目的があるわけです。

消費者団体に対して、事業者としてもお願いがあります。例えば、吉岡委員の紹介された「消費者の幾つかの責任」というところに「いろいろな製品について説明書や表示をよく読む」、「無茶な使い方をしない」というようなことがどうして入っていないのかなというように感じております。PLの相談現場の話をいろいろ聞いていますと、誤使用も多いし、テレビの後ろを見ていただくとわかりますが、何センチもチリが積もっていたり、これは本当にかわいそうです。やはりたまには掃除してやっていただきたいなと思うのですが、そういうことが実際の製品をめぐるトラブルの相当大きな1つの要素なのです。事業者としては、消費者団体が問題意識をもって取り組んでいらっしゃるような問題以前に、個々の消費者として常識的に果たすべき役割があるのではないかということをご認識頂きたいと思います。

〔 吉岡委員 〕 売り言葉に買い言葉になってはいけないと思って発言をしない方がいいかしらと思っていたのですが、(委員長のご指名ですので、)申し上げたいと思います。

 「よく読む」、これは当然消費者の責務として考えなければいけないのですが、「読みやすく、わかりやすく」書かれているかということを申し上げたいと思います。そこだけ申し上げておきます。

 それから、「使い方もいろいろある」ということで、確かにテレビから火が出たという場合に、そういうことをよく言われます。しかし、メーカーによっては「やたらと開けて掃除をしてもらうことが事故につながる」ということで「開けるな」とおっしゃっているのもあるのです。

 現実に大きな事故が過去に起こっています。電気毛布です。あれは修理をする時は全部取り替えなければいけないので高くつきます。それで、若い男性ですが、自分で電気ぐらいわかると修理したのです。ところがその修理の仕方がまずかったために火事になってしまったという事例もあります。

 ですから、「自分で手を入れなさい」と言うのがいいのか、「手を入れるな」と言った方がいいのか、これもものによって、使い方によって違います。

 製品開発の問題も当然あります。どうして全部取り替えなければいけないようなものばかりお作りになるのか。それによって買換え需要は出てきます。しかし、買い換えするということはゴミが増えるということになります。そこまで考えて製品を作っていただきたいというのが消費者としての希望です。それ以上、あまりここで言い合ってもと思いますが、やはり消費者サイドから見た場合には言い分はかなりあります。その辺を両方で話し合って、より良い基準を作っていくということをこの場でしていきたいと思っております。

〔 松本委員長 〕 各業界の自主行動基準づくりのときに、今のような話し合いがフランクになされると、かなりいいものができるのではないかと思いますが(笑)。

〔 川本委員 〕 「消費者という言葉がないのはけしからん」とお思いになっているというお話があったのですが、べつに私はそういう観点ではなくて、やはり事業者も消費者もいろいろ協力してやっていかなければいけないわけなので、そういう精神が反映していればいいわけですが、時代とともに変わっていく。せっかくのお話があったので、今、これをみたら、そういう感想を持ったということでありまして、いずれにしても、企業は質のいい製品なりサービスをリーズナブルな値段で消費者に提供していくというのが、ある意味では最大の社会的な貢献だと思っていますから、そういう意味ではべつに「けしからん」とか何とかという意識ではなくていかにしていい意味の協力で、いい財・サービスが市場に流通していくかという観点から申し上げているわけです。

〔 坂東委員  〕 また今日も大変勉強させていただきましてありがとうございました 武内さんからご報告いただいた警備業協会の自主行動基準、大変興味深く読ませていただきました。

 反応がなかったということなので、少し反応しなければいけないと思いまして(笑)、私は、大変努力された結果だなと思って見せていただいてます。とりわけ、先ほど、高 委員の方からもありましたが、これは対業者向けの基本的なペーパーではありますが、基本的に消費者との契約の際に、この中身が具体的に消費者に知らされることになりますよね。つまり、それは裏に消費者契約法の民事ルールの具体化としての意味も持っているからだろうと勝手に思っておりますが、その点がとても大切ではないかなと思います。

 したがって、もちろん中身の細かい点についてはいろいろなご議論があろうかと思いますが、全体としては大変評価できると思っています。

 その際にですが、契約手続きの際にそれぞれの事業者の方は、ひょっとすると2月のアンケートの際に調査されるのかもしれませんが、このガイドラインを使って今契約しているということを消費者に伝えておられるのでしょうか。あるいはまだそこまでいっていないのかどうかということをお教えいただけますと、大変ありがたいと思います。

 もう1点は、それとは全く別のことですが、消費者の参加に関わって既に吉岡委員からご説明があったとおり、紛争解決に消費者の代表が関わるという視点も今後は重要ではないか。とりわけ、今、ISOでも事業者団体等の提供する紛争解決機関の模索というのが始まっております。その際に、消費者紛争の解決に消費者団体、あるいは消費者問題の専門家が関わっている、そのことが結果として事業者団体が作る紛争解決機関への消費者の信頼性の確保にもつながります。参加のあり方としては紛争処理手続きに消費者問題の専門家ないしは消費者団体のメンバーを関与させた上で、可能であればできる限り苦情処理のデータを情報公開していただくという仕組みができれば、消費者の関与のあり方として、大きな意味を持ってくるのではないかと思っております。

〔 武内氏 〕 後者につきましては、貴重なご意見でございますので、持って帰って検討したいと思います。

 前者につきましては、企業によってですが、例えば大手の警備会社につきましてはホームページに、「我々の勧誘手続き、契約書につきましては消費者契約法及び警備業協会作成のガイドラインにのっとっております」と入れております。

 現場の営業につきましては、今日も来るときにいろいろアンケートをしていたのですが、そこまでやっていない。聞かれる場合には言っている。気恥ずかしいという考えがちょっとありまして、これは今後の課題でございます。

〔 宮部委員 〕 これは建設的な意見として聞いていただたいのですが(笑)、この間、東京経済大学現代法学部の島田和夫先生のお話を経団連の消費者法部会でお伺いしたのですが、商業高校で教えている「商業法規」という教科書は社会人として最低限わきまえておくべき、契約などの民商法の基本ルールが、わかりやすく網羅されており、本は非常によくできていると言われたのです。私はまだ読んでいないのですが、我々世代も今いろいろこれで議論したり勉強したりしているわけですが、これから先の若い人たちに対して、学校教育の一環として基本的な消費者教育を入れていかないと、大きな意味での、長い目での消費者教育というのはできないのではないかなという気がしております。ご意見いかがでしょうか。

〔 吉岡委員 〕 大変申し訳ないのですが、島田先生のおっしゃっている教科書を私は拝見していないものですから、どんなことが書かれているのかわからないので、そこについては何とも言えないのですが、消費者教育が必要だということは私も実感しているところです。ただ、消費者教育の対象は幅が広いのです。そういう中でハウツウ的に「この場合はこう、この場合はこう」ということを教育していくとすれば、学校の授業の大半を消費者教育に使わなければできないと思います。これからは当然学歴社会は崩れる、もう崩れているところもありますが、それにしてもやはり基礎的な学問は積まなければなりません。そういうことを考えると、消費者教育の基本的な考え方をもう少し考えて、学校教育の中で取り上げていく必要があると思っております。安全の問題もありますし、食品の着色料の問題もありますし、契約の問題もありますが、基本となるのは、自分がどういう社会を作っていきたいのか、消費者としてどういう役割を果たしていくのか、そのためにはどういうことを考え行動しなければいけないのか、基本が判断できるような教育が学校教育の中できちっとされることが大切です。その後は応用編になるのではないかと思います。

応用編については基本がきちっとできていれば、自立して考えていくこともできます。ただ、一般消費者にとって難しい表現を使っている場合が多い。特に、ここには大勢いらっしゃるのであまり言いたくないのですが、法律の専門家の先生方は非常に難しい表現が多いのです(笑)。もっとやさしく表現を的確にするという工夫をお互いに考えていく。ただ、基本の「キ」のところは具体的に個別的な問題ではなく、考え方をきちっと教えるということにあるのではないか。そうでないと、限られた教育課程の中ではかなり難しいだろうなと思います。

〔 鍋嶋委員 〕 吉岡委員の消費者の役割のところですが、今のお話も含めてですが、反対しているわけではないのです。今の消費者の問題は、自己判断能力の欠如だと思うのです。自分で決められない人が多くなっている。これは消費者契約法のときもそうですが、自分で責任持って決めるという能力が落ちてきているのではないかと思います。これは学校教育もそうですが、社会教育というところでずいぶん影響があるのではないかと思います。消費者団体にお願いしたいのは、消費者にそういう教育を今後もやっていただきたいということです。意見でございます。

〔 滝川委員 〕 武内さんのご意見についてですが、業界ガイドラインに各社が従っているということを周知徹底するという場合、これはやはり最低基準なので、各社が上乗せすることは自由だということを強調していただきたい。というのは、実際にも、例えばIATAが紛失荷物のクレームの規約を作っていますが、これは事実上国際カルテルになっています。これ以上はどの会社もやってない。このように現実性のある危惧なので、例えば業界団体で最大手の会社の場合でしたら、「業界ガイドラインに従っている」と書くのではなくて、「業界ガイドラインの最低基準を満たしているわが社は、さらにこれだけのことをやっています」と言っていただきたい。

〔 澤藤委員 〕 ごく手短に申し上げますが、1つは消費者像の問題ですが、あるべき消費者像を企業が作って、この水準に合わない、これは消費者側に責任があるのだという言い方には賛成いたしかねます。もう言い古された議論ですので、それ以上のことは言いません。

 それから、私も、吉岡委員から批判された法律家の一人なのですが、消費者の利益のために何とか頑張りたいという意欲を持った弁護士が全国におりまして、全国51単位会にすべて消費者委員会、名称はいろいろですが、消費者問題対策委員会ですとか、消費者保護委員会とか、消費者問題を扱う委員会ができております。そして、日本弁護士連合会がその統括団体として100名の委員と60名の幹事とで、ありとあらゆる消費者問題に関与しております。

 もちろん消団連という立派な組織もありますが、是非、皆さん、こういう規約を作るときのご相談とか、意見を聞かしてくれというようなことがありましたら、日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会に来ていただければ、ご相談に応じたいと思いますので、一言宣伝をさせていただきます(笑)。失礼いたしました。

〔 松本委員長 〕 ありがとうございました。

大体予定の時間になってまいりましたので、このあたりで本日の審議は終えたいと思います。次回につきましては、宮部委員、稲岡委員からモデルを作るのには断固反対であるというご意見もあり、指針とモデルはどこが違うのかということもあるとは思いますが、次回は「消費者に向けた自主行動基準の策定に関する指針(案)」の骨子についてご議論をお願いしたいと思います。

 骨子の作成に当たりましては、高 委員、田中委員、坂東委員のご協力をいただきながらたたき台を次回お示ししたいと思っております。この点でよろしくお願いいたします。 それでは、事務局から次回の日程についてお願いいたします。

〔 堀田消費者企画課長 〕 次回は年明けでございますが、1月28日(月)の午後2時からを予定しております。会場につきましては、また追ってご連絡させていただくということにさせていただきたいと思います。

〔 松本委員長 〕 それでは、本日はこれをもちまして閉会とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。                                     

 以 上