国民生活審議会第16回自主行動基準検討委員会議事要旨

平成14年11月6日

内閣府国民生活局消費者企画課


1.日 時   平成14年11月1日(金) 13:30~16:30


2.場 所   中央合同庁舎第4号館第4特別会議室


3.出席者

 (委 員)   松本委員長、池田委員、稲岡委員、川本委員、澤藤委員、高委員、滝川委員、田中委員、タン委員、鍋嶋委員、南条委員、原委員、坂東委員、山本(豊)委員、山本(隆)委員、吉岡委員

 (事務局)   永谷国民生活局長、田口大臣官房審議官、河大臣官房審議官、堀田総務課長、中村消費者企画課長ほか


《 配 布 資 料 》

    議事次第【PDF:5KB】

                 資料1 NPO消費者ネット関西の活動とその理念-専門的消費者団体の可能性(14KB)

                 資料2 ヒアリング等に基づく検討課題について(25KB)

《 参 考 資 料 》(掲載省略)

                 ・消費者に信頼される事業者となるために-自主行動基準の指針-(中間報告)

                 ・消費者に信頼される事業者となるために-自主行動基準の指針-(中間報告)に対するパブリックコメントの結果概要

                 ・消費者の挑戦(消費者ネット関西設立記念誌)

                 ・公益通報者保護制度に関する企業へのアンケート調査結果(平成14年10月31日公表)


4.議 題

1) NPO消費者ネット関西からのヒアリング(坂東俊矢委員)

2) ヒアリング等に基づく検討課題について

3) その他

5.会議経過

1) NPO法人消費者ネット関西常務理事である坂東委員より、日頃の取り組みについて報告があった。

 〔主なポイント〕

・ 消費者の視点から「市場」における消費者の利益を代表して、権利擁護を行う専門的消費者集団の必要性を感じており、消費者ネット関西がそうした組織になることを期待。今後は、自主行動基準の評価、社外取締役や倫理委員会に消費者の代表を送る場合の支援体制等が課題となる。

・ 学者、弁護士、消費生活相談員、アドバイザー、コンサルタントなど、組織内での活動では限界を伴いながら消費者問題にあたってきた専門家がNPOという形で参加することにより、それぞれのバリアが克服できる。

・ 具体的な活動としては、①消費者被害の実態に関する調査・研究並びに啓発事業、②消費者関連法等の普及・検討を目的とした研究・セミナー・シンポジウムの開催、法制度の改善についての研究・提言、③ネットワーク事業、④NPO基金の運用、⑤会員情報誌等の発行など。

・ 自主行動基準との関係では、本年の消費者法ゼミの前半として、5回にわたって勉強会を開催。特に第5回目は、一般参加者にも開放した公開ゼミとした。

・ これまでの活動の成果としては、①多様な消費者問題と消費者法の専門家のコラボレーションにより、多様な問題を多様な視点から検討、議論する土台ができつつあること、②その時々の消費者問題について、個別問題の解決にとどまらない政策提言的な活動ができつつあること。

・ 一方、今後の課題としては、①依然、「研究」「調査」の段階にとどまっていて、具体的な問題解決までは到達していないこと、②とりわけ、企業を巻き込んだ活動の広がりをもてていないこと。

 〔主な質疑〕

・ 消費者問題の専門家だけをもって組織した団体をその代表性から言って消費者団体と呼ぶのかは疑問。消費者行政を大きく見直すにあたっては、従来型の消費者団体との連携が必要。また、多様な活動をする消費者団体を否定するものではないが、草の根の活動を無視してはいけない。

・ いろいろな消費者団体があっていいと思う。ただ、専門家集団としてやっていこうと割り切っているのか、個々の消費者の声を取り入れようとしているのか。また、財政面はどのようになっているのか。
→いろいろな活動があったからこそ、自分達の活動があるのであり、専門的消費者団体のみが消費者団体とは思っていない。具体的連携のためのネットワークを構築することで、専門家の限界を超えることができないかということで活動している。また、消費者の声という意味では、200名以上の会員のうち、かなりの部分は一般の消費者であり、専門家が気付かないことも指摘されている。財源については、会員からの会費と立ち上げの際の弁護士会(の会派および有志)からの一定の支出という2本立てである。

・ 目的を団体訴権の確立、遂行、受け皿として、明確に謳えば団体の役割もわかりやすいのではないか。
→団体訴権が一番大きな柱のひとつであることは事実であるが、現実の問題を吸い上げること、裁判や紛争解決制度の中に消費者の意識を向けることも必要。

・ 個別消費者への助言、啓発、ADRということは現在どうしていて、今後どう考えているのか。また、従来型消費者団体の代表を役員に入れるなどの連携は、現在どのようになっていて、今後どのように考えているのか。
→相談業務はやっていないが、どういう主体が相談業務を担うべきかという議論はある。また、その時々のトピックについては事例研究会にて月に1回程度検討しており、会員外にも公開しており、一般相談員も入っている。従来型消費者団体との連携については、組織としてでなく個人として関係するということで対応している。

・ 社外取締役というと、経営全体を見なければいけないので、消費者の代表が入っても全体の代表と位置付けるのは難しいのではないか。
→個人的見解だが、企業と消費者団体との接点のあり方として、社外取締役が問題となってきた。その中で、個人として送り出すだけでなく、関与のあり方を含めて検討しなければならないという認識だと理解していただきたい。

・ 団体訴権を付与するにあたり、消費者の代表という形をとれるかという問題があるが、その認識はどうか。
→要件については今後の議論をみなければならないが、ポイントは継続的活動に対する社会的信頼が得られるかという点だと思う。そういう意味では、NPO法人格を取得していること、規約の中に消費者問題対応を入れていること、消費者に対する活動を実際に行っていること、以上3点は自信をもって言える。

2) ヒアリング等に基づく検討課題について、資料に基づき事務局より説明した後、以下のような意見があった。

 〔主なポイント〕

・ 最終報告をどのように、どういうスケジュールで取りまとめるのかを教えていただきたい。
→本日はヒアリングを通じての課題を最終報告にどう反映するかという論点であり、最終報告を取りまとめるにあたっての一部である。全体の取りまとめについては、次回までに議論していただく予定であり、詳細については相談させていただきたい。

論点1について

・ 中間報告は発表した時点ではインパクトがあったが、社会の変化は急激でスピードアップしており、本日の論点を中心に最終報告をまとめるのであれば、最終報告は時代遅れで意味がない。社会としてあるべき方向を提起することに重点を置いた審議をお願いしたい。

・ 全ての産業に受け入れられるには、中間報告では長すぎるので、わかりやすく、簡潔に、理念がわかるように書かなければいけない。日本経団連も同様の指摘をしている。自主行動基準が受け入れられることを前提に議論されているが、自主行動基準が社会に受け入れられるように考えさせる議論をするべき。

・ 21世紀型消費者政策のあり方で議論されている事業者の責務と、自主行動基準はどうリンクしているのかはっきりすべき。また、消費者政策上の自主行動基準の位置付けを明確にすることが必要。

・ 本日の4つの論点を活かすためのしくみを考えるべき。特に自主行動基準の開示の仕組み、消費者の役割、ADRでの生かし方等を盛り込むべき。

・ 理念を明確にしなければならない。言葉(倫理綱領、コンプライアンス、自主行動基準)も混乱している。我々の言う自主行動基準と企業が普通イメージする自主行動基準とは違うものであり、消費者問題に特化したものであるという位置付けをきちんと行わないと企業は作成しない。

・ 自主行動基準の位置付け、倫理綱領等との関係を整理する必要がある。P-D-C-Aで何をやるのかをまず明確にすべき。そうした包括的なものを策定した上で、消費者向けのものを作った企業は公表して欲しいと強調してはどうか。そうすれば上手く整理できるのではないか。

・ 消費者保護に関した施策は、トップダウン(法令等)であったが、ボトムアップにより企業の自主性を生かすことが必要。ボトムアップを行う中で政府は助言という役割を担うべき。

・ 全体的な消費者政策の中で自主行動基準がどう位置付けられるのかが重要。第3のアプローチが本当に消費者利益になるのか検討が必要。第3のアプローチで企業の自主性に任せるだけで上手くいくということで、消費者保護規制が後退することがあってはならない。

・ 中間報告から半年以上経過しているので、論点が深まることが期待されている。中でも実効性確保については一番関心があるところだが、議論は進んでいない。世の中のスピードを踏まえ、実効性も含めて議論を詰める必要がある。

・ 最終的な着地点というのは委員で議論してきたので分かっているはずではないか。例えば、消費者保護基本法に自主行動基準の根拠を置く、マーケットの上場基準に自主行動基準の策定と公表を折り込む、内閣府のホームページに優れた自主行動基準を公開し奨励する、などいくつかの手段を講じれば企業の策定を促進するのではないか。世の中の流れは自主行動基準を作って欲しい、守ってほしいという流れなので、その方向に加速したほうがよい。

・ 今まで出てきた意見はほとんど委員会の1回目と2回目に行ってきた議論。各委員が様々な意見をお持ちの中で、何とか中間報告にまとめあげた。最終報告に向けて新たに議論するのではなく、中間報告を土台に、強調すべき点は強調すればよいのではないか。

・ 自主行動基準を消費者保護基本法でどう位置付けるかという問題は、消費者政策部会で議論することであろうが、実効性を上げるためにも当委員会として提言してもよいのではないか。

・ 自主行動基準が浸透していくには誤解が生じる。自主行動基準という言葉を聞いてイメージするのは倫理綱領であり、実際にヒアリングをしても、消費者に限定した報告をした業界団体はなかった。大幅な改定、不毛な議論をしないためにも、「消費者志向を実現するための行動基準」と名称変更すれば、誤解はさけられるのではないか。

・ 倫理綱領と自主行動基準の関係、企業がこの半年で行っていること等を踏まえて、委員会としてのメッセージをクリアーに打ち出す必要がある。また、中間報告は長い、わかりづらいといった点については、企業に使ってもらうための工夫が必要。

論点2,3について

・ 中間報告には、事業者団体に関する基準が1頁に満たない。ヒアリングの成果を反映するためにも、事業者団体について議論を深める必要がある。また、事業者団体であっても消費者の関与は必要であり、オーストラリアでは、自主行動基準に関しては別組織で対応し、そこに消費者が関与することで独禁法との関係を整理しているとのこと。事業者団体が作るモデル基準の意味、役割を最終報告に反映すべきであり、また、その中で、消費者をどう位置付けるかという補足の論点もあり得る。

・ オーストラリアで上手くいっている例として、事業者団体とは別組織を作り、取締役に消費者代表を入れたり、事業者代表と同数の消費者代表を入れたりしている。また、コード・オブ・コンダクトの申請があると、公益のためによければ競争制限となってもよいと考えるべき。

・ ヒアリングで報告を聞いている限り、独禁法に触れていることはなかった。これは情報提供やコスト削減等、消費者保護のために有益な役割を果たしていることだと言える。独禁法との関連では、25頁に書いてあるので、「業界団体が競争制限になるおそれがあると考える場合には公取に相談にいくべきである」という一文を入れれば済むのではないか。

・ 公正取引協議会には我々の検討している自主行動基準の情報が入っていない。次回までに公正取引委員会や公正取引協議会と連絡をとっていただきたい。

・ 事業者団体が雛型を作るというのはメリット・デメリットの両論がある。丸写しになってしまうということのないよう、個別企業の努力を強調すべき。

・ 我が国の現状では、事業者団体の役割は重要。両論併記という意見もあったが、業界団体自体のレベルが低いという問題ではないか。総合的に議論する必要がある。

・ 別組織での取り組みということだが、日本信販の個人情報保護の自主ルールは、個社でも業界でもない別組織が作成したものである。日本でもそのような動きが出てきているが、財政基盤をどうするかは今後の課題。

・ オーストラリアでは、消費者代表の分も含めて金は全て企業の負担である。背景には、「コード・オブ・コンダクトを作らないと法律で対処する」という脅しが働くからだろう。

・ 公正取引委員会の関心は競争政策であり、消費者保護には注意を払っていないのではないか。内閣府に移行するのだから、消費者保護の役割を与えれば、競争制限と公益を比較考量するような柔軟性が生まれるのではないか。また、アウトサイダーが多い場合にはペナルティがあっても良いのではないか。そうすれば加盟していることが競争政策に繋がるのではないか。

・ 業界団体は、アウトサイダーと先進的に取組んでいる会員企業との違いが消費者にわかるようなしくみ、入会のインセンティブとなるようなしくみを考えることが必要。また、リーディングカンパニーにも、同業者や消費者に取り組みがわかりやすくなる工夫をすることが求められる。

・ 「自主行動基準の指針」という名称は変更しないくて良いのではないか。

・ 一般の倫理綱領や行動基準には消費者に関する部分はほとんどない。故に我々の自主行動基準は一般のものとは別物の消費者志向のものであることを明示する必要がある。

・ 今のままでは、内閣府の意を汲んだものをつくろうとする企業は10分の1位だろう。倫理綱領の一部であるということがわかるような、わかりやすい言葉「消費者志向の行動基準」などとした方がよい。

・ 業界団体でいいものを作っても浸透していないのは腹立たしい。わかりやすく浸透させる方法を考えるよう業界団体に指導するしかないのか。

・ 本日の論点1から4に挙げられた課題に対する解決策が決まれば、社会的な対策が明確になり確定するのではないか。そうすると消費者との関係だけに限定し、名称も基準ではなく、指針となる。一方で、消費者と信頼しあう折角の機会を失うことになるという相矛盾したことにはなる。

・ 企業にも消費者にも理解できる文言にすることが必要。また、周知し理解してもらう努力が、今後の課題として求められてくる。文言を変えることはできても、内容の大きな見直しは無理だと考える。

・ 業界団体で雛型を作るべきだが、雛型だとわかる作り方をすべき。

・ アウトサイダーに対しては、インセンティブを示すのみならず、法的措置も必要ではないか。

・ 横断的に省庁間の連携をとって、より良いものにして欲しいが、基本法にどう盛り込んでいくかが基本にならなければならない。

・ 様々な考えがあるが、消費者に対して表明することが必要というのは共通認識であろう。問題はどうやって具体化するかであるが、やはり基本法に盛り込み、消費者政策に位置付けられるということをはっきりさせることが必要。

・ 公正取引委員会でも、消費者政策との関係を考えているので、議論をリンクさせて欲しい。

・ 雛型自体を否定するのではないが、作成の仕方、利用のされ方に言及すべき。策定させるための方策と遵守させるための方策では、議論が全く異なる。

・ 独禁法の1条に目的があるが、自主行動基準と独禁法のリンクが本当に無理なのか、もう一度、意義について考える必要があるのではないか。

・ プラスを強調する制度を考えてもよいのではないか。表彰などを行い、インセンティブが上がれば真の意味での実効性が上がるのではないか。

・ 個別企業が取組むように仕向けること、業界団体とは別組織が自主行動基準の作成等を行うこと、表彰制度を設けること、作ることでなく遵守することに意味があるので遵守にまで関与すること、などについて引き続き議論する必要がある。

論点4について

・ 企業の社会責任を議論、検討する担当部署が内閣府にできるようにすべきでないか。

・ 論点4の②については、開示の方向で動いている。③については、苦情だけでなく前向きに消費者の意見を反映すべきである。

・ 連邦量刑ガイドラインを前提としつつ、懲罰的賠償の考え方を導入すべき。

その他

・ もっと短く簡潔にという議論はあるが、実務者が分からないと意味がないので、要約版を作り、細かいものは最終版で示すという方法を検討しても良いのではないか。

・ 経営理念、倫理綱領、自主行動基準などの関係がわかるイメージ図があると良いのではないか。

・ ピラミッド型のイメージ図を示して、はじめて理解してもらったことがある。項目のみでも分かるものが必要。

3) 次回日程は、11月29日(金)14時00分からの予定。

以 上

* 本議事要旨は暫定版のため、今後修正があり得ます。