国民生活審議会第1回自主行動基準検討委員会議事録
議事次第
平成13年10月5日(金)10:00~12:00
中央合同庁舎第4号館 第4特別会議室(406号)
1.開会
2.委員紹介
3.部会長代理指名
4.内閣府大臣政務官あいさつ
5.自主行動基準検討委員会運営要領(案)について
6.委員長代理指名
7.消費者政策についての最近の動向
8.国民生活審議会消費者政策部会自主行動基準検討委員会の今後について
9.その他
10.閉会
配布資料
資料1 国民生活審議会消費者政策部会委員名簿
資料2 国民生活審議会消費者政策部会自主行動基準検討委員会委員名簿
資料3 自主行動基準検討委員会運営要領(案)
資料4 消費者政策についての最近の動向
資料5 自主行動基準検討委員会のスケジュール(案)
資料6 消費者と事業者の間の信頼の再構築の在り方について(第1部前半) (第1部後半)(第2部)
委員名簿
委 員 長
松 本 恒 雄 一橋大学大学院法学部研究科教授
委 員
池 田 耕 一 松下電器産業株式会社法務本部企業倫理室長
稲 岡 稔 株式会社イト-ヨ-カ堂常務取締役総務本部長
川 本 敏 国民生活センタ-理事
澤 藤 統一郎 弁護士
高 巌 麗澤大学国際経済学部教授
滝 川 敏 明 関西大学法学部教授
田 中 宏 司 経営倫理実践研究センタ-主任研究員
ミッシェル タン 帝塚山大学法政策学部助教授
鍋 嶋 詢 三 社団法人消費者関連専門家会議理事長
南 条 俊 二 読売新聞論説副委員長
原 早 苗 埼玉大学経済学部非常勤講師
坂 東 俊 矢 京都学園大学法学部教授
宮 部 義 一 経済団体連合会経済法規委員会消費者法部会長
山 本 豊 上智大学法学部教授
山 本 隆 司 東京大学大学院法学政治学研究科助教授
吉 岡 初 子 主婦連合会事務局長
出席者
(審議会)松本委員長、池田委員、稲岡委員、川本委員、澤藤委員、高委員、滝川委員、
田中委員、タン委員、鍋嶋委員、南条委員、原委員、坂東委員、宮部委員、 山本(豊)委員、山本(隆司)委員、吉岡委員
(事務局)渡辺政務官、池田国民生活局長、大石審議官、渡邊審議官、 太田国民生活局総務課長、堀田消費者企画課長、鵜瀞消費者調整課長 他
〔 松本委員長 〕 定刻になりましたので、ただいまから国民生活審議会消費者政策部会自主行動基準検討委員会を開催いたしたいと思います。
本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
昨日、10月4日に開催されました第1回国民生活審議会消費者政策部会におきまして、自主行動基準検討委員会の委員長として、指名を受けました一橋大学の松本でございます。委員会の議事進行に当たらせていただきます。どうぞご協力をお願いいたします。
本日は最初の委員会ということで、まず、各委員の紹介をさせていただきたいと思います。事務局の方からお願いいたします。
〔 大石審議官 〕 担当審議官の大石でございます。 それでは、私の方から委員の皆様方のご紹介をさせていただきます。
本日は全員の委員の方にご出席いただいております。五十音順にご紹介させていただきたいと思います。
池田(いけだ) 委員でございます。 稲岡(いなおか) 委員でございます。
川本(かわもと) 委員でございます。 澤藤(さわふじ) 委員でございます。
高(たか) 委員でございます。 滝川(たきかわ) 委員でございます。
田中(たなか) 委員でございます。 タン(たん) 委員でございます。
鍋島(なべしま) 委員でございます。 南条(なんじょう)委員でございます。
原(はら) 委員でございます。 坂東(ばんどう) 委員でございます。
宮部(みやべ) 委員でございます。 山本(やまもと) 委員でございます。
吉岡(よしおか) 委員でございます。 それでは、どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔 松本委員長 〕 どうもありがとうございました。 本日は、渡辺内閣府大臣政務官にご出席いただいておりますので、開会に際しましてご挨拶をいただきたいと存じます。
〔 渡辺内閣府大臣政務官 〕 おはようございます。 ただいまご紹介にあずかりました内閣府の大臣政務官を拝命しております渡辺博道と申します。
本日、自主行動基準検討委員会の第1回目を開催させていただくにあたりまして一言ご挨拶をさせていただきます。
松本委員長をはじめといたします委員の皆様方におかれましては、ご就任いただきまして誠にありがとうございます。心から御礼を申し上げる次第でございます。
昨日、消費者政策部会がございまして、その席上において自主行動基準検討委員会の設置が認められ、そして松本委員長がご就任ということになりまして、今日がその第1回目であります。
この検討委員会で年度内に検討していただく内容をこれから申し上げたいと思います。現在の状況の中において消費者を取り巻く環境は大変変化しております。国際化、グロ-バル化、また商品の多様化、サ-ビスの多様化といった形でどんどん進んでおりますが、その根本には消費者と事業者の情報力・交渉力の格差が厳然として存在しております。
政府といたしましては、こういった消費者と事業者を取り巻く環境、そしてトラブルの解消のために民事ル-ルの整備を図ってきたところであります。
しかし、これは国だけではできません。事業者自らが自主行動基準を作成して、消費者と事業者の信頼関係を構築することが大変重要だと思っております。
国際的にみますと、昨日の消費者政策部会の中で欧米の状況の報告もありましたが、自主行動基準というものが大変重視される、コンプライアンス経営が大変重視されている国際的な環境がございます。そうした中で日本も自主行動基準をどのように進めていくのか、こういったものを是非ともご検討いただきたいと思っております。
特にオ-ストラリアとか、イギリスにおいては、自主行動基準を積極的に進めていこうという政府の方針もあるようでございます。そういったお話も是非とも聞かせていただきたいと思っております。
本委員会は、コンプライアンスに関しまして大変造詣の深い方々のご出席をいただいております。当委員会においては我が国の自主行動基準の在り方についての審議検討をしていただきます。最終的には自主行動基準のモデル指針を作成していただくということになります。これにより、我が国におけるコンプライアンス重視の事業経営が根付いていき、消費者と事業者の信頼が再構築されていくことに期待しているわけでございます。
お忙しい委員の皆様方でありますが、1つの目的に向かってよろしくご検討を、そしてまた、すばらしいご提案をしていただくことを心からご期待申し上げましてご挨拶とさせていただきます。
〔 松本委員長 〕 どうもありがとうございました。 続きまして、昨日開催されました第1回消費者政策部会につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
〔 堀田消費者企画課長 〕 昨日、午後2時から2時間にわたりまして第1回消費者政策部会が開催されました。
昨日の議題は、この「自主行動基準検討委員会の設置」と、「消費者契約の適正化の政策評価」という2つでございましたが、ここでは、自主行動基準検討委員会の設置に関することにつきまして、どういった意見があったか簡単にご紹介させていただきたいと思います。
多数ご意見を賜りましたが、主なものを紹介させていただきますと、 「近年、信用していた企業が消費者を失望させるような事件を起こすことが多い。企業が自主行動基準を策定し、それを遵守するのであれば、裁判外紛争処理機関でもそういったル-ルは役に立つのではないか」
「消費者との紛争処理の仕組みまで含めて自主行動基準を考えていかないと、消費者の信頼を得るのは難しい」
「企業が自主行動基準を策定するのは当然のことであり、いかにしてその自主行動基準を遵守する組織を作るかが大事である。責任ある役員クラスの者が監視するなどの体制づくりが求められている」
「企業の使命というのは時代とともに変わってきており、現在は経済的価値だけではなく、顧客の価値、社会的な価値を踏まえるべきである」
といったご意見がありました。 また、企業が、「International Organization
for Standardization」という国際的な基準、ISOを取得することについて、「ISOの取得は消費者から信頼を得られる1つの方法である」、「自主行動基準の検討に当たっては、ISOのような基準化も考慮すべきである」といったご意見がございました。
「インタ-ネットが普及し、消費者でも情報がリアルタイムで入手することができるようになった今、企業は迅速に情報を出さないとデメリットが大きくなっている」といったご意見がありました。
その他にもございましたが、主なものとしては以上のような意見がございました。
〔 松本委員長 〕 ありがとうございました。 それでは、議事に入らせていただきます。
まず、本自主行動基準検討委員会の運営要領につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
〔 堀田消費者企画課長 〕 最初に本日の資料の確認をさせていただきたいと思います。資料番号が右肩に書いてありますが、配布資料といたしまして資料1から資料6までございます。ご確認をいただきたいと思います。
資料1は消費者政策部会の委員名簿でございます。 資料2は自主行動基準検討委員会の委員名簿でございます。
資料3は会議の運営要領でございます。 資料4は消費者政策についての最近の動向でございます。
資料5は自主行動基準検討委員会のスケジュ-ル(案)でございます。 資料6は消費者と事業者の間の信頼の再構築についての関連資料でございます。
それから、ご参考までに「自主行動基準の作成とコンプライアンス経営」という内閣府の国民生活局の部内で設けた研究会の検討課題という形でまとめていただいた研究のサマリ-を参考資料としてつけてございます。
それでは、資料3をご覧いただきたいと思います。 この運営要領は、今後、この自主行動基準検討委員会を進めていくに当たりまして一定の規則を定めたものでございます。
「1 委員会」ですが、「(1) 委員長が委員会を招集し、委員会の事務を掌理する。(2)
委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。」ということとしたいと思います。
「3 議事の公開」のところをご覧いただきたいと思います。「会議は原則として公開とし、傍聴席に相当する人数に限り傍聴させることができる。」としております。「ただし、特段の理由があると委員長が認める場合は、理由を明示し、会議の全部または一部を非公開とすることができる。」となっております。
なお、仮に公開する場合であっても、傍聴者が議事の進行を妨害するといったようなことがある場合には、その傍聴者に退席していただくということにしております。
「4 会議資料の公表」につきまして、これにつきましても「原則として会議において公開する。」となっております。また、同様に「ただし、特段の理由があると委員長が認めた場合には、会議資料の全部または一部を公開しないことができる。」となっております。それから、委員等から会議終了後に資料の提出等がもしあった場合、委員長が認めたものは次回の委員会において配布させていただきたいと考えております。
「5 議事録の公表」につきましては、「発言者名を記載した議事録を会議終了後おおむね1か月以内に公表する。」ということになっております。これにつきましても、「特段の理由がある場合は、議事録の全部または一部を非公表とすることができる。」としております。
「6 議事要旨」ですが、議事録とは別に簡単な議事要旨を、会議終了後、ワ-キングデイで2日以内に公表するということになっております。
以上が運営要領の(案)でございます。
〔 松本委員長 〕 ありがとうございました。 この運営要領は、親部会であります消費者政策部会の運営要領と基本的に同一のものでございますので、以上のような方針で本委員会を運営していただきたいと考えますが、それでよろしいでしょうか。
( 「異議なし」の声あり ) それでは、そのようにさせていただきます。
運営要領では「会議を公開する」ということとしておりますので、ただいまから原則として本委員会を公開で行うことにいたします。
また、運営要領の1の(2)に基づきまして、私の方から委員長代理を指名させていただきたいと思います。山本
豊委員に委員長代理をお願いしたいと存じます。 続きまして、お手元に配布させていただいております資料4の消費者政策の最近の動向につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
〔 堀田消費者企画課長 〕 資料4をお開きいただきたいと思います。
この資料は、消費者政策全般にわたりまして関連するものを集めたものでございます。 1ペ-ジの棒グラフですが、これは
PI0-NETという地方の消費生活センタ-と中央の国民生活センタ-とのネットワ-クで、消費者から寄せられた相談を集計したものでございます。
右端の平成12年度の相談件数は54万件となり、平成元年から12年間で約3倍の増加になっております。
そのシェアを見ますと、販売方法とか契約、解約については平成12年度で82%となり、平成元年が6割半ぐらいだったものが8割強となったということで、やはり相談の中で販売方法、契約・解約の割合が着実に増えているということがおわかりいただけるかと思います。また、ここには出ておりませんが、最近、インタ-ネット、電子商取引などの普及に伴うトラブルも増えてきております。
次に4ペ-ジをお開きいただきたいと思います。これは平成12年度以降に成立または改正された消費者関係の法律を整理しております。わずか1年半ぐらいの間に非常に消費者関連の法律がたくさん成立しております。
成年後見制度の見直しをはじめといたしまして、住宅の品質の確保に関する法律、消費者契約法と金融商品販売法が今年の4月1日から施行されております。
5ペ-ジにまいりまして「訪問販売法」、これも有名な法律ですが、改正されまして、名称も「特定商取引に関する法律」という幅広い名前になっております。内容の面でも、内職やモニタ-商法に関わる新しい規制が付け加わっている等の変更がございます。
その下は「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例」という法律ですが、これは、電子商取引などにおきまして、消費者がパソコンを使っているときに、間違ってクリックをしてしまったなどの「錯誤」によって契約をしてしまった場合に、消費者の救済が図られる新たな法律になっております。
ここには掲載されておりませんが、現在、国会で「個人情報保護法」が継続審議になっております。
以上が、最近の主な消費者関連の法律の動きでございます。 次の6ペ-ジは、平成6年にできました製造物責任法の概要でございます。
2.製造物責任法の趣旨の2つ目の「・」に書いてありますが、「被害者の円滑かつ適切な救済」という観点から、製造業者に「『過失』がなくても」、つまり『無過失』でも、「製品に『欠陥』であれば製造業者に賠償を負わせる」ことで、消費者の「立証負担を軽減する」というのがこの法律の大きなポイントになっております。
9ペ-ジからが、こちらが消費者政策部会におきまして6年にわたってご検討いただきました消費者契約法の概要でございます。
10ペ-ジ、「Ⅲ.法のポイント」にありますように、この消費者契約法の特徴は何といいましても「適用除外」がなく、「すべての事業者と消費者の間で結ばれた契約が適用対象になる」という非常に包括的な法律であるということでございます。
柱は2つございます。まず第1は、事業者が消費者を勧誘するときに、消費者に対して「誤認をさせる」とか、あるいは「困惑をさせる」といったような一定の行為をした場合、「消費者は契約を取り消すことができる」ということでございます。
できるだけ明確なル-ルにしたつもりではあるのですが、中にはやはり「重要事項」等、十分に特定できなかったようなところもございます。
第2の柱は、「契約条項」のうち、消費者にとって非常に不利な契約条項がもしあれば、これも「一定の契約条項」となり、その条項を無効にできるというものでございます。11ページでは、7つの具体的な契約条項の例と、一般条項を記しております。
また、「4 事業者・消費者の努力」は、努力規定でございますので、これによって契約条項が取消しになるということではございませんが、「事業者は契約内容を明確かつ平易なものとなるよう配慮するとともに、必要な情報を提供するよう努めなければならない」という事業者の義務と、「消費者も契約の内容について理解するよう努めるものとする」という条文が第3条として入っております。
12ペ-ジでございますが、これは過去約10年間ぐらいに消費者政策部会においてどのようなテ-マが検討されてきたかというものをまとめたものでございます。
以上、簡単でございますが資料のご説明とさせていただきます。
〔 松本委員長 〕 ありがとうございました。 それでは、ただいまの消費者政策についての最近の動向に関するご説明につきまして、ご意見、ご質問がございましたらお出しいただきたいと思います。
特にございませんようでしたら、ただいま山本 豊委員がお見えになりましたので、委員長代理のご就任のごあいさつをお願いしたいと思います。
〔 山本(豊)委員 〕 遅くなりまして失礼いたしました。 自主行動基準検討委員会運営要領(案)によりますと、「委員長に事故があるときは、あらかじめ指名する委員が代理する」ということであります。私としては、松本委員長に是非頑張っていただいて(笑)、そういうことにならないようにお願いしたいと思います。
〔 松本委員長 〕 どうもありがとうございました。 続きまして資料5の自主行動基準検討委員会のスケジュ-ルにつきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
〔 堀田消費者企画課長 〕資料5をご覧いただきたいと思います。 今後、約半年間の委員会のスケジュ-ルをまとめたものでございますが、本日10月5日が第1回ということで、委員会の進め方につきましてご議論いただきまして、第2回目は、11月21日に開催したいと思っております。内外におけます自主行動基準の現状とその評価について取り上げていただければと考えております。
第3回目、これはわずか9日間しか間が開いておりませんが、11月30日に開催し、日本におけますコンプライアンスの具体的対応について、できましたら企業の方から企業におけるさまざまな問題点等をご報告いただければと考えております。
第4回目が12月21日で、かなり押し詰まった時期で恐縮でございますが、「自主行動基準の必要性と意義と問題点」ということで、消費者サイドあるいは事業者サイドから見て自主行動基準のあるべき姿というものをご検討頂きたいと考えております。
年が明けまして1月の中旬ぐらいから具体的な自主行動基準のモデル指針づくりについて、2回にわたりましてモデル指針の検討をしていただきたいと思っております。
さらに3月には、そういう自主行動基準のモデルを作るだけでなくて、コンプライアンスをどう遵守していくかといった問題も含めまして、コンプライアンスに関する実効性確保の枠組みについてご議論いただきたいと思っております。
ここまでの議論全体をある程度まとめまして、3月の終わりには一応中間報告(案)を作らせていただきたいと思っております。
大体以上がスケジュ-ルのイメ-ジでございます。 なお、次回、内外におけます自主行動基準の際に、本日の委員であります田中先生と高先生からそれぞれご報告をいただければと思っております。
次の「日本におけるコンプライアンスの具体的対応」のときには、稲岡委員と池田委員、鍋島委員のお3人の方からご報告をいただければと思っております。
それ以降については、またご相談いただければと思っております。
〔 松本委員長 〕 ありがとうございました。 ただいまのスケジュ-ル(案)につきまして、ご意見、ご質問ございますでしょうか。
(特になし) 続きまして資料6「消費者と事業者の間の信頼の再構築の在り方」及び参考資料「自主行動基準作成の推進とコンプライアンス経営」につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
〔 堀田消費者企画課長 〕 資料6をお開きいただきたいと思います。
1ペ-ジめくっていただきまして目次がございます。大きく2つのパ-トに分かれておりまして、Ⅰ.は、「日米を中心とした企業行動基準の策定状況」では、対消費者だけでなく、企業を取り巻くさまざまな利害関係者、ステイクホルダ-との関係で対従業員との関係、あるいは女性労働の問題や、チャイルド・レ-バ-等のさまざまな問題についての自主行動基準についてまとめております。Ⅱ.「欧米の消費者行政における企業行動基準の位置づけ」では、各国においてこれら企業行動基準を使って、どのような消費者行政を
行おうとしているかということについてまとめております。 では、1ペ-ジをお開きいただきいたと思います。
これは田中先生にまとめていただいているご本から借用させていただいておりますが、アメリカにおけますコンプライアンスといったものの歴史的な背景を少し整理したものでございます。70年代から90年の初め頃までしかございませんが、時代背景としましてはウォ-タ-ゲ-ト事件やロッキ-ド事件のような政治的な問題、証券会社のインサイダ-取引やS&Lの問題といったように、社会的背景が変わってきているという中で、企業のモラル改革運動や、法律による対応ではなくて企業の自主的な対応が重要であるという認識が80年代から強まってきたということで、そういう中で倫理プログラムの導入の動きが70年代から80年代にかけて始まってきているということでございます。
さらに80年代の終わりになりますと、環境問題でありますとか、あるいは製造物責任、PLの問題といったことで企業に対する社会的な批判というのもあったということでございます。これはあくまでも企業の自主的な動きとしてそうなっているわけですが、特にコンプライアンスを促したというふうに言われておりますのが、関係法令の一番左側の「連邦量刑ガイドラインの発効(1991)」が大きな要因になっているのではないかと言われております。
ちなみに、「連邦量刑ガイドライン」につきましては、6ペ-ジをお開きいただきたいと思います。
連邦量刑委員会が定めたコンプライアンスプログラムということで、これは裁判所のル-ルだと聞いておりますが、恣意的に量刑を決めるのではなくて、明確な基準を作った上で懲罰を決めるということで、その懲罰は1から60ぐらいまであるというふうに聞いておりますが、そういうものを決める際の基準というものが、この連邦量刑ガイドラインということになっております。
基準の中身としては1から7までございますが、
最初の1番目では、予防手続きを成文化する、文章にするといったこととか、倫理綱領の設定といったものがございます。
2番目は、企業倫理の担当の責任者を任命しているかどうか。
3番目は、権限の委譲が適正に行われているかどうか。
4番目は、研修・教育プログラム
といったような基準に基づいて判断していくということでございます。 この量刑というのが、企業にとっては1つのインセンティブになって自主行動基準を作るという動きが強まったということだと思います。
2ペ-ジにお戻りいただきまして、アンケ-ト調査でございます。アメリカのフォ-チュ-ン
1,000社に対する、大企業に対するアンケ-ト調査ということで、 1,000社に対して回答数が
244社ということですので、決して十分な回収率ではありませんので、必ずしも全体像を示したものではないということで、昨日の部会でもご指摘があったところでございますが、ある程度参考になると思います。
①のところで「倫理に関する価値や配慮を日々企業の業務に組み込むために何らかの措置をとっていますか」といったようなところでは、93%ぐらいの企業が「イエス」と答えているとか、②のところで「以下のどの手段を、会社に倫理的価値を組み込むためにお使いですか」という手段の問題で、「倫理綱領(code
of conduct )を作っている」が93%、「倫理委員会を設けている」というのが25%でございます。
その他いろいろ細かく書いてございますが、「印刷物として必ず従業員に配布しているか」というのは、「100
%そうしている」という答えになっております。 4ペ-ジにまいりまして、この表はOECDが各国の研究者がまとめたものをさらにまとめたものでございます。左から2番目のWardさんという方の研究ですと、
5,000社の企業を対象としまして調査を行っておりますが、86%ぐらいが正式なコンプライアンスを持っているというようなことでございます。コンプライアンスの規定として上位8領域は以下のとおりということになっておりまして、4
番目の環境、健康、安全といったようなところが、消費者行政に関連の深いところでございまして65%ぐらいという数字が出ております。
右から3番目のオ-ストラリアのところで、93年のちょっと古い研究になりますが、
86%が「全総業員向けの行動指針を作成した」というようなこと、70%が「行動指針の目標を立てた」といったような結果が得られております。
あとは省略させていただきます。 5ペ-ジにまいりまして、これも要するに倫理の内部制度化の主な手段ということで、どういうやり方なのかということで書いたものですが、1番目は、倫理綱領(code
of conduct) 、あるいは「code of ethics」といったものを作る。 2番目は、社内に、幹部クラス、トップが関与した倫理委員会を作るといったこと。
3番目は、倫理トレ-ニング・プログラムということで、従業員のトレ-ニングを行うということ。
4番目は、倫理監査ということで、内部監査あるいは外部監査ということで、監査をきちっとしていく。
5番目は、専門のオフィス、職員を持った倫理オフィスを作るといったものもございますし、6番目にはホットラインということで内部の意思疎通を図っていくというようなこともございます。
大体以上が主な手段になっております。 7ペ-ジにまいりまして、日本におけますコンプライアンスということで、日本でも90年代に公正取引委員会が「流通・取引慣行ガイドライン」というものを91年に作っておりまして、それを踏まえまして公取の関係団体であります公正取引協会が独禁法、競争の分野でのコンプライアンス・プログラムというものの手引きを作っていると聞いております。
経団連におきまして91年に「企業行動憲章」というのが作られておりまして、その改定も96年に行われております。
それから、これは企業経営者の倫理面での研究センタ-ということで、経営倫理実践研究センタ-というのが98年にも作られているということで、日本でもこういう動きが強まっていると言っていいかと思います。
法律の面で今年の4月から金融商品販売法が施行されておりますが、この法律の中では金融商品を販売するときの勧誘のときに、消費者に対してどういうル-ルで勧誘するのかという勧誘方針を、これは一種の自主行動基準という形で作りなさいということでは盛り込まれたものでございます。
同時に消費者契約法も施行されているということでございます。 8ペ-ジにまいりまして、経団連の企業行動憲章の抜粋でございます。8ペ-ジ、9ペ-ジがその関連でございます。
10ペ-ジにまいりまして、この企業行動憲章に対しまして企業の方がどう見ておられるかということで、最初のクエッションでは、「経団連の企業行動憲章(91年制定)を知っている、あるいは全部読んだことがある」という回答は54%で、残りの半数の企業はまだ読まれていないということがございます。
2番目では、「社内で憲章の周知に努めた」とする回答は全体の42%と、まだ半数以下で、「会員の間で一層の周知徹底を図る必要がある」とされております。
その下のところで、「これから想定される企業行動上の諸課題」ということで、環境問題とか、製造物責任問題、さまざまな経済的なリスクの問題といったものが挙げられております。
アンケ-トにつきましてはまた後ほどご覧いただければと思います。 14ペ-ジ目からは、経済同友会のアンケ-ト調査の結果が出ておりますが、「企業行動基準を作っているか」ということで、「既に策定している」というのが48%で約半分という結果を得ております。
17ペ-ジからは日本監査役協会のアンケ-ト調査でございます。このアンケ-ト調査によりますと、日本の場合はやや宣言的な色彩が強いのではないか。50%ぐらいの方がそういう答えになっているというのが18ペ-ジの一番上の左側のところでございますが出ております。
19ペ-ジにまいりまして、経営理念の制定・見直し状況のところで図表2をご覧いただきますと、これはある意味で当然かもしれませんが、「顧客志向」というのが一番強いという結果が出ております。
日本の紹介はこのぐらいにさせていただきたいと思います。 27ペ-ジにまいりまして、Ⅱ.の方に移らせていただきます。
Ⅱ. は消費者行政の中でcode of conduct づくりが今どうなりつつあるのかというのを整理したものでございます。
アメリカは、日本の公正取引委員会に近い連邦取引委員会というところが消費者問題も、競争問題と併せて扱っているわけですが、連邦取引委員会の設置法に当たります連邦取引委員会法の第5条に「公正な取引」という一般条項というようなものがございまして、何が公正かあるいは不公正かということにつきまして、長い間、議論が続けられてきて、それが少しずつ蓄積されてきている。
②のところで、連邦取引委員会におけます「公正の基準」というのが70年代ぐらいに確立されてきているということでございます。
②の真中ですが、94年の改正連邦取引委員会法第5条によりまして、さらに明確にされてきているということでございます。
28ペ-ジにまいりまして、以上のような議論を踏まえまして、連邦取引委員会の方では個別企業に対して助言をしていくとともに、「ガイド」というものを作っておりまして、業界を指導するといったようなこともあると聞いております。
(2) に自主規制の促進ということが書いてありますが、世の中の変化のスピ-ドが非常に速い、特に技術の発展が非常に速いということで、法律の制定ではなかなか間に合わないというような場合に、自主規制を作ることを勧めているといったような動きがございます。一部の例としましては、子供のオンライン・プライバシ-保護法とか、インタ-ネット広告といったようなところで自主規制を作らせて、それを連邦取引委員会が承認するというようなことを行っているということです。
29ペ-ジにまいりましてカナダでございます。 カナダは法律とは直接的にはあまりリンクがないようですが、カナダの産業省と国家財政委員会事務局とが共同して「自主基準というのは一体どういうものか」とか、「どういうふうに進められるべきか」といったようなことのテキストを作っているということで、自主基準の意義なんかをPRしていこうというものでございまして、効果的な基準を策定するための手段といったものもテキストの中でまとめているということでございます。草案を作るときには消費者等の意見を聞くとか、できるだけ公表しましょうとか、そういったようなル-ルになっております。
31ペ-ジにまいりまして、オ-ストラリアですが、今日はタン先生にご出席いただいておりますので、また後ほどコメントをいただきたいと思いますが、オ-ストラリアは自主行動基準に非常に熱心な国と言われておりまして、1988年から、取引慣行委員会というところが調査を始めておりまして、96年には「公正な取引慣行の確保を目的とする指針」を連邦政府と州政府が共同で作成するということ、98年には取引慣行法の改正を行いまして、その中では「行動規範に違反してはならない」という条文も付け加えられているということです。
以下では、行動規範の指針としてより細かく定められておりまして、一番下のところですが、18種類の目標基準といったものも出されていまして、商品の内容・デザイン、品質管理、アフタ-サ-ビス、苦情・紛争処理といったような細かい点につきましての定めがなされているということです。
32ペ-ジにまいりまして、④のところでは苦情処理、紛争処理の手続きといったものもありますし、違反した場合の罰則(サンクション)をどうするかといったようなものも問題として取り上げられているということです。
33ペ-ジにまいりまして、EUにおけます自主行動基準の動向ということで、EUの場合、まだ各国がかなりバラバラな面がございますが、その中でも進んでおります方のグル-プとしてイギリスとかアイルランドがあります。これも公正取引法の
124条ということで、OFT(Office of Fair Trade)の長官が自主行動基準の作成を促す義務、奨励する義務を負っているということで、いろいろ努力をしているということですが、これまでは必ずしも十分な成果が上げられなかった。消費者が必ずしもその行動基準について理解していないということで、せっかく企業が自主行動基準を作ってもあまり効果的ではないといった問題とか、業界団体が作りますとどうしてもアウトサイダ-の問題がございますので、そういうアウトサイダ-に対して有効に働かないといったような問題、経験を積んできておりまして、今年の8月から新しい制度に移行しようということで、36ペ-ジの(別紙1)でございますが、最近のイギリスの動きを整理してあります。「2段階のアプローチ」と書いてありますが、第1段階ではOFTによりまして行動規範の基準を明確化するというようなことを行っていくとともに、「積極的に取り組むべき特定分野」というものを決めまして、OFTが直接関与していくといったようなことになっているそうです。
第2段階では、実効性が確保されるということであれば、OFTが保証する、ギャランテ-を与えるといったことがございます。
3.のところで、第一義的に取り組む分野。全般的にみるのではなくて、ある程度特定の分野を絞っていこうということで、消費者にとって問題のある分野とか、複雑な商品サ-ビス、新しい商品サ-ビスとか、そういった問題。
それから、リスクの高い取引。 それから、商品や権利を消費者がよく知らない分野とかを観案していくつかの分野にアプロ-チをしていこうということです。
37ペ-ジにまいりまして、そういった基準に基づきまして具体的にどういう分野なのかと言いますと、中古車とかクレジット、葬儀、ダイレクトマ-ケティングといったようなものが当てはめられているということになります。
イギリスはまだこれから作業をしていくという状況でございます。 33ペ-ジにもう一度戻っていただきまして、(2)
では、オンブズマンが権限を有している国ということで、これは日本とは制度がだいぶ違いますので、オンブズマンが通常はトラブルの処理とかに当たっているわけですが、消費者保護の実効性を上げていくには、やはり自主行動基準というのがあった方がいいのではないかということで、まだ特定の分野ではありますが、オンブズマンと産業界がそういうガイドラインづくりに協力していくということで、協定を作っていく、アグリ-メントをまとめていくというようなことになっております。
北欧はスウェーデンとかフィンランド、デンマークといったようなところでそういった動きがございます。
一方、大陸の国としましてはイタリアとかオランダということでございまして、イタリアはまだ広告自主規制、広告の分野ということで限定されているようです。
オランダも最近は積極的に動きだしているということになります。 大陸ヨ-ロッパのフランスとかスペイン、ドイツなんかでもあまりこういう動きは聞いておりません。
35ペ-ジにまいりまして、EU個々の国ではなくてEU全体として自主行動基準づくりをやっていくべきではないかという動きがございます。分野別ではありますが証券投資とか遠隔地販売、通信販売のようなものだと思いますが、それから電子商取引という分野について「EUの指令」というものが出されているということになります。
残り(別紙)でございますが、多少おもしろい動きとしまして41ペ-ジの(別紙2)は、先ほどオンブズマンを紹介しましたが、フィンランドの例が出ておりまして、フィンランドのオンブズマンが企業の社会的責任の自主的認証ということで、Social
Responsibilityを果たしていくといったようなために自主的な動きを促進していると書いております。
43ペ-ジにまいりまして、(別紙3)はデンマークの例です。 44ペ-ジにまいりまして、国際的な基準づくりを行っておりますISOの下にCOPOLCOという消費者委員会がございますが、そこで企業のcode
of conduct を作っていこうという動きが既に起きているということでございます。今後、こういう国際的な動きと整合性を詰め考えていかないといけないのではないかと思っております。
45ペ-ジにまいりまして、これも7月17日に出されたばかりのペ-パ-ですが、「企業の社会的責任に関する欧州での枠組みの促進について」ということで、これも非常に広い範囲の社会的責任というものが取り上げられておりまして、その中でも自主行動基準的なものを作っていくといったものも含まれております。
以上、ざっと説明させていただきましたが、よろしくお願いいたします。
〔 松本委員長 〕 ありがとうございました。
ただいまのご説明が、我々が今後この委員会で検討していくべき問題についての手がかりとなるような国内外の基礎的な資料ということになります。
それでは、ただいまのご説明につきましてご意見、ご質問、あるいは今後の本委員会での審議に向けましてのご意見等ございましたら、どしどしお出しいただきたいと思います。 それでは、南条委員、鍋島委員の順序でお願いいたします。
〔 南条委員 〕 今、明確にしておかなければいけないという感じがしたものですから、申し上げます。一体、この場でどういうものを目指すのかというのが、はっきり言うとよくわからない。というのは、この資料が、はっきり言ってゴチャゴチャなのです。
最初の方のアメリカの歴史的背景の事件、背景については、全部消費者と関係がないのです。(ウォ-タ-ゲ-ト事件、ロッキ-ド事件、国防・軍需産業関連スキャンダル、証券会社のインサイダ-取引事件、S&L。)
さらに4ペ-ジの日本の場合も、企業の不祥事がずうっと並んでいて、これもはっきり言えば消費者と関係ないですね。
何をいいたいかと言うと、BtoCだけに限定したものを作ろうというのか、それともBtoCプラスBtoBのものを作ろうとしているのかよくわからない。
仮に後者であるとすれば、企業の社会的責任全般の行動基準について、どちらかと言えば、ここにあるアメリカをはじめ、いくつかの国のようなものをイメ-ジしているのかなとも思うわけです。
その一方で、ご説明では、消費者契約法とか、別の役所の業法をもう少し消費者志向に近づけて幅広くするという法律がきっちりと自主的に運用されていくための指針として、ここに書いてあるもので言えばイギリス的なものを志向しているほうにも考えられる。ちょっとどちらかわからない。
個人的に申し上げれば、僕は、いままで組み立ててきた法律をうまく運用するための、かなり限定した指針にすべきだと思うのです。ここに集まったメンバ-も含めてそういう形で集められているような気がしてしようがない。
仮にBtoBまで全部含めたものを一網打尽にしようとすると、ここの役所だけではなくて他の役所もきちっと絡めて最初から議論していかなければいけないし、議論するメンバ-も、もう少しメ-カ-や、最もいろいろな事件に絡まったような業界も入れて議論していかなければ進められないと思うのです。
そうなると、膨大なものをきっちりと公正にやっていかなければ、非常にどこか偏ってしまったような話になっていくことになる。こういう期間限定でメンバ-も限定されているとすれば、BtoCに限定した行動基準ということでやっていくべきだと思うのです。だから、その辺の考え方を明確にしていただきたい。
同時に、この資料や、委員会自体の名称自体も何となく全部やっちゃおうというような感じの名称になっているので、それも誤解を与えかねない感じがします。
したがって、そういうところについて、出発点で明確にしておく必要があると思います。
〔 堀田消費者企画課長 〕 ちょっとこちらの説明がまずかったかもしれませんが、結論から言いますと、企業の対消費者との関係ということに限定していきたいと思っております。
最初、この資料のⅠ.の部分が企業の行動基準ということで非常に広い範囲だということを申し上げましたが、1つのアプロ-チの仕方というふうにご理解いただければと思っております。この委員会では基本的に対消費者政策の中で、こういうcode
of conduct を位置づけながら作っていきたいと考えております。
〔 鍋島委員 〕 半分以上南条委員に言われてしまったのですが、2点申し上げたい。1つは、先ほどのご説明のところでコンプライアンスと行動基準と両方混ぜてお話しになっていて、よくわからないところがあった。この定義は一体何だろう。参考資料の「自主行動基準作成の促進とコンプライアンス経営」というのがありますが、私もこのメンバ-に入っているのですが、定義のところは私はとうとう最後までわからなかったところがあります。行動基準とコンプライアンスを分けて考えるのか、あるいはこれは同じだという考えを提示するのか、その定義も含めてこの委員会で検討していくのか、その点が1つです。
もう一つは、自主行動基準を作成するとしてもどこまでやるのかよくわからない。例えば参考資料を見ていても、業種別あるいは分野別ということで、深く入れば決めなければいけないことがどんどん増えてしまう。最後には、企業の社会的責任ということで、この会合は消費者政策部会の1つですから、この委員会はBtoCだけをやるのだというお話になると外れるような気もします。この資料の中に入っているのは「こういうものがありますよ」というお話なのかもしれませんが、ぼやけた感じがあります。
感想と、どこまで決めるかという話の質問です。
〔 吉岡委員 〕 関連でよろしいですか。
〔 松本委員長 〕 どうぞ。
〔 吉岡委員 〕 南条委員の発言にも関連してまいりますが、やはりBtoCを基本に置くような絞り方をしないと限られた時間内では無理かと思います。また説明では「公正な取引」の問題が出ております。それから、いわゆるADRの問題、この辺が非常に重要になってくると思います。
ADRについては、法務省、公正な取引については公正取引委員会も当然絡んできます。BtoCという限定された中で考えるにしても、やはりそういう関係の官庁、この辺の意見も聞いて調整しながら進めないと、それこそ実効性の面で難しいのではないかと思いますので、スケジュ-ルの中に入れていただくことをご検討いただきたいと思います。
〔 堀田消費者企画課長 〕 いくつかの観点からご質問でしたが、もともと概念がcode
of conduct や、コンプライアンスといった英語のものが日本に導入されようということでして、いくつか概念の面で我々も完全に整理しきれてないところがございます。
自主行動基準とコンプライアンス、またコンプライアンスそのものをどう定義するかということにもよると思いますが、自主行動基準というのは、参考資料のポイントの一番下に企業または団体が法令では明確に求められていないけれども、自主的に行動すべきル-ルというものをある程度文章化したものということになるかと思います。
それから、コンプライアンスという言葉はこれもいろいろ使い方がございますが、法令はもとより、そういう自主行動基準といったものを含めて遵守していくとともに企業内における体制を整備していくということで、これも研究会の中では、完全に合意されたわけではありませんが、一応こういうことで検討は進めてきたということでございます。
検討の対象があまり広がりすぎても、時間との関係でとうていできないということになりますので、範囲につきましては、先ほど申しましたが、BtoC、対消費者との関係で、これまでの消費者契約法の経緯とか何かも踏まえながら、ここでどこまで具体化できるかどうか、議論の中でまとめていただきたいと思っております。
範囲につきましても、BtoCとは言ってもまだまだ抽象的ですので、ご議論していただければと思っております。また、各省庁にいろいろまたがるということも事実でございますので、いろいろ各省庁の意見も聞きながら進めていきたいと思います。
〔 滝川委員 〕 今の具体的な面に入りますと、堀田課長から説明のあった各国の状況の説明の中で感じたことが2つありますので申し上げます。
まず1点は、各国の自主行動基準ガイドラインを分けてみますと、一つ一つの企業が作っている自主規制と、もう一つ業界が作っている自主規制があります。この2つは性格がかなり違うので分けて考えないといけません。企業単独でやる場合は問題が少ないのですが、業界の自主規制の場合は競争制限的な性格になるということを常に頭に入れておかないといけない。
アメリカの連邦取引委員会の経験をお話しされましたが、アメリカの反トラスト当局は自主規制については非常に警戒する立場もあるわけです。公的なお墨付を与えてしまうと、競争制限的になりまして、新たなベンチャ-ビジネス的な新規参入を阻んだりしますので、これは注意しなければいけないということです。
どうしなければいけないかといったら、イギリスの説明の中でOFTが明確な基準をまず作ることから始まったと書いてありますように、業界団体が自主規制を実施する場合には規制官庁がよくコントロ-ルしなければいけない。OFTがやっているように、最初に何が違反で何が違反でないかということをはっきり示す必要がある。そうでないと消費者の利益が害されかねないということです。
第2点は、アメリカの連邦量刑ガイドラインが紹介されましたが、これがアメリカでは確かに非常に大きな影響をもたらしております。アメリカは、独占禁止法、反トラストを含めた非常に広い範囲で刑事罰が使われている。刑事罰をかける際に、その企業が違反しないように努力すれば刑罰を下げるといったふうに、裁判所、求刑する側の検察、あるいは反トラスト当局が加減するということになっている。これは日本でもそういう体制をつくると、自主規制のガイドラインが企業が憲章をつくるモチベ-ションになるわけです。
ただ、役所の場合もその体制が整っていなければいけない。あるいは刑事罰、あるいは罰則をつける検察庁、裁判所、法律の対象がそうなっていなくてはならない。
例えば具体例を挙げますと、公取のカルテルが課徴金が今大きいのですが、あれは今のところ、現在の体制では裁量が効かない。機械的に適用されることになっていますので、企業が自主規制ガイドラインを作って防止しようとしていたのだけれども、たまたまうまくいかなかったという場合についての、裁量ができないわけです。そういうことを考えないといけないということです。
〔 高 委員 〕 最初に申し上げたいことは、私もずうっと悩んでおりまして、どこまでここで議論するのか。BtoCというふうに限定していくということを今おっしゃったのですが、企業側から考えると、やはりちょっとおかしな感じがするのです。基本的にこれはコンプライアンスというか企業倫理の取組みというのは、企業さんの狙いは自分の会社のインテグリティ-を高めていく、自分の会社の誠実さを高めていく、そのための取組みなのです。その1つの現れとして、例えば消費者に対して、こういう公正な取引をしますよというものを出してくる。
ですから、例えばコンプライアンス・マニュアルとか倫理綱領などは、それを使って社員さんの意識を高めていくなど、誠実な会社を作るための、ある意味ではツ-ルなのです。ですから、消費者に対してどうこうというのは、ちょっとレベルを分けるべきですが、例えば、ちょうど金融機関さんがコンプライアンスマニュアルと別に勧誘方針というのを持っています。「勧誘方針というのは基本的にお客さんに対してこれは守っていきますよ」と示すものです。ですから、ここでは、中身はあまり議論する必要はないでしょうが、コンプライアンスの体制を作るために、いわゆる消費者関係の法律だけではなくて、全般を考慮に入れたマニュアルを作らなければいけない。しかもそのコンプライアンス活動を担保するための仕組みまで作らなければならないと思います。
ただし、それだけだと、ここの本来の目的を達成することができませんので、消費者に対してはこうこうこういう方針で取り組んでいきますと示すものについても別に作ることになる。
柱は決めてもいいでしょうが、私は基本的に、消費者に対する方針の中身はそれぞれの企業が示して、マ-ケットに評価してもらえばいいと思います。倫理綱領でもコンプライアンスマニュアルでもそうですが、中身は基本的に企業が決めていいことなのです。ただし、それを公表しなさいということになれば、極端な話、「うちの会社はセクハラするよ」という柱を設けてもいいのですが、そんなことを喜んで世の中に示し、評価してもらえるなどと考える会社はないわけです。
基本的に自分で示しなさいということになれば、消費者に対して「うちの会社としてはこうこうこういうリスクを持っている。だから、うちの会社はできるだけコントロ-ルするように努めます」ということを消費者に向かって約束する。このレベルの文書と倫理綱領。この2段階の文章を作ることが重要ではないでしょうか。
それから、連邦量刑ガイドラインの話ですが、やはり刑事罰についてガイドライン的なものを持ってくるとなると、ここでの議論を超えている。とても手に負えないでしょう。ただ、これも行政の裁量はむしろ抑えるべきだと言われるのかもしれませんが、行政罰についてこういったガイドラインみたいものを作ることができれば、こういう取組みを企業に促すことにもなるのかなと思います。これは実際具体化されるかどうかよくわかりませんが、独占禁止法についても基本的に公取の裁量を増やすなど、独占禁止法の改正の議論もそこにウエイトがあるわけですから、消費者関係のものについても行政の方で少し裁量を効かせる、行政罰を重くしたり軽くしたりする。そのときの視点として日頃の取組み、コンプライアンスの取組みとかそういうものを見てあげるということも議論してもいいのかなと思います。
〔 松本委員長 〕 どうぞ、他の委員。澤藤委員、どうぞ。
〔 澤藤委員 〕 私は、ちょっと別の角度からお伺いいたします。私の関心は、自主行動基準による企業に対する規制、あるいは、規範の設定というものと、法による規制ないし規範の設定というものとをどういう関係で見るべきかということなのです。
一方で、法による規制はどんどん緩和するが、それでは消費者に対する保護が十分ではなく、私どもの言う消費者被害が発生する。その穴埋めに、他方で自主的な行動基準を作り、コンプライアンス体制を作る、こういう文脈でとらえるとちょっと違和感があるわけです。
つまり、規制緩和を推進し、法的規制をだんだんなくしていくエクスキュ-スとして自主行動基準を設定する。それであってはならないと思うのです。
先ほど来、ご説明のありましたが、今の立法の経過と、今、ここで行われようとしている自主行動規範の設定がどういう関係にあるのか。この委員会設定まで、それについてどういう議論が行われたのかということを少しご説明いただいて、私どもがどういう議論をすればいいのかということのアウトラインの提示をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
〔 堀田消費者企画課長 〕 非常に難しい質問なのですが、この委員会を立ち上げる前に松本先生を座長にいろいろ研究会を設けまして少し勉強はしてきたのですが、分野ごとによって安全性とか、あるいは悪徳商法とか、やはり従来の規制というかそういう枠組みがより有効に働くような分野がある一方、法律と自主行動基準がうまく組み合わせられることによって機能していく分野とか、あるいは全く法的なル-ルが整備されていないような、電子商取引とか比較的新しい分野、もちろん法規制も必要な分野があるわけですが、そういった新しい分野では自主行動基準的なものによって問題を解決していくというようないくつかの分野があるというようなことが今の段階では頭の中にあるのですが、それでは、それは具体的にはどうかということについてはこれからまた検討させていただきたいと思っております。
〔 松本委員長 〕 宮部委員。
〔 宮部委員 〕 今、皆さんが言われたことは、私も大体そう思っているのですが、企業のサイドも、問い合わせの80%はおそらくソフト的な分野ではないかなという感じがするのです。企業のハ-ドとソフトを考えてみると、ハ-ドについては昨日も申し上げたのですが、ISO的なところが基本にあれば、ある程度何とかなる。ソフトのところはあまり行動基準をもっていないという気が一つしております。
それから、企業のサイドも大企業でいろいろ事件などございまして、やはりやらなければだめだという基本認識は持っています。一方、企業に消費者の方からご要望があるのは、「製品はしっかりしたちゃんとしたものを頂戴ね」というのだけではなくて、「もっといいもので、もっと便利で安くて環境にもやさしいようなものも作ってね」、というこの2つがあると思うのです。
そこで、新しい製品を開発する。その際に、モニタ-制度などを実施していますが、今売られているものよりはややまだ未確認のものが入っているかもしれない面はある。
この点、最近、ベンチャ-の人たちとお話ししていますと、ル-ルブレ-クでなければ俺たちは生きていけないし、新しいものは出てこないと主張している。
昨日、ベンチャ-の方が言っておられたIT関係では新しいものを早く出す、そうするとおそらく問題があって、消費者の側がワ-ッと言ってくるので、一緒に直してしまう。ソフトの分野としては非常にうらやましいなと思ったのですが、ベンチャ-の方々はこれから新しい事業を日本に創っていくところで、自主行動規範で本当にギリギリやったら動きが取れなくなると思うのです。この辺をどうするか。
我々のサイドも、今日もご説明いただきましたが、経団連側としても、憲章を作り、改定もしました。作って皆さんにお配りしたときには非常に関心もあったのですが、ちょっと時間がたつと関心の薄れてくることもあります。
ISOですと、コツンとやられますと取引に非常に困る。何か試験を課すようなものがないと浸透しないのかなと考えます。
もう一つは、これだけガリガリやって、BtoCでいろいろなことが起きてくる。おそらくモノづくりの方もこれだけ賃金が高くなり、コストが高いとどんどん海外に出て行ってしまう。水清くして魚棲まずという時代がくるかもしれない。外からの輸入品をどうするのかということについても含めてト-タルな社会的動きの中でこの問題がどう扱われるのか考えていただきたいと思っております。
〔 松本委員長 〕 稲岡委員、どうぞ。
〔 稲岡委員 〕 私の個人的な考え方でございますが、今の産業界では、コンプライアンスの問題、企業倫理の問題、コ-ポレ-トガバナンスの問題が一体となって議論されているのが実態ではないかと思っております。
私、ずうっと考えておりますが、それぞれを分化して議論するというのは今の日本では多分無理だろうと思っておりまして、一体とした議論という形で進んでいるのが現状ですし、多分、そういう議論が望ましいのだろうと思っているのです。
今、日本の産業界にとってのガイドラインが何かあるかと言いますと、例えば96年の改定された経団連のガイドラインがあります。それから、OECDのガイドラインがありますが、これはあまり参照されていません。それから、コー円卓会議の企業行動指針なんていうのもありますが、手元に置いておくガイドラインというのは経団連の企業行動指針かなと。
これを見ていただくとおわかりのように、方向づけみたいな書き方がされているわけです。こういうことだろうと思っておりますが、今、日本の産業界どこの会社さんも,
ここの分野は非常に熱心であります。熱心でありますがなかなか手がかりがつかみにくいというのが現状でありますので、それを意義づける、動機づける仕組みといったようなものにつながるようなものをここで作っていただければ、我々としても、産業界として大変ありがたいのではないか。
経団連の企業行動指針といったような精神を、各社それぞれが自主行動指針を作る上での動議づけみたいなものを作っていただければ役に立つのではないかと思っております。〔 田中委員 〕 本委員会の目的は、消費者に中心がいくというのは当然だと思いますが、ただ、自主行動基準というのを考えたときに、あくまでもその企業にとって創業の精神から経営理念を踏まえてどういうような企業行動を取るのかというのがまず原点にあるわけです。それは企業の使命であり、例えば良質な商品とサ-ビスを提供するために、どういう公正で誠実な行動を取るかというのがまず問われるわけです。そのときに当然法律もいろいろなことを参照する、経団連の企業行動指針も参照にするのですが、ただ、個々人の企業に則している人々の行動を見ると、やはりこういう自主的な行動基準を示さないとなかなかわからない。「任せたよ」だけでは下の人は任せられない時代に今なっております。
したがって、自主的な行動基準を作って示し、それで教育・研修を通じてなるべく公正で誠実な企業行動をとるという方向の、その1つの大きな手がかりが自主行動基準だと思うのです。
当然、当委員会の目的としては、消費者の方に重心が置かれることは間違いないのですが、それもあくまでも全体のステイクホルダ-を考えた中で、では、企業はどちらの方向に顔を向けて仕事をしているのか、やはりお客さんが大事なんだ、そして、消費者にどうするかというふうに、そういう位置づけで詰めていって、そういうのをまとめれば企業にとっても非常に重要な指針になるのではないかと思います。
〔 池田委員 〕 実は私、このお話を内閣府からいただきましたときに耳を疑ったのです。それは何かと言うと、経済産業省からお話をいただくのだったらわかるなと。それは何かと言いますと、私ども企業サイドから見れば、まさに世の中の価値観が大きく変わる中で、企業倫理、コンプライアンスをさらに進めないと、ダメ-ジが大きい。企業経営の存続にも関わってくるという意識で取組みを、まあ、不十分ながらしているわけです。
しかしながら、それが内閣府、あるいは国民生活という観点からお話があったということはなぜかということを自分ながらに考えましたときに、一面、明るくなったのです。明るくなったというのは、おそらく社会全体が変わる中で国民生活をどのような豊かに、あるいは精神的にも豊かにしていくのか、実際的にもどういうガバナンスをしていくのか、こういうところの問題意識をひょっとしたら持っておられたのではないか。
というのは、企業サイドが自らどういうガバナンスをするかということで不十分ながら取組みをしているわけでございますが、社会全体として、あるいは、社会の発展として、どういう理由で押していくか、こういう問題意識からのお話かなと自分なりに思いますと、非常に志というのはすばらしいなと。こんな思いをしたわけであります。
まさに非常に粗っぽい言い方でありますが、新しい世の中の価値観の変化の中でソ-シャルガバナンスと言うと非常に粗い言い方ですが、そのうちの1つの形態としてどういう社会の大きな要素としての企業、消費者の方々、これをどういうふうにガバナンスしていくかという部分を志として持ちながら、なおかつ、先ほどからお話しの、期間あるいはメンバ-の限定等々があるわけでありますから、具体的にテ-マをどう絞っていくかということを考えます。ただ、志はやはり大きく持たれているのかなと、そういう思いに私も共感をさせていただいているというのが正直なところであります。
〔 松本委員長 〕 今日は1回目ですので、なるべくいろいろな観点からご発言をいただきたいと思いますので、まだ発言されていない方も何人かいらっしゃいますが、どうぞお願いいたします。川本委員、どうぞ。
〔 川本委員 〕 コンプライアンスに関して消費者問題の関係ですぐ頭に浮かぶのは、この4月から金融商品販売法が施行されて、その1つのキ-ワ-ドがコンプライアンスであったことですが、今のところ、勧誘方針とか出てきていますが、一般論が多くて、なかなか実際の場でオペレ-ショナルというか、使えるようになっていないのではないかという感じがするわけです。ですから、自主行動基準といっても、どういう分野でどういうものをどのレベルで作るかというのは、先ほどからありましたようによく議論して、最終的には実際にかなり役に立っていくようなものが出てきたらいいなと思っています。
先ほどのご説明でイギリスの例、イギリスはかなりいろいろなことをやっていて、ずいぶんこの分野でも進んでいるような気がしてまして、第1段階、第2段階とあって、かなり具体的にもやられているようなので、非常に参考になるのではないかと思います。例えばイギリスの場合でも証券取引をはじめ金融取引については、まずかなり厳しいル-ルがあると思うのです。いろいろな商品を販売する場合でも、適合性と言って、その人にふさわしくない商品は売ってはいけないというようなル-ルがあるわけですが、そういうことをやった場合には相当強いペナルティ-があります。
だから、自主行動基準に委ねる部分と、そうではなくて、かなり厳しいル-ルというかペナルティ-を伴うルールがEUや何かの場合はかなりしっかりしたものがあるような気がするのです。自主行動基準というのは非常に重要ですし、これから、ますます企業の社会性というか、プロソサイエティ-というか、プロコンシュ-マ-というか、そういうものが重要になってきているわけで、そういうのをcode
of conduct でしっかり守っていくというか、そういう雰囲気をさらに醸成するというのは非常に重要だと思います。また、その際、code
of conduct でできる部分とそうではない部分をよく見極めることも大切と思います。
それから、先ほどお話があったように、消費者トラブルもいろいろありますが、かなりアウトサイダ-的な企業が起こしているトラブルも非常に多いわけです。そういう問題に対してはどういうふうにしていくのか、code
of conduct がどのぐらい有効性があるのか、それはcode of conduct のエンフォ-スメントというか、実効性をどう確保するかということも関係すると思うのですが、そういういろいろな問題があって、非常に難しい問題にこの委員会はチャレンジするのだなという印象を持っているわけですが、何とか知恵を出して全体的な考え方と、さらに何か実効性のある、役に立つ、考え方をまとめて公表できたら非常に意義が大きいのではないかと感じました。
〔 坂東委員 〕 いままでの議論を聞かせていただいて、私も混乱しておりまして、どのようにしゃべっていいかわからないのですが、まず1つ考えなければいけないなと思うのは、この自主行動規範なるもの、あるいはコンプライアンスなるものが、従来、消費者にどのぐらい、先ほどもお話がありましたけれども、理解されて意味を持ってきたかということをきちんと整理しなければいけない。そのときに、例えば1つのアイディアとして、EUの指令が「行動規範の策定に消費者の代表を関与させなさい」というのを中に入れている。つまり、作成の手続きへの消費者参加というものもある意味ではいままで日本のアイディアになかった行動規範に対する考え方かもしれない。
おそらくこれから行動規範というものに意味を持たせていくためには、我々が今後考えていかなければいけない課題というものが、取り分けBtoCに関わる部分についてはたくさんあるのだろうと思うのです。それをまず、コアの部分とそれに関わる部分とで整理しながら議論ができると一番いいなと個人的には思っています。
ここからは私の思いでありますが、澤藤先生のお話もあって、法でル-ル化ができると一番いいのだろうと私も思います。ただ、法でル-ル化する場合には、現在、業法規制そのものの在り方についての議論もありますし、やや全体に網をかぶせるが故に、その具体化が難しい課題というのも多数あります。消費者契約法で言えば情報提供義務の議論はそうだったのかもしれません。そのまま放っておいていいのかというと、あれ消費者契約法の場合は努力義務ですが、やはり義務なわけですから、それをもう少し消費者の方に「こういう義務を事業者の方は頑張るのですよ」ということを、先ほどの金融商品販売法の勧誘方針ではありませんが、より明確にしていく。しかもそれに一定の在り方と、言葉は悪いですが一種の権威づけも含めた装置を整備していかなければいけない。その部分については、私の感覚ではやはりコアの問題としてここで是非一定の、在り方を示せればよいと思います。
〔 松本委員長 〕 あとまだ法律の専門の研究者の方で、お3人に。山本隆司委員から順番にお願いします。
〔 山本(隆)委員 〕 考えがまとまっているわけではありませんが、私の専攻は行政法でして、行政法というのは行政機関が企業なり一般市民なりを規制するというところから出発しているわけですが、最近、かなり様相が変わってきまして、規制するという典型的といいますか非常に単純なモデルというのは実は通用するところは少ないのではないかということが言われるようになりました。強い、弱いの程度はありますが、誘導をするとか、枠組みを作るとか、要するに国の役割というのは単に規制をするかしないかというだけではなくて、いわば背後に回ってインフラを作るとか、議論の素材を提供するとかいった、いろいろな役割の果たし方があるということが言われるようになりました。サンクションにしても、先ほど刑事罰の話が出ておりましたが、あるいは公共調達の要件にするとか、あるいはマ-クを付けるとか、あるいは公表するとか、実効性確保のやり方がいろいろある。それは強いものもあれば弱いものもある。
それから、規制をするという場合も、中身を事細かに決めるというやり方だけではなくて、例えば企業が組織として備えるべき機構や手続きに関してポイントを抑えて規制していくとか、いろいろなやり方がある。
あるいは、もう少し強制の色が強くなるかもしれませんが、もし、自主的にできないようであれば、何らかの規制手段を取るというやり方もあるわけでして、本当にいろいろな可能性を考えていかないといけないのではないかと思います。私自身はこの場で、選択肢といいますか可能性を提示するぐらいのお役には立てるのかなと思っております。
〔 山本(豊)委員 〕 先ほど来のいろいろな委員のご意見を伺ってまして、最初の南条委員の意見は、BtoCに限り、かつ、法令の具体化としての自主行動基準を中心としてアプロ-チしていくべきではないかということだったと思います。
私も法律をやっているので、法令の具体化にはもちろん限らないものの、やはり法令との間合い、法令では抽象的になってしまうル-ルを具体化するために自主行動基準を立てる、あるいは法令の基準がミニマムであるので、より踏み込んだル-ルを各企業なり業界団体で作っていく。そのように、法令との間合いで整理していく方がわかりやすい。
これに対して、少なくない数の委員からは、経営学的なアプロ-チといいますか、ステイクホルダ-を非常に広く取って、企業のサイドからそういう自主行動基準を立てるということのインセンティブをどう与えていくかという、アプロ-チが主張された。このように大きく分けて2つあったと思うのです。
申し訳ないけれども、私は時間の制約とか、あるいはこの委員会の、消費者政策部会の1つの委員会としてのマンデイトなどから考えると、やはりどうしてもBtoCを中心とせざるをえない。全体としての見取り図は明らかにしなければいけないので、位置づけは明確にしながら、今、言ったような法令との間合いを意識してどういうことができるかということを考えていった方が、やはりある程度の意味のあるものができるのかな。あまり広げると、私としてはちょっとイメ-ジがなかなかつかみにくいし、時間的にも厳しいのかなという印象を持ったということを、今の段階では申し上げておきたいと思います。
〔 タン委員 〕 いろいろ、いくつか申し上げます。
1つは、実際の議論に入る前にもう少しコンプライアンス、皆さんにとってなじみのない言葉の説明をいただければ非常にありがたいと思います。
というのは、鍋島委員が、研究会の最後までよくわからなかったとおっしゃってましたが、私も、別の観点から最後までよくわかりませんでした。
なぜかと言うと、日本語の訳としては、コンプライアンスというのは、法令遵守、code
of conduct などの遵守、そのための社内体制という3つが入っているのですが、英語としては1つ目と2つ目は確かにコンプライアンスの決まった定義だと思いますが、そのための社内体制というのはコンプライアンス・システム、あるいはコンプライアンス・プログラムという用語を使いますので、私は最後まで一緒にするのはどうかと思いました。
ですから、あまり議論に深く入る前に、その辺の専門用語の説明、あるいはコンプライアンスという分野のもうちょっと総論的な議論をしていただけたら、皆さんにとってはもっと理解しやすいのではと思います。
コンプライアンスという研究分野はわりと新しい分野で、90年代に入ってからわりと盛んにこういう研究が行われてますので、おそらくは、皆さんがいくら勉強してもまだ足りないという状態で、私もそうです。だから、私もこれからいろいろ勉強して海外の情報を提供したいと思います。
それから、もう一つは、そもそも日本の出発点がオ-ストラリア、アメリカと違うということです。オ-ストラリア、アメリカの場合はコンプライアンス・プログラムが盛んに実施されるようになったのは、主に2つの分野だったと思います。1つは環境汚染の分野、もう一つは職場上の安全です。つまり、行政の立ち入り検査の多い分野です。自分の会社の中でそういうル-ルを作って守れば、今度は行政は検査の数を減らしますという取引があったようです。日本の場合はどうも出発点がちょっと違う気がします。そのことを念頭に置いておかないとだめな気がします。
もう一つはエンフォ-スメント、課長のご説明の中に、どれだけcode of conduct
を持っているかというアメリカとオ-ストラリアの企業の説明がありましたが、80%とかという高いパーセンテージとなっています。しかし、どれだけエンフォ-スしているかという問題が出てくると思います。
例えば、アメリカの場合ですと、私が今持っている資料の中に、企業が持っているけれども、社内のcode
of conduct の違反に対するサンクションを加えるとパーセンテージは非常に低いという数字があります。だから、特に日本の場合は立派な法律を作ってもエンフォ-スメントの問題があったりしますが、立派なcode
of conduct の基準を作っても、エンフォ-スメントをどうやって確保できるかということが問題になります。
アメリカとかオ-ストラリアの場合はセ-フティ-ネットがあります。結局、企業が守らなければ必ず改正連邦取引委員会法の第5条とか、オ-ストラリアの場合は取引慣行法の52条が待っていて、刑事罰もあり得る。その点についても日本の場合はこれからどうするかという問題があるかなと思います。
〔 堀田消費者企画課長 〕 私どもは、コンプライアンスという言葉自体の定義をするのが非常に難しいものですから、経営学者が使っている場合の用語の使い方とか、あるいは実務の方がコンプライアンスと言う場合の意味とか、多少ニュアンスの違いがあるのかなという気はします。
それから、OECD議論などでも、規制と絡めてコンプライアンス・オリエンティッド・レギュレ-ションといった中で使われるとか、いくつかのバリエ-ションがありまして、我々としても議論の中でもう少し整理する努力をしていきたいと思います。
〔 松本委員長 〕 いままでで第1ラウンドでひととおりご意見、ご質問を伺ったわけですが、まだ若干時間がございますので、第2ラウンドでの発言を若干募ります。
南条委員、どうぞ。
〔 南条委員 〕 私、某役所の「消費者優良企業選定会」というメンバ-に入っていて、この間もヒアリングをしてきました。この中に出ておられる会社なども昔行ったことがあると思うのですが、そういうところを見ていると、非常にコンプライアンス体制がしっかりして、一生懸命それで食っていこう、整備していこうというのがあって、社内的なル-ルもあるし、社長のモラ-ルもわりあいしっかりしているし、担当役員もちゃんとそれに対して活動し、いろいろなシステムがうまく機能している。さすがに優良企業の表彰をとろうとするところは一生懸命やっている。
むしろ大事なのは、先ほどおっしゃった新しいベンチャ-企業とか、中小企業をどうするかだと思います。経営者は頭でだけは考えているのだけれどもついてこないとか、全然そういうシステムは整っていないし、どうやったらいいかわからないとかという企業も沢山あるわけです。そういった企業がたまに優良企業表彰に応募してきて、あっという間に落選してしまうわけです。つまり、企業の中でもすごい猛烈なギャップがあって、あまり高邁なことばかりやっていると、全然役に立たない。
むしろ、ここで狙いとしているのは、せっかくいろいろ法整備できていたのだけれども、主体的にやってもらわなければどうしようもないということなのです。全然、人も体制もノウハウもないという企業をむしろ引っ張り上げていくための基準というものを作っていかないと意味がないと思うのですよ。
ですから、もちろん、全体的な考え方、位置づけというのは理念として大事ですが、できるだけわかりやすく、使いやすく、実効のあるような、しかもできれば使いたくなるようなものを考えることが必要だと思います。
だから、例えばISOについてもソフトの部分でインセンティブが沸くような行動基準のようなものを作っていくべきだと思いますし、すごく必要ではないかということを、今の議論も含めて感じました。
〔 高 委員 〕 私が感じていること2点あるのですが、1つは、もうここで議論するのはコンプライアンスと決まっているのですが、私の専門はビジネス・エシックスなので、いろいろな欧米の連中と話をしていると、「コンプライアンス。今頃そんなことを議論するのか」ということになる。むしろ彼らが議論しているのは、ビジネス・エシックスとか、コーポレート・ソ-シャル・リスポンシビリティ-、についてなのです。
例えばイギリスであれば、閣外ですが企業社会責任担当大臣を置いて、とにかく社会責任運動を推進しようとしている。
ここで議論するのはコンプライアンスでもけっこうなのですが、日本はそういう言葉を使う方が浸透しやすいということでやられているのでしょうが、とにかく外側の動きはもっと先に行ってますよということを申し上げたいのです。
ここで議論することというのは、今、ずっとお話を聞いていると2つあると思うのです。1つは、個別企業さんがどういう仕組みを作ったらいいのかという、こういうひな型を作りましょうという議論を1つやろうと。もう一つは、一つ一つの企業さんがモチベ-ションを持ってやれるような環境をどうやって作るか。ここまでの議論はできないかもしれませんが、環境に関しては、こういう環境づくりが今動いてまして、大体4つぐらいあると思うのです。
1つは、先ほどから言っておりますISOとか、ああいう規格を用いて企業さんの取り組みを競争力に変えていこうという動きがある。もう一つは、これは日本はようやくスタ-トしたところで、私自身も関わっているので、こんな話をあまりここですると「おまえ、自分のことを宣伝している」と思われるかもしれませんが、SRIというものです。社会的な責任を果たすとか、あるいはコンプライアンスとか、そういった取組みに積極的なところをマ-ケットで評価していく。
このことについて実は、政府は何もできないのではなくて、イギリスの場合、政府がリ-ダ-シップを取っています。イギリスは年金法を改正して年金基金の運用においてSRI基準を採用しているかどうかを公表させる。現在、年金基金というのはイギリスの株式市場の3分の1のマネ-を握っているわけですが、資産規模でいきますとその78%がSRIを採用していることになる。ですから、Social
Responsibility についてはイギリスの企業は非常に積極的に取り組んでいる。その法律を真似てフランスも作っている。
最近、オ-ストラリアは金融サ-ビス改革法ですか、これはむしろタン委員にお伺いしたらいいと思うのですが、ドイツも同じような検討をしている。法律でそういう企業を支援するような枠組みを作ろうというのもあるわけです。
それから、3番目が、日本で考える場合はおそらく行政罰だろうと思うのですが、連邦量刑ガイドラインのようなものになると思われます。
最後に、イギリスの場合には政府が音頭を取ってやっていますが、ベストプラクティス企業というのをネット上に出してどんどん公表していく。つまり、いい取組みをしているところを応援してあげようという動きがあります。これは民間がやってもいいのでしょうが、こういう4つのアプロ-チが大体今世界中で起こっているのではないかと思います。
〔 池田委員 〕 こういうことに絡むのですが、もう一つ私ども考えていますのは、釈迦に説法でありますが、アメリカで、アメリカの競争力がなくなった後、ご存じのとおりマルコム・ボルトリッジ賞を設定して、経営品質を向上させるという取組みを個別企業だけではなくて、社会、国家として取り組んで、それが今、世界各国の50か国以上に広がってきて、日本においてもそういう取組みが今盛んになりつつあるわけです。
経営品質という場合に、個別の商品とかサ-ビスの品質ということを超えた、企業あるいは組織全体、これは行政も同じなのですが、それの品質だと。その中でまだまだ課題がいろいろあるのですが、「社会的責任」というところがかなり大きなウエイトを占めてきているわけです。それはまさに社会のニ-ズそのものだろうと思います。
そういうようなことを考えますと、むしろ経営品質の1つ、コンプライアンスをどう定義するかということはあるとしましても、個別企業から言えばそういうことによって企業競争力の差別化を図っていくということでもあると思いますし、もう一つの側面は、やはり社会全体として構成員が、例えば企業であっても行政体であっても、そういう観点を持ちながら、らせん状に経営品質を高めていく、あるいはその中で社会的責任、これはいろいろな意見があるわけでありますが、そのあたりは非常に有益なことだろうなと思っています。
ちょっと拡散させるようで申し訳ないのですが、背景にそういうふうなことを持ちながら、個別具体的テ-マに取り組む、まさにそういうことかなと、私なりには考えております。
〔 稲岡委員 〕 再び個人的な意見でございます。 企業の側から見ますと、できているかどうかは別にして確かに熱心に取り組んでいる企業は多いのです。ところが、率直に個人的な感想を申し上げますと、日本社会全体の温度がまだ低いのだと思うのです。したがいまして、なかなか有効に機能するインフラストラクチャ-、つまり社会的なインフラストラクチャ-といいますかそういうものがない。あまり整ってない。したがって、是非、企業を元気づける指針が欲しいなと思っているわけです。ずうっと思っているわけなのです。
企業から見ますと、コンプライアンスというものが独立してあるわけではなくて、先ほどご意見もありましたように、結局はCSR、企業の社会的責任、Corporate
Social Responsibilitiesの中の1つといったふうに理解されて、それを整合性を保ちながら進めていく。まさに企業の行政の問題というふうに理解されているのだと思うのです。
それで、この審議会の視点から言いますと消費者、企業から見ますと顧客と企業との関係なのでありますが、消費者から見ますとそういうふうなのですが、企業から見ますとおお客さんだけの関係が独立してあるわけではございませんで、いろいろな、ステイクホルダ-ズ、利害関係者の中で一番大きなものがお客様なのですが、それを整合性を持って進めていかなければいけませんから、あまりお客様と企業との関係ということを切り離してなかなか考えられないのです。
我が国のそういう精神的な社会的な基盤から言いますと、企業の一生懸命やりたいという気分を元気づけるような仕組みづくり、制度づくり、それから社会的責任を果たそうという企業にそういうイニシアチブを与えるような仕組みづくり、こういったものを考えていただくことが、これは別に時間がかかることでも何でもないと思いますので、考えていただければ企業にとってもありがたいし、消費者の皆さんにとっても、社会的にもいいことではないのかなと、これは企業にいる人間の1つの個人的な見方でございます。
〔 松本委員長 〕 第1回目から非常に熱心にご討議いただきまして、いろいろな視点から問題が提起されました。そろそろ予定の時間に近づいてまいりましたので、本日の討議はこのぐらいにいたしまして、残りは第2回以降でやっていただきたいと思います。
事務局の方から何かご連絡ございますか。
〔 堀田消費者企画課長 〕 次回の予定でございますが、先ほども申しましたが、11月
21日の2時からということで、田中委員に「我が国の自主行動基準について」、高 委員に、アメリカ、イギリス、フランスといった現状も踏まえまして「コンプライアンス経営の現状」につきましてご報告をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
〔 松本委員長 〕 それでは、次回、お2人の先生、よろしくお願いいたします。
本日は、どうもご苦労様でした。