国民生活審議会第9回消費者政策部会議事要旨

平成14年10月24日(木)

内閣府国民生活局消費者企画課


1.日 時   平成14年10月21日(月)14:00~17:00

2.場 所   中央合同庁舎第4号館第4特別会議室

3.出席者

(審議会)
  落合部会長,浅岡委員,有馬委員,岩田委員,大羽委員,加藤委員,高委員,高橋委員,田中委員,高橋委員,鍋嶋委員,野村委員,福川委員,福原委員,増田委員,松本委員,宮部委員,山中委員,山本委員

(事務局)
  永谷国民生活局長,田口官房審議官,河官房審議官,堀田国民生活局総務課長,中村消費者企画課長,七尾国際室長 ほか


《 第9回配布資料一覧 》

議事次第(PDF:5kb)

資料1 消費者の安全の在り方について(論点ペーパー)(表紙<PDF:6KB>)

1.消費者の安全の現状
 (1)苦情相談の状況PDF:29KB
 (2)法の整備状況PDF:996KB
2.消費者の安全に関する基本的な考え方PDF:13KB
3.消費者の安全の在り方
 (1)製品製造・サービス提供段階での安全確保PDF:331KB
 (2)製品流通後の安全確保
 (3)情報の収集及び提供の在り方
(参考18に関しては画像を省略し、代わりにホームページのURLを掲載しています)
 (4)被害の事後的な救済

資料2 消費者安全に関する意見(田中委員 提出資料)<PDF:38KB>

資料3 教育と介護サービス分野における契約の適正化と安全確保について(加藤委員,山中委員,浅岡委員 提出資料)<PDF:5kb>


4.概要

    事務局より,「消費者の安全の在り方について(論点ペーパー)」に基づいて説明が行われた後,論点ごとに,大要以下の議論がなされた。

(1)消費者の安全に関する基本的考え方について

・ 東京都消費生活条例にも消費者の安全に関する規定があり参考になる。また,事前規制から事後チェック型規制への移行がいわれているが,一定の事前規制は必要。

・ 安全に関する情報は,実際には各主務省庁に集まっており,安全に関する現状を把握するためにはこれらの情報を一元的に収集するべき。

・ 規制緩和と安全確保は必ずしも背反するものではない。

・ 消費者の安全に関する権利は重要であり、それを具体的に実現するための施策が必要。

・ 新しい商品・サービスの範囲はあまりに広範であり,それが出てくるたびにすべてを事前規制で取り締まるのは不可能である。一方で,広告を見ただけで明らかに怪しいものもあり,消費者団体や国民生活センター等は,予防策をとったり,情報提供をしたりすることが必要。

・ 事前規制の必要性については,製品そのものの安全性のチェック,その前段階としての製品の安全性に関する基準の設定などいくつかに分ける必要がある。安全に関する基準の設定という意味での事前規制には行政はかなりの程度関与すべき。

・ 消費者教育を行うことで,子供から高齢者まですべての国民が消費者問題に関して高水準の知識等が得られるとは思えない。事後チェックに費やす予算等を事前規制に向け,思い切った安全施策について各省庁が取り組むべき。

・ 安全の問題は基本的人権に直接関わる問題であり,行政が事前規制によって保護する必要性が高い。

・ 科学技術の進展によって新たな問題が発生するので,行政はそれに関する正確で分かりやすい情報を提供することによって,消費者が適切な選択を行うことができるようにしなければならない。

・ どの部分が事前規制が必要で,どの部分が適切な情報提供が必要なのか,どの部分が事後チェックが必要なのか,についてもう少し明確に問題点を詰めるべき。

・ 食品安全委員会のような独立性・専門性の高いシステムが他の分野でも必要。

・ 各新聞社の広告審査機構や雑誌協会の雑誌広告委員会等において,怪しい広告を止められるようなシステムを作る必要がある。

・ 基準を作成している間に害を受ける人がいる。それに対して何か対処できるような前向きな対応策が必要。法律があっても適用が不十分であるなど,今ある法律でも罰せられるというものも多いのではないか。被害にあっている人を少しでも救うことができる対応策があるのならば,少しでも何とかできるように努力すべき。

・ 安全は重要な問題であり,消費者の権利として位置付けることや事前規制が必要であるということに賛成。新しい分野や新しい方法ができて事前規制が追いつかないということもあるが,何とかして包括的に法律等で規定できるよう検討して欲しい。

・ 「消費者の安全」という言葉が抽象的。生命・身体・健康に対する安全であるならば事前規制は必要だが,財産に関しては人によって考え方に幅があるのではないか。

・ 事前規制があまりに進みすぎると,国のコストがかかりすぎる。また,医薬品の規制についても,事前の承認が遅れ,患者に本来有効な薬品が使えないということも出てくる。

・ 事前規制・事後チェックともに両方必要であり,うまく分けることができるか疑問。安全の問題になると,消費者に対する教育も必要。

(2)消費者の安全の在り方について

①製品製造・サービス提供段階での安全確保

・ 金融サービスに関する財産の安全の問題についても検討する必要がある。

・ 「消費者の安全」についてしっかりと定義する必要がある。財産については契約の問題とかぶってくるので,生命・身体の安全に限った方が良いのではないか。

・ 金融商品の問題については,安全のところでやるのかその他のところでやるのかの仕分けの問題であって,議論しなくて良いという話では無い。財産の安全についてもやるのかどうかはっきりして欲しい。
→ 生命・身体の安全について議論することには異論は無いと思うが,財産を失うことで精神的な苦痛を負ったというような間接的な生命・身体の安全のことまで考えると,基準はあいまいになってくる。直接的な生命・身体の安全に限って議論した方が良いのではないか。

・ 「財産」ということばが多義的で混乱が起こっている。「ストーブの欠陥から火災が発生し家屋が全焼した」という意味での「財産の喪失」と「株で損をした」という意味での「財産の喪失」を区別して考えるべき。前者は安全性の問題と考えてよいが,後者の金銭的な被害に関しての問題は契約の中で議論すべき。
→ 安全については以上の整理で良いと思う。ただし,この整理でもれた論点を排除する趣旨ではない。

・ 行政による検査監督体制は不十分であり,ほとんど機能していない。行政の人間が検査,監督を行うのは,能力的に限界がある。その業界に長年いた人物が定年後検査官になるようなシステムであれば検査能力は向上する。また,主務官庁に検査機能を与えても機能はしない。最低限,景表法に関しては,排除命令だけでなく不当に得た利益を没収する権限を公正取引委員会に与えるなど,法律を守ることが利益になる仕組みを作るべき。

・ 社会的コストを少なくしながら安全性を高めるシステムを作ることが大切。行政の側で事前規制にしたからといってうまくいくとは限らない。事業者の自主性により解決できれば最も良いのではないか。担当事業部以外の部署が審査する仕組みなど,どのようなシステムがうまく機能するのかを検討する必要がある。

・ 参考13で,消費者が行政に対して申立てを行う制度について挙げられているが,こうした機能を高めることは新しい制度として重要。消費者団体の差止請求権へとつなげて欲しい。また,公益通報者保護制度についても検討する必要がある。

・ 国の規制と民間の体制が有機的にリンクしたほうが良い。社内の監視体制を整備することだけでなく,業界で会社を監視する組織というものも必要。保険業界では,業界のOBが検査協会を作り,保険の代理店を監視するというようなことが行われている。

・ 論点3の②に「行政による監視体制を保管する事後チェック体制として,安全基準等を自主ルールとして定める場合の法的位置付け」とあるが,意味が分からない。行政による安全基準が存在している状態で,その上乗せルールとして自主行動基準を位置付けるということであれば意味が分かるが,行政による安全基準が存在していない状態で,各企業が勝手に安全基準を策定しそれを法的に位置付けるというのは問題がある。
→ 最低限の参入基準のようなものを行政が定め,それに合致する企業のみ市場に参入できるという規制手法となってきており,その最低限の基準を踏まえた上で,さらにその具体化として自主ルールを定める場合に行政として公認できないか,ということが問題意識であり,企業が自主ルールを作っているように見せかけながら実際はそのようなルールを守っていないということを是認するという趣旨ではない。

・ 罰則を強化することが必要。

・ 罰則を強化するだけだと,企業が法違反を隠すことになるかもしれない。企業が自主的に法違反の公表に協力するための連邦量刑ガイドライン的なシステムが必要。

②製品流通後の安全確保

・ 製造業者だけでなく流通業者の責務も明確化すべき。

・ 販売業者は安全に関する情報を有していないから問題となっている。もっと積極的に,販売業者に製品の安全性に関する情報を入手し提供する義務を課すべき。

・ 販売業者に比べて製造業者は製品の安全情報について多く有していることは確か。しかし実際には,販売業者が不十分な情報に基づいて苦情対応をしてしまうようなことがあり,製造業者の苦情対応部門としては苦慮している。

・ 販売業者は消費者に直に対応するので,情報開示等の義務は負うべきであるが,販売業者が商品開発をした場合を除き,製造業者との責任の重さは異なるであろうし,販売業者の規模も考慮する必要がある。

・ 消費者対消費者の取引や個人輸入についてまでも製品回収の対象とするのか。
→ EU指令にも「その能力の範囲内で」とあるように,その業者の能力によって対応に差が出てくるものと考えられる。

・ リコールの対象となるものを幅広くとらえるべき。消費生活用製品安全法のように指定商品制をとるのでなく,対象商品を幅広く考えるべき。

・ 消費者が事業者になったりする時代であり,リコールについてもどこまで流通に関わっている人の責任を考えるべきか判断が難しい。すべてを制度の中に組み込むことは不可能であり,流通に携わった個人が事業者としてリコールの対象とされることもあり得ることを明確にし,当事者が意識を持って仕事をする以外ないのではないか。

③情報の収集及び提供の在り方

・ 行政が公表する情報は,もともと消費者からきているということを念頭におくべき。その情報をどこからどのように収集し,分析公表するのかというスキームを作ることが重要。行政がこれらの情報を公表すれば,事業者にとって情報を隠すことがデメリットにもなる。

・ 全ての情報を出す必要は無いが,大抵のものについては自動車のリコール情報程度に出してもよいと思われ,これを普及させる必要がある。

・ 一番情報が入ってくるのは行政。情報の内容をどのように仕分けて,どの情報をどのように公表するのかということを判断することが重要。その際に恣意的な判断をしないように第三者の目を入れることが重要。

・ 論点6の下の図は,行政・事業者・消費者間の情報の矢印がすべて片道でかかれているが,本来は双方向に情報がやり取りされるのであって,矢印が双方にある形にならないとおかしい。
→ この図は,情報が双方に流れるということを前提として,行政が消費者に情報を開示するときの仕組みについて,論点に沿って整理したものであって,情報の流れをすべて示すという趣旨の図ではない。

・ HPでの公表は細かい情報まで公表できるということですばらしいが,HPにまでアクセスする人は限られている。情報の優先順位を付けて,大事なものは記者会見等で,それ以外のものはHPでというように公表方法を区別するべきであり,HPで情報公開したから十分であるという風潮にはするべきでない。

・ 消費者の立場から見て必要な情報について,収集,選別,公表をされるような制度を構築するべき。

・ 現在国民生活センターは,例えば保健所等からの情報収集は行っていないが,そのような関係行政機関からの情報収集の在り方についても検討をして欲しい。また,情報の提供はHPで公表すれば良いということではなく,どうすれば,情報が行き届くかを考える必要がある。どのような情報をどこまで,どのように公表するのか判断するのは大変難しい。

・ 実際に消費者に理解される形で情報公開がなされないと意味が無い。アメリカでは行政からの情報をチェックするのは専門性のある消費者団体であり,そこから消費者,マスコミ等に理解される形で必要な情報が伝わってゆく。そのような役割を持つ消費者団体をどのように育成し,活用してゆくかが課題。

・ どのような情報を公開したら良いのか人に聞くだけでなく,行政は,消費者団体と議論して,どのような情報を具体的に公開するべきという意見を示すべき。

・ 情報の評価付けが必要。行政から情報を出したというだけでなく,その情報を公開する必要性等について,第三者機関等を上手く活用して,判断,評価していくことが必要。

・ 主だった情報については,事業者に幅広く行政に対する情報提供義務を明文化した形で課すべき。

・ 行政に対する危害情報提供義務を課す範囲が,自動車と医薬品だけでは少なすぎる。また,産地や製造地の偽装があったときに,公表するにしても,どのように対応するのかその指針を行政が作成するべき。

・ 牛肉のトレサビリティーシステムについて「出荷者」を公表内容とするかは,今のところ検討中であると聞いている。氏名,住所,電話番号すべてを対象としなくても良いが,「出荷者」については任意情報でなく公表の義務化をして欲しい。

・ 低アルコール飲料の子供の誤飲の問題は後を絶たない。表示に関しては厳しく規制して欲しい。

・ マークについてはグローバルに対応できるようにするべき。

・ 賠償責任保険がついているマークについて,PL法が存在している今,賠償するということは普通の考え方であり,このようなマークをつける意味があるかを含め,全体的に見直す必要がある。

・ 業界団体の安全基準に合格した製品に付けられるマークは,業界に入っている企業の製品か,アウトサイダーの企業の製品か区別するのに役に立つ。

・ 損害賠償制度のあるマークがついているからといって損害賠償が認められるとは限らない。

・ 日本においては表示の問題があまり正面から取り上げられないこともあって,警告表示に関する規制があいまいになっている。

・ リスク分析手法の導入など,製造段階も含めた形で,情報の収集・公開を考える必要がある。

④被害の事後的な救済

・ PL法の訴訟はほとんど行われていないが,損害保険の関係では,特に事業者と事業者の間の取引において,かなり使われていると聞く。損害保険会社が情報開示をしないので分からない。また,PLセンターも個々の事業者の顧客相談を補完する形で,クレーム吸収をしているが,その実態が見えにくい。

・ 個々の被害者が立証費用を負担するのでは重すぎるので、欧州における立証責任の転換、アメリカのディスカバリー制度を参考に、情報の収集・開示の在り方は立証の問題を考える上でも重要である。

・ 保険会社ではPL関係についてはかなりの件数を処理していると聞いたことがある。商工会議所のHPでは,かなり高額の和解事例が出ていた記憶がある。しかし,個別事例については契約者の個人情報に関わることなので,保険会社はおそらく出さないだろう。

・ 自動車事故が上手く処理されているのは損害保険が存在しているからであり,その意味では損害保険会社は巨大なADRであるといえる。そのスキームが上手く機能している背景は,多くの交通事故に関する裁判例があるからである。その意味で,PL法に関しても多くの裁判例が出てくることが望まれる。

・ どのような事故例があるのかを知るだけでも大いに有益であるので,損害保険会社にはぜひ情報を公開して欲しい。

・ 司法制度改革審議会における,仲裁制度の在り方の議論との関係では,例えば,トラブルはPLセンターで対応する,というようなことが規定されるのは困る。また,敗訴者負担制度が導入されるとPL法に基づく裁判も難しくなる。何とか対応をして欲しい。



次回開催は11月5日(火)15時30分からの予定(議題:公益通報者保護制度について)。

以 上

本議事要旨は暫定版のため、今後、修正がありえます。

     

  [問い合わせ先]内閣府国民生活局消費者企画課(03-3581-9095)