国民生活審議会第7回消費者政策部会議事要旨

平成14年9月3日(火)

内閣府国民生活局消費者企画課


1.日 時   平成14年8月29日(木) 9:30~12:30

2.場 所   中央合同庁舎第4号館 共用第4特別会議室(406号室)

3.出席者

(審議会)
  落合部会長,浅岡委員,有馬委員,伊藤委員,岩田委員,浦川委員,大羽委員,加藤委員,高委員,高橋委員,田中委員,鍋嶋委員,野村委員,福川委員,松本委員,宮部委員,山本委員

(事務局)
  亀井内閣府大臣政務官,永谷国民生活局長,田口官房審議官,堀田国民生活局総務課長,中村消費者企画課長,七尾国際室長 ほか


《 第6回配布資料一覧 》

議事次第(PDF:4kb)

資料1 消費者契約の適正化について(論点ペーパー)[PDF:100KB]

資料2 消費者契約の適正化に関する意見(日本生活協同組合連合会)[PDF:16KB]


4.概要

事務局より,「消費者契約の適正化(論点ペーパー)」に基づいて説明が行われた後,論点ごとに,大要以下の議論がなされた。


(1)苦情相談の状況について

・ 2001年4月以降も苦情相談件数が増加しているが,消費者契約法が施行されても苦情相談は増加しているということか。

・ 事業者の悪質の程度は悪くなっていると感じている。消費者トラブルのうち,消費生活センターや国民生活センターに相談する割合をみると,実際にトラブルが増加しているか否かの判断材料になる。
→消費者トラブルのうち,消費生活センター・国民生活センターに相談する人の割合は2~3%程度であり,これは数年前も現在も変わっていないと記憶している。

・ 説明不足とは善意・過失の結果ではなく,意図的に誤認させるようなものが多い。詐欺・脅迫と明確に区分できないのではないか。

・ 教育サービス,介護サービスにおけるトラブルなど,広い枠で契約の適正化を議論してもらいたい。
→若年者層のトラブルと高齢者層のトラブルが増えている。介護保険関係では,介護保険を利用しての住宅改造の被害が増えている。


(2)我が国における消費者契約関係法及び諸外国の状況について

・ 消費者団体に団体訴権を与えるだけではなく,公正取引委員会にアメリカのFTCのような役割を持たせるというようなことも検討するなど,二重,三重の救済措置を考えてもよいのではないか。

・ 苦情相談に寄せられるものは,個別の契約に関する相談が多いのではないか。食肉の問題のように社会的現象になっているものを含めて消費者契約の適正化が検討されてしかるべきではないか。

・ 適切で透明な情報が消費者に提供され,正しい選択を行えることが重要だが,それだけでは解決し得ない。公正取引委員会の役割の再評価を含めた,行政からの事業者に対する事前チェックも考えてもらいたい。

・ 日本でも,民事ルール,行政的対応,集団的利益擁護の仕組みを組み合わせて考えることが望ましい。民事ルールはいかに裁判所で使ってもらえるようにするか。行政的対応については,今後不適正な行為を行わせないだけでなく,消費者の救済までやるようにするか。集団的利益の擁護については,日本においては何も無い。個別被害の救済,被害予防と3つの方策についてマトリックスを作って考えるのがよいのではないか。

・ 契約時に,「こうした被害が起きている」ということを説明すれば被害は減るのではないか。

・ 日本の制度は,問題が顕在化した部分に手当をして後追い的に対処してきた。特定商取引法の指定商品制は正にそのようなもの。どのようなルールを作るにしろ,より包括的な規定振りとすべき。日本では,消費者を少々だましても許されるといった雰囲気があるのではないか。「正しい取引をする」ことを基本法で宣言することが必要ではないか。

・ 携帯電話の契約のトラブル,迷惑メール・ワン切りなどのITの進展よるトラブルへの対応は正に後追い。新しい問題が生じても対処できるよう,包括的な規定ぶりにするべきである。地方条例や諸外国の法令が参考になるのではないか。

・ 包括的な民事ルールとして消費者契約法が制定されたが,行政ルールは,監督省庁毎で,これについても包括的に対応した方が良いのではないか。

・ 民法は,できたときからほとんど変わっていない。その上にPL法などが制定されている。それらをきれいに整理する必要があるのではないか。ドイツでは民法に消費者関連規定を盛り込んだというが上手くいっているのか検証してはどうか。

・ ドイツでは,日本でいう消費者契約法,クーリングオフ,抗弁権の接続等を民法に組み込む改正を行ったが,これは民事ルールの改正で,行政ルールとは次元が異なるのではないか。包括的な行政ルールを整備する場合,従来の業法を残しておくと,効果,執行主体で重複がある等の論点が生じる。

・ 民事ルールとして消費者契約法が制定されているが,その上には民法や商法がある。消費者契約の適正化を考える上では,民事ルールだけでなく,行政ルールの在り方も考える必要があるのではないか。

・ 民事ルールと行政ルールの違いは,執行主体の違いではないか。消費者契約の適正化に関しては,民事的,行政的を問わない包括的なルールを作って,その下に民事ルールとしての包括的なものと,行政ルールとしての包括的なものを作るのがよいのではないか。その場合,執行主体をどこにするかが重要。

・ 契約について,民法は一般的・抽象的な規定しかなく,医療・旅行等の個別の契約の在り方については規定していない。民法などで典型契約について明確化していくことも考えられる。


(3)消費者契約の適正化の必要性

・ 今は,買いたいものが買えないことが問題になっているのではなく,買いたくない人が買いたくないものを買わされているということが問題なのではないか。契約締結過程だけでなく,契約内容,履行過程においても不当なことがなされている。

・ 民法そのものを考え直すということも必要ではないか。民法の中に消費者取引に関する規定を入れることが外国で行われているが,契約締結過程の公正性などは,消費者契約だけでなく事業者間取引にも当てはまるものである。消費者契約法を踏まえて,民法95条や96条を変えてゆくこともあるのではないか。この審議会では,消費者契約が特殊だという理由を明確にするべき。

・ 民法,商法について見直しの必要はあると考えるが,改正議論を消費者政策部会で行うことは難しい。報告書において何らかの提言をすることは可能ではないか。

・ 多くの市場において情報は非対称になっており、それをどうするのかが問題。ただし,情報力・交渉力で優位にあるのは事業者だけでなく,生命保険・損害保険などでは,消費者が情報力で優位にあることもあることを認識する必要がある。

・ 契約は,信頼関係を前提として行われることが多い。事業者の信頼性に関わる情報も開示することが必要ではないか。不動産取引については,マニュアルのようなものが定められており,買い手に告知しておく項目等決められている。このようなものを他の取引に関しても策定し,公表するといったことを行政が指導するようなことも必要ではないか。

・ 民事ルールは,裁判において使いにくいという問題と,ルール自体も消費者契約法でも谷間がある。谷間のあるところから苦情で出てきているのが大半である。

・ 民法や商法において契約の公正性を置くことは重要であるが,消費者取引おいては特に公正性を強調すべき。

・ 集団的利益の擁護等による救済は,団体訴権だけでなくクラスアクションもあってもよい。

・ 消費者が情報操作,威圧的勧誘などから解き放たれて契約する、といった実質的な消費者の契約自由を確保するという視点からみても良いのではないか。

・ 契約の適正化の必要性は,情報力・交渉力の格差と締結過程の公正性だけに求めることができるのか。履行の公正性や市場力の繁用もある。インフラ整備の分野では競争によって価格が決まっていない。こういうものが情報力・交渉力で包含できるのか。必要性についてはもう少し突っ込んだ議論が必要なのではないか。

・ 我が国で競争が働いているとは思えない。一方,アメリカでは連邦取引委員会が,ITの分野も含めて,独禁政策,消費者政策,個人情報保護を一緒にみている。こうした取組みを行うには,消費者団体からのかなりの圧力があったようだ。消費者団体がいろいろなところに苦情を入れられるような体制が必要ではないか。 


(4)基本的枠組み

・ 消費者契約の適正化の枠組みは,リスト方式でも概念方式でもあまり変わりないのではないか。ルールをいかに守らせるかということがもっと重要。日本版のFTCを置くようなことも大切なことではないか。

・ 基本法の枠で考えるとすると,リスト方式にはなりにくい。より包括的な規定にした方が後々メリットがある。日本の場合は,悪質事業者に対するデメリットがみえないので,やったもの勝ちとなっている。公正取引委員会などが衣替えして,番人としての役割を担ってもらえればと思う。また,公正さの確保というのが重要であるということは定めておき,裁判所で解決していくのがよいと思う。

・ 苦情件数が増加しているのは,事業者だけが悪いのではなく,高齢者、若年者等社会の変化についていけない消費者も増えているということではないか。一方的に事業者だけが問題だということで法律を作ってもうまくいかないのではないか。

・ 基本法としての性格を維持するのであれば,契約の適正化について包括的な原則を規定し,その上で民事ルールと行政ルールを整備するのが良い。その際,民事ルールでは消費者契約法もあるが,不正競争防止法を消費者取引に適用されるようにしていくといったようなことも考えてよいのではないか。行政的な包括ルールは,独占禁止法かその他の法律が考えられるが,その際,執行官庁が縦割りの官庁ではなく,行政委員会のような横断的なところが管轄する必要がある。

・ 日本に行ってみたい,働いてみたいという雰囲気がない。こうした中では,ルールを明確化するとともに,国際的なスタンダードを参考に取り入れられるものは取り入れていくべき。消費者契約の適正化を基本法に入れておくことは,国際的にも必要ではないか。

・ 消費者は,どこの国でも同じように守られるという安心感ある環境を求めている。不公正または欺瞞的行為を違法とすることや,善良の風俗に反する行為を行うこと禁止するようなことが必要。そのためには,団体が訴権を有するだけでなく,行政も,訴追できるようにするようなことも考えるべきではないか。分かりやすい基本的な枠組みを規定してもらいたい。

・ 基本法の中では,細かいことに触れないで,不公正な行為,非良心的行為といったような概念的な記載にし,それを具体化したものを個別法,条例で規定するというような構造が分かりやすいのではないか。

・ 日本は,業界団体の会員への指導力が弱いと感じる。業界団体で基準を作っているが,サンクションを持たせると独禁法で問題となってくる。これらのことの検討も必要ではないか。

・ 基本法の中に,消費者取引の適正化を国の責務等をプログラム規定として,理念を伝えることは賛成。包括的かつ一般的行政ルールを設ける場合,どのようなスタイルでやるのかが問題。リスト方式で細かくやると,個別業法とオーバーラップし,調整が必要になる。諸外国の法制の評価も,各論に入れば入るほど判断が難しくなる。また,消費者契約法の評価と包括的行政ルールの関係をどうするのかも検討すべき。

・ プログラム規定ではなく,実体規定を作ることを目指すべき。その際,「取引の適正化」ではなく,「取引の公正原則」という方が目指すものが分かりやすい。「公正」の概念については,個別立法で対処していくべきではないか。

・ 実体的な規定を基本法に置けるか否かの検討が必要になってくる。

・ 約款の適正化について,経済企画庁時代に約款適正化委員会を設けて,適正な約款はどうあるべきか提言して,企業に尊重して変えてもらっていた。こういった仕組みを基本法にも位置付けて欲しい。

・ 独占禁止法,不正競争防止法などについて,消費者契約の適正化に見合った形で改正されるよう提言していくことも必要ではないか。

・ 基本法には,「公正・不公正」の判断基準とともに包括概念を書くので良いと思う。その上で、消費者契約法等の別の法律で「不公正」な取引方法について具体的に例示することも重要。その際には、具体的に例示に挙げられていないものであっても「不公正」な取引方法となるものがあることを示す一般条項のようなものが必要。

・ ルールを定めても,その効果をどうするかが問題。抽象的にすると,罪刑法定主義の関係から罰則を設けることは難しく,一方,具体性欠けるものであると裁判所に行ってみないと結論が分からないということになり,困ることになる。


(5)情報提供義務について

・ 消費者契約法は契約内容の在り方では生かされているが、本来の目的たる悪質事業者には使えていない。意図的行為を行う人にもインパクトを与えることが重要。消費者契約法がうまく機能していない点を分析した上で情報提供義務等を課していくべきではないか。

・ 説明義務等を実践させる方法を担保していくべき。例えば,事業者の独立した部署が,後から消費者へ説明が適切に行われたかどうかチェックを行うことが考えられる。

・ 説明義務を理念としては基本法に規定することについては賛成。その意義を具体化して民事ルール,行政ルールにどのように入れるかが問題。消費者契約法の重要性要件・立証義務,景表法が今のままでよいのか。法的効果を伴った法の要件は精査する必要はある。

・ 情報提供義務は,事業者が消費者に単に情報を提供するだけでなく,商品の特性に応じて消費者が誤解しないようにすることが必要ではないか。


(6)高齢者等への対応

・ 事業者は高齢者,女性等,ターゲットをしぼって取引勧誘を行っていることから,高齢者等に限定せずに幅をもって適合性原則の検討が必要。判断力の配慮という視点は必要。

・ 高齢者,未成年者等社会的弱者を基本法で保護していくような基本理念は示していくべき。しかし,抽象的なルールを作ってもどのように実現していくかが問題。基本法の中で,実現のためのプログラムを組み込めるかどうか。本部会のとりまとめでは,どのように実現していくか提言しなければ意味がない。アメリカなどでは55歳以上の高齢者に対する勧誘について規定しているが,悪質商法取り締まる方法がないのであれば,こういうことを言ってもよいのではないか。

・ こうした規定が弱者,高齢者等への差別につながることの無いように配慮して欲しい。

・ 弱者保護について基本法に規定する場合,契約の適正化に限定されないので別の条項の方がよいのではないか。

・ 弱者被害が増えているのは,業者が弱者をターゲットに積極的にひっかけてくるという不招請勧誘のタイプが増えていることが考えられる。基本法の中で,フィンランドのように不公正のひとつの事例としてあげるのもよいのではないか。どのようなタイプの被害を念頭において規定を考えるか検討すべき。なお,不招請勧誘を考えるのであれば,基本法に消費者のプライバシーは十分守らなければならないということも念頭においた趣旨の規定を置くことを考えなければならない。

・ 高齢者はお金があるからだまされる面もあり,社会的弱者やマイノリティーという扱いでよいのか。今後,高齢者は増える。

・ 適合性の原則は,高齢者等に限るのではなく,通常の人にも妥当する考え方。個別ケースに応じて広く活用することが必要ではないか。

次回開催は9月13日(木)9時30分からの予定(議題:消費者契約の適正化)。

以 上

本議事要旨は暫定版のため、今後、修正がありえます。

     

  [問い合わせ先]内閣府国民生活局消費者企画課(03-3581-9095)