国民生活審議会第10回消費者政策部会議事要旨

平成14年11月7日(木)

内閣府国民生活局消費者企画課


1.日 時   平成14年11月5日(火)15:30~18:10

2.場 所   中央合同庁舎第4号館第4特別会議室

3.出席者

(審議会)
  落合部会長,浅岡委員,有馬委員,岩田委員,大羽委員,加藤委員,高委員,田中委員,高橋委員,鍋嶋委員,福原委員,増田委員,松本委員,宮部委員,山中委員,山本委員

(事務局)
  永谷国民生活局長,田口官房審議官,河官房審議官,堀田国民生活局総務課長,中村消費者企画課長,七尾国際室長 ほか


《 第10回配布資料一覧 》

議事次第(PDF:4kb)

資料 公益通報者保護制度について(論点ペーパー)(表紙<PDF:148KB>)

参考資料 公益通報者保護制度に関する企業へのアンケート調査(平成14年10月31日公表)(掲載省略)


4.概要

    事務局より,「公益通報者保護制度について(論点ペーパー)」に基づいて説明が行われた後,論点ごとに,大要以下の議論がなされた。

(1)現状評価について

(論点1について)

・ 現状では問題となっていないことでも,今後問題となってくるであろう点も想定して検討すべき。

・ 民間部門だけでなく,政府内における内部通報も対象となるのか。
⇒ ここでは,民間部門を中心に御議論いただきたい。

・ 裁判例があるだけで明確なルールが存在しない現状を考えると,ルールが明確化されるという意味では,実際に法律を作る意義がある。

・ 実際に内部通報者が十分に救済されうるのかという検討も必要で,イギリスの雇用審判所などが参考になるのではないか。

・ イギリスの公益開示法は公的部門・民間部門ともに対象。アメリカは主には公的部門が対象。包括的な制度という意味では,イギリスの方が進んでいるという理解で良いのか。
⇒アメリカは部門ごとにアプローチし,イギリスの公益開示法は包括的により幅広い分野を対象としていると理解している。

・ 内部通報をした場合に通報者に不利益が生じるか否かという問題点よりも,公益通報者が保護されていないために,社会的に違法行為等に関する情報が隠蔽されてしまうという視点も必要ではないか。実際アンケートでも,企業は情報が隠蔽された結果,最終的には大きなダメージを受けることを避けたいという意図が窺える。

・ 掲載している判例は少ない判例から選んだレアケースであって,このケースから一般論を導き出すのは難しい。

・ セクハラについても,セクハラを受けた従業員が辞めざるをえなくなるケースが多いことから,今回の議論の参考になるのではないか。

(論点2について)

・ イギリスの公益開示法が世界で一番新しい制度なので,イギリスで何がおきているかを調べてみることが必要ではないか。
⇒ イギリスの非営利団体への相談数を法施行前後で見るとそれなりのインパクトはあったと考えられる。

・ 公務員倫理規定をみても機能しているとは言い難く,公務員も含むべき。

・ アンケートをみると企業は体制整備等の対応をしているといっているが,セクハラのケースを見てもそうは思えない。企業が体制整備に自発的に取り組むのであればそれはそれで望ましいが,体制整備に取り組みたがらない企業があることを考えて制度を作る必要がある。

(2)公益通報者保護制度の必要性と目的

(論点3について)

・ 「公益の確保」こそが保護制度の基本的な目的である。通報者を保護するというのは目的を達成する手段である理解すべき。それに付随して,「消費者の視点」,「事業者の視点」,「行政の視点」というものが加わるのではないか。

・ 高齢者の介護等において,今後高齢者の金銭を着服するといった問題は深刻になってくる。「健康・安全」以外にもこうした「財産」の問題や公害等も入れて幅広に目的を考えてゆくべき。

・ 昨今の企業不祥事では,企業の存続にも影響を与えているため,「持続可能な経営」のためにも公益通報者保護制度が必要といったほうがよいのではないか。

・ 公的部門は対象外にして民間部門のみを対象とするというのは,世間的に難しいのではないか。
⇒ 保護制度の必要性,目的と通報者の対象は関連する問題であり,はじめからすべて排除するという趣旨ではない。

・ 法律ができればすべての違法行為がオープンになるというわけではない。制度を支援する仕組みを講ずることが必要。

・ 企業の風通しを良くし,硬直化を防ぐことに資するような制度にすべき。そのためには範囲等を狭くすべきでない。

・ 公益通報者保護制度について議論するだけで企業も対応し始めており,制度を作る際にも,企業内の体制整備が進むような制度設計をすべき。

・ 個人の情報が保護されるようにすべき。

・ 我が国の企業はまだまだ閉鎖的で,一度通報すると責任部署から外されたりする。海外との雇用制度の差異を考えて制度を検討する必要がある。

・ 公務員も含めてオープンな社会にしていくことがはっきりすれば,社会も変わっていくのではないか。

・ PL法の場合は,法律を作ることで企業の側が事前に自発的に製造物の安全についての取り組みを行った。公益通報者保護制度を導入することにより人が見ているということで企業が緊張感をもって自発的にコンプライアンス経営に取り組むようになるのではないか。

・ 実際の消費者被害状況をみると,違法な営業をさせるような悪質な商売方法がはびこっている。コンプライアンス経営がきちんと確保されていない分野においても,法令遵守を促すために制度の導入が必要。

・ 官にやさしく民に厳しい制度はよくない。

(3)検討課題について

(論点4:公益の範囲について)

・ 公益の概念は幅広く対象として欲しい。

・ 事後チェック体制の中で考えるとあまりに限定的に公益の範囲を考えるべきでなく,世の中のモラルが促進できるよう幅広くカバーする制度にすべき。

・ 企業のコンプライアンスとは法令に限定されないことから,幅広く全てを含めるべき。また,個人が不正を働く場合もあり,そうした事業も対象にすべき。

・ 公益の範囲は民間だけでなく,幅広くとらえて欲しい。

・ 海外から我が国への批判は「環境」等の分野で規制がゆるいという点。こうした現況の中で公益の範囲を法令違反に限定した場合,範囲が狭くなってしまう。

(論点5:通報者の範囲について)

・ 通報者として,取引先を含めると対象が広すぎるが,ニュージーランドのように,組織内に外部から派遣された人も保護対象とするべき。

・ 企業内で社内規程等を遵守すべき対象としている人の範囲と違った通報者の範囲を設定することのないようにして欲しい。

・ 通報者である事業者が行政処分を課された例があるように,公正取引委員会が対応できない範囲の問題もあるので,取引先も保護対象に含める必要がある。オーストラリアのクイーンズランド州法のように誰でも通報できるようにするのも一案。

・ 企業内の情報をオープンにするという観点からすると,通報者は企業内のインサイダーに限定するべき。それ以外の通報者については他の制度で保護されるのではないか。

・ 今の労働市場の流動化も踏まえて,雇用関係に無くても内部の情報を知りうる人も対象とするべき。また,取引先についても取引の競争相手という意味ではなく,下請け,孫請けという関係の者を対象とすることとしてはどうか。

・ 制度を作るときに,通報者として社員を含むのか,取引先を含むのか,ということは議論の次元が異なる。取引先については,独禁法の優越的な地位の濫用という観点で整理すべき問題ではないか。

(論点6:通報先及び論点7:通報の手続きについて)

・ いたずらに乱訴にならないような制度にすべきで,まず内部で処理され,そうした手段を尽くした上で外に通報するようにしていくべき。その際,我が国では政官業のもたれあいがあるので,外部の第三者機関を考えていくべき。

・ 会社が通報場所として会社の顧問弁護士を指定するという方法もあるのではないか。

・ 企業によっては内部通報することでその情報が押し込められてしまう場合もあるので,内部ではどうしようもない場合には外に通報することができるような制度にするべき。

・ はじめに社内に通報することが基本。ただし,イギリスの法令のように内部に通報したら証拠隠滅等が図られる恐れがある場合等の条件を設けた上で,社外へ通報できるような仕組みにすればよいのではないか。

・ 生命等に関わる場合等,あまり内部での手続きで長引くことが望ましくない場合もあるのではないか。

・ 内部の通報を原則とするにしても,内部の手続きを踏んだけれども解決されなかったということを通報者が証明するコスト等がある。制度を構築する上で,制度全体としてどの程度まで資力,人力等のコストをかけられるか,という点も踏まえて制度設計すべき。

・ 内部に通報機関がある場合はそちらに先に通報するべき。そういった通報組織が無い場合や緊急の場合には,中立的な第三者機関が必要であり,消セン等を活用するべきではないか。

・ はじめに内部に通報しなければならないという制度は従業員にとっては通報することが怖い制度になるのではないか。内部への通報を前提とした制度にするべきではない。

・ 保護制度を作ることで風通しが良い企業風土を作ることが主たるねらい。内部の通報体制が有ろうが無かろうが,外部へ通報できるという制度では,企業がコンプライアンス経営を行うインセンティブが働かない。ただし,内部組織がおよそ機能しない場合や存在しない場合は,外へ通報しても良いのではないか。

・ 直接の監督官庁に通報しても,監督官庁では動かない場合もあるので,監督官庁に対する通報の在り方についても検討すべき。

(論点8:「不利益な扱い」の範囲と救済策及び論点9:その他の論点について)

・ 企業や組織が自己変革することが重要。その意味でも,同時にアメリカの連邦量刑ガイドラインのように,情報隠蔽した場合にはより重い罰則を科すような制度も必要ではないか。

・ 通報者が始めは違法行為だとは認識していなかったが,途中から気づいたために内部通報した,という場合は行政措置の減免等を行なうべき。

・ 通報者が通報するために必要な証拠を集める場合等に,逆に横領罪に問われるケースがあり得るため,そうした行為については責任を問われない仕組みを設けるべき。

・ ニュージーランドのように精神的苦痛を受けた場合というように,目に見えない不利益を受けた場合の救済策も含めるべき。

・ 制度を作ったとき,誰が違法行為だと判断する制度にするかという問題については,制度化の仕方によって非常にコストのかかる制度になる。イギリスのような制度を参考にしつつ,公平でリーズナブルな制度を構築する必要がある。
⇒ 救済機関として,裁判所だけでなく,迅速で公正な救済の仕組みを考えることが必要。

・ 私欲に基づく「悪しき心から良き結果をもたらす」通報はどうするのか。私欲に基づいているから対象ではないということにすると,それを証明するためにコストがかかる。どのような制度にするのかは,どの程度コストをかけられるのかに関わってくる。個人的には,できる限りコストのかからないシンプルな制度から始めるべき。

・ 男女共同参画基本法に基づく苦情処理は,国においては人権委員や行政相談員を活用し,地方においては条例を定め,首長が一定の機関に権限を与え,首長の命令によって中立性を担保しているというような,さまざまな例があるので,参考になるのではないか。

・ この制度は,消費者保護基本法とは別の個別法という形で議論し,できれば,早く対応するべき。
⇒ 消費者保護基本法の議論とは切り離して,先行して対応することも検討していきたい。また,制度そのものはシンプルな形にするのが現実的。

・ 通信の電子化のメリットを生かして,ペンネーム,匿名でも安心して相談できるような仕組みにすべき。法律相談の段階では匿名で良い等,制度設計には段階を設けても良いのではないか。

・ セクハラのヘルプラインは企業の中に担当官をおき,担当官に守秘義務を課している。公益通報のためのヘルプラインの組み立てについても神経を使うべき。

・ 公益の範囲によって,公益の範囲ごとに各省ばらばらに対応することになりかねず,それだけはやめてもらいたい。細切れの法律にすべきでない。



次回開催は11月28日(木)9:30からの予定(議題:苦情処理体制の在り方等について)。

以 上

本議事要旨は暫定版のため、今後、修正がありえます。

     

  [問い合わせ先]内閣府国民生活局消費者企画課(03-3581-9095)