消費者行政の推進について

平成元年12月8日  
第22回消費者保護会議  


 消費者保護基本法に則り消費者の利益を擁護・増進し、国民生活の安定及び向上を図るため、政府は、消費者行政を一体的に進めるという観点から、これまで毎年消費者保護会議において、消費者行政に係わる各般の施策を決定し、その推進に努めてきている。このような重要な役割をもつ消費者保護会議は今年で22回を迎えるに至った。
 現在、消費者を取り巻く環境は、国際化、情報化、サービス化、高齢化等の急速な進展により、大きく変化してきており、消費者の利便が増進される一方で、これまでにない消費者問題も発生してきている。特に、内外価格差の是正、輸入食品の増大に伴う安全性の確保や、青少年、高齢者を中心とした消費者トラブルの未然防止など、新たな課題が生じている。このため、内外価格差の是正等の推進を図ることはもとより、消費者行政については、消費者安全の徹底と消費者の適正な選択の確保・推進等を図るとともに、豊かさを実感できる多様な消費生活を営むことができるよう、より幅広い視点から一層の充実が必要となっている。なかでも、青少年期の早い段階から、経済行為の主体としての基礎的な消費者の知識を身に付け、主体的に責任をもって意思決定を行いうる能力をもった消費者を育成していくことが重要となっている。
 政府はこれまでにも、「消費者安全の徹底」 「適切な消費者選択の確保・推進」
「消費者取引の適正化」 「消費者支援の強化」を四つの柱として、経済社会の変化に対応した施策の推進に努めてきたところである。今後も、国民のすべてが消費者であるとの認識の下、一層消費者の視点に立って施策の推進を図っていく必要があり、豊かな消費生活実現のため、「内外価格差の是正」に努めるとともに、消費者保護に関する当面の具体的施策として、下記の施策を中心に積極的かつ総合的に推進していくこととする。


1. 消費者安全の徹底
   消費者安全の徹底については、経済の国際化等の中で品目に応じた安全対策を図るとともに、危害情報等の収集、活用を積極的に行い、危害の防止を図る。
(1) 品目の特性に応じた安全対策の推進
   食品、医薬品、農薬、家庭用品、化学品等のそれぞれの特性に応じた安全確保対策を推進する。
 
[1]  増大する輸入食品に関し、監視員、検査機器の整備等監視体制の一層の充実に努め安全性の確保を図る。
[2]  ポスト・ハーベスト(収穫後使用)農薬を含め、残留農薬については、食品の安全性確保の観点から、順次基準を作成する等適切な対応を図る。
[3]  衣料品について、市販前に実施すべき安全確認に対する指針及び、安全性情報提供の在り方に関する指針の策定を検討する。
[4]  家庭用品に使用されている化学物質について、安全性に関する情報収集・提供方法の検討を行うとともに、家庭用品に使用される化学物質についてのデータベース作成を検討する。
[5]  第二種特定化学物質については、環境汚染により、健康被害を生ずる可能性があるため、その人の健康に対する影響等を評価・検討する。
[6]  建築物等については、消費者の安全を図るとともに、臨海部地域における大規模建築物群についての構造上、防火上の安全対策指針を策定する。

(2)

危害情報等の収集・活用

   危害情報等の迅速な収集・分析に努め、これに基づき適切な消費者啓発を行うとともに、その結果を安全対策に反映させることにより、危害の予防及び拡大防止に努める。
   

2. 適切な消費者選択の確保・推進

(1) 公正自由な競争の確保
 
[1]  公正自由な競争を確保し、適正な消費者の選択を確保・推進するため、独占禁止法等を厳正かつ的確に運用し、消費者利益の増進を図る。
[2]  有名ブランドの偽物、ビデオソフトの海賊版等を始めとする、知的所有権の侵害に係わる不正商品等の問題が多発しているが、これに対処するため、積極的な取締りを行うとともに、啓発活動を積極的に推進し、公正な競争と適正な消費者選択の確保を図る。
(2) 規格・表示の適正化
   消費者の合理的な選択の確保の観点から、食品、医療品、家庭用品、住宅等それぞれの分野における規格・表示の適正化を図る。
 
[1]  消費者の商品選択の利便に資するため、食品に関する品質表示基準、新食品等品質表示ガイドライン及び一般品質表示ガイドラインを作成し、その導入を指導するほか、食品に関する表示等について適切な情報提供を図る。
[2]  農林物資については、特定の成分、製法などを強調した表示が増大しているのに対応し、「強調表示」の基準を設定することにより、農林物資の品質に関する表示の適正化を図る。
[3]  食品添加物については、原則としてすべての食品添加物について平成3年7月1日から物質名等を表示することとし、新しい表示制度についての周知を図る。
[4]  日常の食生活を通じて健康の増進に寄与するものとして注目されているいわゆる機能性食品について、適正な評価手法、表示制度等に関する検討及び普及指導を行う。
[5]  近年原産国表示の適正化の必要性が増大していることから、原産国表示の在り方について、景品表示法に基づく「商品の原産国に関する不当な表示」に関する規定の見直しを含め、全般的な一層の検討を行う。
[6]  清酒の製法品質表示基準等については、積極的かつ適切な広報を実施する。
   
3. 消費者取引の適正化
   情報化、サービス化等の中で、消費者をめぐる具体的取引が大きく変化しており、これらへの積極的な対応を図る。特に、青少年、高齢者を中心とした消費者トラブルの未然防止を図る。
 
[1]  個別取引については、いわゆる悪質商法の多様化・巧妙化に対応して、積極的な取締りを行うとともに、訪問販売等に関する法律等関係法令の適正な運用を図り、いわゆる悪質商法に係わる消費者トラブルの解決を図る。
[2]  宅地建物取引業法の厳正かつ的確な運用に努め、宅地建物取引の円滑化・適正化を図る。
[3]  貸金業者の貸付上限金利の本則への移行については、出資法の経過措置の趣旨に則り、引き続き、所要の検討を行う。
[4]  プリペイドカードの急速な普及に伴う諸問題に関する検討を踏まえ、法制の整備等消費者保護の方策を具体化する。
   

4. 消費者支援の強化

   消費者の選択の幅を広げ、より豊かな消費生活を営む支えとするため、消費者教育の一層の推進、消費者啓発の積極的推進等により、消費者に対する支援を強化する。
(1) 消費者教育の一層の推進
 
[1]  消費者教育の定着・充実を図っていくため、本年3月に改訂された学習指導要領の趣旨の徹底に努めるとともに、望ましい消費者教育の総合的な体系を描き、これに基づいて最新の情報を織り込み、各種の手法を駆使した教材、指導者のマニュアル等の作成等を推進していくための体制づくりを支援する。
[2]  豊かな社会の実現に向けて地域における消費生活に関する学習活動を促進するとともに、婦人の社会参加活動を支援する。
(2) 消費者啓発の積極的推進
 
[1]  消費者啓発を積極的に推進するため、毎年5月に全国各地で開催される「消費者月間」に伴う事業を中心に各種事業を実施する。
[2]  消費者被害の未然防止、拡大防止のため、消費生活情報ネットワークシステムの拡充等地方公共団体との連携体制の強化を図るとともに、消費生活情報、特に海外消費生活情報の収集提供機能の拡充に努める。
[3]  青少年を対象とした食生活に関する学習会等を通じ、食生活改善のための知識を習得させるとともに、食生活講習会等により、啓発を図る。更に、食生活をめぐる環境が変化していることに鑑み、健康的で豊かな食生活の維持、増進を図るため、食生活に関する指針を作成する。
[4]  消費者の環境保全等の意識の高揚を図るため、環境保全に役立つ商品にマークをつけて推奨する事業等を推進し、その普及に努める。



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