消費者行政の推進について


昭和63年11月1日
第21回消費者保護会議


 我が国における消費者問題は、高度経済成長期に顕在化し、これに対処するため、昭和43年に消費者保護基本法が制定された。消費者保護会議は、この法律に基づき、同年第1回会議を開催し、今年で21回目を迎えるに至った。
 これまでの消費者保護会議では、経済社会の変化に対応し、「消費者の安全の徹底」 「適正な消費者選択の確保」 「消費者取引の適正化」 「消費者支援の強化」を四つの柱として施策の推進が図られてきたところである。しかしながら、我が国経済社会の情報化、国際化、サービス化等の進展は、従来とは異なった消費者問題を生じさせ、消費者をめぐる環境も大きく変わってきている。
 このような情勢の下、法的な規制を中心とした消費者保護を図っていくことの重要性については言うまでもないが、経済社会の変化等に対応し、消費者保護施策を機動的に推進するとともに、事業者の自己責任体制を推進し、消費者の主体性確立のため支援をしていくことがこれまで以上に重要になっている。
 消費者行政は、今後消費者の安全を守り、消費者取引に係わるトラブルを未然防止する等にとどまらず、国民がより豊かな消費生活を営むことができるよう積極的に支援していくためのものへ一層充実させていくことが必要である。豊かな消費生活の実現のため、消費者保護に関する当面の具体的施策として、下記の施策を中心に積極的かつ総合的に推進していくこととする。


1  消費者の安全の徹底
   消費者の安全の徹底の観点からは、品目の特性に応じた安全施策の推進を図っていく。
 放射能に汚染された輸入食品が、国内に流通しないよう引き続き検査体制の充実に努める。
 農薬の残留については、増大する輸入食品の安全性の問題にも配慮しつつ、今後とも消費者の安全確保の観点から適切な対応を図る。
 医薬品については、特にいったん承認された医薬品についても定期的に見直しを行い、必要に応じて再評価を実施するなど今後とも施策の充実を図る。
 家庭用品等については、各種の規制法に基づく規制に加えて、消費者に対する各種情報提供により普及啓発に一層努める。
 建築物等については、構造設備等の面の規制、防火管理、環境衛生面での規制等を今後とも適切に行い消費者の安全を図る。
 以上の消費者安全に関する施策をより充実させるため、危害情報等の収集、提供、活用を今後とも積極的に行い、危害防止を図る。
   
2  適正な消費者選択の確保
   公正自由な競争を確保し、適正な消費者の選択を確保・推進するための必要な施策を推進していく。
 知的所有権の侵害に係わる不正商品等の問題が近年多発してきているが、これに対処するため、積極的な取締り、啓発活動を行い、公正な競争を確保し、適正な消費者の選択の確保を図る。
 消費者の選択において重要な役割をもつ規格・表示について、今後とも技術革新に伴う新商品に対し、積極的に規格・表示の適正化を図る。
 食品添加物については、天然添加物に関する表示の適正化を図るべく、調査・検討を進める。
 日常の食生活を通じて健康の増進に寄与するものとして注目されている機能性食品について、適正な評価手法、表示制度等について検討を行う。
 近年原産国表示の適正化の必要性が増大していることから、原産国表示の在り方について、全般的に検討を行う。
 食糧管理法に基づく規制の緩和の際、米の流通、表示等の面において消費者の選択に資するように努める。
 住宅部門においては、より豊かな住生活の実現を支援するため、住情報の積極的な提供を図る。
   
3  消費者取引の適正化
   消費者をめぐる具体的取引が、サービス化、情報化等の変化をしている中、これらへの積極的な対応を図る。その際には、本年9月に国民生活審議会消費者政策部会から出された「サービス取引における約款の適正化について」及び「消費者取引における個人情報保護の在り方について」の二つの報告書の趣旨に沿って具体的施策の推進を行う。
 個別取引については、本年5月に改正された訪問販売等に関する法律の適正な運用を図り、無店舗販売に係わる消費者トラブルの解決を図る。またサービス業界の自主規制を促す。
 昨年12月に成立した抵当証券業の規制等に関する法律の適正な運用に努め、抵当証券に係わるトラブルの防止に努める。
 本年5月に改正された宅地建物取引業法の円滑かつ実効ある運用に努め、宅地建物取引の適正化を図る。
 本年5月に改正された無限連鎖講の防止に関する法律の厳格なる運用と消費者への普及啓発を行う。
 いわゆる貸金業規制二法で定められた貸付上限金利の本則への移行については、経過措置の趣旨に則り、所要の検討を行う。
   
4  消費者支援の強化
   前回消費者保護会議において消費者保護基本法制定二十周年を記念して、5月を「消費者月間」として定め、本年5月に各種消費者啓発事業を行ったところであるが、今後とも消費者月間に伴う事業を中心に各種消費者啓発事業を行う。
 農林水産業や食料品等についての国民の関心の高まりを踏まえ、食情報等に関する消費者の自主的な活動等を促進支援する。
 消費者教育の推進を今後とも図りつつ、学校教育においては、消費生活に関する教育を児童生徒の発達段階に応じて小、中、高等学校の学習指導要領の示すところに従い、社会科、家庭科等で行っているところであるが、更に社会の変化に適切に対応するという観点から学習指導要領の改訂作業を進める。
 また、消費者教育全般に関する支援体制の整備について調査・検討を行う。



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