消費者行政の推進について(案)


昭和62年11月
第20回消費者保護会議


 政府は、昭和43年5月に公布・施行された消費者保護基本法に基づき、同年以降、消費者保護会議において消費者保護に関する諸般の施策を決定するとともに、その実施に努めてきたところであり、本消費者保護会議で第20回目を迎えることとなった。
 この間の[1]消費者安全の徹底、[2]消費者の適正な選択の確保、[3]消費者取引の適正化、[4]消費者志向の強化及び消費者啓発等の面における消費者行政の前進により、消費者保護は、格段の進歩をみてきたところである。
 しかしながら、我が国経済社会が、国際化、高齢化、情報化等の変化を遂げている現在、消費者行政をめぐる課題も複雑化・多様化してきている。特に最近では、契約や解約に関するトラブル、サービス取引に係る消費者苦情及び各種悪質な商法による被害などが増える傾向にある。
 政府としては、今後ともこうした状況を十分踏まえ、消費者の利益を擁護・増進し、消費生活の安定及び向上を確保していくこととする。このため、下記の施策を新たな主要消費者保護施策として追加した別紙の「消費者保護推進の具体的方策」について検討しつつ、その機動的な推進を図っていくこととする。
 具体的には、まず消費者安全の徹底については、品目の特性に応じた安全対策の推進に努めるとともに、危害情報等の収集・活用等を図る。消費者の適正な選択の確保については、公正自由な競争を確保しつつ、規格・表示の適正化並びに不当景品類及び不当表示の規制等を行う。
 消費者取引の適正化ついては、サービス化、情報化、高齢化等に伴う変化に積極的に対応しつつ、個別取引の適正化に努めるとともに、悪質な消費者取引の防止等に努める。また消費者志向の強化及び消費者啓発については、消費者教育等の消費者啓発を積極的に行う。特に、学校における消費者教育についてその重要性にかんがみ、充実のための諸施策を講じる。
 また、消費者保護基本法制定20周年を機として、新たに毎年5月を「消費者月間」として、消費者の啓発の一層の推進に努めることとする。






1. 消費者安全の徹底
  (1)  オートマチック車の急発進・急加速問題について、その車両構造、装置面での原因究明を図るため、試験研究を実施する。
  (2)  法人格のないマンション管理組合に対する住宅金融公庫の低利融資制度を活用し、マンションの耐久性向上を図る。
  (3)  スポーツ等を通じ、健康増進及び体力づくり等を図るための施設における指導者の養成等を行う。
2. 消費者の適正な選択の確保
  (1)  JAS制度の一層の普及を図るため、JAS協力の店等においてJAS製品についての啓発事業を行う。
  (2)  一般消費者用に食品選択の際の適切な情報を提供するため、食品衛生法に基づく食品添加物について、表示対象範囲の拡大等を行う。
  (3)  品質表示の実態が明らかでない業務用食品について表示の実態調査を行うとともに、表示のあり方の検討を行う。
3. 消費者取引の適正化
  (1)  いわゆる悪質商法による被害を防止するため、全国に訪問販売モニターを配置するとともに、情報ネットワーク作りを行う。
  (2)  いわゆる悪質商法による被害の未然防止、拡大防止を図るため、全国警察の相談窓口の担当者向けの消費者被害防止対策マニュアルの作成を行う。また、全国警察に寄せられる消費者からの苦情・相談を一元的に処理するための、警察庁と全国警察とのオンライン化システムの開発を進めるとともに、引き続き、警察と消費者行政部門との連携を強化する。
  (3)  訪問販売取引適正化のあり方の諸方策について、法的問題を含め検討する。
  (4)  宅地建物取引業について、資質の向上及び業務の適正化等の見地から規制を見直すこととし、所要の措置を講じる。
  (5)  国際間における引越輸送につき、実態把握及び消費者利益擁護のための各種方策の検討を行う。
  (6)  抵当証券研究会の提言を参考としつつ、具体的な検討を進め、法制の整備等、抵当証券の購入者保護の方策を具体化する。
4. 消費者志向の強化及び消費者啓発
  (1)  食品に対する消費者苦情に対し、より的確かつ迅速に対処するため、「消費者の部屋」の広域的展開を図るなどの総合的な支援体制の整備に努める。
  (2)  学校における消費者教育に関し、その指導の一層の充実を図るとともに、各種資料の作成及び全国的な支援体制のあり方について調査・検討を行う。
  (3)  5月を「消費者月間」として、消費者保護基本法制定20周年記念事業等の各種事業を行う。



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