消費者行政の推進について(案)


昭和56年10月30日
第14回消費者保護会議


 第13回消費者保護会議を昨年11月14日に開催して以来,1年弱の期間が経過した。この間,政府としては,同保護会議の決定に沿って施策の推進に努めてきておリ,決定をみた施策約270項目については,概ね順調に検討ないし実施が進んできている。
 これまでに実施をみた主な項目としては,消費者安全の分野では,

[1]  有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律に基づく有害物質の追加(メタノール等3物質)
[2]  化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく特定化学物質の追加(ディルドリン等4物質)
[3]  食品衛生法に基づく食品添加物の規格基準の改正(プロピレングリコールの使用基準等)
[4]  中央薬事審議会薬効再評価答申(医療用医薬品に関しては第18次,一般用医薬品については初の答申)
[5]  消費生活用製品安全法に基づく特定製品の安全基準の改正(ローラースケート等4品目)及び認定製品の追加(自転車等4品目)等が挙げられる。
  また,規格表示の適正化等に関しては,
[1]  日本農林規格(JAS)及び品質表示基準の制定,改正(ハム類等)
[2]  日本工業規格(JIS)の制定,改正(水性マーキングペン等)
[3]  食品衛生法に基づく添加した旨の表示が必要な食品添加物の追加(プロピレングリコール)
[4]  新たな公正競争規約の認定(表示関係3規約,景品関係2規約)等の施策を実施した。
  次に,契約の適正化については,
[1]  不動産取引,訪問販売等,それぞれの取引態様に応じた取引適正化のための施策の推進
[2]  国民生活審議会消費者政策部会中間報告の公表等消費者取引に用いられる約款の適正化のための検討
[3]  商品取引所の上場商品の追加(金)
  等を,また,消費者志向の強化等に関しては,
[1]  国民生活センターの商品テスト・研修施設商品テスト2号棟の竣工,整備
[2]  国民生活センター商品テスト誌の発行
[3]  消費生活アドバイザー制度による第一期消費生活アドバイザーの認定・登録
[4]  家電修理技術者制度の創設
[5]  繊維製品品質管理士制度の創設

等の施策を講じたところである。
 このように各般の施策の実現をみてはいるものの,消費者利益の擁護増進のためには,なお引き続き進めるべき施策も数多い。
 消費者保護基本法制定以後14年の間に,消費者保護施策は制度的にはかなり整備されてきたが,内容的にはなお改善充実の余地が残されている。契約・サービスの適正化,事業者の消費者志向の強化,消費者情報の充実等については特にその余地が大きいと言えよう。
 政府としては,こうした状況を踏まえ,当面特に下記の事項を重点課題として消費者行政を推進していくこととする。



1. 消費者安全の徹底
  (1)  品目の特性に応じた安全対策の推進
 食品,医薬品,農薬,家庭用品等それぞれの品目の特性に応じた安全規制の厳格な実施に努めるとともに,医薬品,食品添加物等についての安全性再点検を推進し,再点検結果に応じて所要の措置を講ずる。
  (2)  危害情報の収集,活用
 事故情報,危害情報の迅速な収集,分析に努め,その結果を安全施策に反映させるとともに消費者等に対する適切な情報の提供を行い,消費者危害の予防及び拡大防止に資する。
     
2. 規格,表示の適正化等
  (1)  規格,表示の適正化
 消費者の要望に配慮しつつ適切なJAS,JISの制定,改正に努めるとともに,食品,医薬品,家庭用品,住宅等それぞれの分野ごとに適切な表示の実現を図る。
 特に,栄養成分表示制度のあり方については検討を引き続き進めるとともに,新たに,食品に含まれる添加物の表示についても長期的視野に立って総合的検討に着手する。
 更に,分譲マンション等の住宅性能表示についても所要の検討を行う。
  (2)  不当な表示の排除等
 不当な表示,景品について所要の取締りを行うとともに,「小売業におけるおとり広告」を不当な表示として指定する。
 また,公正競争規約制度を有効かつ適切に運用することにより消費者利益の擁護・増進に努める。
     
3. 消費者取引における消費者利益の確保
  (1)  約款の適正化
 消費者取引に用いられる約款の適正化について国民生活審議会等の場において引き続き検討するとともに,宅地建物取引の標準媒介契約約款の策定,旅行業約款の見直しを行う。
  (2)  消費者信用取引の適正化
 消費者信用産業のあり方等に関する総合的な検討を進め,その結果を待って所要の措置を講ずる。
  (3)  勧誘行為の適正化
 訪問販売の実態について総合的な調査を実施するとともに,訪問販売員の登録制度の普及のため所要の措置を講ずる。
 また,訪問販売員登録制度に準じて,冠婚葬祭互助会勧誘員についても登録制度を実施するよう指導する。
 更に,商品取引所の上場商品に金が追加されたことに伴う金取引所の設立に際しては,適切な勧誘活動の確保のため,商品取引員の資格審査等を十分慎重に行う。
     
4. 消費者志向体制の強化等
  (1)  国民生活センター業務の充実
 消費生活センターとの連携強化により消費者相談,商品テスト等の情報の迅速な提供を図るとともに,消費生活相談員の資質向上のための制度の充実を図る。
  (2)  事業者の消費者志向の強化
 消費生活アドバイザー制度,家電修理技術者制度,繊維製品品質管理士制度等の事業者の消費者対応の適正化に資する諸制度の定着,普及を図るとともに,今後における食品企業の消費者対応の基本的な考え方等の検討を行う。
  (3)  総合的消費者紛争処理制度確立の検討
 消費者被害を円滑かつ迅速に救済するため,我が国の実情に沿った効果的,体系的な消費者紛争処理制度の確立のための検討を進める。



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