消費者行政の推進について(案)


昭和54年11月20日
第12回消費者保護会議


 政府は,消費者の利益を擁護,増進し,消費生活の安定及び向上を確保することが,現代経済社会における基本的課題であるとの認識のもとに,毎年の消費者保護会議の決定に従い,消費者保護に関する各般の施策の整備,充実を図ってきたところである。
 しかしながら,消費者安全の徹底及び適正な消費者選択の確保のための施策の充実に対する要請が一層高まるとともに,資産形成取引や特殊な販売方法等,一般の消費者にとってなじみの薄いあるいは知識に乏しい分野における消費者取引が増大し,これらに係わる消費者問題が増加している。
 このため,政府としては,当面,別添の「消費者保護推進の具体的方策」に沿い,特に下記の事項を重点として,その実施の推進を図るものとする。


1. 消費者安全の徹底
  (1)  食品及び食品添加物
 食品の安全性の確保及び品質管理の徹底のため,製造,流通過程の監視,指導の強化に努めるほか,化学的に合成された食品添加物の安全性再点検を進めるとともに,天然食品添 加物については,必要に応じて,規格,基準の設定を図る。
  (2)  医薬品
 医療用医薬品及び一般用医薬品について,その薬効再評価作業を推進するとともに,モニター病院,薬局等を通じ副作用情報の収集を進め,必要に応じ,表示の変更等所要の措置を講じる。
  (3)  家庭用品
 電気,ガス用品について,規制対象品目の拡大,技術基準の見直しを行うとともに,立入検査,試買検査等監視,指導体制の強化を図る。
 その他の家庭用品については,消費生活用製品安全法,有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律等既存法令の活用によりその安全性の確保に万全を期する。
  (4)  安全関連情報の収集等
 危害情報の迅速な収集に努め,必要に応じ回収,規格,基準及び表示事項の改善等を行うとともに,消費者啓発の徹底により,消費者危害の予防及び拡大防止に努める。
  (5)  消費者被害救済制度確立の検討
 消費者被害の救済については,国民生活審議会消費者保護部会の「消費者被害の救済について(中間報告)」を参考としつつ,事業者等の売手が危険を負担するという考え方を原則とする総合的な被害救済制度について,被害の発生及びその救済の実態,諸外国の制度の調査,法理的分析を行う等,その確立の検討を進める。
     
2. 規格,表示の適正化
  (1)  新製品等の規格,表示
 食品について,JAS制度の活用等により,規格化,品質表示の義務づけの対象を拡大するほか,繊維製品等家庭用品について,品目の拡大,表示事項の追加,取扱い表示を充実する。
 また,省エネルギー化促進の観点から,ルームエアコン,電気冷蔵庫,乗用自動車,建築材料等についてエネルギー消費効率等の表示を推進する。
  (2)  不当な表示の規制
 おとり表示,信用誤認表示,広告における保証表示等一般消費者に誤認されるおそれのある表示について,不当表示の指定を検討する。
     
3. 不動産取引の適正化
   不動産取引に関し消費者保護を強化するため,免許基準の強化,取引主任者の増員等宅地建物取引主任者制度の改善,クーリング・オフ制度の導入,重要事項説明の強化,媒介契約の書面化等を内容とする宅地建物取引業法の改正案を次期通常国会に提出するとともに,引き続き,瑕疵担保責任期間の延長,準司法的紛争処理体制の整備等について検討を行う。
 中古住宅流通の適正化を図るため,標準媒介契約約款の作成,中古住宅価格査定マニュアルの策定等を進める。
 また,紛争処理体制,アフターサービスの充実に努める。
     
4. 訪問販売の適正化
   訪問販売に係るトラブルの増加に対処するため,消費者啓発に努めるほか,新たにセールスマンの検定登録制度を創設し,セールスマンの資質の向上を図るとともに,事業者に対し事業運営の適正化に関する指導を強化する。
     
5. 消費者啓発及び消費者志向の強化
  (1)  関係省庁,国民生活センター,地方消費生活センター等消費者サービスネットワークの連携を強化して,消費者関連情報の提供,苦情相談の適切,迅速な処理,商品テストの実施等を進める。
  (2)  消費者懇談会の開催,消費者問題に関する各種モニター制度の活用,関係審議会への消費者代表の参加の促進等により,消費者意向を迅速,的確に把握するとともに,その行政及び事業者に対する反映を図る。
 また,モニター経験者の活用等により,日常の消費生活の場における消費者リーダーの養成に努める。
  (3)  消費者苦情の迅速かつ適切な処理が行われるとともに,消費者意向が事業活動に反映されるよう,事業者の消費者問題に対する対応の体制整備等について,所要の指導を行う。



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