消費者行政推進の基本的方向

昭和50年11月7日
第8回消費者保護会議


 わが国経済の高度成長時代において,大量生産,大量販売,大量消費は,技術革新による多種,多様な新製品の市場への登場及び販売競争による豊富な消費情報等との結合により,国民の消費生活を向上させたが,反面,消費者の生命,身体に対する危害の増大,商品・サービスに対する消費者の正しい選択の阻害等消費者の安全と利益を害する問題を多発させた。消費者行政は、経済社会の高度化に伴って発生したこれらの諸問題に対応し,新製品等に対する安全及び選択の確保,消費者教育の充実等を中心に推進されてきている。
 しかしながら,一方,昭和50年代のわが国経済は,安定成長時代を迎えるものと見込まれるとともに,省資源・省エネルギー型の経済構造への移行が求められる等の大きな環境変化に直面しており,今後の消費者行政は,従来の施策の踏襲にとどまらず,この新たな経済社会環境に即応したものとして,視点の転換を図り,新たな課題を先取りし,積極的な展開を図っていくことが肝要である。
 このような観点から,今後の消費者行政は,消費生活における安全性の確保等の課題の達成に努めるとともに,次の諸点を基本的方向の重点として調査,検討を進め,その具体化を図るものとする。
 第1に,資源・エネルギー制約の下における消費生活の質的向上を図るため消費生活の省資源・省エネルギー指向への転換を図る必要がある。
 このため,省資源・省エネルギー型製品の開発,普及についての各種促進策,資源・エネルギー消費量の表示等環境変化に対応した表示等のあり方の見直し,省資源・省エネルギーを指向する消費者啓発の充実等の施策を講ずることにより,消費生活の省資源・省エネルギー指向への円滑な転換に資するものとする。
 第2に,経済の安定成長という環境変化の中にあって,公正かつ自由な競争を阻害する要因あるいは新たな販売体制,販売方法による消費者利益の侵害等が増加してくるおそれがある。
 このような事態に対処し,新たな時代に応じた独占禁止政策の適切な展開,公正かつ自由な競争を阻害するおそれのある生産,流通体制に対する調査,監視の強化,景品表示法の運用の強化,改善,特殊販売の適正化,消費者信用の保護措置等,企業行動の変化に対応した消費者利益の擁護を図るものとする。
 第3に,行政,消費者,事業者の相互信頼関係の確保が従来に増して重要であり,信頼関係に立脚した円滑な合意形成に努める必要がある。
 このため,行政,事業者の消費者指向の強化,消費者啓発の充実,消費者組織化の推進,モニター制度の活用等消費者参加の拡充,売手危険負担の考え方を原則とする総合的な消費者被害救済制度の確立の促進等により新たな合意形成のルールを確立するものとする。




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