付. 消費者保護会議第1回関係委員会議決定 (昭和47年9月1日)


(1) 建築物火災における消費者保護対策について


 近時、建築物は高層化深層化するとともに複合用途としての機能が増大している。これに伴い一旦火災が発生すると、去る5月13日の大阪千日ビル火災等にみられるごとく、多数の人命を失い大きな損害を生ずるに至っている。
 これらの火災による大事故発生は防火管理の不徹底や建築物の構造等施設面の不備に起因する面が大きいと考えられる。
 このような状況にかんがみ、特に不特定多数のものが利用する建築物における消費者の安全の確保を図るため、関係省庁間の緊密な連携の下に、下記の施策を実施することとし、このため立法、予算等の必要な措置の具体化を図るものとする。


1. 防災管理体制の強化
  (1)  消防計画の作成においては避難誘導に関する事項を拡充させ、計画書の消防機関への提出を義務化するとともに防火避難誘導訓練および消防用設備等の点検を定期化し、その実施の届出制を確立する。
  (2)  4階以下の複合用途ビルにおける共同防火管理体制を整備する。
  (3)  防火管理者の資格要件を強化し消防機関に改任命令権を付与することとする。
  (4)  危険な違反建築物および防火施設設備の監視改善指導等を行なうため、定期報告制度を強化するとともに建築監視制度および予防査察制度の活用を図る。
     
2. 建築物の構造設備の再検討
  (1)  煙の流れ、排煙対策の見地から建築物の構造設備等の基準を再検討する。
  (2)  複合用途ビル等における異種用途区画基準および用途・構造に応じた可燃物量の基準を検討する。
  (3)  一定階層以上の劇場等の用途制限または防火非難規制の強化を検討する。
     
3. 消防用設備、避難設備等の基準の整備強化
  (1)  複合用途ビルにおける消火設備、自動火災報知設備、放送設備、誘導標識、救助袋などの消防用設備等についての設備基準の改善を図る。
  (2)  高層ビル、地下街(階)における避難施設・設備設置基準を再検討する。
     
4. 危険な建材等の規制
 

 建材および調度品等に使用される材料についての危険性の判定基準を明らかにし、その製造、販売、使用の規制措置を検討する。

     
5. 現行消防法および建築基準法の既存建築物についての適用の拡大
  (1)  既存建築物について建築基準法10条の適用を弾力的に行ない、現行法基準の適用拡大を図る。
  (2)  有効な消火設備・警報設備等の設置が図られるよう消防法の既存建築物についての適用の拡大を検討する。
  (3)  上記の適用拡大措置を促進するため防火施設、設備の設置に要する費用に対する金融上の措置の拡充について検討する。
     
6. 防火安全公表制度の検討
   建築物における防火施設、設備の設置状況等について防火安全上の見地から格付けを行ないこれを公表する制度を検討する。
     
7. 損害賠償責任保険
   利用者の損害補てんを確保するため施設者損害賠償責任保険の普及促進に努める。
     
8. 防火知識の普及
  (1)  建築物利用者に対する避難方法、施設案内等の情報提供の徹底が図られるよう指導する。
  (2)  国および地方公共団体等の広報活動等を通じ、不特定多数の者が利用する建築物等における避難設備、避難方法等の知識の普及を図る。



(2) 救急医療に関する消費者保護対策について


 交通事故、災害などが断えない状況にあって、国民の生命と健康を守るために事故防止対策を拡充強化しつつ、医療体制、とりわけ救急医療体制を整備することは、現下の重要な施策課題である。
 政府は、国民がいつどこで事故に遭い急病になろうとも適切な救急医療サービスが受けられるようにするために関係省庁間の緊密な連携の下に、下記の施策を進めることとし、このため予算等必要な措置の具体化を図るものとする。



1. 救急搬送体制の整備
  (1)  一部事業組合の設立、応援協定の締結などを進め、昭和50年度末を目途に、全国の市町村において救急搬送サービスを享受できる体制の整備を図る。
  (2)  救急搬送サービスの質的向上を図るため、救急隊員の研修を強化するとともに医師・看護婦の参加を図る。
  (3)  救急病院等の配置図(救急マップ)をガソリンスタンド、派出所等に備付けるために所要の措置を講ずる。
     
2. 救急医療体制の整備
  (1)  地域の救急患者発生状況、輸送条件および医学上許容される搬送時間距離などに基づき、重症患者の手術等を常時行なえる救急医療センター、休日・夜間の診療体制等を昭和52年度末を目途に拡充整備する。
  (2)  救急病院について告示対象医療機関の充実拡大を図る。
  (3)  救急病院等の整備を促進するため、その設置および運営に要する費用につき必要な資金の確保および助成を図る。
 
3. 救急医療の総合的運営機能の整備
   救急医療を有機的に進めるため、その中枢的機能を果たすコントロールセンターのあり方および関連機器類につき調査のうえ、早急に研究開発を行ない、昭和52年度末を目途にその全国的設置を図る。