消費者行政の推進について


昭和47年10月24日 
第5回消費者保護会議 


 政府は,消費者保護基本法施行後消費者保護会議の決定に従い,消費者保護に関する諸般の施策を講じてきたが,最近においても,なお消費者の利益を害する諸々の問題を生じている。
 このような状況に対しては,今後経済の各分野において,国民福祉優先の原則のもとに,消費者利益の増進を第一義とする施策を展開するとともに,従来の消費者保護施策の拡充に加えて,特に
(1)  消費生活において商品等が消費者の生命身体に対して危害を与えることのないよう,消費者の安全を確保するための施策を拡充すること。
(2)  事業者が提供する各種サービス,販売等の分野における消費者保護施策を強化すること。
(3)  消費者の要請に迅速適確に対応できる体制,すなわち,事業者に対抗しうる消費者組織,事業者における消費者指向体制および消費者行政機構,特に地方公共団体の機構の整備および行政の国際的提携の促進を図ること。
  が必要である。
 このため,政府としては,当面別添「消費者行政推進の具体的方策」に従い,特に下記の事項に留意して施策の実施を進めることとし,立法,予算等必要な措置の具体化を図るものとする。


1. 安全確保対策の強化
  (1)  PCBの規制
 PCBについては,すでに用途の制限,回収の義務付け,食品含有量の暫定規制値の設定等汚染防止対策を実施してきているが,さらに総合的な調査研究を進め,食品中のPCBについての規制の拡充,汚染水域における漁獲の規制の指導等を行なうとともに,電気機器におけるPCBの処理対策を進める。
  (2)  PCB類似物質等の規制
 PCB類似物質等の製造,用途等の制限,回収処理,表示の義務付け等を内容とする法律案を次期通常国会に提出する。
  (3)  家庭用品等の規制
 家庭用品等による身体,健康に対する危害を防止するため,家庭用品等に関する構造,化学物資等の規制基準設定および検査監視体制の確立,民間における自主的安全基準作成,安全マーク制度,事故補償制度の導入などを内容とする法律案を次期通常国会に提出する。
  (4)  造成宅地の規制
 宅地災害について,気象状況,地形,擁壁の構造等の要因および実態を把握するため,危険宅地実態調査を実施し,宅地危険度の判定基準,防災措置等につき検討を行ない,地方公共団体に対する指導等必要な措置を講ずる。
  (5)  プレハブ住宅の規制
 欠陥プレハブ住宅をなくすため,プレハブ住宅に係る設計,施工方法について再点検を行ない,関係事業者に対する指導等必要な措置を講ずるとともにプレハブ住宅の性能,品質等ならびに施工現場および生産工場の品質管理状況に関する認定制度の創設等を行なう。
  (6)  建築物火災対策の強化
 不特定多数の者が利用する建築物における消費者の安全を図るため,(ア) 消防計画書・防火避難訓練の届出制,消防用設備の設置基準の強化などを内容とする消防関係法令の改正を行なうとともに,(イ) 防火避難上危険な既存建築物等の改修工事消防用設備の設置などにつき融資制度の拡充等所要の措置を講ずる。
     
2. サービス,販売等の分野における消費者保護施策の強化
  (1)  単位価格表示制度の推進
 消費者の合理的な商品選択に資するため,単位価格表示の実験的実施,調査等を行なうとともに,その普及推進を図る。
  (2)  消費者包装の適正化
 消費者包装の適正化を図るため,商品群別適正包装基準の作成,関連事業者の指導およびその周知徹底を図るとともに公正競争規約設定の指導,不当景品類及び不当表示防止法の運用基準の作成の検討を行なう。
  (3) 再販売価格維持行為の規制
(ア)  再販制度の意義を再検討し,諸般の実情を調査したうえで,今日の段階において再販商品として存続せしめることが不適当であると認められるものについては,指定を取り消すものとする。
(イ)  再販行為の弊害規制のための措置を推し進めるとともに,再販商品について再販商品である旨等の表示をさせるよう努める。なお,著作物についても同様とする。
  (4)  輸入総代理店制度の検討
 輸入総代理店契約に関して,認定基準を策定し,契約を厳重に審査チェックする体制を確立するとともに,内外の流通実態,流通価格等を調査し,輸出業者との関係の是正,輸入流通チャンネルの多元化等につき指導する。
  (5)  金融業等における競争の促進と取引の改善
 金融・保険業における公正自由な競争を促進するため,長短金利規制の緩和を検討するとともに保険料率,契約者配当の自由化等を図る。また,消費者ローン約定の表示,取引条件の改善および証券取引における行き過ぎた勧誘行為の防止等に必要な外務員その他の従業員教育の充実について指導する。
  (6)  旅館,ホテルの格付け等の検討
 旅館,ホテルの格付け,料金体系の整備およびその表示の適正化等について検討を行なう。
  (7)  地域食品認証制度の創設
 地域的な食品の品質の向上と消費者への普及を図るため,地域食品についての点検を進めるとともに,この結果を活用してJASマーク制度に準じた認証制度を創設する。
     
3. 消費者保護体制の整備
  (1)  消費生活協同組合の活動の強化
 消費生活協同組合に対する融資の拡充等を図るほか,地域制限等制度上の制限を緩和するため,消費生活協同組合法の改正について関係者間の調整を行なったうえ,すみやかに,改正法案の国会提出を図る。
  (2)  事業者における消費者指向体制の強化
 事業者側における消費者指向を強化するため,従来から設けられてきている業界の自主管理体制の充実を進めるとともに,個別の事業者における商品の製造,販売等の面について自主的な管理,監視を行なうにつき必要な資格制度の創設,従業員の資質を向上させるため職業訓練等を行なう。
  (3)  消費生活センターネットワークの整備
 全国の主要地域に消費者保護の拠点となる消費生活センターを計画的に設置し,地方センターネットを整備するとともに商品テスト網の充実強化を図る。
  (4) 国際提携の推進
 OECD消費者政策委員会およびFAO.WHO合同食品規格委員会の活動に積極的に参加するとともに,諸外国等における消費者問題関係機関との情報交換,人的交流を図る。
  (5) 消費者救済制度の確立
 商品およびサービスによる消費者の被害を効果的に救済するため,総合的な消費者救済制度について調査研究を行なうとともに,とくに緊急を要するとみられる食品,医薬品による被害の救済および医事紛争処理制度については,すみやかに調査検討を行なう。



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