消費者行政の推進について


昭和45年11月17日
第3回消費者保護会議


 政府は,第2回消費者保護会議以降同会議の決定の趣旨に従い,消費者保護に関する諸般の施策を鋭意講じてきたところであるが,なお最近においても消費者の安全を害する種々の問題が生じていること等にかんがみ,消費者保護に関する当面の具体的施策として従来の施策を一層充実強化するとともに,特に下記の施策を実施することとする。


1. 危害の防止
  (1)  食品添加物の再検討
     食品添加物の再検討は,従来から行なってきたところであるが,なお,安全性を最近の技術水準からみてさらに確認することが必要と考えられる25品目について,おおむね昭和48年度までを目途として年次計画により必要な慢性毒性,催奇形性等の試験を実施する。このうちサッカリン等おおむね10品目については昭和46年度までに行なう。なお,無害無益な添加物の有無について検討する。
  (2)  農薬残留規制の強化
     農薬残留規制については,従来から行なってきたところであるが,なお残る主要な農産物および農薬について,昭和48年度までを目途として年次計画により,残留許容量設定のための調査試験を行ない,逐次,残留許容量を設定する。このうちおおむね小麦,レタス等20品目,10品目については,昭和46年度までに調査試験を行ない,逐次,残留許容量を設定する。また,畜産物についても昭和49年度までを目途として年次計画により調査試験を行ない,逐次農薬の残留許容量を設定する。さらに残留許容量設定に対応して,農薬の安全使用基準を設定するとともに,農薬使用の規制を強化するため,農薬取締法の改正法案を次期国会に提出する。
  (3)  抗生物質使用規制の強化
     乳肉食品に抗生物質が雑留しないよう,家畜に対する使用規制を強化する。当面,このための指導および監視を強力に行なうとともに,これらに関する必要な制度の整備について検討を行なう。
  (4)  食品の安全性に関する試験,研究の充実等
     食品添加物,残留農薬,抗生物質,微量重金属等に関し,食品の安全,衛生についての試験,研究の充実強化を図るとともに,食品衛生監視員の増員等監視体制の整備強化を図る。
  (5)  既承認医薬品の再検討等
     二重盲検法等の精密かつ客観的な効能判定方法による現行な承認基準により,以前に承認を行なった医薬品について効能効果の再検討を行なうととし,その具体的方策を昭和45年度中に確立する。この方策に基づきすみやかに再検討を実施する。
 また,いわゆる大衆保健薬に関しては,その効能,正しい使い方等に関して消費者に必要な知識を普及し,大衆保健薬の濫用を防止する等の措置を講ずる。
  (6)  種痘の副反応の防止
     第一期種痘の前処置として弱毒化されたワクチンを使用して,副反応を防止できるよう必要な研究開発を行ない,開発後すみやかにこれを実施する。
  (7)  自動車の安全対策の強化
     自動車について,一酸化炭素排出の規制,排気ガス無害化の研究等公害対策を別途進めるほか,安全性に関しては,安全研究を充実するとともに,道路運送車輛法に基づく保安基準を充実,強化する。
  (8)  食品等の安全性に疑があるときの措置等
     食品等の安全性について有害の疑があるがさらに信頼度の高い資料等に基づき判断することが必要であると認められるときは,その安全性が確認されるまで製造,使用,販売等について所要の規性措置を講ずることとし,必要な制度の整備について検討を行なう。また,安全性が確認されたときは,「安全宣言」を行ない,消費者の不安の解消を図るなど食品等に関する正しい知識を消費者に普及する措置を講ずる。
 
2. 農林物資規格表示制度による規格および表示の適正化
   主要加工食品のすべてについて日本農林規格および表示基準の設定を行なうこととし,昭和46年度までに,少なくとも,清涼飲料,アイスクリーム類等おおむね10品目につき規格を,魚肉ハム・ソーセージ,蓄肉ハム・ソーセージ等おおむね10品目につき表示基準を設定することを目途に作業を進めるともに,品質基準の引上げ,等級区分の設定,主要原材料の表示等規格の内容を充実する。
 
3. 不動産取引の適正化
   不動産取引に関し,消費者保護を強化するため,契約条項の適正化を図り,前金等の保全措置を講ずるとともに,免許条件を強化する等宅地建物取引業法について所要の改正を行なうこととし,次期通常国会に改正法案を提出する。また,宅地建物の割賦販売条件の明示,契約解除の制限等業務の適正化を図るとともに,積立式宅地建物割賦販売業者について免許制度を設ける等所要の規制を行なうため,次期通常国会に宅地建物の割賦販売に関する法案を提出する。
 
4. 苦情処理体制の整備
   消費者の苦情処理については,所管の行政機関においてその窓口を整備する。また,消費者の苦情処理が必要な業界について苦情処理体制の整備を図ることとし,特に,未だその体制が整備されていない不動産,美容等については,すみやかに,業界団体等において苦情処理を行なうよう指導する。
 
5. 消費生活協同組合の育成強化
   地域制限の緩和等制度の改善を行なうため,消費生活協同組合法の改正につきすみやかに検討するとともに,事業用施設に対する政府関係金融機関による融資を検討する。



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