消費者保護基本法に関する国会決議の具体化方策について(報告)


昭和43年8月6日

消費者保護会議



消費者保護の強化に関する件
(昭和43年4月25日
衆議院物価問題等に関する特別委員会決議)

消費者保護基本法案に対する附帯決議
(昭和43年5月22日
参議院物価等対策特別委員会)
各省庁の具体化方策について
 本委員会は、消費者保護基本法案の審査にともない、各種消費者保護の具体策について検討を続けてきたが、さしあたり次の点について政府はただちに必要な措置を講ずるよう要請するものである。  本委員会は、消費者保護基本法案の審議を通じ、消費者保護のための諸施策について検討を重ねてきたが、この際、次の諸点について政府は早急に所要の措置を講ずるよう要望するものである。  
1  地方公共団体が消費者保護に関し、果たすべき責務を明確にするため、地方公共団体の事務として消費者保護に関することを地方自治法上明記することを検討すること。
 また、中央地方を通じて消費者行政が効果的に推進されるよう、国、都道府県、市町村の消費者行政に関する責務分担を確立し、そのための体制を整備すること。
   

(1) 地方自治法の一部改正について
  自治省において検討をすすめる。

(2) 責務分担について
  経済企画庁において消費者行政地方協議会等を通じて、各県および市町村の意見をもきいて、本年度中に責務分担の基本方針をまとめる。

2  消費者利益に関係ある各種の法令について再検討を行ない、必要な法令の制定改正を準備し、運用の改善を行なうこと、ならびに各種の法令の実行確保のため、国、公立の試験研究機関の整備をはかるとともに、監視体制の強化をはかること。
 なかんずく、次に掲げる点について十分に考慮し、所要の措置をとること。
1  消費者保護に関する現行諸法令については、本法の立法精神に基づき、新たなる立場に立って、再検討を行なうとともに、必要な法令の整備、運用の改善を図ること。
 特に、次に掲げる点について十分配慮し、所要の措置を講ずること。
 
(1)  食品衛生法については、その規定する食品の成分規格を明確にするとともに、特殊栄養食品の標示制度を改善して食品衛生法において規定することを検討すること。また、食品添加物、残留農薬について、その毒性の研究を促進し、許可品目の再点検、規制の強化をはかること。 (2)  食品衛生法については、その規定する食品の成分規格を明確にするとともに、特殊栄養食品の標示制度を改善して食品衛生法において規定することを検討すること。また、人口甘味料、着色料、漂白剤等の食品添加物、残留農薬及び洗剤等について、その毒性の研究を促進し、許可品目の再点検、規制の強化をはかること。

 厚生省において次のとおり施策をすすめる。

(1) 成分規格の明確化について
  現行の規格基準の整備を図るほか、品質規格の設定について検討する。(例えば、マーガリン、果実飲料、魚肉練製品、etc.)

(2) 標示制度について
  牛乳、加工乳等について販売曜日にかえて製造日を標示させることとする等、標示制度の整備をはかることとしたが、現行の標示制度の範囲を拡大することについて検討する。

(3) 監視体制の強化について
  食品等の規制の強化のため監視機構の整備を図るほか、業界の自主監視のための食品衛生管理者を置かせる対象業種の拡大等について検討する。

(4) 食品添加物等の規制の強化について
  食品添加物、残留農薬及び洗剤等について、その毒性に関する調査研究を促進し、規制の強化を検討する。

(5) 特殊栄養食品の標示を食品衛生法で規定することについて
 取扱いについて検討する。

    (1)  独占禁止法の適用除外規定は、種々の法令にわたっており、必ずしも独占禁止法との関連が明確でなく、その運用に支障があるので、これが整備のため再検討を行なうこと。  適用除外規定のなかには、現在ではその規定の必要性に疑問があるもの、カルテル許容手続に関する規定が不備のため実態を把握することができないものなどがあるので、公正取引委員会において適用除外規定の運用状況、カルテル等の実態を調査し対策をすすめる。
(2)  農林物資規格法については、輸入物質を含めて対象品目を拡大するとともに日本農林規格の品質基規準の拡大ないし等級別基準の設定・表示制度の充実、表示方法の明確化をはかること。 (3)  農林物資規格法については、輸入物質を含めて対象品目を拡大するとともに、日本農林規格の品質規準の設定、表示制度の充実、標示方法の明確化をはかること。

 農林省において次のとおり施策をすすめる。

1. 対象品目の拡大等について
  消費者の購入の手引とするため、規格設定の必要性が強い品目は極力規格を制定するという方針のもとに、輸入品をも含めて計画的に規格設定品目の拡大を図るとともに、既制定規格についての計画的な再検討、格付方法の改善等を検討する。

2. 表示制度の充実について
  消費者保護の見地から日本農林規格に必要な表示項目の追加、表示方法の明確化等の改善を加えるほか、日本農林規格の諸票のないものについても一般に消費者保護のため必要な表示を義務づける方途を検討する。

3. 監視体制について
  日本農林規格の格付け、証票の貼付等その実施運営が適正に行なわれているかどうか、及び消費者に関係の深い飲食料品の表示が適正であるかどうかを監視するため、行政組織の整備、市販品の買上げテスト、全国の主要都市に対するモニターの設置、商品テストを効果的に行なうために必要な試験研究等の国の中央試験研究機関における実施等を検討する。

(3)  食品衛生法・栄養改善法、農林物資規格法、不当景品類及び不当表示防止法を通じて食品の表示制度が海外諸国に比しても立ち遅れており、かつ、最近の消費生活の実態にも適合しなくなっていることにかんがみ、統一的な観点から食品の表示に関する制度のあり方とその運用について根本的な再検討を早急に行なうこと。 (4)  現行の食品衛生法、栄養改善法、農林物資規格法、不当景品類及び不当表示防止法を通じて食品の表示が海外諸国に比しても立ち遅れ、かつ、最近の商品の多様性を反映しなくなっているので、消費者の合理的選択が阻害される傾向にある。従ってその商品の原料製造年月日、等級別規格等の表示の内容および方法の改善につき、根本的な再検討を行なうこと。  現在各省庁において食品の表示制度の改善をはかるべくそれぞれの所管の法制について法令の改正ないし運用の強化について検討をすすめているので、その検討の過程において統一的な観点からの制度の改善が実現できるよう各省間で十分な連絡をとって推進する。
(4)  薬事法については、その規定する医薬品について、既許可のものであっても予期せざる副作用が発生した場合には、すみやかにその情報を把握し、製造、販売の停止等必要な措置がただちに講ぜられるような体制を整備すること。また、貯法、製造年月日、有効期限等の表示義務の対象薬品を拡大すること。 (6)  薬事法については、その規定する医薬品について、既許可のものであっても予期せざる副作用が国の内外を問わず発生した場合には、すみやかにその情報を把握し、販売の停止等必要な措置がただちに講ぜられるような体制を整備すること。また貯法、製造年月日、有効期限等の表示義務の対象薬品を拡大すること。

 厚生省において次のとおり施策をすすめる。

(1) 副作用に関する措置について
 副作用モニター制度、新開発医薬品について製薬企業に対する副作用調査報告の義務づけ、WHO、欧米諸国との連絡の緊密化により副作用情報を迅速にキャッチするよう努めるとともに入手した情報については、中央薬事審議会の意見を徴し、必要に応じ使用上の注意の記載事項の追加、使用対象の制限、製造の中止等の措置を迅速に講ずる体制を強化する。

(2) 表示制度について
 貯法、製造年月日、有効期限等の表示義務の対象薬品を拡大する方向を検討する。

(5)  工業標準化法については、実用性能の規定を持った規格の制定、等級別規格の判定、表示の内容及び方法の改善等につき検討すること。 (5)  工業標準化法については、適用品目の拡大をはかるとともに、実用性能の規定を持った規格の制定、表示の内容及び表示方法の改善をはかること。なお、必要な品目については強制規定を設けるよう検討すること。

 通産省において、43年度を初年度とする工業標準化5ヵ年計画を策定し、抜本的推進をはかることとしたが、とくに国民生活に密着する物資のJISの改善に重点をおいて規格化の推進を図ることとし、次のとおり施策をすすめる。

(1) 消費財JIS品目の拡大、実用性能の規定をもった規格の制定、等級別規格の制定、表示内容および表示方法の改善等について
 上記5ヵ年計画の推進とあいまって、国公立試験研究機関等において研究を進めるほか、日本工業標準調査会消費財標準化審議特別委員会において鋭意検討を進めているが、その結果を早急にJIS審議に反映させる。

(2) 必要な品目についてJISを強制することについて
 従来から、電気用品取締法、輸出検査法、建築基準法等各種取締り法令においてJISを強制することによって行なっているが、今後一層その強化をはかる。

(6)  家庭用品品質表示法については、対象品目を拡大し、繊維製品等の使用方法その他の表示内容を充実強化、かつ、例えば絵表示を採用する等表示方法の改善をはかること。    

 通産省において次のとおり施策をすすめる。

(1) 対象品目の拡大について
 昭和43年度においては、合成樹脂器具、金属製時計バンド等について指定し、品目の拡大を図るべく家庭用品品質表示評議会において検討する。
 今後品目の拡大が特に要望されているのは雑貨工業品であるが、これらの品質表示が真に消費生活の改善に寄与するものであるためには消費者の商品選択および使用の実態に即したものでなければならないので、家庭用品の消費実態調査を実施して商品の消費状況、購買動機および購買状況等家庭用品の消費実態を把握し、指定商品にすることの要否およびその判断基準について検討し、これに沿って品目追加を行なう。

(2) 表示内容の充実強化について
 さらに繊維製品の表示事項としては現在組成表示のみが定められているが、最近の繊維の複合化、多様化等によって品質の識別が困難となっている現状を考慮して、表示事項を拡大し、性能、取扱い表示等を含める方向で「上記審議会において具体的な方策を検討する。

(3) 表示方法の改善について
 現行の繊維製品の品質表示事項の改善については、現在行なっている収縮性の基礎調査の結果をまって、表示事項の追加の検討を進めるが、さらに取扱表示として検討している絵表示のJIS化の早急な実施を図り普及に努めるとともに、これを本法に基づく表示とするために必要な技術基準(試験方法、判定基準)の確立を図る必要があり、そのための表示基準調査を実施することを検討する。

(7)  不当景品類及び不当表示防止法については、表示に関する公正競争規約に関連のある業界に対し必要な場合に一定事項の表示を義務づけうるようにするとともに都道府県知事が公正取引委員会に対し不当表示についての処分請求を行なえるよう検討すること。また懸賞による景品類の提供については、商品購入を条件としないものについても規制しうるようにすること。 (7)  不当景品類及び不当表示防止法については、表示に関する公正競争規約に関連のある業界に対し必要な場合に一定事項の表示を義務づけうるようにするとともに一般の業種に対しても同様の措置を講じうるよう検討すること。また、都道府県知事が公正取引委員会に対し不当表示についての処分請求を行なえるよう検討すること。また懸賞による景品類の提供については、商品購入を条件としないものについても規制しうるようにすること。

 公正取引委員会において次のとおり施策をすすめることとする。

1. 一定事項の表示の義務づけについて
 取扱いについて検討する。

2. 都道府県知事の不当表示に関する処分請求権について
 都道府県知事の不当表示に関する処分請求については、地方公共団体の意見をも聞いて検討する。なお、不当表示の規制のために、地方公共団体の協力が必要であるので、今後とも連絡会等の開催により情報交換、調査協力等緊密な連絡を行なう。

3. 懸賞について
 形式的には商品購入を目的としていないが実質的には商品購入を条件としていると思われる行為を規制するため告示改正を行なう。

(8)  宅地建物の前払式割賦販売については、契約解除の際の損害賠償額の制限前受金の安全保障措置等必要な規制を加える。      建設省において、業者の免許条件の悪化、積立金の担保制度、業務運営の規制等について新たな制度の立案を検討しているが、成案ができ次第、国会に提出する。
(9)  消費者の組織については、消費者自身の自主的活動に期待する面が大きいので、消費生活協同組合等民間の消費者組織の効果的発展をはかる方向で適切な措置を検討すること。 (8)  消費者の組織については、消費者自身の自主的活動に期待する面が大きいので、消費生活協同組合等民間の消費者組織の効果的発展をはかる方向で適切な措置を検討すること。
 なお運用に当っては消費生活協同組合法にもとづく事業の機会均等を妨げないよう配慮すること。
 生活協同組合については厚生省において、地方公共団体、関係団体等の意見をもとにして検討をすすめる。
3  消費者保護施策の実効をはかるため、各都道府県に、商品テストをはじめ、各種の相談、消費者啓発活動等を総合的に推進できる「生活センター」ともいうべき機構の設置をはかること。      現在すでに数県において生活センターが独自に設置されているが、今後各県に生活センターの設置をはかってゆくために国のとるべき措置について、経済企画庁において検討をすすめる。
 生活センターの機能の重要な一部である商品テスト事業については、通商産業省において43年度から地方公共団体が設置する簡易な商品テスト施設に対する補助金制度を発足させており、生活センター事業の一環としてこれを拡充強化していくこととする。
 また、農林省においては食生活センター(仮称)を設けることについて経済企画庁と連絡をとりつつ検討する。
4  学校教育における消費者教育を一層改善充実すること。      文部省において目下中学校および高等学校の教育課程の改訂を進めているところであるが、この決議の精神がいっそう生かされるよう検討する。
5  消費生活にとって重要な公共料金の決定に当っては、十分に消費者の意見を反映しうるよう審議会、公聴会その他を活用すること。 4  公共的料金については、その上昇を抑制する方向に立ち、決定にあたっては審議会、公聴会等を活用し十分に消費者の意見を反映するよう配慮すること。  運輸省関係の公共料金について、7月19日の運輸行政刷新本部において、「運輸審議会を改組し、利用者の声を行政に反映させる事務を行なう機関とする方向で検討する。」ことが決定されたのでその具体化について検討する。
 地方公営企業の料金決定にあたっては、当該地方公共団体の議決を経ることとされており、この過程において十分利用者の意見が反映されているところであるが、さらに日常の広報公聴活動を通じて常に利用者の声をきくとともに趣旨の周知徹底を図るよう自治省において指導する。
6  消費者金融については、消費者保護の立場から、早急に調査、研究を行ない、政府の統一見解とその対策をまとめ、万全の措置を講ずること。      割賦販売制度の観点からの消費者金融問題については、割賦販売審議会において具体的な方策について検討を行なっており本年中に一応の結論を得ることを目標に審議を急いでいるところであり、また金融機関の扱う消費者金融については、金融制度調査会において、金融制度の全面的な再検討の一環として検討を行なっているところであるが、消費者金融問題は各省庁に関連する問題であるので、関係各省庁による連絡会議を開いて検討をすすめる。
7  不良商品等によって消費者が受けた損害が救済されるように、十分な苦情の処理が行ないうる業界の体制を整備することについて必要な措置をとること。    

(1) 通商産業省において、昭和40年に消費生活改善苦情処理制度を発足させ、一般消費者から苦情を受付け、本省、各通商産業局および地方庁、消費者団体等協力団体においてその処理を行なうとともにその内容を法令の改正など行政面へ反映させているが、今後実際の処理機関として消費財に関連する業界団体に苦情処理窓口を設置するよう指導する。

(2) 厚生省において、食品衛生関係の苦情処理に関する体制整備について検討をすすめる。

(3) 農林省において、苦情処理のための施策の一環として整備が期待される苦情窓口からの事案の回付を受けて、食料品業界が自主的にこれを処理する組織を整備することにつき検討する。

(4) 通商産業省、農林省等における所管の業界に対する苦情処理体制の整備についての行政指導に関連して、地方公共団体における苦情処理あっせんの体制を制備する必要があり、そのために必要な措置については経済企画庁において検討する。

    2  企業の合併等については、企業格差の拡大によって、関連業界及び一般消費者に対し、寡占や不公正な取引による弊害をもたらすことないよう独占禁止法の厳正なる運用について配慮すること。  企業の合併、営業譲受等については、独占禁止法において、[1]一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合および [2]不公正な取引方法によるものである場合には、これを禁止しているが、いわゆる大型合併等については、公正取引委員会において、独占禁止法の規定に照らして十分調査を行ない、慎重かつ厳正に処理する。
    3  再販売価格維持適用品目の洗い直しを早急に行なうとともに、その適用に当っては、小売価格の表示及び各段階のコスト・マージン、リベート等につき事前に十分審査し消費者保護に万全を期すること。また、おとり廉売に対する規制についてすみやかに対策を検討すること。

 公正取引委員会において次のとおり施策をすすめる。

1. 再販品目の洗い直し等について
 再販品目の洗い直しは現在実施中であり、できるだけ早い機会に告示改正を行なう。
 また、再販品目の取引における各段階のマージン、リベート等については、その実態を調査し、これが過大にわたるなど一般消費者の利益を不当に害することとなる場合には、その品目に関する再販維持行為に対しては適切な規制を行なう考えである。

2. おとり廉売について
 おとり廉売については、その実態を十分把握したうえ、一般消費者に与える影響を十分考慮しつつ、規制の方策について検討する。

    5  物価問題懇談会、物価安定推進会議の諸提案、国民生活審議会等の答申について検討し、これが具体化について必要な措置を行なうこと。  各省庁において諸提案および答申の趣旨を尊重して所要の措置を講じており、その進捗状況について物価安定推進会議等随時報告しているところであるが、今後とも所要の措置を推進する。



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