消費者の窓
匿名性とインターネット関連の消費者トラブル

はじめに

私たちの身のまわりにはインターネットが急速に普及し、遠隔地との取引が可能なオンラインショッピングやネットオークションといったサービスを利用する消費者が増えています。また、自由な交流を求めて電子掲示板などを利用する人もいます。しかし、そのような便利さと同時に、購入した商品が偽物だった、あるいは申し込んだ商品が届かないといった消費者トラブルや、プライバシーの侵害に関する相談も増えてきています。

インターネットは消費者にとって便利な手段を提供してくれますが、消費者として知っておくべき注意点もたくさんあります。 内閣府国民生活局では、e-コンシューマー・ミーティングを開催し、インターネットトラブルに詳しい専門家の方々(以下メンバーと呼びます)と、利用者から寄せられる様々なトラブルについての情報交換等を行っています。以下では、このような専門家の方々とともに、より良いインターネット社会のために、消費者としてどのような視点が必要かを検討し、

(1) 事例 :どのようなトラブルが生じているのか。
(2) 利用者のとれる対処 :利用者はどのような点に気をつけ、どのように対処すればよいか。
(3) メンバーからのコメント :まだ解決されていない問題点としてどのようなものがあるか。

についてまとめています。

今回のテーマとしては、トラブルに関連の深い「匿名性」の問題を取り上げ、問題点、対処法について議論をし、まとめました。


トラブル事例と消費者のとれる対処

1. オンラインショッピング

〔問題点1〕匿名性によって引き起こされるトラブル

※メール以外で連絡がとれない

※偽の事業者情報

※偽のメールアドレス

※連絡先の記載がない

※ホームページがなくなった

〔問題点2〕匿名の発信者が目的を隠すことによるトラブル。(個人情報の収集等など)

2. ネットオークション

〔問題点1〕匿名性によって引き起こされるトラブル

※出品者の偽情報

※詐欺を繰り返す出品者

〔問題点2〕匿名の発信者が目的を隠すことによるトラブル。(個人情報の収集等など)

3. 掲示板等での誹謗中傷

〔問題点1〕表現の自由と名誉毀損-プロバイダの権限と責任

〔問題点2〕加害者特定の問題


おわりに


参考) 匿名性のメリット・デメリット



匿名性とは

Web上の情報で利用者の所在、連絡先、氏名などの情報が記されていなかったり、自分自身の情報を偽っていたりするため、発信者が誰か、どのような人物か、本当のことがわからないことを意味しており、次のようなメリット・デメリットがあります。

匿名性のメリット

(1) 個人情報を漏らさずにインターネットサービス等を利用できる。

→ 通常、普通の道を歩いたり、お店に入るときにどこの誰か名乗ってからという人はいないはずです。インターネットサーフやオンラインショッピングは、すべての個人情報を明らかにしなくても、インターネット上の名前で利用することができます。

(2) 表現の場では、自由な発言を行うなどの匿名性に対するニーズがある。

→ インタ-ネットなどでおなじみのチャット・掲示板などは本来自由な討議を行うための場所として開かれているため、匿名を利用する人も多いようです。



匿名性のデメリット

(1) トラブルが多発する可能性

→ 発信者が詐欺等を働く悪意をもつ人物であるかどうかの見分けがつかないため、一般の消費者がトラブルに巻き込まれやすいということが挙げられます。また、トラブルが起こった時にも、ネットという経路を媒介して連絡をとるので、何が実社会で起きているかがわからず、また確認できない場合がもあります。(時にシステムの不具合-サーバが異常停止した-など、ホームページ等の運営者のせいだけではないことが起きる。)

(2) トラブル解決が困難

→ 消費者トラブルには、当事者同士で解決できる問題も多いが、相手が特定できないため、民事的解決手段を使うことができません。また、このことを利用した悪意のある発信者が増大する可能性があります。