消費者の窓

〔2〕消費者政策の具体的施策

9 その他

1.公益通報者保護制度の円滑な運用

(1)背景

 近年、国民の安全や安心を損なうような企業不祥事が発生し、消費者をはじめとする社会の信頼が大きく損なわれました。そして、その多くが事業者内部の労働者等からの通報を契機として明らかにされました。
 このような状況を踏まえ、事業者等の法令遵守を確保し、国民生活の安全や安心に資するため、事業者内部の違法行為を通報した労働者に対する解雇等の不利益な取扱いを禁止する公益通報者保護法が制定され、2006年4月1日から施行されました。

(2)公益通報者保護法の概要

 「公益通報」とは、(1)労働者が、(2)不正の目的でなく、(3)勤務先、取引先又はその経営者や従業員に関して「通報対象事実」が生じ、又はまさに生じようとしている旨を、(4)(i)勤務先等、(ii)権限を有する行政機関又は(iii)その他被害の拡大防止等のために必要と認められる者のいずれかに通報することをいいます。
 ここでいう「通報対象事実」とは、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律として別表及び政令に掲げる法律(刑法、食品衛生法、JAS法など約400本)に規定する犯罪行為及び一定の法令違反行為です。
 これらの公益通報について、所定の要件を満たした通報を行った場合、公益通報をしたことを理由とする解雇は無効であり、その他の不利益な取扱い(降格、減給等)も禁止されます。
 なお、本法による保護の対象にならない通報を行った労働者については、これまで通り労働基準法の解雇権の濫用の禁止など従来の法体系の中で解雇の有効性などが判断されます。

(3)公益通報者保護制度の円滑な運用

 公益通報者保護制度の円滑な運用にあたっては、公益通報を受け付ける事業者及び行政機関の体制整備、労働者等への周知が行われることが必要です。
 このため、公益通報者保護制度についてわかりやすく解説したパンフレットやハンドブック、事業者や行政機関の体制整備に役立つようなガイドライン等を作成し、公表しています。
 また、内閣府においては、労働者・事業者等が公益通報者保護制度について相談できる窓口として「公益通報者保護制度相談ダイヤル」を設置しています。
 法制度に関するパンフレット等の各種資料については、ウェブサイトに掲載していますのでご参照下さい。

問い合わせ先
 ○内閣府国民生活局企画課 公益通報者保護制度相談ダイヤル
  電話 03―3581―4989(平日 10:00~17:00)
  ホームページ http://www.caa.go.jp/seikatsu/koueki/index.html

2.消費者志向優良企業等表彰制度

 経済産業省では、消費者利益の保護及び増進の上で、企業における消費者志向体制の整備・促進が重要との観点から、消費者ニーズを的確かつ迅速に把握し、これを企業経営に反映させるなど、消費者志向体制の整備において優れた成果をあげている企業等に対し、1990年度より大臣表彰制度を設けています。2004年度から、総合表彰、分野別表彰を実施しています。

問い合わせ先
 ○経済産業省商務情報政策局消費経済政策課
  電話 03―3501―1511(代)

3.成年後見制度

 認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。

〈制度の主な概要〉

○ 成年後見制度には、大きく分けると、法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。
○ 法定後見制度は、「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており、判断能力の程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。
  法定後見制度においては、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意をしないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。
  成年後見人等には、本人の近親者が選ばれることが多いですが、法律・福祉の専門家その他の第三者や、福祉関係の公益法人その他の法人が選ばれる場合もあります。また、成年後見人等を監督する成年後見監督人などが選ばれることもあります。
○ 任意後見制度は、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自分が選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。そうすることで、本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が、任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもと本人を代理して契約などを結ぶことによって、本人の意思に従った適切な保護・支援をすることが可能になります。
○ 後見開始の審判がされたときや、任意後見契約の公正証書が作成されたときには、家庭裁判所や公証人からの嘱託によって、成年後見人等の権限や任意後見契約の内容などが東京法務局後見登録課のコンピュータ・システムに登記され、本人、成年後見人等、一定の者からの請求により、登記官が登記事項を証明した登記事項証明書(登記事項の証明書・登記されていないことの証明書)を交付することによって登記情報を開示しています(成年後見登記制度)。

問い合わせ先
 ○法務省民事局参事官室・民事第一課
  電話 03―3580―4111(代)

4.金融トラブル連絡調整協議会

 近年、金融分野における苦情・紛争の増加にもかかわらず、司法制度による解決の長期化等が指摘されており、金融取引の特性を踏まえつつ民事訴訟制度を補完する金融分野における裁判外紛争処理制度の充実が求められています。

 金融分野における裁判外紛争処理制度の改善については、2000年6月の金融審議会答申において、早期に実現すべき項目として
(1)個別紛争処理における機関間連携の強化
(2)苦情・紛争処理の透明化
(3)苦情・紛争処理事案のフォローアップ体制の充実
(4)苦情・紛争処理実績に関する積極的公表
(5)広報活動を含む消費者アクセスの改善

の5つの点が挙げられ、これらの項目の実施を担保するとともに、業態の枠を超えた情報・意見交換を行なう協議会を設置すべきとされました。

 上記金融審議会答申を踏まえ、消費者団体、各種自主規制機関、業界団体、弁護士会及び関係行政機関の自主的な参加による「金融トラブル連絡調整協議会(以下「協議会」)」が、2000年9月に設置されました。

 協議会では、2002年4月に「金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデル」(以下「モデル規則」)を策定し、「モデル規則」に基づき、各業界団体等における苦情・紛争解決支援の規則整備や運用改善のフォローアップを行うなど、金融サービス利用者保護及び利用者利便の向上のため、業界団体等による裁判外紛争処理制度の充実に向けた取組を行っています。

問い合わせ先
 ○金融庁総務企画局企画課
  電話 03―3506―6000(代)