消費者の窓

〔2〕消費者政策の具体的施策

2 選択の機会の確保

1.消費者契約の適正化等

(6) 旅行業の適正化
旅行業法

 近年の旅行需要の多様化・細分化や異業種参入による競争の激化等、旅行業界を取り巻く環境は大きく変化しており、旅行業者には、プロとしての企画力、情報収集力等を駆使してこれに柔軟かつ機敏に対応した旅行の企画・造成が求められています。
 このような状況を踏まえ、消費者である旅行者の利便の増進を図るための所要の措置を盛り込んだ「旅行業法の一部を改正する法律案」が、2004年6月2日に公布され、2005年4月1日から施行されています(平成16年法律第72号)。また、この法改正に伴い、関係法令・規則、標準旅行業約款についても改正が行われています。
 この中では、従来の主催旅行に加え、近年増加している旅行者のオーダーに基づき、旅行計画が策定されるオーダーメイド旅行を合わせた新たな旅行契約の態様として、「企画旅行契約」を設定し、旅行業者等の旅行の円滑な実施のための旅程管理責任の範囲を企画旅行全体に拡大したほか、旅程保証制度(企画旅行において重要な契約の変更があった場合にはその原因が一定の免責事由に該当する場合を除き変更補償金を支払う制度)、特別補償制度(旅行業者に責任が生ずるか否かにかかわらず、旅行者が企画旅行参加中に生命、身体または手荷物に被った一定の損害について、あらかじめ定めた額の「補償金」「見舞金」を支払う制度)についても旅行業者の責任範囲を拡充しています。また、営業保証金(弁済業務保証金)の還付対象の旅行者への限定、旅行業務取扱管理者の管理・監督責任の拡充、旅程管理主任者のスキルアップに資する旅程管理研修制度の見直し、禁止行為の拡大、さらに、広告や取引条件説明の適正化、旅行業者等の業務の適正な運営を確保するための措置など、適正で円滑な旅行の実施による旅行者保護の拡充を図るための諸規定を整備しています。
 また、個人情報保護への関心の高まる中、2005年4月の個人情報保護法の完全施行も踏まえ、旅行者の個人情報の適正な取扱いの徹底、安全で円滑な旅行の実施に向けた危機管理体制の整備を行う等、旅行者保護の充実を図る諸施策を講じています。
 さらに、旅行業界においても(社)旅行業協会を中心に、積極的な消費者保護の取組みが進められています。前述の旅行業法の改正を踏まえ、「旅行広告・取引条件説明書面作成ガイドライン」を改訂し、旅行業者の行う広告等のさらなる適正化を図っています。また、近年のインターネットを利用した旅行取引の拡大を受けて、その適正化を図るため、「個人情報取扱いガイドライン」を策定し、この基準を遵守するホームページに対して適正マーク(e-TBTマーク)を交付する(2005年6月現在85社に対して交付)等の取組みが進められています。さらに、旅行に関する苦情についても取り扱っており、2005年度の(社)日本旅行業協会における苦情・相談件数は3,834件、(社)全国旅行業協会における苦情・相談件数は297件となっています。具体的には、旅行者対応、取消料、手配にかかる条件変更などの苦情・相談の占める割合が多くなっています。

問い合わせ先
 ○国土交通省総合政策局観光事業課
  電話 03―5253―8111(代)
 ○(社)日本旅行業協会
  電話 03―3592―1271
 ○(社)全国旅行業協会
  電話 03―5401―3600

(7) 約款
普通契約約款

 消費者取引においても契約条件をあらかじめ定型的に定めた約款が広く用いられていますが、約款は事業者が作成するのが普通であることから、消費者が不利な内容の契約を強いられるおそれもあります。そこで、法律による規制、行政による指導等を通じた約款適正化のための取組がなされています。
 約款は、主として事業者が取引の相手方との契約内容をあらかじめ定型化して定めたもので、大量の取引を簡便・迅速に行うことを目的とするものです。大量反復性を特色とする今日の消費者取引を迅速に処理するため、消費者取引においても広く用いられるようになってきています。
 ところが、このような約款は、情報・交渉力の面で優位に立つ事業者が一方的に作成するのが普通であることから、事業者が自己の責任を軽減・免除したりするなど、自己に有利な内容を定めるおそれもないとはいえません。消費者には、契約内容について事実上交渉する余地はなく、契約を結ぶか否かについての選択が与えられているにすぎません。これは、取引において、消費者が実質的に契約の自由や選択の自由を制限されていることにほかなりません。そこで消費者取引に用いられる約款の適正化を図るため、次のような取組がなされています。

1)立法による約款適正化

 我が国では、主として各業種ごとの個別法令(鉄道営業法、電気事業法、保険業法等)により約款が規制されています。
 このような規制には、その内容・方法がきめ細かいものになるという利点がありますが、規制の及ぶ業種・取引形態が限定され、また、新たに法令を制定するとしても、規制が事後的になるという問題があります。そこで海外では、このような問題に対応して、欧州諸国のように、業種や取引形態を問わずに約款を包括的に規制する法令を整備している例があります。我が国においても消費者と事業者との間で締結される契約を対象として、無効とすべき不当条項を定めた消費者契約法が2001年4月から施行されています。

2)行政等による約款適正化

 我が国においては、業種所管行政庁により約款に関する指導等が行われています。その方法としては、ア法令に定められた約款の許認可権限等に基づき、適正な約款の作成等を指導するもの、イ約款を直接規制する法令はないが、当該業種に対する事業監督の一環として、適正な約款の作成等を指導するもの、があります。

3)消費者団体訴訟制度による約款適正化

 消費者団体訴訟制度を導入するための消費者契約法の一部を改正する法律が2006年5月に成立し、2007年6月7日から施行されます。消費者団体訴訟制度とは、消費者全体の利益を擁護するため、一定の消費者団体に、事業者の不当な行為(不当な契約条項の使用、不当な勧誘行為)に対する差止請求権を認める制度です。
 消費者団体訴訟制度によって、約款中の契約条項を差し止める判決がなされた場合、事業者は、その契約条項を削除したり、変更するなどの対応が求められることになります。このような消費者団体訴訟制度が運用されることによって、約款の適正化が図られていくことが期待されます。(消費者団体訴訟制度の詳しい内容については、104ページを参照)

問い合わせ先
 ○内閣府国民生活局消費者企画課
  電話 03―3581―9095
  個別業種の約款については、所管行政庁

宅配便、トランクルームサービス及び引越輸送の標準約款

 宅配便、トランクルームサービス、引越輸送などについては、行政庁が消費者の保護を図るため、事業者が使用する約款について、内容の適正さの確保などのため、約款に記載すべき事項の標準的な内容を標準約款としてあらかじめ定めて公示しています。
 宅配便、トランクルームサービス、引越輸送などの一般消費者を対象とする物流サービスが近年急速に成長しています。このような物流サービスについて従来適用されてきた標準貨物運送約款、標準倉庫寄託約款は、企業間の取引を前提として制定されたもので、生じたトラブルに対し、必ずしも消費者保護の観点から適切な解決が得られないという問題がありました。そこで、利用者の保護を図るため、これらの物流サービスについて標準約款が制定され、1985年11月から宅配便、1986年5月からトランクルームサービス、1987年3月(2001年4月に改正)から引越輸送について実施されています。これらの標準約款の実施により、事業者の責任やサービス内容の明確化が図られ、利用者はこれらの物流サービスを安心して利用できるようになりました(各々については、運賃及び料金制度も整備されております。また、トランクルームサービスについては、2001年6月に行われた倉庫業法の改正により、消費者への配慮という点で基準に適合するトランクルームを国土交通大臣が優良認定する制度が創設されたところです。)。
(注)標準約款制度とは、約款の内容の適正さの確保、約款の認可等に伴う行政手続の簡素化を図るため、行政庁が約款に記載すべき標準的内容を定めて公示し、この約款を使用する事業者については、約款の認可、届出を必要としない制度です。
 なお、それぞれの標準約款の主要な内容は次のとおりです。

1)標準宅配便運送約款

ア)荷物の運送を引き受ける時に、運送契約の重要事項を記載した送り状を荷物1個ごとに荷送人に交付する。
イ)送り状に荷物引渡予定日を記載することを原則とし、記載しない場合は、運送距離400kmまでは荷物受取日の翌々日、以後400kmごとに1日を加算した日が荷物引渡予定日となる。
ウ)荷受人が不在の場合は、荷受人あてに不在連絡票により通知したうえで、事業者はその荷物を持ち帰って保管することを原則とする。ただし、荷受人の隣人等の承諾を得て、当該隣人等に荷受人への荷物の引渡しを委託することがあり、この場合には、不在連絡票に荷物の引渡しを委託した隣人等の氏名が記載される。
エ)荷物に破損等があった場合は、発送地における荷物の価格を基準として、破損等についてはその程度に応じ、標準約款に定めた責任限度額の範囲内で賠償する(主観的価値の高い荷物の破損等についても賠償は責任限度額の範囲内とする)。

2)標準トランクルームサービス約款

ア)倉庫業者による契約解除理由を明確化し、倉庫業者の恣意による解除を排除している。
イ)火災による損害のほか(i)漏水、放水、溢水、(ii)倉庫業者又はその使用人の過失によるき損、(iii)ねずみ喰い、(iv)盗難による損害についても保険でてん補する。
ウ)倉庫業者は自らの無過失を証明しない限り、寄託物の損害について責任を負う。
エ)実損があった場合、寄託価格を限度として賠償する。

3)引越運送約款

ア)事前に無料で見積りの実施及び約款の提示をしたうえで、運賃・料金の額及びサービスの内容をわかりやすく記載した見積書を発行する。
イ)運賃・料金の請求に当たっては、利用者側の責任による場合を除き、見積り額を上回って請求しない。
ウ)キャンセル料について明確化する(利用者側の事情によるキャンセルに限り、引越の前日は見積運賃部分の約10%以内、当日は同20%以内)。
エ)滅失、き損、遅延等についての事業者の責任を明確化し、滅失、き損の場合は、直接生じた損害を賠償するとともに、遅延の場合も運賃・料金の額の合計の範囲内で賠償する。
(なお、同様の内容の標準貨物自動車利用運送(引越)約款がある。)
(宅配便・引越運送について)

問い合わせ先
 ○国土交通省自動車交通局貨物課
  (トランクルームについて)
 ○国土交通省総合政策局貨物流通施設課
  電話 03―5253―8111(代)

クリーニング業、理容業、美容業、一般飲食店営業及びめん類飲食店営業の標準営業約款(Sマーク)

 クリーニング業、理容業、美容業、一般飲食店営業及びめん類飲食店営業の標準営業約款は、これらの業種について、提供する役務の内容又は商品の品質の表示の適正化や、万一利用者に被害が生じた場合の損害賠償が確実に実施されることを目的として定められたものです。標準営業約款に従って営業を行っている業者は、(財)都道府県生活衛生営業指導センターで登録を受け、標識(Sマーク)を掲示しているので、消費者が安心して利用することができる店であることがわかります。
 クリーニング業、理容業、美容業、一般飲食店営業及びめん類飲食店営業は私たちの日常生活においてたいへん身近なものです。しかし、それを利用する私たち消費者と業者の間で、様々なトラブルが発生しているという問題があります。この原因の一つとしては、消費者の支払う代金と引換えにこれらの業者が提供するサービスについて、消費者が事前にその役務の内容又は商品の品質を正確に把握できない場合があることが考えられます。
 そこで、役務の内容又は商品の品質の表示の適正化に関する事項等を定め、利用者又は消費者に正確な情報を提供して、選択の利便を図ることを目的として、これらの業についてそれぞれ標準営業約款が制定されています。
 標準営業約款は、「生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(生衛法)(昭和32年法律第164号)」に基づき、(財)全国生活衛生営業指導センターが作成し、厚生労働大臣が認可、告示することとされており、クリーニング業については、1983年3月、理容業、美容業については、1984年10月、一般飲食店営業及びめん類飲食店営業については、2004年11月に認可され、5業種で設定されています。
 また、毎年11月を「標準営業約款普及登録促進月間」と定め、この期間を中心に(財)全国生活衛生営業指導センターがポスターを作成・配布するなどして、標準営業約款の普及のためのキャンペーンを実施しているところです。
 標準営業約款に従って営業を行おうとする業者は、各都道府県にある(財)生活衛生営業指導センターの登録を受けなくてはなりません。登録を受けた業者は、この標準営業約款を遵守するほか、店頭または店内に標識(安全:Safety、衛生:Sanitation、標準:Standardの頭文字の「S」マーク)とサービス内容の要旨を掲示するものとされています。これにより、消費者はSマークの表示がある店は標準営業約款に従った安心できるサービスを提供する店であることがわかります。
 標準営業約款の内容は以下のとおりです。

1)役務の内容又は商品の品質の適正化の表示

 役務の内容又は商品の品質の表示の適正化に関する事項について定めるとともに、サービスの提供にあたって、(財)全国生活衛生営業指導センターが定める業種毎の処理基準に従うことを義務づけています。

2)損害賠償の実施の確保

 事故により損害が生じた場合は、所定の賠償基準に基づいて賠償を行うことを定めています。また、この損害賠償が確実に実施されるよう、業者に対して専用の損害保険(クリーニング事故賠償保険、理容所事故賠償保険、美容所事故賠償保険、一般飲食店事故賠償保険、めん類飲食店事故賠償保険)に加入することを義務づけています。

3)標識等の掲示

Sマーク

4)登録

 (財)都道府県生活衛生営業指導センターが営業者の申出により登録。

問い合わせ先
 ○厚生労働省健康局生活衛生課
  電話 03―5253―1111(代)
 ○(財)全国生活衛生営業指導センター
  電話 03―5777―0341
 ○生活衛生関係営業に係る行政組織

生活衛生関係営業に係る行政組織

(8) 特定継続的役務提供
特定継続的役務提供の適正化

 特定継続的役務提供とは、エステティックサロン、外国語会話教室、学習塾、家庭教師派遣、パソコン教室及び結婚相手紹介サービスの6業種につき、一つの契約に基づき事業者が消費者に比較的長期にわたりサービスを提供し、かつその契約の目的が実現するかどうか必ずしも確実でないという特徴を踏まえ、特定商取引に関する法律において規制されている取引のことです。
 この特定継続的役務提供については、(1)実際に役務の提供を受けてみるまでその内容・質の判断が困難なこと、(2)消費者・事業者双方に、契約期間(一般に長期)中に様々な事情の変化が起こり得ること、といったその特徴から、主に中途解約をめぐるトラブルが目立っていました。
 特定商取引に関する法律により、特定継続的役務提供についての契約を結んでしまった消費者は、クーリング・オフ(契約の無条件解約)することができることが記載された書面を受け取ってから8日間はクーリング・オフすることができます。(実際にクーリング・オフした証拠を残すために、内容証明郵便で行うことをお勧めします。)クーリング・オフした場合、消費者は一切の損害賠償又は違約金の請求を受けることはありません。また、その8日間を過ぎてしまっても消費者はいつでもその契約を将来に向かって解除でき、その場合でも既に提供された役務の対価と法定の損害賠償額を足した額以上の損害賠償又は違約金の請求を受けることはありません。なお、事業者の説明に嘘があって騙されて、又は、帰りたいと言ったのに帰してもらえずに執拗に勧誘を受けて仕方なく契約を結んでしまった場合等には、消費者契約法でその契約を取り消すことも考えられます。
 クーリング・オフのやり方など、同制度の詳しい内容については、61ページを御覧下さい。
 クレジットを利用した場合の特定継続的役務提供における役務提供業者の倒産等に伴うトラブルについては、その倒産等により役務提供が不可能になった時点でクレジット会社が直ちに消費者への支払請求を停止するなどの措置を取るよう、経済産業省が指導を行っています。
 特定継続的役務提供に係る契約を結ぶ際には、消費者も以下の点に注意することが必要です。

1)広告やイメージだけで判断することなく、契約内容について十分理解した上で契約すること。
2)役務の内容や支払方法、中途解約の際の取扱い等、具体的内容について書面等により十分確認すること。
3)特に、前払い(クレジットによる立替払いを含む)により、長期間に渡る契約をする際には慎重さが必要であること。

問い合わせ先
 ○経済産業省商務情報政策局消費経済政策課
  同省商務情報政策局サービス産業課
  電話 03―3501―1511(代)
 ○厚生労働省健康局生活衛生課
  電話 03―5253―1111(代)

(9) 消費者団体訴訟制度の導入

 近年、消費者契約に関わるトラブルが増加しており、その内容は一段と多様化・複雑化しています。2001年に施行された消費者契約法は、消費者被害の個別的・事後的な救済に資するものの、同種の消費者被害の発生や拡大を防止するには限界がありました。また、消費者団体の中には、不当な行為の改善を求める活動などを自主的に行っているところもありましたが、法的な裏付けがなく、その実効性において限界がありました。このため、事業者の不当行為自体を抑止する方策として、消費者全体の利益擁護のため、一定の消費者団体に、事業者の不当な行為に対して差止めを求める権利を認める消費者団体訴訟制度の必要性が、各方面から指摘されてきました。
 一方、消費者契約法の制定時の附帯決議や、司法制度改革推進計画等においても制度導入を検討する必要性が指摘され、2004年4月に国民生活審議会消費者政策部会に消費者団体訴訟制度検討委員会が設置され、2005年6月に報告書(「消費者団体訴訟制度の在り方について」)がとりまとめられました。
 政府では、検討委員会報告を踏まえ、「消費者契約法の一部を改正する法律案」をとりまとめ、2006年3月3日に閣議決定、国会に提出され、5月31日に全会一致で成立し、6月7日に公布されました。改正消費者契約法は2007年6月7日から施行されます。

 消費者団体訴訟制度の概要は以下のとおりです。

1)差止請求権

ア)適格消費者団体は、事業者等が不特定かつ多数の消費者に対して、消費者契約法第4条第1項~第3項に規定する不当な勧誘行為又は同法第8条から第10条までに規定する不当な契約条項を含む契約の締結の意思表示を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該行為の差止請求をすることができる。
イ)差止請求は、当該適格消費者団体若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該事業者等に損害を加えることを目的とする場合には、することができない。
ウ)差止請求は、他の適格消費者団体による差止請求に係る訴訟等につき既に確定判決等(確定判決及び確定判決と同一の効力を有するものをいう。)が存する場合において、原則として請求内容及び相手方である事業者等が同一である場合には、することができない。

2)適格消費者団体

ア)適格消費者団体の認定等

a)適格消費者団体の認定
 差止請求関係業務を行おうとする者は、内閣総理大臣の認定を受けなければならない。
b)認定の要件
 内閣総理大臣は、申請をした者が次に掲げる要件のすべてに適合しているときに限り、その認定をすることができる。

・ 特定非営利活動法人又は民法第三十四条に規定する法人であること。
・ 不特定かつ多数の消費者の利益擁護を図るための活動を行うことを主たる目的とし、現にその活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。
・ 差止請求関係業務の実施に係る組織、業務の実施の方法、業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法その他の差止請求関係業務を適正に遂行するための体制及び業務規程が適切に整備されていること。
・ 差止請求関係業務の執行決定機関として理事会が置かれ、決定方法が適正であること。
・ 理事に占める特定の事業者の関係者又は同一業種の関係者の割合が、それぞれ3分の1又は2分の1を超えていないこと。
・ 差止請求に係る検討部門において、専門委員(消費生活に関する専門家、法律に関する専門家)が助言し意見を述べる体制が整備されていること。
・ 差止請求関係業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。
・ 差止請求関係業務以外の業務を行う場合には、差止請求関係業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。

c)業務規程

・ 業務規程には、差止請求関係業務の実施方法、情報管理及び秘密保持の方法等が定められていなければならない。

d)欠格事由

・ 暴力団員等がその事業活動を支配する法人、暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある法人
・政治団体(政治資金規正法第3条第1項に規定する政治団体) 等

e)認定の申請、申請に関する公告・縦覧等

・ 適格消費者団体の認定を受けようとする者は、名称及び住所、法人の社員数等所定の事項を記載した申請書等を、内閣総理大臣に提出しなければならない。
・ 内閣総理大臣は申請書類等を公告・縦覧に供するとともに、必要に応じ警察庁長官の意見を聴取。

f)認定の有効期間等

 認定の有効期間は、当該認定の日から起算して三年とする。

イ)差止請求関係業務等

a)差止請求権の行使等

・ 適格消費者団体は、不特定かつ多数の消費者の利益のために、差止請求権を適切に行使しなければならず、それを濫用してはならない。
・ 適格消費者団体は、事案の性質に応じて他の適格消費者団体と共同して差止請求権を行使するほか、差止請求関係業務について相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。
・ 適格消費者団体は差止請求に関する所定の手続に係る行為について、電磁的方法等により、他の適格消費者団体に通知し、内閣総理大臣に報告しなければならない。

b)財産上の利益の受領の禁止等

 適格消費者団体は、訴訟費用、間接強制金等を除き、差止請求に係る相手方から、その差止請求権の行使に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を受けてはならない。

ウ)監督

a)財務諸表等の作成、備置き、閲覧等・提出等

・ 適格消費者団体の事務所には、財務諸表等、寄附金に関する事項等を記載した書類等、所定の書類を備え置かなければならない。
・ 適格消費者団体は、毎事業年度、その業務がこの法律の規定に従い適正に遂行されているかどうかについて、必要な学識経験を有する者の調査を受けなければならない。

b)報告・立入検査、適合命令・改善命令
c)認定の取消し等

 内閣総理大臣は、適格消費者団体について、次のいずれかに掲げる事由があるときは、認定を取り消すことができる。
・ 認定要件のいずれかに適合しなくなったとき
・ 欠格事由のいずれかに該当するに至ったとき 等

エ)補則

a)規律

・ 適格消費者団体は、これを政党又は政治的目的のために利用してはならない。

b)判決等に関する情報の公表

・ 内閣総理大臣は、インターネットの利用等により、速やかに、判決、裁判外の和解の概要等を公表する。このほか、内閣総理大臣は、差止請求関係業務に関する情報を広く国民に提供する。

c)適格消費者団体への協力等

・ 国民生活センター及び地方公共団体は、適格消費者団体の求めに応じ、必要な限度において、消費生活相談に関する情報を提供することができる。

3)訴訟手続等の特例

ア)書面による事前の請求

 適格消費者団体は、被告となるべき事業者等に対し、あらかじめ、請求の要旨及び紛争の要点等を記載した書面により差止請求をし、その到達時から一週間経過後でなければ、差止めの訴えを提起することができない(事業者等がその差止請求を拒んだときは、この限りでない。)。

イ)管轄

・ 被告事業者の本店所在地等
・ 実体を伴う営業所等所在地(民事訴訟法第5条第5号)
・ 第12条第1項から第4項までに規定する事業者等の行為があった地

ウ)移送

 裁判所は、他の裁判所に同一又は同種の行為の差止請求に係る訴訟が係属している場合には、当事者の所在地、証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して、相当と認めるときは、当該他の裁判所又は他の管轄裁判所に移送することができる。

エ)弁論等の併合

 請求内容及び相手方事業者等が同一である差止請求に係る訴訟が同一の裁判所に数個同時に係属するときは、その弁論及び裁判は、併合してしなければならない。ただし、著しく不相当であると認めるときは、この限りでない。

問い合わせ先
 ○内閣府国民生活局消費者団体訴訟制度準備室
  電話 03―3581―9356