消費者の窓

〔2〕消費者政策の具体的施策

2 選択の機会の確保

1.消費者契約の適正化等

(4) 金融、保険、証券取引、商品取引等の適正化
預金保険制度
1)預金保険制度の役割と運営主体

 預金保険制度とは、万が一金融機関が破たんした場合などに、預金者等(以下「預金者」という。)を保護し、信用秩序の維持に資することを目的とする制度です。
 我が国の預金保険制度は、「預金保険法」(1971年制定)により定められており、政府・日銀・民間金融機関の出資により設立された預金保険機構が制度の運営主体となっています。

2)預金保険制度の対象金融機関

 預金保険制度の対象となる金融機関は、日本国内に本店のある次の金融機関です。これら金融機関は、法律により預金保険制度への加入が義務付けられておりますので、これら金融機関に預金等(預金保険制度の対象預金)を預入れるだけで、預金者、金融機関及び預金保険機構の間で保険関係が成立することとなります。このため、預金者は、預金保険制度について特に手続きを行う必要はありません。
銀行(日本国内に本店のあるもの)、信用金庫、信用組合、労働金庫、信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会

預金保険制度の対象金融機関

(3) 預金保険制度の対象となる預金等と保護の範囲
3)預金保護の姿(2005年4月から)

預金保護の姿(2005年4月から)

4)金融機関が破たんしたら

 金融機関の破たん処理の方法には、保護される預金を預金保険機構が各預金者等に直接支払う方式(保険金支払方式(ペイオフ))と、他の健全な金融機関に保護される預金を含む事業の全部や一部を移管して資金援助を行う方式(資金援助方式)の2つの方法があります。どちらの方式でも、預金保険制度により保護される預金等の範囲は同じですが、保険金支払方式は、破たん金融機関の金融機能が停止し清算されるのに対して、資金援助方式は、破たん金融機関の一定の金融機能は救済金融機関に移管され維持されます。
 金融機関が破たんした場合でも、預金者の利便性を確保するため、(1)保護される範囲内の預金等の迅速な払戻し(注1)、(2)保険金や預金等の支払いにかなりの日数を要すると見込まれるようなときには、預金者の当面の生活資金等に充てるための仮払金の支払い(普通預金1口座当たり60万円を限度)、(3)元本1,000万円を超える部分とその利息及び外貨預金についても、預金保険機構が概算額で預金を買取り預金者に支払う(注2)などの制度があります。詳細については、預金保険機構等へお問い合わせください。

(注1)預金を迅速に払い戻すには、1預金者が破たん金融機関に預け入れている合計額を計算する必要があります。破たん金融機関に同一の預金者が複数の預金等の口座を有している場合、それらを合算して、預金保険で保護される預金等の総額(付保預金額といいます。)を算定します。これを「名寄せ」といいます。この名寄せのために、各口座ごとに預金者のデータ(氏名、生年月日、住所(法人の場合は、名称、設立年月日、所在地)、電話番号等)が必要です。このため、預金者の皆様は引越しや結婚等によりこれらの事項に変更が生じた場合、速やかに各金融機関での手続きをお願いいたします。

(注2)破たん金融機関の財産の状況に応じて清算による配当として支払われることになりますが、通常、配当までには時間がかかることから、その部分を預金保険機構が概算払率(破産手続により弁済可能と見込まれる額等を考慮して決定した率)を掛けた金額で買取ることにより、預金者に迅速に概算払額の支払いを行います。

問い合わせ先
 ○預金保険機構
  電話 03―3212―6029
 ○各財務局の金融監督課
 ○金融庁総務企画局企画課信用機構企画室
  電話 03―3506―6000(代)

金融商品の販売等に関する法律

 金融サービスの利用者保護を図るため、金融商品販売業者等の顧客に対する説明義務を明確化し、説明義務違反に対する損害の賠償責任を民法の特例として定める等の措置を講じている法律です。2006年6月に改正され(2007年夏頃施行予定)、説明義務の拡充、断定的判断の提供等の禁止規定の新設、対象商品・取引等の範囲の拡大など、金融サービスの利用者保護がより一層拡充されました。

【対象となる金融サービスの範囲】

 金融商品については、預貯金、信託、保険、有価証券等を幅広く対象とし、今後登場する新しい商品については政令で追加することができる。(第2条第1項関係)

【金融商品販売業者等の説明義務の明確化及び説明義務違反に対する損害賠償責任等】
1)金融商品販売業者等の説明義務の明確化

(ア)金融商品販売業者等に対し、次のような金融商品の有するリスク等に係る重要事項の説明を義務付ける。(第3条第1項関係)

(a)元本欠損や当初元本を上回る損失が生ずるおそれがある旨、及びこれらを生ずる要因に関する次の事項(1~6号)

(i)金融商品の価値の変動要因

・ 金利、通貨の価格、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を要因とするときはその指標
・ 金融商品販売業者等の業務又は財産の状況の変化を要因とするときは、主体である金融商品販売業者等
・ その他政令で定める事由を要因とするときはその事由

(ii)金融商品の取引の仕組みのうちの重要な部分

(b)権利行使期間の制限又は解約期間の制限(7号)

(イ)金融商品についての説明の際には、以下の顧客の属性に照らして、顧客に理解されるために必要な方法及び程度でなければならない。(第3条第2項関係)

・ 顧客の知識、経験
・ 顧客の財産の状況
・ 顧客の金融商品の販売に係る契約の締結の目的

(ウ)顧客が、金融商品販売業者等である場合や、顧客が説明を要しない旨の意思の表明をした場合等には、説明は不要。(第3条第7項関係)

2)断定的判断の提供等の禁止

 金融商品販売業者等は、顧客に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤認されるおそれのあることを告げる行為を行ってはならない。(第4条関係)

3)説明義務違反・断定的判断の提供等に対する損害賠償責任

 金融商品販売業者等が顧客に重要事項を説明しなかったとき、又は断定的判断の提供を行ったときは、損害賠償責任を負うものとし、元本欠損額をその損害額と推定する。(第5条、第6条関係)

 (注1)金融商品販売法によらなければ、通常は不法行為による損害賠償責任(民法709条)をめぐって争われることとなるが、業者の説明義務違反と損害の因果関係や損害額等について原告が立証責任を負っており、顧客の負担は大きくなる。
 (参考)民法709条(不法行為による損害賠償責任)

 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 (注2)本法によって、説明義務等を法定し、原告(顧客)の因果関係の立証責任を転換することにより、原告の立証責任の軽減が図られることとなる。なお、原告は、民法709条による損害賠償請求を行うことも可能。

【金融商品販売業者等の勧誘の適正の確保】

1)金融商品販売業者等は、勧誘の適正の確保に努めなければならない旨規定。(第8条関係)
2)金融商品販売業者等は、次の事項を含む勧誘方針を策定・公表しなければならない。(第9条関係)

ア)勧誘の対象となる者の知識、経験、財産の状況及び当該金融商品の販売に係る契約を締結する目的に照らして配慮すべき事項(第2項第1号)
イ)勧誘の方法及び時間帯に関し勧誘の対象となる者に配慮すべき事項(第2項第2号)
ウ)その他勧誘の適正の確保に関する事項(第2項第3号)

3)上記2)に違反した金融商品販売業者等は、過料に処する。(第10条関係)

問い合わせ先
 ○金融庁総務企画局企画課
  電話 03―3506―6000(代)

前払式証票

 前払式証票は、商品券、ギフト券、クーポン券、プリペイドカードなど、様々な名称のものが存在し、広く普及しています。前払式証票については、発行者の業務の適正な運営を確保することにより、所有者(購入者等)の利益を保護するとともに、前払式証票に係る信用の維持に資することを目的に法律が整備されています。

1)法律の規制を受ける前払式証票

 次の要件を満たす前払式証票(商品券等)の発行については、法律の規制を受けます。

(ア)金額又は物品・サービスの数量(個数、本数、度数等)が、証票に記載又は電磁的な方法で記録されていること。
(イ)証票に記載又は電磁的な方法で記録された金額又は物品・サービスの数量に応ずる対価が、支払われること。
(ウ)証票が、発行されること。
(エ)商品を購入する場合、サービスの提供を受ける場合等に、証票が、提示、交付その他の方法により使用されること。
(注)ただし、上記の要件を満たす場合であっても、一定の場合には、法律の規制を受けないものがあります。

2)前払式証票の発行者(財務局等への登録・届出等)

(ア)事後届出が必要な場合(自家型発行者)

 自社の店舗においてのみ使用することができる証票を発行している場合であって(自家型発行者)、3月末又は9月末において、その証票の未使用残高(=証票の総発行額-総回収額)が700万円を超えたときは、財務局等への届出が必要となります。

(イ)事前登録が必要な場合(第三者型発行者)

 自社以外の第三者の店舗(加盟店、フランチャイズ店等)においても使用することができる証票を発行しようとするときは、事前に財務局等の登録を受ける必要があります(第三者型発行者)。

3)主な規制の内容

 登録・届出をした前払式証票の発行者には、主に、次のような規制がかかります。

ア)表示事項

証票に以下の事項を表示

(a)発行者の氏名、商号又は名称
(b)発行者の本店所在地の住所等
(c)証票の金額又は物品・サービスの数量(個数、本数、度数等)
(d)使用期間又は使用期限が設けられている場合は、その期間又は期限、等

イ)発行保証金の供託等

 3月末又は9月末において、発行した前払式証票の未使用残高が1,000万円を超えたときは、その未使用残高の2分の1以上の額に相当する額を供託する必要があります(発行保証金)。
 ただし、金融機関等との間で、一定の要件を満たす契約を締結したときは、当該契約が有効である間、供託しないことができます(保全契約)。

4)発行保証金の還付(前払式証票が使えなくなったとき)

 前払式証票の所有者は、発行者の破綻等により、手持ちの前払式証票が使えなくなったときは、発行者が供託した発行保証金を原資として、額面金額の一部について払戻しを受けることができる場合があります。

問い合わせ先
 ○金融庁総務企画局企画課調査室、監督局総務課金融会社室
  電話 03―3506―6000(代)
 ○各財務局等の前払式証票担当課
 ○(社)前払式証票発行協会
  電話 03―3219―0601(代)

保険業法

 経済社会情報の変化を踏まえ、金融資本市場の構造改革を促進し、保険契約者等の保護の一層の充実を図るため、(1)根拠法のない共済への対応、(2)保険契約者保護制度の見直し等、所要の措置を講ずるため、保険業法等の一部を改正しました。(2006年4月1日施行)
 保険業法改正の概要は以下のとおりです。

1)根拠法のない共済への対応

 近年、我が国において急増している任意団体等で共済事業(特定の者を相手方として保険の引受けを行う事業)を行う、いわゆる根拠法のない共済について、契約者保護等の観点から所要の措置を講ずることとしました。
 具体的には、1)保険業法上の「保険業」の範囲を見直し、いわゆる根拠法のない共済についても、原則として保険業法の規制対象とすること、2)一定の事業規模の範囲内という条件の下で、少額短期の保険のみを提供する事業者について登録制にする等の新たな規制の枠組み(「少額短期保険業制度」)を創設すること、等をその内容としています。

2)保険契約者保護制度の見直し

 保険契約者保護制度は、保険会社が破綻した際に、保険契約者の保護を図るため、保険契約者保護機構から資金援助等を行うことにより、保険契約を存続させつつ、責任準備金(将来の保険金支払いのための積立て)の一定割合を補償する制度となっています。
 今回の保険契約者保護制度の見直しは、主として以下の2点に係るものです。
 ア)これまでの制度においては、原則として、生保・損保とも契約の存続を前提として責任準備金の90%を一律に補償することとなっていましたが、自動車保険等について他の保険会社への乗換え(解約)を認めつつ破綻後3ヶ月以内の保険金支払は100%補償とするなど、保険契約の特性に応じた補償の内容・方式の見直しを行うこととしました。
 イ)2005年度(2006年3月)までの時限措置となっていた生命保険契約者保護制度の財源措置について、2006年度以降、原則として生命保険契約者保護機構の借入限度額(4,600億円)の範囲内で業界の負担金により賄う仕組みとした上で、借入限度額を超える資金が必要となる場合には政府の補助を可能とする規定を、2006年~2008年度の3年間に限り措置することとしました。

問い合わせ先
 ○金融庁総務企画局企画課保険企画室
  電話 03―3506―6000(代)

金融商品取引法制
1)背景

 資産運用ニーズが多様化する中、利用者保護の拡充を通じて利用者が安心して投資できる環境を整備するとともに、規制の柔軟化を進めて金融イノベーションを促進し、各ニーズに応じた金融商品・サービスの提供を可能とすることが重要な課題です。
 これまでも、金融商品・サービスに関し、利用者保護の充実などを図るための法改正が随時行われてきましたが、なお、既存の利用者保護法制の隙間をついた詐欺的な販売事例が見られます。
 このような状況を踏まえ、2006年6月、現行の縦割り業法を見直し、幅広い金融商品を対象とした新たな利用者保護ルールを整備する「金融商品取引法制」が成立しました。(2007年夏頃に本格施行の予定です。)
 その具体的な内容は、(1)投資性の強い金融商品を幅広く対象とする横断的な利用者保護法制(いわゆる投資サービス法制)の構築、(2)開示制度の拡充、(3)取引所の自主規制機能の適正な運営の確保、(4)不公正取引などへの厳正な対応の4つの柱からなります。ここでは(1)について簡単に説明しますが、この他にも様々な改正を行っていますので、金融庁のホームページ(http://www.fsa.go.jp/)や、各財務局・財務事務所において配布しているパンフレット「新しい金融商品取引法制について」などもご参照ください。

2)投資性の強い金融商品を幅広く対象とする横断的な利用者保護法制(いわゆる投資サービス法制)の構築

ア)「証券取引法」から「金融商品取引法」へ

 今回の法整備では、金融先物取引法や投資顧問業法等を廃止するとともに、全89法律を改正し、その一部を「証券取引法」に統合します。これにより証券取引法は、従来よりも幅広い金融商品を対象とする法律となることから、その題名を「金融商品取引法」へと改めます。

イ)規制対象商品の拡大・規制対象業務の横断化

 金融商品取引法ではいわゆるファンドの持分を包括的に有価証券とみなすなど、規制対象商品である「有価証券」の範囲を拡大します。
 また、規制対象となる「デリバティブ取引」の範囲を、証券取引法の対象となっていた取引に加えて、金融先物取引法の対象となっていた取引(外国為替証拠金取引など)や、現在規制対象となっていない新しいデリバティブ取引に拡大します。
 さらに、規制対象業務についても、「証券業」のほか、幅広い業務を「金融商品取引業」として、原則登録制により横断的に規制することとします。

ウ)業者が遵守すべき行為規制の整備

 金融商品の販売・勧誘を行う際に業者が遵守すべき事項として、広告の規制、書面交付義務、各種禁止行為等を定めています。

エ)投資性の強い預金・保険などに関する規制の横断化

 銀行法や保険業法などにおいて、投資性の強い預金・保険などの販売・勧誘業務については、「金融商品取引法」と基本的に同等の利用者保護規制が適用されるよう、規定を整備しています。

オ)利用者保護のためのその他の制度整備

 幅広い金融商品の販売に関する損害賠償請求をしやすくするための法律である金融商品販売法を拡充するほか、金融商品取引業を行う者に関する苦情解決・あっせん業務を行う民間団体からの自発的な申請に基づき、行政が認定を行う「認定投資者保護団体制度」を創設します。

問い合わせ先
 ○金融庁総務企画局市場課
  電話 03―3506―6000(代)
 ○金融庁総務企画局企業開示課
  電話 03―3506―6000(代)

抵当証券取引

 抵当証券は、抵当証券法に基づき発行される貸付債権とそれを担保する不動産の抵当権とを一体のものとして一枚の券面にあらわした有価証券の一種です。この取引については、一部の悪質業者により多数の購入者に被害が発生するという事態が発生し、これを規制するための法律が整備されています。
 1980年代後半以降抵当証券会社が次々に設立されましたが、一方で、悪質な抵当証券業者が出現し、多数の購入者に被害が発生しました。このような事件を一つの契機として、「抵当証券業の規制等に関する法律」が1988年11月から施行されました。同法は、抵当証券の購入者の保護を図ることを目的とし、1)抵当証券業を営もうとする者に対し内閣総理大臣(財務局長)の登録を義務付ける、2)登録を受けた抵当証券業者に対して、広告規制、契約締結時の一定の書面交付等の行為規制を課す、3)販売した抵当証券を購入者に引き渡さない場合は当該抵当証券の自社保管を禁止し、内閣総理大臣が指定した抵当証券保管機構がこれを保管することなどを規定しています。また、抵当証券業者に対して、帳簿書類の作成・保存、事業報告書の提出を義務付ける他、立入り検査、業務改善命令及び登録の取消等の規定を設け、行政当局による迅速な対応を可能としています。
 抵当証券の保管については、(財)抵当証券保管機構が内閣総理大臣の指定を受けてその業務を行っています。(財)抵当証券保管機構は、抵当証券の保管のほか、その保管に係る抵当証券に記載された債権の元本及び利息の弁済の受領に関すること、抵当証券に関する取引の健全な発展を図るための調査及び研究等の事業を行っています。
 なお、2006年6月に投資者保護のための横断的法制を整備し、利用者保護ルールの徹底と利用者利便の向上などを図るため、証券取引法等の改正が行われました。改正後の証券取引法(金融商品取引法)が施行されると抵当証券業の規制等に関する法律は廃止され、抵当証券業者は金融商品取引法の規制を受けることになります。このため、抵当証券業者が支払保証を付して抵当証券を新規に販売することはできなくなりますが、既に発行されている抵当証券は抵当証券業の規制等に関する法律廃止後6年間に限り支払保証を付して販売することができます。

問い合わせ先
 ○金融庁総務企画局企画課信用制度参事官室、監督局総務課金融会社室
  電話 03―3506―6000(代)
 ○各財務局の抵当証券業担当課
 ○(財)抵当証券保管機構
  電話 03―3639―1331

商品先物取引

 商品先物取引は、少額な資金でその何倍もの取引ができるハイリスク・ハイリターンな取引であり、その取引に参加するに当たっては、十分な知識・経験が必要であり、商品先物取引の内容・リスク等を十分に理解することが必要です。
 商品先物取引による損益については、投資家(商品先物取引では「委託者」といいます。)に帰属することとなりますので、委託者の責任において、主体的な判断の下、取引を行うことが大前提となります。
 また、この取引は商品取引員(商品先物取引を仲介する業者)を介して行いますが、その方法として、(1)商品取引員の外務員(営業員)との対面取引、(2)インターネットによる取引があります。
 なお、国内商品市場における商品先物取引については、以下のとおり、「商品取引所法」により、委託者保護のためのルールが設けられています。

1)委託者資産の保全制度

 商品先物取引に参加するには、取引の担保である「取引証拠金」を預託する必要がありますが、この「取引証拠金」については、商品取引員を介して、商品先物取引の決済を一元的に行う(株)日本商品取引清算機構に全額直接預託され、厳重に管理されることとなります(商品取引員が投資家から預かった証拠金をそれ以上の金銭等に差し換えて清算機構に預託する場合もあります)。
 また、この「取引証拠金」以外に商品取引員に預ける資産については、法令上、商品取引員において分離して厳重に保管する義務があります。
 さらに、商品取引員が万一破綻等した場合に備え、日本委託者保護基金において、1,000万円以内でのペイオフ(代位弁済)等を行う「委託者保護基金制度」を整備しています。

2)事前の説明・書面交付

 委託契約を締結する前に、商品取引員には、商品先物取引の仕組み・リスクを説明するとともに、委託者に対して書面の交付が義務付けられています。具体的な法定交付書面として、委託取引における普通取引約款(定型化された契約条項)である「受託契約準則」や、それを含めて委託者が知っておくべきことを解説した「商品先物取引委託のガイド」などです。
 取引を開始する前には、まず、「商品先物取引委託のガイド」を熟読し、理解することが重要です。

3)商品取引員における禁止行為

 委託者保護のために、商品取引員の不当な勧誘等の行為は商品取引所法で禁止されています。具体的には、例えば、次のような行為が禁止されています。

ア)不当な勧誘

a)利益が確実であると誤認させるような断定的判断を提供して勧誘すること、
b)損失補填の約束又は利益保証、特別利益の提供を約して勧誘すること、
c)委託をしない旨の意思表示をした顧客に対してさらに勧誘すること、
d)迷惑な時間・方法による勧誘を行うこと、
e)勧誘に先立って、取引員の商号、商品市場における取引の勧誘である旨を告げずに、勧誘すること、
f)勧誘に先立って、商品市場における取引の勧誘を受ける意思の有無を確認せずに、勧誘すること、
g)取引単位を告げないで勧誘すること
h)両建て(同一物品について対当する建玉(売り注文と買い注文))を勧めること等

イ)のみ行為

 商品取引員が、受けた委託について、取引所における商品市場につながずに、自己がその相手方となって取引を成立させること

ウ)一任勘定取引

 一定の事項(取引の数量、対価の額、上場商品/取引の種類等)について、顧客の指示を受けないで委託を受けること

エ)フロントランニング

 顧客から相場変動をもたらすような大量の注文を受けた場合に、予想される相場変動を利用して利益を得るため、その委託に係る注文を執行する前に自己のために取引を行うこと

オ)返還遅延

 預かり金の返還を不当に遅延すること

カ)委託者の利益を害する向かい玉

 受託玉と対当させた自己取引を行い、委託者の利益を害することとなる取引を行うこと

キ)無断売買

 委託者の指示を受けないで委託者のために取引を執行すること

ク)仕切拒否

 委託者が建玉を決済しようとするのを拒否すること

ケ)虚偽の表示

 商品市場における取引の委託について、虚偽の表示をし、又は重要な事項について誤解を招く表示をすること

4)適合性原則等

 商品取引員は、顧客に対して誠実かつ公正に業務を遂行するとともに(誠実公正原則)、顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を行ってはならない(適合性原則)こととなっています。

参考 委託者保護ガイドライン

 主務省(農林水産省、経済産業省)では、商品取引所法における勧誘行為の規制や適合性原則について(上記(3)及び(4)に対応)の解釈指針を示すことにより、商品取引員の受託業務の適正化を通じた委託者の保護を図ることを目的として、「商品先物取引の委託者の保護に関するガイドライン」を制定・実施しています。

5)苦情・相談窓口

 委託者保護を目的として、商品取引所法に基づく商品取引員による自主規制組織である「日本商品先物取引協会」(以下、「日商協」といいます。)があります。
 日商協では、委託者等からの苦情の解決を図るとともに、商品取引員と顧客の間に生じた紛争について、あっせん・調停を行っております。なお、このあっせん・調停手続きは、無償で行われ、調停案について、委託者が受諾した場合は、商品取引員も受諾しなければならない等、委託者に有利な片務的な制度となっています。
 また、日商協では、商品取引員の受託や取次ぎの業務に関して自主規制ルールを定め、会員の業務の状況を監視するとともに、法令、自主規制ルールに違反する商品取引員に対して、指導、勧告又は制裁を行います。

参考 海外商品市場における先物取引

 海外商品市場における先物取引については、悪質業者の行為の規制を目的とした「海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律」に基づき、顧客への書面の交付の義務付けなどの規制が行われています。
 同法は、(1)業者に対して、海外先物取引の勧誘時に、顧客に取引内容等を説明する書面を交付すべきことを義務付け、また、契約締結時、顧客からの売買注文時、保証金受領時、海外先物取引成立時の各々の段階においてその内容を明らかにする書面の交付を義務付けているほか、(2)違法あるいは不当な勧誘・受託行為の禁止、(3)海外商品取引業者は、海外先物契約を締結した日から14日を経過した日以後でなければ顧客の注文を受けてはならない(ただし、顧客が業者事業所において注文を行う場合はこの限りではない)、(4)顧客が価格を特定しないで売付け又は買付けの注文をした場合、業者が真に成立した売買取引の価格について立証しないかぎり、顧客に有利な一定の価格で売買取引が成立したものと推定する、等の規定から成っています。なお、同法の規定の適用を受ける海外商品市場については、政令で指定する方式を採っており、現在(2007年2月末)までに9地域、24商品に係る39市場が指定されています。

問い合わせ先
 ○農林水産省
  総合食料局商品取引監理官
  電話 03―3502―8111(代)
 ○経済産業省
  ・商務情報政策局消費者相談室
   電話 03―3501―4657
   及び各地方経済産業局の消費者相談室
  ・商務情報政策局商務課
   電話 03―3501―1511(代)
 ○日本商品先物取引協会
   電話 03―3664―4731(代表)
   電話 03―3664―6243(相談センター)