消費者の窓

〔2〕消費者政策の具体的施策

2 選択の機会の確保

1.消費者契約の適正化等

(3) 消費者信用取引の適正化
消費者信用のしくみ

 消費者信用とは消費者に供与された信用のことであり、販売信用と消費者金融からなっており、今や消費生活に不可欠なサービスになっています。
 他方、多重債務も問題となっています。詳しくは、「消費者信用の健全化」で述べていますが、行政が事業者に対して適正な与信を行うよう指導するとともに消費者も自己管理をしっかりと行い、適切に消費者信用を利用する必要があります。
 消費者が商品やサービス、金銭等の取引を行う場合、その代金決済は現金によりその場で行われるのが一般的ですが、消費者信用によって、その代金決済より先に商品やサービスを入手したり、金銭の借入れができるようになります。これは、消費者が「自分自身への信用」を担保として、現金支払いを将来行うよう約束させるものです。
 消費者信用は、大きく販売信用と消費者金融とに分けられます。(社)日本クレジット産業協会「日本の消費者信用統計平成18年版」によると、2004年の販売信用新規供与額合計は401,945億円であり、前年比で6.0%の増加、消費者金融新規供与額は339,472億円であり、前年度比3.2%の減少となっています(表1、表1-2、表2参照。)。
 また、クレジットカードについてみると、様々なカード会社から様々な種類のカードが発行されています。(社)日本クレジット産業協会の調査によると、2005年3月末のクレジットカード発行総数は27,338万枚となっています。
 発行枚数の構成比を系列別に見ると、銀行系が37.5%、流通系(百貨店、量販店、流通系クレジット会社の自社カード分)が28.8%、信販系が24.8%、メーカー系(電気メーカー系、自動車メーカー系)が4.1%、中小小売商団体が1.9%とつづいています。
 消費者信用の成長に伴い、消費者信用返済負担率(消費者信用供与返済額/家計可処分所得)も高まってきています(表3参照)。消費者信用返済負担率は、2004年では家計可処分所得の26.2%を占めています。

問い合わせ先
 ○金融庁総務企画局企画課信用制度参事官室、監督局金融会社室
  電話 03―3506―6000(代)
 ○経済産業省商務情報政策局取引信用課
  電話 03―3501―1511(代)

消費者信用統計総括表 表1

消費者信用統計総括表 表1-2

新規信用供与額総括時系列系列表(推計)と 新規信用供与額(推計)の推移

消費者信用返済負担率及び貯蓄率の推移

販売信用

 販売信用とは消費者信用の一つであり、財貨やサービスを購入した場合、先に財貨やサービスを受け取り、代金の支払いを一定期間繰り延べることができるためのものです。
 消費者は日常生活を営む上で、様々な商品を購入したり、飲食、宿泊といったサービスの提供を受けたりしていますが、その場合、商品の購入またはサービスを受けた時点で代金を支払うのではなく、後日一括または分割の方法により支払うことを販売信用といいます。
 返済の方法により販売信用は割賦方式と非割賦方式に分かれ、更に割賦方式についてはローン提携販売(注1)、割賦購入あっせん(注2)等に細分されています。また、販売信用の利用にあたっては、予め消費者がクレジットカードの申し込みを行い、財貨やサービスを購入する都度クレジットカードを提示し伝票にサインすることで利用できるカード方式と、購入の都度契約書を取り交わし消費者の信用審査を行う個品方式があります。
 割賦方式による信用取引は主として割賦販売法の適用を受けます。割賦販売法の概要は以下のとおりです。

1)目的

 割賦販売等に係る取引を公正にし、その健全な発展を図ることにより、購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通及び役務の提供を円滑にし、もって国民経済の発展に寄与する。

2)運用範囲

 割賦販売法の運用範囲は、大きく分類して、ア消費者に与信を行う取引(クレジット取引)とイ消費者から金銭を預かる取引(冠婚葬祭互助会、友の会等)に分けられます。以下アについて述べます。

3)規定の内容

ア 消費者に与信を行う取引(クレジット取引)に関する規定
 クレジットの利用に伴う消費者トラブルの防止等の観点から、以下の規定を置いています。
(ア)事業者に対する監督規定
(イ)取引ルールに関する規定

 a. 割賦販売等の表示義務
 b. 契約書面の交付義務
 c. クーリング・オフ
 訪問販売により指定商品の割賦販売等の契約を締結する場合には、消費者は、契約の申し込み又は契約締結後8日以内は無条件で申込みの撤回又は契約の解除が可能。
 d. (業者による)契約の解除等の制限
 e. 契約を解除した場合の損害賠償等の額の制限
 f. 割賦購入あっせん業者に対する抗弁
 割賦購入あっせんにおいて、消費者は販売業者に対して主張しうる事由(購入した商品に欠陥があった場合等)をもって割賦購入あっせん業者に対する支払いを拒絶することができる。

(注1)ローン提携販売
 消費者が商品又はサービスを購入する際に金融機関から金銭を借入れ、消費者が代金を銀行機関に対し分割で返済することを条件に、販売業者が消費者の代金を保証する方式。
(注2)割賦購入あっせん
 消費者が商品又はサービスを購入する際、カードを提供し又は販売業者がクレジット会社をあっせんし、クレジット会社は消費者の代わりに販売業者に代金を支払い、消費者は代金をクレジット会社に対し分割で返済する方式。

問い合わせ先
 ○経済産業省商務情報政策局取引信用課
  電話 03―3501―1511(代)

消費者金融

 販売信用が商品やサービスを対象とした信用の供与であるのに対し、消費者金融は金銭を直接消費者に貸し付けることを対象にした信用の供与です。
 いわゆるサラ金問題が深刻な社会問題にまで発展したことを契機に、消費者の保護を図るため、1983年4月に「貸金業の規制等に関する法律」の成立、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」の改正が行われ、いずれも同年11月から施行されました。
 また、深刻さを増している多重債務問題の解決のために、2006年12月に「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」が可決・成立し、12月20日に公布されました。
 本改正法は、多重債務問題を抜本的に解決するため、貸金業の適正化、過剰貸付けの抑制、金利体系の適正化等について、所要の制度整備を行うものです。主なポイントは以下のとおりです。

1)貸金業の適正化

 貸金業者に対する参入規制・行為規制の強化を行い、貸金業者の財務基盤の要件を厳格化し、貸金業者に求められる純資産額を、これまで個人が300万円、法人が500万円だったものを、上限金利引下げ時に5,000万円以上に引き上げます。また、参入規制の適正化や自主規制強化による業界のレベルアップを促すこととします。

2)過剰貸付けの抑制

 指定信用情報機関制度を創設し、借り手ごとに、指定信用情報機関において借入総額を把握して、過剰貸付けを禁止する仕組みを導入します。また、年収の3分の1を超える貸付けを原則禁止するなど、債務者の返済能力を超える貸付けを禁止し厳格な総量規制を導入することとします。

3)金利体系の適正化

 「みなし弁済」制度を廃止するとともに、出資法の上限金利を20%に引き下げることとします。さらに、日賦貸金業者及び電話担保金融の金利の特例を廃止します。

4)ヤミ金融対策の強化

 無登録営業等の罰則を懲役5年以下から10年以下に強化します。

5)多重債務者問題に対する政府を挙げた取組み

 多重債務者対策の円滑かつ効果的な推進を図るため、内閣に多重債務者対策本部が設置されました。カウンセリング体制の充実やセーフティネットの整備、金融経済教育の強化、ヤミ金融の取締強化など、政府全体で多重債務問題の解決に向け取り組みます。
 なお、本改正法は4段階の施行になっていますが、公布から概ね3年を目途に完全に施行されます。

問い合わせ先
 ○金融庁総務企画局企画課信用制度参事官室、監督局金融会社室
  電話 03―3506―6000(代)
 ○各財務局及び都道府県貸金業担当課

個人信用情報機関

 個人信用情報機関は会員の求めに応じ、顧客の信用に関する情報を提供しており、5つの系統があります。このうち3つの系統では相互に情報の交流を行っています。

1)個人信用情報機関について

 個人信用情報機関は、クレジット会社、消費者金融業者など、多くの場合物的担保によらず専ら顧客の信用(返済能力)を担保として信用供与を行う事業者を会員とし、信用供与にとって不可欠な顧客の信用に関する情報を収集・蓄積し、会員の求めに応じてそれを(与信の判断の材料として)提供することを業務としています。個人信用情報機関は、このような業務を通じて過剰貸付けの防止、多重債務者の発生の未然防止等を図り、消費者保護と消費者信用市場の健全な発展に資するという役割を果たしています。
 個人信用情報機関は、金融機関が会員の中心である「全国銀行個人信用情報センター」、クレジット会社が会員の中心である「(株)シー・アイ・シー(CIC)」、消費者金融系企業を中心に組織する「全国信用情報センター連合会(全情連)加盟の33機関」のほか、業種横断型の「(株)シーシービー(CCB)」そして「(株)テラネット」の5系統の機関が活動しています。
 個人信用情報機関に登録される個人情報は、消費者の個人情報保護の観点から、客観的かつ与信判断に必要な最小限の情報に限られており、具体的には次のようなものです。ア個人の属性情報(氏名・生年月日・住所・勤務先等)、イ契約の内容に関する情報(消費者ローンの借入日・借入金額・借入残高・クレジット契約日・クレジット契約金額・支払回数・残高・購入商品等)、ウ延滞等の情報(発生年月日、延滞・貸倒れ・代位弁済等といった内容等)、エ公的情報(破産宣告・失踪宣告等の公的記録)、オ手形交換所の第一回目不渡・取引停止処分情報、等。

2)個人信用情報の交流

 従来、我が国においては、個別の業態毎に個人信用情報機関が設けられていました。しかし、販売信用と消費者金融の拡大及び過剰与信に伴う多重債務者の発生が顕著になってきたことから、個人信用情報機関の整備・充実の必要性が高まってきました。このような状況のもとで、各業界に設立されている個人信用情報機関の情報をそれぞれの会員が共通に利用して、過剰貸付の防止、多重債務者の発生防止等をより効果的に行うことを目的とし、1987年3月からCCB、(株)テラネットを除く三者間で情報の交流が行われています(消費者金融系は「(株)日本情報センター」を交流の窓口としています)。現在は、3か月以上の延滞や自己破産など何らかの事故を起こした場合の情報(ネガティブ情報)に限定されており、会員は所属している個人信用情報機関を経由して他の個人信用情報機関に照会し、個人信用情報の提供を受けることができます。このシステムのことをCRIN(クリン:Credit Information Network)と呼んでいます。また、全情連と(株)テラネットも相互に情報の交流を行っています。

3)個人情報保護の制度

 個人信用情報機関は、個人情報保護法及び関係ガイドライン(金融分野における個人情報保護に関するガイドライン(平成16年金融庁告示第67号)、金融分野における個人情報保護に関するガイドラインの安全管理措置等についての実務指針(平成17年金融庁告示第1号)、経済産業分野のうち信用分野における個人情報保護ガイドライン(平成16年経済産業省告示第436号、平成18年経済産業省告示第312号)等)に従った個人情報の厳格な取扱いが求められています。また、CRINの運営に当たっている全国銀行個人信用情報センター、(株)日本情報センター、(株)CICは、三者協議会の名称の下、個人情報の保護及び適正な業務運営に資することを目的として「情報交流(CRIN)の実施に関する個人情報保護指針」を2005年5月25日に改訂しました。さらに各機関は、個人情報保護関連法制の遵守はもちろんのこと、各業態においても自主的ルールの整備・充実を図っています。例えば、個人信用情報機関の運営規則・内部規定等によれば、個人信用情報機関が消費者の情報を提供するのは、ア個人信用情報機関の会員からの照会、イ情報交流を行っている他の個人信用情報機関からの照会、ウ消費者本人からの開示請求の場合に限られており、また、会員は、消費者ローンやクレジット等の信用の供与にあたり、消費者の返済・支払い能力の調査に必要な場合に限って個人情報を利用することができ、目的外の利用は厳しく禁止されています。
 消費者が、個人信用情報機関に登録されている自分自身の消費者ローンやクレジット等に関する情報について知りたい場合には、それぞれの個人信用情報機関に登録情報の開示を請求することにより行うことができます。また、自分の情報を確認したところ、登録情報に関して心当たりがないといったような場合には、個人信用情報機関にその旨を申し出ると、個人信用情報機関ではその内容について調査を行い、登録情報が誤りであることが判明した場合には、登録情報の訂正または削除を行うとともに、本人にその旨を連絡しています。

問い合わせ先
 ○金融庁監督局金融会社室
  電話 03―3506―6000(代)
 ○経済産業省商務情報政策局取引信用課
  電話 03―3501―1511(代)
 ○全国銀行個人信用情報センター
  電話 03―3214―5020
 ○(株)シー・アイ・シー(CIC)
  電話 03―3348―0601
 ○全国信用情報センター連合会(全情連)
  電話 03―5294―7070
 ○(株)シーシービー(CCB)
  電話 03―3153―4400
 ○(株)テラネット
  電話 03―3258―1025