消費者の窓

〔2〕消費者政策の具体的施策

2 選択の機会の確保

1.消費者契約の適正化等

参考 簡易裁判所における民事裁判手続

 簡易裁判所における手続のうち消費者契約に関するトラブルの解決に役立つものとしては、次のものが挙げられる。

1)民事訴訟手続

 簡易裁判所が当事者双方から提出された主張及び証拠に基づき公開の法廷で審理を行った上で判決を言い渡すことにより、トラブルを解決する手続です。原告が訴えによって主張する経済的利益が140万円以下の場合(140万円以下の金銭支払請求等)には、簡易裁判所に訴えを提起します。また、なるべく少ない負担で簡易迅速に紛争を解決することを目的として、民事訴訟法は、60万円(2003年の民事訴訟法の改正により、上限が30万円から60万円に引き上げられました。)以下の金銭の支払を請求する訴えに限り、原則として1回の期日で審理を終えて直ちに判決の言渡しまで行う特則(少額訴訟手続)を設けています。

2)民事調停手続

 当事者双方が簡易裁判所の調停委員会の仲介の下で話し合いを行って合意を成立させることにより、トラブルを解決する手続です。費用が安く、非公開の手続であるため秘密が守られる点が利点ですが、当事者間に合意が成立しなければ、原則としてトラブルを解決することができないという点で限界があります。

3)督促手続

 簡易裁判所の裁判所書記官が、申立人の主張に基づき、相手方に対して金銭等の支払を命じる「支払督促」を発する手続です。「支払督促」に対して相手方から異議が申し立てられた場合には通常の訴訟手続に移行しますが、異議が申し立てられない場合には、申立てにより「仮執行の宣言」が付され、この宣言を付された「支払督促」に対して異議が申し立てられない場合には、確定した判決と同一の効力が認められ、これに基づき強制執行をすることができます。時間や費用がかからないことが利点ですが、対象が金銭の支払の請求等に限定されています。

問い合わせ先
 ○法務省民事局参事官室
  電話 03―3580―4111(代)

参考 クーリング・オフ制度

 クーリング・オフ制度は、消費者が自宅などに不意の訪問を受けて勧誘される場合等、自らの意思がはっきりしないままに契約の申込み・締結をしてしまうことがあるため、消費者が頭を冷やし再考する機会を与えるために導入された制度です。
 次ページの表「クーリング・オフ制度の一覧」に掲げられた法律に定められる商法で、その法律に定められた期間内であれば、消費者は、一切の損害賠償又は違約金の請求を受けることなく、申込みの撤回や契約の解除を行うことができます。
 クーリング・オフを行使するに当たっては、次のことに注意しましょう。
 1) 日数の計算方法は、申込みの撤回又は契約の解除ができる旨が記載された書面を業者から渡された日から起算した日数(その日を含む)となっており、その間にクーリング・オフする必要あります。(日数の起算日については、それぞれの法律に例外がありますので御注意下さい。)
 2) 行使方法は、書面で行う必要がありますが、1)の期間内に発送等すればよく相手に届いている必要はありません。クーリング・オフした証拠を残すために、内容証明郵便で行うことをお勧めします。クーリング・オフする際に書面に記載する内容、内容証明郵便の詳しいやり方については、63ページを御覧下さい。

 特定商取引に関する法律では、事業者が、消費者のクーリング・オフを妨害するため「これは特別な契約なのでクーリング・オフできない。」等と虚偽の説明をしたり威迫を行ったりして、消費者が誤認又は困惑してクーリング・オフを行わなかった場合には、その消費者は、法律所定の期間(8日又は20日)を経過した場合であっても、その事業者がクーリング・オフできる旨を記載した書面を改めて交付し、それから8日経過するまでの間は、クーリング・オフを行うことができることとしております。

 なお、同法については、次の場合はクーリング・オフは適用されませんので御注意下さい。

ア)いわゆる消耗品(政令で定められている物品)を使用、消費してしまった場合
イ)現金取引でその総額が3,000円未満の場合
ウ)乗用自動車の場合

問い合わせ先
 ○経済産業省商務情報政策局消費経済政策課
  電話 03―3501―1511(代)

クーリング・オフ制度の一覧

契約解除の通知 記載例

参考 内容証明郵便の記載方法

1)内容証明郵便

 郵便法第63条に規定する日本郵政公社の業務で、差出人に対してどのような内容の文書を差し出したかを日本郵政公社が証明してくれるものです。

2)内容証明郵便の記載方法

 用紙について(大きさ、材質等)は決まりがありません。
 書式については、以下のルールを守れば、手書きでもワープロでもかまいません。
 内容証明郵便は、同内容の文書が3通必要です(郵便局保管、相手送付、差出人控え)。

ア)縦書きの場合1行20字以内1枚26行以内
横書きの場合1行13字以内1枚40行以内又は、1行26字以内1枚20行以内
イ)使用する文字は仮名、漢字、数字。英字は固有名詞のみ可能。
句読点(。、)などは、1字に数える。
ウ)加削・訂正は、欄外に「○行目○字削除(挿入、訂正)」と明記して捺印する。
エ)末尾又は文中に、差出人と受取人の住所、氏名を記載する。
オ)2枚以上になるときは、割印を押す。

3)内容証明郵便の送付

 内容証明郵便は、最寄の郵便局に、開封したまま3通提出します。郵便局では、3通の内容が同じであるか、文字数は規定の範囲内かなどを確認した上手続を行ってもらえます。

4)料金等

 内容証明郵便は、内容証明料金、書留郵便料金、通常郵便料金及び配達証明料金(付加は任意。)の合計が、最低で1,220円かかることになります(封筒の大きさ、内容証明郵便の枚数によって異なってきます。)。
※内容証明郵便の手続きの詳細については、最寄りの郵便局までお尋ねください。

(2) 経済取引等を仮装した事案
1)無限連鎖講(ねずみ講)

 後順位の加入者が支出した金品を、先順位の加入者が受領することを内容とする配当組織で、加入者が無限に増加することが前提となっています。

ア)無限連鎖講(ねずみ講)の概要

 ねずみ講とは、先に組織加入した者が後に加入したものから金品を受け取ることを内容とする金品の配当組織です。

(典型的なねずみ講の例)
(i)一定金額を講本部や先輩会員に送金して講に加入する。
(ii)講に加入すると最低2名の新規会員を勧誘し、加入させなければならない。
(iii)勧誘・加入させた自分の子会員に孫会員を勧誘・加入させる。

 この過程を重ねて自分の子孫会員が一定数に達すると、講の本部又は子孫会員から自分の支出額を上回る金品を受領できるといった仕組になっています。しかし、例えば、1人が2人ずつ勧誘するとしてこの過程を繰り返していくと、27代目には1億人を超え、結局において破綻することになり一部の先順位会員を除き、利益を上げるどころか自らの支出した金額を回収することもできずに大きな経済的損益を被ることになります。

イ)ねずみ講とマルチ商法

 ねずみ講と類似したものにマルチ商法(58ページ参照)がありますが、マルチ商法は商品等の再販売等を行うことにより、加入者がマージンを受け取る組織的販売方式であり、適切な組織運営を行えば事業を維持することが可能であるのに対し、ねずみ講は配当組織であり、新しい加入者の勧誘が必ず行き詰まり、組織の維持ができなくなる点がマルチ商法と大きく違います。
 このようなことから、マルチ商法は法による規制を受けてはいるものの禁止されていないのに対し、ねずみ講は「無限連鎖講の防止に関する法律」によって、開設、運営、勧誘の一切が禁止されており、金銭に限らず有価証券を含む物品を先順位会員に支払うようなねずみ講も一切禁止されています。

ウ)最近の特徴

 最近のねずみ講に関する相談では、インターネットを利用したものが多くなっている傾向がみられます。インターネットを利用したねずみ講では、従来の口コミで広まるねずみ講に比較し、勧誘人数が多数に及びやすいという危険性があります。←現在、国民生活センターに最近のねずみ講の特徴について何かないか確認中です。

問い合わせ先
 ○警察庁生活安全局生活環境課(生活経済対策室)
  電話 03―3581―0141(代)
 ○内閣府国民生活局消費者企画課
  電話 03―3581―9095

2)その他

 「高金利」、「有利な利殖」、「元本保証」などを誘い文句に、多くの人からお金を集める商法いわゆる利殖商法の被害が後を絶ちません。「預かり金」の受入業務は、銀行など法律で定められた者以外は禁止されています。言葉巧みな勧誘にだまされないよう注意することが必要です。
 銀行・長期信用銀行・信託銀行・信用金庫・信用組合・商工組合中央金庫・農林中央金庫・農漁協等の金融機関や郵便局などの法律で認められた者以外の者が、不特定多数の者から元本保証をした預金や貯金等を受け入れる業務を行うことは、「出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)」により禁止されています。
 出資法に違反して不特定多数の者からお金を預かった者に対しては、刑事罰が科せられます。利殖商法等の被害にあった場合、その者が預かったお金を使い込んでしまい、消費者はお金を返してもらえないことが少なくありません。
 こうした被害に遭わないようにするためには、消費者は、大切なお金を預けるときには、有利な点だけに目を奪われ、言葉巧みな勧誘にだまされないよう、次の点に気を付けることが必要です。
1)「高金利」、「有利な利殖」、「元本保証」などの誘い文句がある場合には、お金の運用方法など、契約内容をよく確認する。
2)信用できる相手かどうか、相手の事業実績や利益に関するデータを入手するなどにより、よく考えて判断する。
3)「おかしい」と思ったら、はっきりと断る。

問い合わせ先
 ○金融庁監督局金融会社室
  電話 03―3506―6000(代)