消費者の窓

〔1〕我が国の消費者政策

3 消費者基本法

1.消費者保護基本法から消費者基本法へ

 国民生活審議会消費者政策部会においては、2002年6月より「21世紀型消費者政策のあり方」につき議論を開始しました。これは、1968年の消費者保護基本法制定以降の経済社会の大きな変化を踏まえ、消費者政策の基本的な考え方や施策の内容を抜本的に見直し、21世紀にふさわしい消費者政策として再構築することが不可欠であるとの認識を受けたものです。
 このような認識に基づき、21世紀にふさわしい消費者政策のグランドデザインを提示することを目指し、国民生活審議会消費者政策部会での議論が行われ、2003年5月に国民生活審議会消費者政策部会報告「21世紀型消費者政策の在り方について」として取りまとめられました。
 同報告書では、消費者の位置づけの転換、消費者の権利を位置づけることが必要とされ、これを踏まえ、(1)消費者政策の理念を明確化、(2)行政・事業者の責務と消費者の役割を明確化、(3)施策に関する規定を充実、(4)苦情処理体制の明確化と裁判外紛争解決の位置付け、(5)行政の推進体制を充実・強化を始めとして消費者保護基本法の総合的な見直しが提言されました。
 この提言も踏まえ、消費者保護基本法の改正機運が高まり、各政党においても消費者保護基本法の見直しが議論されました。そして、2004年通常国会において、議員立法により同法が改正され、2004年5月26日に成立、同年6月2日に消費者基本法として公布・施行されました。

2.法律の概要

 主な改正事項は以下のとおり。

(1)基本理念の新設

 消費者が安全で安心できる消費生活を送れるようにするためには、消費生活における基本的な需要が満たされ、健全な環境の中で消費生活を営むことができる中で、
 ・ 安全の確保
 ・ 選択の機会の確保
 ・ 必要な情報の提供
 ・ 教育の機会の確保
 ・ 意見の反映
 ・ 被害の救済
がまずもって重要であり、これらを消費者の権利として位置づけています。
 そして、「消費者の権利の尊重」と「消費者の自立の支援」を消費者政策の基本とすること等が規定されました。

(2)事業者の責務等の拡充

(1) 事業者については、従来の規定に加えて、
 ・ 消費者の安全及び消費者との取引における公正の確保
 ・ 消費者に対し必要な情報を明確かつ平易に提供すること
 ・ 消費者との取引に際して、消費者の知識、経験及び財産の状況等に配慮すること(適合性原則)等
 を責務とするとともに、環境の保全への配慮、自主行動基準の策定等による消費者の信頼の確保に努めることが規定されました。
(2) 消費者については、自ら進んで、消費生活に関し必要な知識を修得し、必要な情報を収集する等自主的かつ合理的に行動するよう努める旨が規定されました。これに加え、消費生活における環境の保全への配慮、知的財産権等の適正な保護に配慮するよう努めなければならない旨が規定されました。
(3) また、今回の改正により事業者団体及び消費者団体に関する規定が新設されました。事業者団体は、事業者と消費者との間に生じた苦情処理の体制整備、事業者自らがその事業活動に関し遵守すべき基準の作成の支援その他の消費者の信頼を確保するための自主的な活動に努める一方、消費者団体は、情報の収集・提供、意見の表明、消費者に対する啓発・教育、消費者被害の防止・救済等、消費生活の安定・向上を図るための健全かつ自主的な活動に努める旨が規定されました。

(3)基本的施策の充実・強化

・ 安全確保の強化
  (危険な商品の回収、危険・危害情報の収集・提供の促進)
・ 消費者契約の適正化の新設(契約締結時の情報提供や勧誘の適正化等)
・ 消費者教育の充実
  (学校、地域、家庭、職域など様々な場を通じた消費者教育の実施)
・ 苦情処理及び紛争解決の促進の充実
  (都道府県・市町村がともに苦情処理のあっせんを実施等)
等の改正が行われました。

(4)消費者政策の推進体制の強化

・ 消費者政策を計画的・一体的に推進するために、消費者基本計画を策定
・ 従来の「消費者保護会議」が「消費者政策会議」へと改組
・ 国民生活センターは、情報提供等の中核的機関として積極的役割を果たす
こと等が規定されました。
 また、施行後5年を目途として、消費者政策のあり方について検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられることになっています。

問い合わせ先
 ○内閣府国民生活局消費者企画課
  電話 03―3581―9095

参考 消費者保護基本法の改正について

1.改正の背景

(1) 消費者保護基本法は、1968年に議員立法により制定され、我が国消費者政策の基本的な枠組みとして機能してきた。
(2) しかしながら、同法制定後36年が経過し、消費者を取り巻く経済社会情勢は大きく変化
(3) 消費者が安全で安心できる消費生活の実現のため、消費者保護基本法を現代の経済社会にふさわしいものとして抜本的に見直し、消費者政策を充実・強化していくことが必要

2.主な改正事項

(1) 基本理念の新設
 ・ 安全の確保等を「消費者の権利」として尊重
 ・ 消費者の自立を支援 等
(2) 事業者の責務等の拡充
 ・ 事業者は情報提供や自主行動基準の作成等に努める
 ・ 消費者は知識の修得等に努める
(3) 基本的施策の充実・強化
 ・ 消費者契約の適正化
 ・ 消費者教育の充実 等
(4) 消費者政策の推進体制の強化
 ・ 消費者基本計画を策定
 ・ 消費者保護会議を消費者政策会議として機能を強化
(5) 法律名の変更
 ・ 「消費者保護基本法」から「消費者基本法」

「消費者の権利」と基本的施策との関係