消費者の窓

〔1〕我が国の消費者政策

1 消費者問題の推移と消費者政策

 我が国経済社会の変化に伴い、消費者問題にもその様相に変化が見られます。
 1960年代には、経済が高度成長を遂げ、大量生産・大量販売の仕組みが広がる中で、欠陥商品による消費者危害の発生や不当表示事件が発生しました(ニセ牛缶事件(1960年)、サリドマイド事件(1962年)等)。こうした動きに対応するため、政府においても消費者問題への取組みが本格化し、個別分野における法令の整備(薬事法(1960年)、割賦販売法(1961年)、景品表示法(1962年)など)が進められるとともに消費者政策担当部局が相次いで設置されました(経済企画庁国民生活局(1965年))。

 こうした流れを受け、1968年5月には消費者保護基本法が制定され、消費者政策の基本的枠組みが定められるとともに、1970年10月には、消費者問題の情報提供や苦情相談対応、商品テスト、教育研修等を担う機関として国民生活センターが設立されました。

 他方、地方公共団体においても、消費者保護基本法でその責務が規定されるとともに、地方自治法で消費者保護が地方の事務として規定(1969年)されたことを受け、消費者政策専管部局や消費生活センターの設置が進められ、その後、地域の実情に応じた施策を講じるため、都道府県・政令指定都市等で消費者保護条例が順次制定されていきました。

 1970年代には大衆消費社会を背景とした製品の安全性の問題がさらに大きくなるとともに、マルチ商法など新たなタイプの消費者問題が発生し、被害を引き起こしました。こうした中で、消費者トラブルも商品の品質・性能及び安全性に関するものから、商品の販売方法や契約等に関するものへと比重がシフトしました。

 1980年代は、経済の情報化、サービス化、国際化等の動きが加速するとともに、クレジットカードの普及等により消費者による金融サービスへのアクセスが容易になりました。消費者問題も、これを受け、クレジットカードの普及などによる多重債務等に係る問題が増加するなど、その内容が変化し複雑化しました。これに対して、消費者信用取引の適正化や消費者契約の適正化等のための施策等が実施されました(訪問販売等に関する法律(現特定商取引法(1976年)等)。また、いわゆるバブル経済の中で資産形成取引に伴う問題が急増したため、これに対応する法令が整備されました(特定商品等の預託等取引契約に関する法律(1986年)等)。

 1990年代以降は、消費者と事業者との間の一般的な民事ルールの整備が進み(製造物責任法(1994年)、消費者契約法(2000年))、消費者教育の面では、学習指導要領の改訂により、契約などの消費生活に関する教育が学校において積極的に取り組まれるようになりました。

 また、2004年6月には、消費者保護基本法を36年ぶりに改正し、消費者基本法を制定いたしました。消費者基本法においては、消費者政策の基本理念として、「消費者の権利の尊重」と「消費者の自立支援」を基本とするとともに、消費者政策の計画的な推進を図るため、消費者基本計画を定めなければならないとされております。このため、2005年4月に消費者基本計画が定められました。現在、政府はこの計画に盛り込まれた内容を強力に推進しております。

消費者政策の軌跡
消費者政策の軌跡